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第5章 再度、スノービーク〜
全部揃えたら、配りに行こう!
しおりを挟む翌朝目を覚まして隣を見る。
やはり昨日は2人とも帰ってきていなかったようだ。
……一体、何をしているんだろうなぁ?
とりあえず俺は朝食をみんなと食べたあと、1人でアクセサリーに通す紐などを買いにローランの街へと向かった。……相変わらずでごめんね、ルーシェさん。
「おはようございます、ルーシェさん。ちょっと聞きたい事があって……この穴に通す紐やチェーンを買いたいんですけど、どこかいい店あります?」
「おはよう、シエルくん。そうだよね、昨日作ったのは単体では身に付けづらいもんね。そうだなぁ……魔道具店や魔石を売っている店なんかには置いてあるかもね。僕としてはチェーンよりも革のほうが丈夫な気がするよ?もちろん安物ではなく、強い魔物の革ならだけど。」
ルーシェさんはそう教えてくれた。
なるほど、高ランクの魔物は確かに刃物も通らないほどしなやかでありながら硬い。
そっか、魔道具店ね。
それなら皆で街を歩いていた時に見かけたことあるなぁ。
俺はルーシェさんにお礼を言ってギルドから街へと向かった。
目的地は魔道具店が立ち並ぶ区画だ。
目的の区画に到着すると、店を眺めてまわった。
この区画にはそれぞれの通りごとに専門店が並んでいる。
だから買いたい物が決まっている人にはありがたい構造だと思う。
それぞれの店で特色あるみたいだし、あまり競合しなくて済むようにお互い売るものを考えているようだ。
俺はとりあえず全部の店を見て回り、紐を売ってそうな店を探す。
金属系の紐のみを取り扱っているお店もあれば、革紐のみを取り扱っている店もあり、その店は意外と流行っているようだ。
やっぱり俺と同じで魔道具に使うらしく、使う予定の魔道具を見ながら合わせている人が結構いる。
俺もそれぞれ1つずつ取り出し、一応金属系の紐も見てみる。
そうそう、その金属系の紐を扱っている店にあるのは定番の喜平チェーンやボールチェーン、アズキチェーン、ベネチアンチェーンの他に、スクリュータイプのものやそれぞれの太さの違うもの、使われている素材が違うものなど、様々なものが売られている。
それを見るとこちらの世界でもこういう技術は発展しているんだなと少し驚いた。
俺はよくよく考えて、ラブさん夫婦にはシルバー素材で3ミリくらいのスクリュータイプのチェーンにしてみた。
2人は別に体を動かす職業でもないので、金属でも良さそうだもんね。
結局その店では2人のチェーンを買って別の店に向かう。
ゴーダさん夫婦は、ゴーダさんが火を扱う職業なので金属類は無しだから革紐で火に強いものを探すことにした。
革紐を扱う専門店は金属系のチェーンを扱う店の2軒隣にあった。
中を眺めているとお店の人らしき男性が声をかけてくれた。
「何をお探しですか?」
「実は鍛冶職人の友人にアクセサリーを作ったんですが、それに使う革紐を探しに来たんです。さすがに火を扱うのに金属は無しだろうと。」
「なるほど、確かに。火に強い革……か。」
お店の人は俺の返答を聞くと少し考えていたが、「こちらへどうぞ。」と言って店の中を案内してくれた。
「こちらにある革は火に強いサラマンダー系や高ランクの魔物の革でできた革紐になります。ただ、ちょっとお値段が……。」
お店の人は俺をチラッと見ると、言いづらそうにそう口にした。
……なるほど、子供だから支払い能力が低いと思ったんだね?
俺が店員さんにギルドカードを見せると、ものすごく驚いた顔で俺を見る。
そりゃそうだよね、未成年だと思った子供がまさかのBランクだもんね。
俺はちょっとだけすまし顔で「お金は持っているので見せてもらえますか?」と聞く。
「まさかお客様がBランク冒険者だったとは!大変失礼いたしました。」
「いえいえ、そうは見えないですもんね、子供ですし。」
俺たちはそう言うと、顔を見合わせて苦笑いをする。
お店の人はお詫びと言って、革の説明をいろいろしてくれた。
やはり高ランクの魔物は火に強いが、さすがに炎の中で育つサラマンダーの革には敵わない様なので、ゴーダさん達にはサラマンダーの革で出来た革紐を購入。
「先ほどご自身で作られたアクセサリーに使う革紐とおっしゃられていましたが、もしや今取り出しているものがそうでしょうか?」
俺が購入した革紐を早速アクセサリーに通していると、店員さんがそう聞いてきた。
「ええ、そうです。」
「とても綺麗な魔石ですね。」
店員さんはそう言ってペンダントを眺めている。
そうだよね、まるで無色透明でオパールのような煌めきが浮かぶ、不思議な石でできているからね!
……でも、その物欲しそうな顔をしたってあげないよ!?
それから俺は俺たちのアクセサリーの為の革紐も探したいと伝えて、条件に合いそうな革紐をお願いする。
俺たちの場合、とても丈夫で長持ちのする物が良いと思うんだ。相当戦闘で体動かすからね。
「そうなると先程候補に挙がっていたこちらの高ランクの魔物の革でできた革紐が良さそうですが……それでもさすがに戦闘の時に長年耐えられるか?と言われると何ともいえませんねぇ。」
お店の人はう~んと唸りながら考えている。
「ものすごい高額品ですが、ドラゴンの鱗から加工された紐もありますが……見てみますか?」
店員さんはそんな事を言うと、店の奥の方に案内してくれた。
えっ、ドラゴンの鱗だって!?
どうやって加工したんだろう?
店の奥にはソファーセットがあり、俺にそこに座っているように言うとお店の人はカーテンで仕切られている場所へと消えた。
暫くして細長い箱を持ってくると、それを開けて中身を俺に見せてくれた。
中には薄い緑色をした細長い紐が入っている。
もしやこれがドラゴンの鱗でできた紐?
俺がそう店員さんに聞くと頷き、説明してくれた。
どうやらドラゴンの鱗を魔石のように魔力を流しながら形を変えて作るんだそうな。
……それなら材料があれば、俺でも作れる?
「魔石から魔道具を作る事ができれば、これって作ることできます?」
「う~ん……どうでしょう?相当な魔力が必要だと聞いていますが……。ちなみにこれを作ったのは、現在の冒険者ギルドマスターなんですよ。彼がこの街に来た時に金策のためにこれを持ち込まれたんです。」
えっ、これ、ルーシェさんが作ったの!?
まさかの知り合いの製作品に驚いたよ!
……まさかこの鱗って、緑だからグリーさんのじゃない?
よし、それなら俺も挑戦してみるかな?
ダメだったら本人に作り方聞いてみよう!
俺は店員さんに「この紐は辞退します」と伝え、ゴーダさん夫婦の革紐だけ購入して店を出た。
その後転移の為もあるが、プレゼントを渡すためにゴーダさんの店へと向かう。
同じ区画だからそこまで歩かなくて済みそうだ。
店の中に入ると大きな声で奥へと声をかけると、奥からゴーダさんが出てきた。
「おう、今日はどうした?転移しに来たのか?」
「ええ、それもありますが、実はゴーダさん夫婦にプレゼントがありまして。」
「……プレゼント?」
「ええ、これです。裸で申し訳ないんですが……。」
俺はそう言うと、先ほどの店で購入した革紐を通したアクセサリーを2つ、鞄から取り出した。
それをゴーダさんに手渡すと、光に翳しながらしげしげと眺めだした。
「コイツぁ、いったい何でできているんだ?すげぇ綺麗な品だなぁ。」
「それの材料は、この前のネシアでの大会で空から降ってきた石なんです。それを俺が加工して、魔道具にしたんですよ。その革紐は火に強いものなので常に肌見放さず、寝る時もつけておいてくたさいね、身を守るお守り代わりなので。」
「そうなのか?いや、寝る時はさすがに外させてもらうが、日中はそうさせてもらうかな。……2つあるってぇことは、予備じゃなくてエダム用だな?」
「ええ、そうなんです。ご夫婦でつけてくださいね。」
「ちっと恥ずかしいが、まだプレゼントだからな。後で渡しておくよ。ありがとうな。」
ゴーダさんは薄っすら赤い顔でそう言うと、プイッと顔を背けた。
俺はそんなゴーダさんに微笑みかけながら、俺の部屋へと転移した。
部屋に戻るとまだ2人は帰ってきておらず、ちょっと心配になった。
……そうだ、鱗貰いに行きがてら顔を見てこようかな!
とりあえずお昼ご飯まで、俺は大人しく部屋でのんびりすることにした。
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