異世界漫遊記 〜異世界に来たので仲間と楽しく、美味しく世界を旅します〜

カイ

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第4章 ネシア国〜

大会1日目 3

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それから俺とリッキーは案内係の人に観客席に向かう通路まで送ってもらい、そこからは2人で観客席まで行く。

出入り口から見る観客席は超満員って感じで、すごい熱気があった。

とりあえず俺たちは入り口のところから見渡してみると、こちらに気づいたユーリが大きく手を振っているのが見えた。

それを見て俺とリッキーは顔を見合わせ、笑いながらそっちに向かう。

皆がいる所に着くと、どうやら俺達2人分も席を確保しておいてくれた様ですぐに座れた。

「リッキーは素手で戦ったんだな。」

「ああ、先にシエルにも話したが、うっかり相手の身体を傷つけすぎなくて済むから武器は使わなかったんだ。だが明日のクーガー戦は武器を使わないと駄目だと思う。係の人にも明日は本気出さないと危険だみたいなこと言われたからな。」

「なるほど、とりあえず次の試合がクーガーだっただろ?どんな戦い方するのかよく見ておかないとな。」

スコットさんがそういった時、ちょうどアナウンスも流れた。

「それではこれより第2戦目を始めたいと思います。今回の対戦は前大会の準優勝者であるクーガー選手が出場しますので、まずはクーガー選手の入場で~~~す!」

すると先ほどの第1戦目と違い、まずはクーガーが1人で中央まで歩いて行った。

その姿は堂々としていて、観客に向かってにこやかな顔で手を振っている。

クーガーが中央まで来てストップすると、改めてアナウンスがあった。

「それではお次は挑戦者となる3番の選手の入場~~~!」


すると同じ入場口からクーガーよりは背が低い狼のような顔をした獣人が登場した。

彼は少し緊張した顔をしながら歩いてくる。

やっばり初戦でクーガーと対戦するからね。

3番の狼獣人が中央に立つクーガーの横に並ぶと、アナウンスがあった。

「さて第2戦目の出場者が出揃いました!説明なんていらないほどこの街では有名人であるクーガー選手と挑戦者となるシーザー選手!この対戦は今回で5回目となりますが、いまだにクーガー選手に黒星が付いたことはありません!さて、今回はどちらに軍配が上がるのか!」

なるほど、もう何回もこの組み合わせで戦っているんだね!

そっか、3番の選手が緊張した顔してるのはまた負けるかもと思っているからなのかもね。

アナウンスの後に両選手は各自の武器を取り出して、適度な距離を取って構えた。

両者とも少し大きめの片手剣で、両手剣としても使用できる感じだ。

「さて、準備ができたようです!では……始め!」

アナウンスが終わると同時に3番の選手がクーガーに接近する。

そして肩慣らしも兼ねているのか、両者の剣をまるで舞うかのように打ち合っている。

そのうちクーガーの方が少し斬りかかるスピードを上げると、対戦相手は眉間にしわを寄せてなんとか食らいついている。

するとさすがにもうそのスピードは厳しいのか、3番の人は切りかかった後にクーガーの持っていた剣を弾き、ついでにクーガーの胴を蹴って距離を取った。

3番の選手がクーガーから距離を取ると、肩で息をしている。とても苦しそうだ。

それに対してクーガーはまだまだ余裕があるのか、しれっとした顔で対戦相手を見ている。

ある程度相手の呼吸が整ったとみるや、クーガーが今度は自分から切り込んでいった。

対戦相手の方は疲れが出てきたのか、意外と速いクーガーの切り込みに対処が少し遅れたようで、持っていた剣が振り払われてしまった。

辛うじて手に持っていることが出来たが、あの調子では次は無理だろうな。

俺と同じくそう感じ取ったクーガーは、相手選手に畳み掛けるような素早い剣技を繰り出した。

相手は徐々に追いついていかなくなり、ついには避けるための足の動きも止まってしまった。

何度かクーガーの剣を受けることはできたがそこまでが限界だったようで、クーガーの薙ぎ払いに対応できず、剣を遠くまで弾き飛ばされてしまった。

次の瞬間、クーガーは相手の首筋に剣を突きつける。

「流石クーガー選手!見事な剣技で相手選手を追い込み、今回も勝利を手に入れました!挑戦者の3番選手も健闘しましたが、やはり及ばなかったようです!両者の素晴らしい戦いに、会場の皆さんも拍手を送ってください!」

アナウンスがあると、会場から大きな歓声と拍手が鳴り響いた。

さすがにすごい戦いだったと思う。

もし体力がもっと相手選手にあれば、もしかしたらまた変わった結果になったのかもしれない。

暫く拍手が鳴り止まなかったが、両選手は握手を交わし、2人揃って退場していった。

そっか……この選手と、明日リッキーは戦うんだね。

勝って欲しいな!
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