異世界漫遊記 〜異世界に来たので仲間と楽しく、美味しく世界を旅します〜

カイ

文字の大きさ
上 下
157 / 196
第4章 ネシア国〜

大会1日目 1

しおりを挟む
昨晩の夕食は食堂ではなく、なんと部屋まで頼んだ品を運んできてくれたんだよ!

これもこの宿泊の特典なんだって。

このフロアを使うのは大抵高ランク冒険者や護衛を大量に引き連れた大商人、あとは召使いをたくさん引き連れた貴族が多いらしく、その場合下の食堂にゾロゾロと引き連れてくると他の客が畏縮しちゃってあまり食べた気がしなくなるって苦情が出たんだってさ。

だからそれ以降はそうやって『特別扱い』をすることによって、お互いに心地良く宿を過ごせるようになったんだそうな。なるほどねぇ~。

そうなるともちろん朝食も部屋食なわけで、朝になったら宿の人が注文を聞きに来た。

部屋にあるメニューからみんな好きなのを選び、あとは届くのを待つだけだ。

「それにしてもいつもの宿の扱いで慣れているから、まだこの『注文を取りに来る』っていう扱いには慣れないな。」

スコットさんがそんな事を言う。

まぁね、俺も日本の記憶が残っているから『部屋まで食事を運んてきてくれる』のは違和感ないけど、兄さんたちはこっちで過ごした記憶もあるから違和感があるんだろうな。

「そう?私はそんなに違和感ないわよ?」

「……そりゃあお前の所は大商人だからな。こういうところにも泊ったことあるんだろ?」

スコットさんがリリーさんにそう言って肩を竦める。

「私、あまりお父さんの仕入れとかにはついて行ったこと無いわよ?」

「あっ、そうだったな。いつも俺達4人で小さい時から遊んでいたからな。」

……俺、思うんだけど、姉さんって根っからの『お嬢様気質』だから違和感ないだけなんじゃないかなぁ。

チラッとリッキーを見ると頷かれた。……やっぱり?



それから皆が注文した朝食をとると、全員で闘技場まで向かう。

結構朝早く出たはずなんだけど、もう闘技場前にはかなりの人集りがあった。

そしてチケット売り場の受付には少しずつ列ができ始めていたので、俺たちも慌ててチケットを買いに並んだ。

列に並んでいると、出場する俺達も並んでいるのに気づいたのか選手の案内係らしき人が近づいてきた。

「今日はAグループの皆さんは試合なので、一旦お2人もこちらへどうぞ。あと、お2人分のチケットはいりませんので、購入なさらないようにご注意くださいね。お2人は試合が始まる10分前までには控室へ来てもらいますが、それまでは観客席でお連れの方たちと観戦していただいて構いません。」

なるほど、今日の試合に出る俺たちはチケットいらないんだね!

それから俺とリッキーは係の人の案内で列から離れた。

グリーさん達にはユーリだけじゃなく女性陣も守ってくれるよう頼んでおいた。



案内係の女性に連れられて、闘技場内を進む。

すれ違う人は今のところこの闘技場の職員ばかりのようだ。

ちょっと聞いてみると、どうやら他の出場選手は大抵自分の出場目安時間の20分前くらいに来るらしく、まだあまり来ていないそうだ。


しばらく歩くと昨日とは違う部屋へと通された。

そこには俺たちを含めて5人しかいない。

なるほど、確かに早めの出番の出場選手しかいないからまだクーガーは来ていないようだ。

昨日のリッキーの話を聞いていたからか、いないことにホッとしている自分がいる。

「では今いる皆さんの中で初出場の方はお2人だけですのでご説明いたします。まず先ほどお伝えしたように、試合の10分前ほどにはこちらへ来ていていただきます。ちなみにトレイはこちらになりますので、この部屋へ来てからは外へ出ないようにしてください。」

案内係の人はそう言うと1つのドアを指差した。

「試合の開始時間になりますとまた私がこちらへ来ますので、試合会場へと選手をご案内いたします。それまではこの中でお過ごしください。……それでは一通りの流れの説明をいたしましたのでお仲間のところに戻られても構いませんが、2番の選手はどうされますか?あと試合開始まで半刻ほどなのですが。」

そう言ってリッキーに聞いてきた。

なるほど、もうそんな時間なんだね!

「じゃあ俺はここで待っているかな。シエルはとうする?」

「リッキーがここにいるなら、俺も待ってるよ!あ、そうだ!試合が終わったら選手はここに戻ってきますか?」

大事なことなので、先に聞いておかなければ!

「ああ、それは伝えていませんでしたね!選手はこちらへはもう戻られませんので、ここにいても試合まで待たなければならないだけです。もしよろしければ試合が終わったら出てくる所へ一緒にご案内いたしましょうか?」

「ホントですか!?ありがとうございます!是非お願いします!」

おぉ~、思いがけず案内をしてもらえることになったよ。

良かった、リッキーが試合でいなくなったら1人でどこにいるかわからない皆の所へ戻らなきゃならないのかと思ったよ。

案内係の人が退室し、俺とリッキーはしばらく部屋の壁際にある椅子に座って周りを観察しながら話をすることにした。

もう第1戦でリッキーが当たる人は俺たちが来る前からこの部屋にいたんだが、その他にも第2戦でクーガーと当たる人と第3戦の対戦の2人もいるようだ。

意外とみんな早めに来るんだね!

それに意外とみんな仲が良いようで、楽しそうに談笑している。

昨日のトーナメントを決めていく時とは違い、俺たちに注目してはいないようだ。


そんな感じで時間を過ごしていると、しばらくしてクーガーが部屋に入ってきた。
しおりを挟む
感想 22

あなたにおすすめの小説

異世界召喚?やっと社畜から抜け出せる!

アルテミス
ファンタジー
第13回ファンタジー大賞に応募しました。応援してもらえると嬉しいです。 ->最終選考まで残ったようですが、奨励賞止まりだったようです。応援ありがとうございました! ーーーー ヤンキーが勇者として召喚された。 社畜歴十五年のベテラン社畜の俺は、世界に巻き込まれてしまう。 巻き込まれたので女神様の加護はないし、チートもらった訳でもない。幸い召喚の担当をした公爵様が俺の生活の面倒を見てくれるらしいけどね。 そんな俺が異世界で女神様と崇められている”下級神”より上位の"創造神"から加護を与えられる話。 ほのぼのライフを目指してます。 設定も決めずに書き始めたのでブレブレです。気楽〜に読んでください。 6/20-22HOT1位、ファンタジー1位頂きました。有難うございます。

異世界超能力だより!~魔法は使えませんが超能力なら使えます~

Mikura
ファンタジー
 その日、明日見 遥(あすみ はるか)は見知らぬ森の中で目を覚ました。  だが超能力者である彼女にとってそれはあり得ないことではない。眠っている間に誤って瞬間移動を使ってしまい、起きたら知らない場所にいるということはままあるからである。だから冷静に、家に戻ろうとした。しかし何故か能力を使っても家に戻ることができない。千里眼を使って見れば見慣れぬ髪色の人間だらけ、見慣れぬ文字や動植物――驚くべきことに、そこは異世界であった。  元の世界に戻る道を探すべくまずはこの世界に馴染もうとした遥だったが、重大な問題が発生する。この世界では魔力の多さこそが正義。魔法が使えない者に人権などない。異世界人たる遥にも、勿論魔法は使えない。  しかし彼女には、超能力がある。使える力は魔法と大差ない。よし、ならば超能力を使って生きていくしかないと心に決めた。  ――まずはそこの、とても根が良さそうでお人好しで困っている人間を放っておけないタイプらしいお兄さん、申し訳ないが私が生きるために巻き込まれてください。  これは超能力少女が異世界でなんやかんやと超能力を駆使してお人よしのお兄さんを巻き込みつつ、のんびり(自称)と暮らす物語である。

知識スキルで異世界らいふ

チョッキリ
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

勇者パーティを追放された聖女ですが、やっと解放されてむしろ感謝します。なのにパーティの人たちが続々と私に助けを求めてくる件。

八木愛里
ファンタジー
聖女のロザリーは戦闘中でも回復魔法が使用できるが、勇者が見目麗しいソニアを新しい聖女として迎え入れた。ソニアからの入れ知恵で、勇者パーティから『役立たず』と侮辱されて、ついに追放されてしまう。 パーティの人間関係に疲れたロザリーは、ソロ冒険者になることを決意。 攻撃魔法の魔道具を求めて魔道具屋に行ったら、店主から才能を認められる。 ロザリーの実力を知らず愚かにも追放した勇者一行は、これまで攻略できたはずの中級のダンジョンでさえ失敗を繰り返し、仲間割れし破滅へ向かっていく。 一方ロザリーは上級の魔物討伐に成功したり、大魔法使いさまと協力して王女を襲ってきた魔獣を倒したり、国の英雄と呼ばれる存在になっていく。 これは真の実力者であるロザリーが、ソロ冒険者としての地位を確立していきながら、残念ながら追いかけてきた魔法使いや女剣士を「虫が良すぎるわ!」と追っ払い、入り浸っている魔道具屋の店主が実は憧れの大魔法使いさまだが、どうしても本人が気づかない話。 ※11話以降から勇者パーティの没落シーンがあります。 ※40話に鬱展開あり。苦手な方は読み飛ばし推奨します。 ※表紙はAIイラストを使用。

『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる

農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」 そんな言葉から始まった異世界召喚。 呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!? そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう! このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。 勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定 私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。 ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。 他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。 なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。

社畜から卒業したんだから異世界を自由に謳歌します

湯崎noa
ファンタジー
ブラック企業に入社して10年が経つ〈宮島〉は、当たり前の様な連続徹夜に心身ともに疲労していた。  そんな時に中高の同級生と再開し、その同級生への相談を行ったところ会社を辞める決意をした。  しかし!! その日の帰り道に全身の力が抜け、線路に倒れ込んでしまった。  そのまま呆気なく宮島の命は尽きてしまう。  この死亡は神様の手違いによるものだった!?  神様からの全力の謝罪を受けて、特殊スキル〈コピー〉を授かり第二の人生を送る事になる。  せっかくブラック企業を卒業して、異世界転生するのだから全力で謳歌してやろうじゃないか!! ※カクヨム、小説家になろう、ノベルバでも連載中

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした

高鉢 健太
ファンタジー
 ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。  ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。  もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。  とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!

処理中です...