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マルガレータ Side
心の裡①
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「メグっ!」
聞き慣れたけれど久しぶりな声に振り向くと、そこにいたのは息を切らせたヴァルッテリ殿下の姿。
あの話し合いの後、すぐに側妃候補の選定が始まり、公務に支障をきたさない範囲でという限定付きではあるが魔道研究員としての勉強が許された。
公務に勉強にと、忙しさに慣れた頃エリナ・ハーヤネンの処遇の決定と魅了に犯された子息たちの治療が開始されたとの報告が入った。
エリナ・ハーヤネンは男性にチヤホヤされたいという理由で意図的に魅了の魔法を使っていたことが判明した。
これを悪質と判断され、また対象となったのが王族を含む高位貴族であったこともあり重罪となり、魔導研究所の第三種検体行きとされた。
第三種検体とは簡単に言えば人権も命の保障も何もない実験体として利用して良い人間のこと。
そして、それからさらに少し経った今、私はヴァルッテリ殿下に手を引かれ、この方向は王族の居住区、に連れていかれている。
ヴァルッテリ殿下基準で早歩きのスピードで引っ張られた結果、殿下の私室にたどりついた時には息も絶え絶えだった。
「ヴァルッテリ殿下、何を?」
繋いでいない方の手を膝に置き、息が整っていないまま問えば、繋いだ手をグイっと引き寄せられ殿下の胸に強く抱きしめられていた。
「ヴァルだ。」
上から降ってきた声が震えていると感じるのは私の気のせいだろうか?
「ヴァルッテリ殿下?」
「メグ、ヴァル、だ。」
顔を上に向けると、近くにヴァルッテリ殿下の顔があった。
今にも泣き出しそうな顔をしている。
「ヴァル?」
そう呼べば、物凄く甘い笑顔を浮かべて、さらに強く抱きしめられる。
息ができないほどに。
「メグ!メグ!!」
感極まったように名前を連呼してくれるのは嬉しいのだけど、息ができない。
「ヴァ、ヴァル、い、息、でき、な、い」
バシバシとヴァルの腕を叩いて訴えてやっと、腕が緩む。
けれど、解放してくれるつもりはないようで、身動ぎすらできない程度にはしっかりと抱きしめられていた。
しっかりと空気を取り込んだあと、再びヴァルの顔を見る。
ヴァルは目を細めて私のことを見ていた。
「メグ、話をしよう。」
そう言ってヴァルは私をそのまま縦抱きにして、ソファまで運ぶ。
二人がけのソファに腰掛けると、自身の膝の上に私を横抱きにして座らせた。
半年以上ぶりの距離感に安心感が芽生える。
「メグ、ごめん。」
頭を下げながら謝るヴァルをじっと見つめる。
「どう謝れば良いのか分からないのだけど、本当に最低なことをした。謝っても謝っても、許されることじゃないのはわかってる。申し訳のしようもない。」
言いながら私の腰に回された腕に力がこもる。
頭を下げ続けながらの謝罪に悔恨の念が見て取れた。
「お気になさらないでください。」
「メグ?」
ヴァルの顔を両手で包んで上げさせる。
「私は大丈夫ですから。」
「そんな訳ない!俺が間違った、メグを傷つけた。ごめん、本当にごめん。」
笑顔を浮かべ、大丈夫だと伝えれば、焦ったように謝罪を繰り返す。
「大丈夫ですよ。心が移ろうことなど誰にでもあることですもの。」
「違う!違うんだ!!ごめん、俺が悪かったから、もう絶対に間違わない。メグ以外の誰にも心を移さないと誓うから!」
「あらあら、いけませんわ。あなたは次期国王となられるお方、できるかも分からない誓いなど簡単に口にすべきではありませんわ。」
コロコロと笑いながらそう言えば、ヴァルの顔が絶望に染まる。
「どう、すればいい?どうすれば、メグにまた愛してもらえる?」
絞り出されるように言われた言葉に首を傾げる。
「ヴァルッテリ殿下のお心のままに。それに、いつ私がヴァルのことを愛していないなど言いました?私は変わらずあなたの事を愛しているわ。」
「なら、ならなんで側妃の選定を願い出た?両陛下から聞いた。メグから側妃の選定を願い出たと、愛してくれているのならなぜ!?愛してる、メグのことを愛してるんだ!信じてくれないかもしれないけど、信じるのが難しいかもしれないけど、嘘じゃない、心からメグのこと愛してるんだ。」
悲痛な叫び声が上がった。
聞き慣れたけれど久しぶりな声に振り向くと、そこにいたのは息を切らせたヴァルッテリ殿下の姿。
あの話し合いの後、すぐに側妃候補の選定が始まり、公務に支障をきたさない範囲でという限定付きではあるが魔道研究員としての勉強が許された。
公務に勉強にと、忙しさに慣れた頃エリナ・ハーヤネンの処遇の決定と魅了に犯された子息たちの治療が開始されたとの報告が入った。
エリナ・ハーヤネンは男性にチヤホヤされたいという理由で意図的に魅了の魔法を使っていたことが判明した。
これを悪質と判断され、また対象となったのが王族を含む高位貴族であったこともあり重罪となり、魔導研究所の第三種検体行きとされた。
第三種検体とは簡単に言えば人権も命の保障も何もない実験体として利用して良い人間のこと。
そして、それからさらに少し経った今、私はヴァルッテリ殿下に手を引かれ、この方向は王族の居住区、に連れていかれている。
ヴァルッテリ殿下基準で早歩きのスピードで引っ張られた結果、殿下の私室にたどりついた時には息も絶え絶えだった。
「ヴァルッテリ殿下、何を?」
繋いでいない方の手を膝に置き、息が整っていないまま問えば、繋いだ手をグイっと引き寄せられ殿下の胸に強く抱きしめられていた。
「ヴァルだ。」
上から降ってきた声が震えていると感じるのは私の気のせいだろうか?
「ヴァルッテリ殿下?」
「メグ、ヴァル、だ。」
顔を上に向けると、近くにヴァルッテリ殿下の顔があった。
今にも泣き出しそうな顔をしている。
「ヴァル?」
そう呼べば、物凄く甘い笑顔を浮かべて、さらに強く抱きしめられる。
息ができないほどに。
「メグ!メグ!!」
感極まったように名前を連呼してくれるのは嬉しいのだけど、息ができない。
「ヴァ、ヴァル、い、息、でき、な、い」
バシバシとヴァルの腕を叩いて訴えてやっと、腕が緩む。
けれど、解放してくれるつもりはないようで、身動ぎすらできない程度にはしっかりと抱きしめられていた。
しっかりと空気を取り込んだあと、再びヴァルの顔を見る。
ヴァルは目を細めて私のことを見ていた。
「メグ、話をしよう。」
そう言ってヴァルは私をそのまま縦抱きにして、ソファまで運ぶ。
二人がけのソファに腰掛けると、自身の膝の上に私を横抱きにして座らせた。
半年以上ぶりの距離感に安心感が芽生える。
「メグ、ごめん。」
頭を下げながら謝るヴァルをじっと見つめる。
「どう謝れば良いのか分からないのだけど、本当に最低なことをした。謝っても謝っても、許されることじゃないのはわかってる。申し訳のしようもない。」
言いながら私の腰に回された腕に力がこもる。
頭を下げ続けながらの謝罪に悔恨の念が見て取れた。
「お気になさらないでください。」
「メグ?」
ヴァルの顔を両手で包んで上げさせる。
「私は大丈夫ですから。」
「そんな訳ない!俺が間違った、メグを傷つけた。ごめん、本当にごめん。」
笑顔を浮かべ、大丈夫だと伝えれば、焦ったように謝罪を繰り返す。
「大丈夫ですよ。心が移ろうことなど誰にでもあることですもの。」
「違う!違うんだ!!ごめん、俺が悪かったから、もう絶対に間違わない。メグ以外の誰にも心を移さないと誓うから!」
「あらあら、いけませんわ。あなたは次期国王となられるお方、できるかも分からない誓いなど簡単に口にすべきではありませんわ。」
コロコロと笑いながらそう言えば、ヴァルの顔が絶望に染まる。
「どう、すればいい?どうすれば、メグにまた愛してもらえる?」
絞り出されるように言われた言葉に首を傾げる。
「ヴァルッテリ殿下のお心のままに。それに、いつ私がヴァルのことを愛していないなど言いました?私は変わらずあなたの事を愛しているわ。」
「なら、ならなんで側妃の選定を願い出た?両陛下から聞いた。メグから側妃の選定を願い出たと、愛してくれているのならなぜ!?愛してる、メグのことを愛してるんだ!信じてくれないかもしれないけど、信じるのが難しいかもしれないけど、嘘じゃない、心からメグのこと愛してるんだ。」
悲痛な叫び声が上がった。
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