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アザーズ Side
笑えない事件なんてお粗末なもの
しおりを挟むなかば意地の張り合いのようにいがみ合いながら、それでも家のためと婚約関係を続けて早数年。
私は次代の領地経営を担う者として周知され、女子供のお遊びではないと思われる程度には認められてきた。
そして元婚約者の方は騎士になり、ご令嬢や奥様方から人気になっているようだった。
まあ、見目は良いし、幼い頃からしつけられた立ち振る舞いは洗練されている。決して抜きん出た強さはないが、嗜みとして剣術をずっとしていたこともあり太刀筋が美しい、らしい。
次期当主なのだからと反対され、後ろ盾がないが故に所属しているのが花形の部隊ではないのも彼を引き立てていた一因かもしれない。
観賞用として、もしくは愛人志望のお嬢様がたからよくおもてになったそう。
できればその愛人志望の方に手を出して子供でもできたら領地経営に専念できてありがたいのだけど、と報告書を読みながら思っていたけれどそんなこともないまま時は過ぎていった。
そうして薄らぼんやりした未来の話であった結婚が、私が20を迎え具体的な形を伴って目の前に姿を現し始めた頃その事件は起きた。
なんの変哲もない子爵令嬢に高位貴族の子息たちが骨抜きにされ、おかしいと調べれば結局は魅了を使われていた。
なんて、お粗末な事件。
私の元婚約者どころか、王太子まで魅了に引っかかっていたとなれば笑い話にもできやしない。
さらに言えば私の元婚約者は公衆の面前で婚約破棄を叫びやがった。
なんて、なんて、お粗末なお話。
御子息達のその後はそれぞれの家で決めることに。
王太子は魅了の治療が終わってから廃嫡などはなく、王太子のままに、ただ婚約者と結婚と同時に側妃を娶ることになったらしい。
事件の前までは婚約者を溺愛していた王太子にはある意味辛い罰かもしれない。
そして、我が元婚約者殿は・・・。
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