159 / 196
第4章 ネシア国〜
大会1日目 3
しおりを挟む
それから俺とリッキーは案内係の人に観客席に向かう通路まで送ってもらい、そこからは2人で観客席まで行く。
出入り口から見る観客席は超満員って感じで、すごい熱気があった。
とりあえず俺たちは入り口のところから見渡してみると、こちらに気づいたユーリが大きく手を振っているのが見えた。
それを見て俺とリッキーは顔を見合わせ、笑いながらそっちに向かう。
皆がいる所に着くと、どうやら俺達2人分も席を確保しておいてくれた様ですぐに座れた。
「リッキーは素手で戦ったんだな。」
「ああ、先にシエルにも話したが、うっかり相手の身体を傷つけすぎなくて済むから武器は使わなかったんだ。だが明日のクーガー戦は武器を使わないと駄目だと思う。係の人にも明日は本気出さないと危険だみたいなこと言われたからな。」
「なるほど、とりあえず次の試合がクーガーだっただろ?どんな戦い方するのかよく見ておかないとな。」
スコットさんがそういった時、ちょうどアナウンスも流れた。
「それではこれより第2戦目を始めたいと思います。今回の対戦は前大会の準優勝者であるクーガー選手が出場しますので、まずはクーガー選手の入場で~~~す!」
すると先ほどの第1戦目と違い、まずはクーガーが1人で中央まで歩いて行った。
その姿は堂々としていて、観客に向かってにこやかな顔で手を振っている。
クーガーが中央まで来てストップすると、改めてアナウンスがあった。
「それではお次は挑戦者となる3番の選手の入場~~~!」
すると同じ入場口からクーガーよりは背が低い狼のような顔をした獣人が登場した。
彼は少し緊張した顔をしながら歩いてくる。
やっばり初戦でクーガーと対戦するからね。
3番の狼獣人が中央に立つクーガーの横に並ぶと、アナウンスがあった。
「さて第2戦目の出場者が出揃いました!説明なんていらないほどこの街では有名人であるクーガー選手と挑戦者となるシーザー選手!この対戦は今回で5回目となりますが、いまだにクーガー選手に黒星が付いたことはありません!さて、今回はどちらに軍配が上がるのか!」
なるほど、もう何回もこの組み合わせで戦っているんだね!
そっか、3番の選手が緊張した顔してるのはまた負けるかもと思っているからなのかもね。
アナウンスの後に両選手は各自の武器を取り出して、適度な距離を取って構えた。
両者とも少し大きめの片手剣で、両手剣としても使用できる感じだ。
「さて、準備ができたようです!では……始め!」
アナウンスが終わると同時に3番の選手がクーガーに接近する。
そして肩慣らしも兼ねているのか、両者の剣をまるで舞うかのように打ち合っている。
そのうちクーガーの方が少し斬りかかるスピードを上げると、対戦相手は眉間にしわを寄せてなんとか食らいついている。
するとさすがにもうそのスピードは厳しいのか、3番の人は切りかかった後にクーガーの持っていた剣を弾き、ついでにクーガーの胴を蹴って距離を取った。
3番の選手がクーガーから距離を取ると、肩で息をしている。とても苦しそうだ。
それに対してクーガーはまだまだ余裕があるのか、しれっとした顔で対戦相手を見ている。
ある程度相手の呼吸が整ったとみるや、クーガーが今度は自分から切り込んでいった。
対戦相手の方は疲れが出てきたのか、意外と速いクーガーの切り込みに対処が少し遅れたようで、持っていた剣が振り払われてしまった。
辛うじて手に持っていることが出来たが、あの調子では次は無理だろうな。
俺と同じくそう感じ取ったクーガーは、相手選手に畳み掛けるような素早い剣技を繰り出した。
相手は徐々に追いついていかなくなり、ついには避けるための足の動きも止まってしまった。
何度かクーガーの剣を受けることはできたがそこまでが限界だったようで、クーガーの薙ぎ払いに対応できず、剣を遠くまで弾き飛ばされてしまった。
次の瞬間、クーガーは相手の首筋に剣を突きつける。
「流石クーガー選手!見事な剣技で相手選手を追い込み、今回も勝利を手に入れました!挑戦者の3番選手も健闘しましたが、やはり及ばなかったようです!両者の素晴らしい戦いに、会場の皆さんも拍手を送ってください!」
アナウンスがあると、会場から大きな歓声と拍手が鳴り響いた。
さすがにすごい戦いだったと思う。
もし体力がもっと相手選手にあれば、もしかしたらまた変わった結果になったのかもしれない。
暫く拍手が鳴り止まなかったが、両選手は握手を交わし、2人揃って退場していった。
そっか……この選手と、明日リッキーは戦うんだね。
勝って欲しいな!
出入り口から見る観客席は超満員って感じで、すごい熱気があった。
とりあえず俺たちは入り口のところから見渡してみると、こちらに気づいたユーリが大きく手を振っているのが見えた。
それを見て俺とリッキーは顔を見合わせ、笑いながらそっちに向かう。
皆がいる所に着くと、どうやら俺達2人分も席を確保しておいてくれた様ですぐに座れた。
「リッキーは素手で戦ったんだな。」
「ああ、先にシエルにも話したが、うっかり相手の身体を傷つけすぎなくて済むから武器は使わなかったんだ。だが明日のクーガー戦は武器を使わないと駄目だと思う。係の人にも明日は本気出さないと危険だみたいなこと言われたからな。」
「なるほど、とりあえず次の試合がクーガーだっただろ?どんな戦い方するのかよく見ておかないとな。」
スコットさんがそういった時、ちょうどアナウンスも流れた。
「それではこれより第2戦目を始めたいと思います。今回の対戦は前大会の準優勝者であるクーガー選手が出場しますので、まずはクーガー選手の入場で~~~す!」
すると先ほどの第1戦目と違い、まずはクーガーが1人で中央まで歩いて行った。
その姿は堂々としていて、観客に向かってにこやかな顔で手を振っている。
クーガーが中央まで来てストップすると、改めてアナウンスがあった。
「それではお次は挑戦者となる3番の選手の入場~~~!」
すると同じ入場口からクーガーよりは背が低い狼のような顔をした獣人が登場した。
彼は少し緊張した顔をしながら歩いてくる。
やっばり初戦でクーガーと対戦するからね。
3番の狼獣人が中央に立つクーガーの横に並ぶと、アナウンスがあった。
「さて第2戦目の出場者が出揃いました!説明なんていらないほどこの街では有名人であるクーガー選手と挑戦者となるシーザー選手!この対戦は今回で5回目となりますが、いまだにクーガー選手に黒星が付いたことはありません!さて、今回はどちらに軍配が上がるのか!」
なるほど、もう何回もこの組み合わせで戦っているんだね!
そっか、3番の選手が緊張した顔してるのはまた負けるかもと思っているからなのかもね。
アナウンスの後に両選手は各自の武器を取り出して、適度な距離を取って構えた。
両者とも少し大きめの片手剣で、両手剣としても使用できる感じだ。
「さて、準備ができたようです!では……始め!」
アナウンスが終わると同時に3番の選手がクーガーに接近する。
そして肩慣らしも兼ねているのか、両者の剣をまるで舞うかのように打ち合っている。
そのうちクーガーの方が少し斬りかかるスピードを上げると、対戦相手は眉間にしわを寄せてなんとか食らいついている。
するとさすがにもうそのスピードは厳しいのか、3番の人は切りかかった後にクーガーの持っていた剣を弾き、ついでにクーガーの胴を蹴って距離を取った。
3番の選手がクーガーから距離を取ると、肩で息をしている。とても苦しそうだ。
それに対してクーガーはまだまだ余裕があるのか、しれっとした顔で対戦相手を見ている。
ある程度相手の呼吸が整ったとみるや、クーガーが今度は自分から切り込んでいった。
対戦相手の方は疲れが出てきたのか、意外と速いクーガーの切り込みに対処が少し遅れたようで、持っていた剣が振り払われてしまった。
辛うじて手に持っていることが出来たが、あの調子では次は無理だろうな。
俺と同じくそう感じ取ったクーガーは、相手選手に畳み掛けるような素早い剣技を繰り出した。
相手は徐々に追いついていかなくなり、ついには避けるための足の動きも止まってしまった。
何度かクーガーの剣を受けることはできたがそこまでが限界だったようで、クーガーの薙ぎ払いに対応できず、剣を遠くまで弾き飛ばされてしまった。
次の瞬間、クーガーは相手の首筋に剣を突きつける。
「流石クーガー選手!見事な剣技で相手選手を追い込み、今回も勝利を手に入れました!挑戦者の3番選手も健闘しましたが、やはり及ばなかったようです!両者の素晴らしい戦いに、会場の皆さんも拍手を送ってください!」
アナウンスがあると、会場から大きな歓声と拍手が鳴り響いた。
さすがにすごい戦いだったと思う。
もし体力がもっと相手選手にあれば、もしかしたらまた変わった結果になったのかもしれない。
暫く拍手が鳴り止まなかったが、両選手は握手を交わし、2人揃って退場していった。
そっか……この選手と、明日リッキーは戦うんだね。
勝って欲しいな!
298
お気に入りに追加
1,362
あなたにおすすめの小説

異世界召喚?やっと社畜から抜け出せる!
アルテミス
ファンタジー
第13回ファンタジー大賞に応募しました。応援してもらえると嬉しいです。
->最終選考まで残ったようですが、奨励賞止まりだったようです。応援ありがとうございました!
ーーーー
ヤンキーが勇者として召喚された。
社畜歴十五年のベテラン社畜の俺は、世界に巻き込まれてしまう。
巻き込まれたので女神様の加護はないし、チートもらった訳でもない。幸い召喚の担当をした公爵様が俺の生活の面倒を見てくれるらしいけどね。
そんな俺が異世界で女神様と崇められている”下級神”より上位の"創造神"から加護を与えられる話。
ほのぼのライフを目指してます。
設定も決めずに書き始めたのでブレブレです。気楽〜に読んでください。
6/20-22HOT1位、ファンタジー1位頂きました。有難うございます。


元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
勇者パーティを追放された聖女ですが、やっと解放されてむしろ感謝します。なのにパーティの人たちが続々と私に助けを求めてくる件。
八木愛里
ファンタジー
聖女のロザリーは戦闘中でも回復魔法が使用できるが、勇者が見目麗しいソニアを新しい聖女として迎え入れた。ソニアからの入れ知恵で、勇者パーティから『役立たず』と侮辱されて、ついに追放されてしまう。
パーティの人間関係に疲れたロザリーは、ソロ冒険者になることを決意。
攻撃魔法の魔道具を求めて魔道具屋に行ったら、店主から才能を認められる。
ロザリーの実力を知らず愚かにも追放した勇者一行は、これまで攻略できたはずの中級のダンジョンでさえ失敗を繰り返し、仲間割れし破滅へ向かっていく。
一方ロザリーは上級の魔物討伐に成功したり、大魔法使いさまと協力して王女を襲ってきた魔獣を倒したり、国の英雄と呼ばれる存在になっていく。
これは真の実力者であるロザリーが、ソロ冒険者としての地位を確立していきながら、残念ながら追いかけてきた魔法使いや女剣士を「虫が良すぎるわ!」と追っ払い、入り浸っている魔道具屋の店主が実は憧れの大魔法使いさまだが、どうしても本人が気づかない話。
※11話以降から勇者パーティの没落シーンがあります。
※40話に鬱展開あり。苦手な方は読み飛ばし推奨します。
※表紙はAIイラストを使用。

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした
高鉢 健太
ファンタジー
ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。
ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。
もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。
とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!

社畜から卒業したんだから異世界を自由に謳歌します
湯崎noa
ファンタジー
ブラック企業に入社して10年が経つ〈宮島〉は、当たり前の様な連続徹夜に心身ともに疲労していた。
そんな時に中高の同級生と再開し、その同級生への相談を行ったところ会社を辞める決意をした。
しかし!! その日の帰り道に全身の力が抜け、線路に倒れ込んでしまった。
そのまま呆気なく宮島の命は尽きてしまう。
この死亡は神様の手違いによるものだった!?
神様からの全力の謝罪を受けて、特殊スキル〈コピー〉を授かり第二の人生を送る事になる。
せっかくブラック企業を卒業して、異世界転生するのだから全力で謳歌してやろうじゃないか!!
※カクヨム、小説家になろう、ノベルバでも連載中
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~
深楽朱夜
ファンタジー
13人の神がいる異世界《アタラクシア》にこの世界を治癒する為の魔術、異界人召喚によって呼ばれた主人公
じゃ、この世界を治せばいいの?そうじゃない、この魔法そのものが治療なので後は好きに生きていって下さい
…この世界でも生きていける術は用意している
責任はとります、《アタラクシア》に来てくれてありがとう
という訳で異世界暮らし始めちゃいます?
※誤字 脱字 矛盾 作者承知の上です 寛容な心で読んで頂けると幸いです
※表紙イラストはAIイラスト自動作成で作っています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる