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ヴァルッテリ Side
ある男の悔恨
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メグは前と変わらなかった。
それはもう全くと言っていいほどに。
その変わらない様が逆に不自然に感じるほどに。
ただ、あの女のことに関して謝罪の言葉を口にする時と、側妃を娶るのをやめるもしくは延期できないかと話す時だけは、あの日と同じ満面の笑みを浮かべる以外何のリアクションも返してこなかった。
変わったのは俺の方だった。
四六時中あの日のメグが、満面の笑みを浮かべた、壊れてしまいそうなメグが頭にチラついた。
不安でたまらず時間が、状況が許す限りそばに居るようにした。
夜も一緒に眠る。
一緒でないとまともに眠ることすらできなかった。眠りについても、メグがいなくなる夢を見て目が覚める。ざわつく心臓を宥めながら、確かに腕の中にメグがいるのを確認して再度眠りにつく、それでも夜中に何度も目が覚めてしまうのが繰り返される日々。
それに子供ができることも期待していた。
側妃の事も全然説得どころか話も聞いてもらえない状況で、子供ができたらなんとかなるのではと期待を込めて、月の障りが来るたびに落胆してしまっていた。
そうしてあの日の時点で半年を切っていた正式な婚姻までの猶予は、側妃を娶るまでの猶予は、またたく間に過ぎ去って行った。
結局なにも変えることができないまま、傷ついたメグを癒す事もできないままに今日がやってきた。
側妃として選ばれたのは3人。
家柄、派閥、本人の資質など様々な条件から10人ほどに絞られたリストを渡され、この中から最低3人選べと言われた。
リストの面々のより詳細な調査を行い、話し合いの機会をもち、それぞれの望む条件をすり合わせ、メグとうまく付き合って行ける人間を選んだ。
側妃たちは正妃との、メグとの正式な婚姻が結ばれてから早い者で10日ほど後、遅い者でも30日しないうちに召し上げることが決まっている。
身に纏う式典用の衣装は、無駄な装飾も多くただでさえ重いのに、俺の心を反映してかまるで重しのような、俺をがんじがらめにする鎖のような重さだ。
一生に一度の幸せな日になるはずだった。
国中から祝福され、お互いに心からの笑顔を浮かべて迎えるはずだった。
どうしてこうなってしまったのかという思いを、悔やんでも悔やみきれない自分の愚かさを呪いながら、満面の笑みを浮かべるメグの手を取りゆっくりと歩みを進める。
今から神の前で誓うのだ、愛を。
お互いが抱くそれに、なんの疑いもないのだけれど
胸を占めるのは喜びとは真逆とも言えるなにかだった
それはもう全くと言っていいほどに。
その変わらない様が逆に不自然に感じるほどに。
ただ、あの女のことに関して謝罪の言葉を口にする時と、側妃を娶るのをやめるもしくは延期できないかと話す時だけは、あの日と同じ満面の笑みを浮かべる以外何のリアクションも返してこなかった。
変わったのは俺の方だった。
四六時中あの日のメグが、満面の笑みを浮かべた、壊れてしまいそうなメグが頭にチラついた。
不安でたまらず時間が、状況が許す限りそばに居るようにした。
夜も一緒に眠る。
一緒でないとまともに眠ることすらできなかった。眠りについても、メグがいなくなる夢を見て目が覚める。ざわつく心臓を宥めながら、確かに腕の中にメグがいるのを確認して再度眠りにつく、それでも夜中に何度も目が覚めてしまうのが繰り返される日々。
それに子供ができることも期待していた。
側妃の事も全然説得どころか話も聞いてもらえない状況で、子供ができたらなんとかなるのではと期待を込めて、月の障りが来るたびに落胆してしまっていた。
そうしてあの日の時点で半年を切っていた正式な婚姻までの猶予は、側妃を娶るまでの猶予は、またたく間に過ぎ去って行った。
結局なにも変えることができないまま、傷ついたメグを癒す事もできないままに今日がやってきた。
側妃として選ばれたのは3人。
家柄、派閥、本人の資質など様々な条件から10人ほどに絞られたリストを渡され、この中から最低3人選べと言われた。
リストの面々のより詳細な調査を行い、話し合いの機会をもち、それぞれの望む条件をすり合わせ、メグとうまく付き合って行ける人間を選んだ。
側妃たちは正妃との、メグとの正式な婚姻が結ばれてから早い者で10日ほど後、遅い者でも30日しないうちに召し上げることが決まっている。
身に纏う式典用の衣装は、無駄な装飾も多くただでさえ重いのに、俺の心を反映してかまるで重しのような、俺をがんじがらめにする鎖のような重さだ。
一生に一度の幸せな日になるはずだった。
国中から祝福され、お互いに心からの笑顔を浮かべて迎えるはずだった。
どうしてこうなってしまったのかという思いを、悔やんでも悔やみきれない自分の愚かさを呪いながら、満面の笑みを浮かべるメグの手を取りゆっくりと歩みを進める。
今から神の前で誓うのだ、愛を。
お互いが抱くそれに、なんの疑いもないのだけれど
胸を占めるのは喜びとは真逆とも言えるなにかだった
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