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第4章 ネシア国〜
大会1日目 1
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昨晩の夕食は食堂ではなく、なんと部屋まで頼んだ品を運んできてくれたんだよ!
これもこの宿泊の特典なんだって。
このフロアを使うのは大抵高ランク冒険者や護衛を大量に引き連れた大商人、あとは召使いをたくさん引き連れた貴族が多いらしく、その場合下の食堂にゾロゾロと引き連れてくると他の客が畏縮しちゃってあまり食べた気がしなくなるって苦情が出たんだってさ。
だからそれ以降はそうやって『特別扱い』をすることによって、お互いに心地良く宿を過ごせるようになったんだそうな。なるほどねぇ~。
そうなるともちろん朝食も部屋食なわけで、朝になったら宿の人が注文を聞きに来た。
部屋にあるメニューからみんな好きなのを選び、あとは届くのを待つだけだ。
「それにしてもいつもの宿の扱いで慣れているから、まだこの『注文を取りに来る』っていう扱いには慣れないな。」
スコットさんがそんな事を言う。
まぁね、俺も日本の記憶が残っているから『部屋まで食事を運んてきてくれる』のは違和感ないけど、兄さんたちはこっちで過ごした記憶もあるから違和感があるんだろうな。
「そう?私はそんなに違和感ないわよ?」
「……そりゃあお前の所は大商人だからな。こういうところにも泊ったことあるんだろ?」
スコットさんがリリーさんにそう言って肩を竦める。
「私、あまりお父さんの仕入れとかにはついて行ったこと無いわよ?」
「あっ、そうだったな。いつも俺達4人で小さい時から遊んでいたからな。」
……俺、思うんだけど、姉さんって根っからの『お嬢様気質』だから違和感ないだけなんじゃないかなぁ。
チラッとリッキーを見ると頷かれた。……やっぱり?
それから皆が注文した朝食をとると、全員で闘技場まで向かう。
結構朝早く出たはずなんだけど、もう闘技場前にはかなりの人集りがあった。
そしてチケット売り場の受付には少しずつ列ができ始めていたので、俺たちも慌ててチケットを買いに並んだ。
列に並んでいると、出場する俺達も並んでいるのに気づいたのか選手の案内係らしき人が近づいてきた。
「今日はAグループの皆さんは試合なので、一旦お2人もこちらへどうぞ。あと、お2人分のチケットはいりませんので、購入なさらないようにご注意くださいね。お2人は試合が始まる10分前までには控室へ来てもらいますが、それまでは観客席でお連れの方たちと観戦していただいて構いません。」
なるほど、今日の試合に出る俺たちはチケットいらないんだね!
それから俺とリッキーは係の人の案内で列から離れた。
グリーさん達にはユーリだけじゃなく女性陣も守ってくれるよう頼んでおいた。
案内係の女性に連れられて、闘技場内を進む。
すれ違う人は今のところこの闘技場の職員ばかりのようだ。
ちょっと聞いてみると、どうやら他の出場選手は大抵自分の出場目安時間の20分前くらいに来るらしく、まだあまり来ていないそうだ。
しばらく歩くと昨日とは違う部屋へと通された。
そこには俺たちを含めて5人しかいない。
なるほど、確かに早めの出番の出場選手しかいないからまだクーガーは来ていないようだ。
昨日のリッキーの話を聞いていたからか、いないことにホッとしている自分がいる。
「では今いる皆さんの中で初出場の方はお2人だけですのでご説明いたします。まず先ほどお伝えしたように、試合の10分前ほどにはこちらへ来ていていただきます。ちなみにトレイはこちらになりますので、この部屋へ来てからは外へ出ないようにしてください。」
案内係の人はそう言うと1つのドアを指差した。
「試合の開始時間になりますとまた私がこちらへ来ますので、試合会場へと選手をご案内いたします。それまではこの中でお過ごしください。……それでは一通りの流れの説明をいたしましたのでお仲間のところに戻られても構いませんが、2番の選手はどうされますか?あと試合開始まで半刻ほどなのですが。」
そう言ってリッキーに聞いてきた。
なるほど、もうそんな時間なんだね!
「じゃあ俺はここで待っているかな。シエルはとうする?」
「リッキーがここにいるなら、俺も待ってるよ!あ、そうだ!試合が終わったら選手はここに戻ってきますか?」
大事なことなので、先に聞いておかなければ!
「ああ、それは伝えていませんでしたね!選手はこちらへはもう戻られませんので、ここにいても試合まで待たなければならないだけです。もしよろしければ試合が終わったら出てくる所へ一緒にご案内いたしましょうか?」
「ホントですか!?ありがとうございます!是非お願いします!」
おぉ~、思いがけず案内をしてもらえることになったよ。
良かった、リッキーが試合でいなくなったら1人でどこにいるかわからない皆の所へ戻らなきゃならないのかと思ったよ。
案内係の人が退室し、俺とリッキーはしばらく部屋の壁際にある椅子に座って周りを観察しながら話をすることにした。
もう第1戦でリッキーが当たる人は俺たちが来る前からこの部屋にいたんだが、その他にも第2戦でクーガーと当たる人と第3戦の対戦の2人もいるようだ。
意外とみんな早めに来るんだね!
それに意外とみんな仲が良いようで、楽しそうに談笑している。
昨日のトーナメントを決めていく時とは違い、俺たちに注目してはいないようだ。
そんな感じで時間を過ごしていると、しばらくしてクーガーが部屋に入ってきた。
これもこの宿泊の特典なんだって。
このフロアを使うのは大抵高ランク冒険者や護衛を大量に引き連れた大商人、あとは召使いをたくさん引き連れた貴族が多いらしく、その場合下の食堂にゾロゾロと引き連れてくると他の客が畏縮しちゃってあまり食べた気がしなくなるって苦情が出たんだってさ。
だからそれ以降はそうやって『特別扱い』をすることによって、お互いに心地良く宿を過ごせるようになったんだそうな。なるほどねぇ~。
そうなるともちろん朝食も部屋食なわけで、朝になったら宿の人が注文を聞きに来た。
部屋にあるメニューからみんな好きなのを選び、あとは届くのを待つだけだ。
「それにしてもいつもの宿の扱いで慣れているから、まだこの『注文を取りに来る』っていう扱いには慣れないな。」
スコットさんがそんな事を言う。
まぁね、俺も日本の記憶が残っているから『部屋まで食事を運んてきてくれる』のは違和感ないけど、兄さんたちはこっちで過ごした記憶もあるから違和感があるんだろうな。
「そう?私はそんなに違和感ないわよ?」
「……そりゃあお前の所は大商人だからな。こういうところにも泊ったことあるんだろ?」
スコットさんがリリーさんにそう言って肩を竦める。
「私、あまりお父さんの仕入れとかにはついて行ったこと無いわよ?」
「あっ、そうだったな。いつも俺達4人で小さい時から遊んでいたからな。」
……俺、思うんだけど、姉さんって根っからの『お嬢様気質』だから違和感ないだけなんじゃないかなぁ。
チラッとリッキーを見ると頷かれた。……やっぱり?
それから皆が注文した朝食をとると、全員で闘技場まで向かう。
結構朝早く出たはずなんだけど、もう闘技場前にはかなりの人集りがあった。
そしてチケット売り場の受付には少しずつ列ができ始めていたので、俺たちも慌ててチケットを買いに並んだ。
列に並んでいると、出場する俺達も並んでいるのに気づいたのか選手の案内係らしき人が近づいてきた。
「今日はAグループの皆さんは試合なので、一旦お2人もこちらへどうぞ。あと、お2人分のチケットはいりませんので、購入なさらないようにご注意くださいね。お2人は試合が始まる10分前までには控室へ来てもらいますが、それまでは観客席でお連れの方たちと観戦していただいて構いません。」
なるほど、今日の試合に出る俺たちはチケットいらないんだね!
それから俺とリッキーは係の人の案内で列から離れた。
グリーさん達にはユーリだけじゃなく女性陣も守ってくれるよう頼んでおいた。
案内係の女性に連れられて、闘技場内を進む。
すれ違う人は今のところこの闘技場の職員ばかりのようだ。
ちょっと聞いてみると、どうやら他の出場選手は大抵自分の出場目安時間の20分前くらいに来るらしく、まだあまり来ていないそうだ。
しばらく歩くと昨日とは違う部屋へと通された。
そこには俺たちを含めて5人しかいない。
なるほど、確かに早めの出番の出場選手しかいないからまだクーガーは来ていないようだ。
昨日のリッキーの話を聞いていたからか、いないことにホッとしている自分がいる。
「では今いる皆さんの中で初出場の方はお2人だけですのでご説明いたします。まず先ほどお伝えしたように、試合の10分前ほどにはこちらへ来ていていただきます。ちなみにトレイはこちらになりますので、この部屋へ来てからは外へ出ないようにしてください。」
案内係の人はそう言うと1つのドアを指差した。
「試合の開始時間になりますとまた私がこちらへ来ますので、試合会場へと選手をご案内いたします。それまではこの中でお過ごしください。……それでは一通りの流れの説明をいたしましたのでお仲間のところに戻られても構いませんが、2番の選手はどうされますか?あと試合開始まで半刻ほどなのですが。」
そう言ってリッキーに聞いてきた。
なるほど、もうそんな時間なんだね!
「じゃあ俺はここで待っているかな。シエルはとうする?」
「リッキーがここにいるなら、俺も待ってるよ!あ、そうだ!試合が終わったら選手はここに戻ってきますか?」
大事なことなので、先に聞いておかなければ!
「ああ、それは伝えていませんでしたね!選手はこちらへはもう戻られませんので、ここにいても試合まで待たなければならないだけです。もしよろしければ試合が終わったら出てくる所へ一緒にご案内いたしましょうか?」
「ホントですか!?ありがとうございます!是非お願いします!」
おぉ~、思いがけず案内をしてもらえることになったよ。
良かった、リッキーが試合でいなくなったら1人でどこにいるかわからない皆の所へ戻らなきゃならないのかと思ったよ。
案内係の人が退室し、俺とリッキーはしばらく部屋の壁際にある椅子に座って周りを観察しながら話をすることにした。
もう第1戦でリッキーが当たる人は俺たちが来る前からこの部屋にいたんだが、その他にも第2戦でクーガーと当たる人と第3戦の対戦の2人もいるようだ。
意外とみんな早めに来るんだね!
それに意外とみんな仲が良いようで、楽しそうに談笑している。
昨日のトーナメントを決めていく時とは違い、俺たちに注目してはいないようだ。
そんな感じで時間を過ごしていると、しばらくしてクーガーが部屋に入ってきた。
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