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第4章 ネシア国〜
大会3日目 4
しおりを挟む試合の勝敗が決まって武器を拾いに行っていた対戦相手が、武器を拾って俺のそばに寄ってきた。
「君は本当に強いんだな!俺はこの大会に出る選手としてはそんなに強いほうじゃないけど、そんな俺から見ても君は力だけでいうとヒューザよりも強いんじゃないか?」
「……そうですかね?」
「ああ、俺は一度あいつと戦ったことあるが、君ほど力は強くなかったよ。もしかしたら、君なら優勝できるかもしれないね。」
そう言うと、彼は笑顔で俺の頭を撫でた。……何故にみんな頭を撫でるんだろう?
「え~、ただいまの試合、シエル選手が相手選手の武器を吹き飛ばしての戦闘不能により、勝敗が決まりました!まだまだ余裕のあるシエル選手!初出場でどこまで勝ち進めるのか!とても楽しみな選手か現れましたね~!彼の試合はまた2日後になりますので、皆さん楽しみにしていてください!……それでは両選手の退場です!」
勝敗のアナウンスが流れると、客席の人達が立ち上がって出口へと向かうのが見えた。
それから観客か次々と退出していく中、俺たちも舞台から退出した。
出口まで来ると、そこにはみんなが揃って立っていた。
どうやら試合が始まる前にリッキーが目覚めたらしく、スタッフにここまで案内してもらって、皆で出口から試合を見ていたそうだ。
俺の対戦相手が俺の仲間の中にリッキーを見つけたらしく、心配そうな顔で「大丈夫か?」と声をかけている。
「災難だったな。あいつ、この頃、妙~にイライラしているようで、この国に来る人族を見ると突っかかっていくんだよ。でもさすがに手を出すのは犯罪だから、今のところ暴力沙汰にはなってなかったんだけどな。まさか大会だからといって、ここまでの事をするとは思わなかったよ。」
「それって、何か理由があるんですか?」
俺が気になって聞いてみると、対戦相手は少し考えてから答えてくれた。
「俺も本人から聞いたわけではなく人づての噂でしか聞いたことないんだが、どうも幼なじみの女性が人族に騙されて連れて行かれたと聞いたことがあるんだが……その噂が本当かどうかも、それが関係してるのかどうかも俺には分からないけどね。」
彼はそう言って肩を竦める。
なるほど、そんなことがあったんだね!
誰か詳しく知っている人、いないかな?
「それってクーガーのお兄さんのパニアさんなら知ってますかね?」
「なんだ、パニアを知っているのか。あいつなら2人の事を知っているし、もしかしたら行方も知っているかもしれないな。何せ、この街から彼女や仲間と一緒に人族の商隊と出ていったらしいから。」
えっ!?
そんな事、パニアさん一言も言ってなかったよ!?
あ……そっか、あの時はお兄さんが原因じゃないかって言っていたから、本人も考えが及ばなかったのかも。
俺たちは対戦相手の獣人さんにお礼を言い、闘技場を後にする。
「まだ夕飯まで時間あるが、この後どうする?」
外に出ると、スコットさんが皆に聞いてきた。
「俺はまだ時間あるなら、パニアさんと連絡取れないかリオンさんの従兄弟の所に聞きに行ってみたいな。」
そうリッキーが言う。……体調、大丈夫?
なるほど、確かにあの時パニアさんの冒険者仲間を呼びに行ったくらい仲が良さそうだし、もしかしたらパニアさんの居場所を知っているかもしれない。
直接俺たちがパニアさんのところに行くのは、万が一にもクーガーと同じ家だった場合、鉢合わせたらとても気まずいのでできれば避けたいところだよね。
とりあえずまだ時間もあるということで、リオンさんの従兄弟の家に向かった。
目的地に着くと、玄関先でリオンさんがパニアさんと話していた。
俺たちが来たことを気配で感じ取ったのか、かなり遠いところにいた時から2人はこちらを見ていたようだ。
「……おう、今日は弟がすまなかったな……。」
パニアさんは昨日の別れ際とは打って変わったように、とても沈んだ顔でリッキーに謝った。
「知っていたんですね。」
「ああ……。俺もその場で見ていたからな。俺もすぐ近くにいたらあいつを殴りつけていただろう。それぐらいの事をあいつはしたんだと思うと、俺もショックでな。あいつの顔を見るのが嫌なのと、あんたに謝りたくてお前達に会えたら良いなと街を歩いていたら、代わりにリオンに会ってな。考えてみれば最初からコイツに泊っている場所を聞けば良かったって思っている時に、お前達が来たんだ。」
なるほど俺達はお互いに会いたくて、共通の知り合いのリオンさんのところに来たわけだ。
やっぱりリオンさんは良い人だからみんな集まってくるんだね!
優しいし、頼りになる誠実な人だってこと、まだ付き合いが浅い俺でもんか?クライだもんな!
それから俺たちは立ち話もなんだからと、リオンさんを先頭に家の中に入る。
……もしかして、従兄弟と同居なんかな?
家の中に入ると従兄弟さんがいたので「お邪魔します」と言って、挨拶をした。
「先にリビングに行っていてください。何か飲み物を持っていきますから。リオン、よろしくな!」
「おうよ!先に行っているな。」
2人はそう言葉を交わすと、リオンさんは俺達とリビングへ、従兄弟さんは飲み物の用意をしにキッチンのある部屋へと向かった。
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