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アザーズ Side
側妃と王妃のお茶会②
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口調訂正
マーリトの一人称を 私→わたくし に変更します。
************
「それにね、今日は3人に相談したいことがあるのよ。だから、マルガレータちゃんには先に帰って欲しかったからちょうどよかったのよね。」
そう言葉にすると、ほんの少しだけ、周りで見ていても気づかないくらい微かに空気がピンと張る。
こういうふうにさっと切り替えられるところは流石よね。マーリトとライサは嫁いできた当初はここまで反応が良くはなかったけれど、2年半で大分鍛えられたようだわ。
「相談とは何でしょうか?」
ハンナマリから尋ねられる。
「それがね、陛下と側妃の選定を行おうと話し合ってるのよ。そのことについて、皆から意見をもらえたらと思ってね。」
「・・・側妃ですか・・・?」
「ええ。」
「側妃の選定にはまだ早いのではありませんか?王太子夫妻が婚姻をしてからまだ2年半でしょう?」
「いいえ、側妃を娶るのは陛下よ。」
その言葉の意味を理解した後の反応は三者三様。
「私はあまりいい考えだと思いません。少し甘いのでは無いでしょうか?」
ハンナマリはやっぱり反対派ね。
「どなたか見染められたのでしょうか?あ、でも選定を検討しているのでしたわね・・・。」
「・・・。」
マーリトは理由が掴めず何とも言えない顔、ライサは少し複雑そうねこの子はあまり割り切れるたちでも無いからそういうものかもね。
「陛下はまだお若いですし、でも、・・・あら?そう言えばハンナマリ、甘い?とはどういう意味かしら?」
「そのまま意味よ、マーリト。マルガレータ様に懐妊の兆しがないでしょう?だから、陛下に側妃を娶っていただいて後継を作ろうってこと。仕込むならもうそろそろしなくちゃだしね。」
「仕込むって、ハンナマリもう少し言い方を考えた方がいいんじゃないかしら?うーん、でもそれで大丈夫なの?」
「グレーゾーンってところね。ただ、子供ができれば王太子様に側妃を何が何でも娶らせなくてはならないって勢力は弱まるかな。まあ、私としては王太子様に甘い顔しないで自分のケツは自分で拭けって思うけどね。」
「ハンナマリ、ちょっと落ち着きなさいな言葉遣いがみっともないわ。」
ハンナマリは自分の元婚約者と同じように、魅了娘に引っかかったバカ息子に腹を立てていることもあって、どこか吐き捨てるような口調で言い切っている。
一方でマーリトはハンナマリの話を聞いて少し考えている様子ね。
「王妃様、わたくしは反対しませんわ。」
「マーリト、あなた王太子様に肩入れするつもりなの?」
「そういうつもりではないわ。そもそも、国王陛下が側妃を娶ることは問題ないことでしょう?70歳、80歳でも娶る方だっていますもの。陛下はまだ40代も前半、何の問題もないわ。」
「う、まあ、そうね。」
「理由が王太子様のため、は確かに引っ掛かりますけれどそんなに大きな問題だとは思わないわ。ただ、」
そこで言葉を切ったマーリトはどこか窺うような視線を私に向けた。
「ただ、何かしら?意見を聞いたのは私だもの、はっきり言ってちょうだい。」
そう言葉を促すと、一瞬躊躇した様子を見せたが、意を決したように口を開いた。
「ただ王妃様はよろしいんですの?陛下と王妃様が仲睦まじく相思相愛なのは良く知られていることですわ。王太子夫妻ではありませんが、陛下が側妃を娶るのはいやではありませんの?」
その言葉を聞いて、ライサがガタンと音を立ててたち上がった。
「そうです!陛下は王妃様を愛していらっしゃるのでしょう?唯一の妃と宣言され、今まで側妃を娶らなかった純愛は有名なことです!なのにっ、王太子様のためとは言え側妃を陛下に娶らせようだなんてひどいです!」
普段温厚なライサが大声で捲し立てる。
突然のことに、さすがのわたくしも驚きの表情を隠せなかったわ。
マーリトの一人称を 私→わたくし に変更します。
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「それにね、今日は3人に相談したいことがあるのよ。だから、マルガレータちゃんには先に帰って欲しかったからちょうどよかったのよね。」
そう言葉にすると、ほんの少しだけ、周りで見ていても気づかないくらい微かに空気がピンと張る。
こういうふうにさっと切り替えられるところは流石よね。マーリトとライサは嫁いできた当初はここまで反応が良くはなかったけれど、2年半で大分鍛えられたようだわ。
「相談とは何でしょうか?」
ハンナマリから尋ねられる。
「それがね、陛下と側妃の選定を行おうと話し合ってるのよ。そのことについて、皆から意見をもらえたらと思ってね。」
「・・・側妃ですか・・・?」
「ええ。」
「側妃の選定にはまだ早いのではありませんか?王太子夫妻が婚姻をしてからまだ2年半でしょう?」
「いいえ、側妃を娶るのは陛下よ。」
その言葉の意味を理解した後の反応は三者三様。
「私はあまりいい考えだと思いません。少し甘いのでは無いでしょうか?」
ハンナマリはやっぱり反対派ね。
「どなたか見染められたのでしょうか?あ、でも選定を検討しているのでしたわね・・・。」
「・・・。」
マーリトは理由が掴めず何とも言えない顔、ライサは少し複雑そうねこの子はあまり割り切れるたちでも無いからそういうものかもね。
「陛下はまだお若いですし、でも、・・・あら?そう言えばハンナマリ、甘い?とはどういう意味かしら?」
「そのまま意味よ、マーリト。マルガレータ様に懐妊の兆しがないでしょう?だから、陛下に側妃を娶っていただいて後継を作ろうってこと。仕込むならもうそろそろしなくちゃだしね。」
「仕込むって、ハンナマリもう少し言い方を考えた方がいいんじゃないかしら?うーん、でもそれで大丈夫なの?」
「グレーゾーンってところね。ただ、子供ができれば王太子様に側妃を何が何でも娶らせなくてはならないって勢力は弱まるかな。まあ、私としては王太子様に甘い顔しないで自分のケツは自分で拭けって思うけどね。」
「ハンナマリ、ちょっと落ち着きなさいな言葉遣いがみっともないわ。」
ハンナマリは自分の元婚約者と同じように、魅了娘に引っかかったバカ息子に腹を立てていることもあって、どこか吐き捨てるような口調で言い切っている。
一方でマーリトはハンナマリの話を聞いて少し考えている様子ね。
「王妃様、わたくしは反対しませんわ。」
「マーリト、あなた王太子様に肩入れするつもりなの?」
「そういうつもりではないわ。そもそも、国王陛下が側妃を娶ることは問題ないことでしょう?70歳、80歳でも娶る方だっていますもの。陛下はまだ40代も前半、何の問題もないわ。」
「う、まあ、そうね。」
「理由が王太子様のため、は確かに引っ掛かりますけれどそんなに大きな問題だとは思わないわ。ただ、」
そこで言葉を切ったマーリトはどこか窺うような視線を私に向けた。
「ただ、何かしら?意見を聞いたのは私だもの、はっきり言ってちょうだい。」
そう言葉を促すと、一瞬躊躇した様子を見せたが、意を決したように口を開いた。
「ただ王妃様はよろしいんですの?陛下と王妃様が仲睦まじく相思相愛なのは良く知られていることですわ。王太子夫妻ではありませんが、陛下が側妃を娶るのはいやではありませんの?」
その言葉を聞いて、ライサがガタンと音を立ててたち上がった。
「そうです!陛下は王妃様を愛していらっしゃるのでしょう?唯一の妃と宣言され、今まで側妃を娶らなかった純愛は有名なことです!なのにっ、王太子様のためとは言え側妃を陛下に娶らせようだなんてひどいです!」
普段温厚なライサが大声で捲し立てる。
突然のことに、さすがのわたくしも驚きの表情を隠せなかったわ。
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