異世界漫遊記 〜異世界に来たので仲間と楽しく、美味しく世界を旅します〜

カイ

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第4章 ネシア国〜

クーガーのお兄さんはどこ!?

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俺は、急に胸騒ぎがして思わず立ち上がる。

「どうしたんや、急に立って?」

「あ……もしだったらグリーさんとセバスも来てもらえませんか?」

「なんや?どないしたん?」

「ちょっと気になる事があって……」

俺はそう言うとグリーさんとセバスの手を引っ張って、神聖法国の奴隷が住まわされていた建物の前に転移した。

「……なんでこの建物の前に?」

グリーさんは首をひねって考えているが、俺は神聖法国に来る時はここをイメージして転移するからしょうがない。

「実は先ほどのクーガーのお兄さんの話を聞いていたら、なんか嫌な胸騒ぎがして……。もしかしてここに皆がいないから、あの中に行ってしまったんじゃないかって。」

俺はそう言うと後ろを振り向き、海の中に切り立った場所にある『神聖法国』を見た。

そこへ行くには細く切り立った坂道を登って行くしかなく、空を飛ぶ能力がないならば、あの道以外に通り道はない。

だからこそ、神聖法国の守りは鉄壁なのだ。
さらに『女神』がいたから尚更守りは厳重だった。

だがしかし、ついこの前俺がその『女神』と戦った時に『創造神』らしき者がその『女神』を消滅させてしまったので、あの国の守りは脆弱なものになってしまった。

だから避難民がこの国の別な場所に移動されてしまったと勘違いして、その守りの隙をついて単身突撃していないとも限らない。

俺はその事をグリーさんとセバスに告げると、探査魔法を神聖法国の方角に向けて使ってみる。もちろん全開でだ。

すると何らかの人らしき反応が、門を入ってすぐのところにかなりの人数あった。

動きの感じだと、どうも戦っているような感じがする。
1人と多数、って感じみたい。

俺は2人にそう伝えると、グリーさんが動いた。

「じゃあ私が偵察行ったるわ!」

グリーさんはそう言うと一瞬で姿が消え、門の近くに現れた。……あれは、いつ見ても仕組みわからないなぁ。



それからすぐにまたこっちに戻ってくると、「なんや獣人と兵隊が戦っとるわ。獣人はごっつう強いんやけど、それでも流石に相手の数がなぁ~。」

えっ、もしかして……?

「……急ぎましょう。私たち3人ならすぐですよ。」

そうセバスも行ってきたので、俺は頷いて2人の手を取り、転移魔法で戦闘の場所に直接現れた。

するとあまりの眩しさに周りが怯んでいる間に次々と兵士の意識を刈り取っていく。

殺すことまでしなくても、戦闘不能にしてしまえば良いからね。

俺達3人が次々と兵士を戦闘不能にしていると、離れて戦っていた獣人が俺たちの存在に気づいたようだ。

でもとりあえずは兵士を倒してからだと判断したらしく、こちらに寄ってくる気配はない。


かなりの数の兵士がいたはずだが、俺達3人が加わったことであっという間に全ての兵士を戦闘不能にすることが出来た。

するとそれまで何のリアクションもしてこなかった獣人が警戒しながらこちらに近づいてくる。

警戒してはいるが、先ほどまで一緒に兵士を倒していたのもあってか、人族だからといって完全否定はしていないようだ。

「……お前達、一体何者だ?」

その獣人はある程度の距離まで来るとそう聞いてきた。

「私たちはクレイン国のBランク冒険者『スノーホワイト』のメンバーの者です。あ、この人は違いますが。」

「はいな~。私はちゃいまっせ~。私は……」

セバスの言葉に続いてグリーさんが話す。

途中でグリーさんは言葉を切ると、倒れている人の少ないところで竜に戻った。

「……竜でっせ!どや、驚いたやろ?」

「……。」

そう言ってニシシッ!て笑ったグリーさん。

確かに驚いたと思うよ、口開けて呆然としてるから。

この獣人さん、多分クーガーのお兄さんなんじゃないだろうか?

獣人の種類は分からないが、少なくても同じ動物の顔をしている……気がする。

「ところであなたはどなたなんですか?私たちのことを聞いておいて話さない、なんてことありませんよね?」

セバスのその声を聞いてハッ!と戻ってきた獣人さん。

人の顔じゃないからよく分かりづらいけど、多分気まずい顔をしている気がする。

「疑ってすまなかった。てっきりその坊主の髪色でこの国の奴かと勘違いしたんだ。そうだよな、意識刈り取ってる時点で仲間じゃないよな。俺も気が立っていたから、すまなかった……。」

そう言うと、顔を歪めて深刻そうに俯いた。

俺たちはそれを見て互いに目を交わす。
代表して俺が声をかけることになった。

「あなたの名前は知らないですけど……もしかして弟さんのお名前はクーガーって言いませんか?」

「……っ!?」

その瞬間、彼はガバッ!と顔を上げて俺を見る。
驚いたその目は「なんでそれを知っているんだ?」と聞いているようだ。

改めてここにいた元避難民の、現在の詳しい情報を話すと、彼は始めは疑っていたものの、最後の方ではとても嬉しそうだった。

「そうか……やつらは先に国に帰っていたのか。そりゃあ、この辺を探していてもいるわけ無いよな。……ありがとうな、あいつらを解放してくれて。」

そう言って頭を下げる、クーガーのお兄さん。

「あっ、俺ずっと名乗ってなかったな。俺の名前はパニアだ。よろしくな!」

笑顔で手を差し出してきたので、俺もニコニコしながら握手した。

「シエル様、いつまでもここにいると彼らが目を覚ましてしまうかもしれません。早く転移しないと。」

「あっ、そうだね!じゃあみんな俺に掴まって!」

俺はパニアと手を繋ぎながら2人に声をかける。

2人はすかさず俺に掴まった。

その瞬間、俺はネシアの門の外に転移した。


そうそう、転移する瞬間に、俺と手を繋いでいたパニアさんが驚いて手を離しそうになったので、俺の方でギュッと握ったんだよね。……痛くなかったかな?
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