異世界漫遊記 〜異世界に来たので仲間と楽しく、美味しく世界を旅します〜

カイ

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第4章 ネシア国〜

例のアレ、美味しい〜?

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「もしだったら俺の手持ちの食事を食べてみます?」

俺が獣人の皆にそう声をかけると、リオンさんは嬉しそうに「食べたい!」と答えた。

他の人達もローランの街での食事が美味しかったのもあって、食べたいと言っている。

それならば……と、俺は例のアレを鍋ごと取り出し、炊き立てのご飯も炊飯器ごと取り出した。……あ、足りなくなるかも?

俺がカレーを取り出したのが匂いで分かったのか、転生組はすごく喜んだ。
なにせ『日本のカレー』だからね!
ご飯もカレーも俺の鞄の中なら冷めないので、まだすごく熱々だ。

とりあえず他の器に移してあるご飯も取り出し、テーブルに置く。

お釜の中のご飯もカレー皿に盛り付けて空にすると、この家の持ち主であるリオンさんの従兄弟に声をかけた。

「すみません、もしかしたらご飯足りなくなるかもなんで炊きたいんですが、洗い物したいので水を流して捨てられるところを貸してもらえます?」

「ええ、良いですよ!こちらです!」

「俺も行くぞ!」

そう言って俺とリオンさんを連れて移動した先には立派なキッチンが!

おぉ~、一人暮らし(とは限らないが)なのに結構立派なキッチンがあった。

大きな流しに3個口のコンロ、広い作業台がある。

「ここは好きに使って良いですよ。何か手伝いましょうか?」

「ありがとうございます、でもご飯炊くのにやることは少ないので大丈夫ですよ。……ところで、なんでリオンさんついてきたんです?」

「……ん?興味があるから?」

「……まぁ、良いですけど、そんなに時間もかからないですよ?」

「まぁ、俺のことは気にするな!」

「……。」

まぁ、リオンさんのことはほっとこう!

まずはさっきご飯をよそって空にしたお釜を流しを借りて綺麗に洗った。

それから鞄から米を取り出し、4合ちょっとほどを入れて2回ほど水を変えて研いで、炊く用に水を量って入れた。

「さて、じゃあ戻りましょうか。」

「えっ?コンロで炊かないのか?」

「ああ、ご飯を自動で炊いてくれる魔道具があるんですよ。」

「なんだ、それ!?自動ってことは目を離していても失敗すること無いってことか!?」

「まぁ……そうとも言いますね。」

俺の返答に唖然とするリオンさん達。

ともかくカレーが冷えると悪いから、すぐにリビングへ戻った。


リビングへ戻ると炊飯器にお釜をセットし、ボタンを押して炊飯スタート!
これでおかわりのご飯が炊けるね!

それを見て、驚くリオンさん達。

「それがさっき言っていた魔道具か?本当にそれで炊けるのか!?」

「ええ、あとは炊きあがると音が鳴りますので、そしたらおかわり食べられますよ?」

「それはどんな風になるのか楽しみだな!」

とりあえずカレー皿に盛ったご飯からカレーをかけ、スプーンを添えて皆に配る。

皆、カレーの匂いに我慢出来ないらしく、早く食べたい!と目で訴えてくる。

「さて、食べましょう!いただきます!」

「「「「「いただきます!」」」」」」

俺の「いただきます」に反応して言ったのはもちろんスノーホワイトのメンバー+ユーリ。

日本人チームはまぁ、言うよね。

それを見て首を傾げたのがりオンさん達、獣人チーム。

ドラゴンチームはそれすら気にかけずに、一心不乱で食べている。……早炊きにすれば良かったかな?

「うんまいなぁ、これ!めっちゃ美味い!」

「そうね!この匂いがまた食欲そそるのよね!」

「辛いけど、このくらいなら美味しく食べられるかな。もっと辛くないのも食べたいな!」

「そうか?もっと辛くても良い気がするが。」

うん、ドラゴンチームもカレーは口に合ったようだね!

あ、獣人チームもスパイス使う料理が多いから美味しく食べられているみたい。

「これは美味いな!辛さだけじゃなく甘みもあって、俺は気に入ったよ!これはクレイン国ならどこでも食べられるのか?」

「いや、リオン、俺たちは神聖法国から救出されたあとに体調を整えるためにクレイン国のローランっていう街に滞在したんだが、こんな料理は出てこなかった。」

「そうなのか?じゃあ……これはどこの料理だ?」

リオンさんと従兄弟の会話から、カレーがどこの料理なのか気になったらしい。

「これは俺の故郷……とても遠い国の料理で、カレーって言うんですよ。」

そう、嘘は言ってない。
遠い国なのは間違いないよね、異世界だもん。

俺がそう言うと、スノーホワイトのメンバーは苦笑いだ。

自分たちはこれが「異世界のメニュー」だと知っているからね。

ドラゴンチームが早々に食べ終わってしまったので、俺は鞄からサラダや揚げ物なんかのおかずを取り出した。

まだご飯が炊けないからね。

4人+獣人チームは取り出された品を見て目を輝かせる。

ご飯が炊けるまでのつなぎのつもりが、みんなガッツリ食べてしまったのでドラゴンチーム以外はお腹がパンパンになってしまったよ。



それから暫くして元避難民達に話を聞きに行っていた人が帰ってきた時にはほとんどの品かなくなっていたが、それでは可哀想だったので俺の方で少しずつ取り分けておいたんだ。

もちろんカレーもまだ温かいうちに取り分けておいたから、炊きたてご飯にかければ美味しいよね!

俺は聞きに行ってくれた人に昼食を出しつつ、どうだったのかを聞いてみた。

「どうやらクーガーの兄は捕まる前に逃げられたようだ。そして、見つからないようにコソコソと捕まった仲間に会いに来ていたらしい。」

「俺たちがあなた達を神聖法国から救出した時には見かけなかったけど、その後クーガーのお兄さんはどうなったんですかね?」

「どうなったんだろうな……。いつもみたいにコソコソと会いに来たのに建物内は誰一人いないなんて、どう思っただろうか。」

そうだよね、会いに来てみたらもぬけの殻だったら、神聖法国の国の中に連れて行かれたって思ってしまっただろうか?


ふと嫌な予感がしたので、今すぐ彼の国に行ったほうが良いと、俺の本能が言っていた。
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