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第3章 スノービーク〜
年越しのお祝い
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屋敷に戻ると、廊下から人の声や足音が聞こえている。
……なんだろう、なんかバタバタ慌ただしいけど……?
とりあえずドアを開けて廊下に顔を出してみると、メイドさんが屋敷の空いてる部屋に避難民たちを案内しているのが見えた。
なるほど、彼らのしばらく住むところは領主の館なんだね。
俺が部屋に引っ込もうとしたところで、リッキーの部屋のドアが開いた。
「おっ、帰ってきたのか。遅かったな?」
「ああ、ちょっと思わぬトラブルがあって、時間を取られたんだ。」
俺は苦笑いをしながらリッキーにそう言った。
するとリッキーはなにかを察したのか、苦笑いをする。
「……大変だったようだな?でも、これで解決したんだろ?」
「多分、な。ただ、これから神聖法国は大変だと思う。奴隷も、神も失ったんだからな。」
するとそれを聞いていたユーリが俺のところに来た。
「ママ、それはちょっと違うそうだよ?正確には神の交代になるんだって。あの神もどきから、今度こそちゃんとした神が派遣されるそうだから、これからのあの国は生まれ変わるんじゃないかなぁ~?」
そうなのか?
てっきり神がいなくなったから、彼の国は崩壊するのかと思ったけど。
でもちゃんとした神が来るなら、あの国もまた再生するんじゃないかな。
今度の国は周りと協調性のある、いい国になれば良い。
それからリッキーも加わって、俺の部屋で夕飯まで話をすることになった。
俺はあれからの出来事を話し、リッキーは俺が避難民を連れてきてからのことを話してくれた。
どうやら避難民はこの屋敷とヘイスさん達が暮らしていた屋敷に分散して過ごすらしい。
だからミストさん達はあっちの屋敷からこっちに引っ越してきている。
とにかくなんとか皆が寝泊まりできるようには手配できたようだ。
それで今夜は皆の歓迎会になるので、以前パーティーを開いたように立食形式にして避難民たちを招待するそうだ。
明日から10日ほど、この街で滞在してもらってからそれぞれの住んでいた街に帰る予定だそうだ。
後で住んでいた国とまちの聞き取り調査をして、その街にグリーさんから送ってもらう手はずだ。
暫くして夕食の準備ができたと声がかかる。
4人でいつもの食堂へ向かう途中、玄関でスコットさん達と合流した。
「今日は大変だっただろ?お疲れ様!」
「そうよ、今夜はゆっくりと休みなさいよ?」
そう言ってスコットさんとリリーさんが俺の頭を撫でてくる。
……もう、何も言わない……。
7人で食堂の中に入ると、そこにはあの避難民30人がワイワイガヤガヤと話したり、泣いたりしている姿があった。
よく見てみると、みんなが首にしていた奴隷の首輪が無くなっていた。そっか、外してもらえたんだね!
そうだよね、やっとひどい暮らしから解放されたんだから。そりゃあ泣くよ!
俺はとても嬉しい気持ちでいっぱいだった。
「……良かったな。」
ポツリと一言、リッキーが呟いた。
俺はコクンと頷く。
これだけでお互いに気持ちが通じるのは、なんか良いね。
俺達が会場に来てから暫くして、ウォールさんの挨拶があった。
「今日は記念すべき、君たちの解放の日となる。今日からしばらくの間は体を休めたりして体調を整えてくれ。……乾杯!」
周りではグラスを次々とカチン!と当てる音がする。
俺もリッキー達とグラスを当てた。
パーティーの間に避難民達から何度も声をかけられ、泣きながら「ありがとう!」と感謝されたりした。
俺も思わずもらい泣きしちゃったよ。
皆はとても空腹だったらしく、モリモリと夕飯のメニューを平らげていくので、無くなりそうなところから次の料理と交換して出していくからスタッフは大忙しだ。
頑張れ、メイドさん!
みんなのお腹が膨れてきた頃、ちょうど年越しの時刻に差し掛かったようだ。
ユーリはとっくにおねむで、セバスに抱っこされている。
いつもなら俺が抱っこするんだが、今夜はまだやることがある!
「さて、年越しの時刻となったようだ。みんなでベランダに出ようか。」
ウォールさんがフロアに響く声でそう言った。
それが合図となり、俺はベランダに向かう。
ベランダの隅でスタンバイすれば、OKだ!
皆がベランダに出たのを確認し、俺は魔法を使う。
「うわぁ~っ!!凄く綺麗!!」
そんな声が辺りから次々と上がる。
その間にも、夜空には大輪のカラフルな光の花火が打ち上がっている。
そう、今回の俺の役目は「花火のように光魔法を打ち上げる」事だよ!
以前からこれは出来ないのかと試行錯誤していたんた!
だって、みんなと遠くに離れてしまった時のために必要だと思ったんだよね。
リッキー達と魔法の花火を見ながら、季節は違うけど日本の風景を思い出す。
「……懐かしいなぁ。もう、見れないと思っていた。」
そう、スコットさんが呟く。
「そうね、こちらではもう見れなかったものね。」
スコットさんに寄り添いながら、エミリーさんが答える。
「日本では、今、同じく年越しだろうか。あいつら、年越しを楽しんでる頃だな。」
リッキーが当時のことを思い出しながらリリーさんに話しかける。
「そうね、今年の年越しは父さん、母さん、兄さん、義姉さん、悠馬、私の他にリッキーも参加していたものね。賑やかだったわよね。その時に初めて父さん達に紫惠琉のことを話したのよね。」
「ああ、ものすごく驚いていたし、行ってみたいって言ってたな。そして後日、こっちに送ったのも覚えてる。」
「そうよね、あれはいつのことだったかしら?もう、遠い過去で忘れちゃったわ。」
「まぁ、自然に任せようぜ?」
「それはそうね、あまりいじらないようにしないと、ね。」
それから2人は寄り添いながら黙って花火を見ていた。
……今、聞き捨てならないことを言われた気がする。
えっ、父さんたちも顔出しに来るの!?
……なんだろう、なんかバタバタ慌ただしいけど……?
とりあえずドアを開けて廊下に顔を出してみると、メイドさんが屋敷の空いてる部屋に避難民たちを案内しているのが見えた。
なるほど、彼らのしばらく住むところは領主の館なんだね。
俺が部屋に引っ込もうとしたところで、リッキーの部屋のドアが開いた。
「おっ、帰ってきたのか。遅かったな?」
「ああ、ちょっと思わぬトラブルがあって、時間を取られたんだ。」
俺は苦笑いをしながらリッキーにそう言った。
するとリッキーはなにかを察したのか、苦笑いをする。
「……大変だったようだな?でも、これで解決したんだろ?」
「多分、な。ただ、これから神聖法国は大変だと思う。奴隷も、神も失ったんだからな。」
するとそれを聞いていたユーリが俺のところに来た。
「ママ、それはちょっと違うそうだよ?正確には神の交代になるんだって。あの神もどきから、今度こそちゃんとした神が派遣されるそうだから、これからのあの国は生まれ変わるんじゃないかなぁ~?」
そうなのか?
てっきり神がいなくなったから、彼の国は崩壊するのかと思ったけど。
でもちゃんとした神が来るなら、あの国もまた再生するんじゃないかな。
今度の国は周りと協調性のある、いい国になれば良い。
それからリッキーも加わって、俺の部屋で夕飯まで話をすることになった。
俺はあれからの出来事を話し、リッキーは俺が避難民を連れてきてからのことを話してくれた。
どうやら避難民はこの屋敷とヘイスさん達が暮らしていた屋敷に分散して過ごすらしい。
だからミストさん達はあっちの屋敷からこっちに引っ越してきている。
とにかくなんとか皆が寝泊まりできるようには手配できたようだ。
それで今夜は皆の歓迎会になるので、以前パーティーを開いたように立食形式にして避難民たちを招待するそうだ。
明日から10日ほど、この街で滞在してもらってからそれぞれの住んでいた街に帰る予定だそうだ。
後で住んでいた国とまちの聞き取り調査をして、その街にグリーさんから送ってもらう手はずだ。
暫くして夕食の準備ができたと声がかかる。
4人でいつもの食堂へ向かう途中、玄関でスコットさん達と合流した。
「今日は大変だっただろ?お疲れ様!」
「そうよ、今夜はゆっくりと休みなさいよ?」
そう言ってスコットさんとリリーさんが俺の頭を撫でてくる。
……もう、何も言わない……。
7人で食堂の中に入ると、そこにはあの避難民30人がワイワイガヤガヤと話したり、泣いたりしている姿があった。
よく見てみると、みんなが首にしていた奴隷の首輪が無くなっていた。そっか、外してもらえたんだね!
そうだよね、やっとひどい暮らしから解放されたんだから。そりゃあ泣くよ!
俺はとても嬉しい気持ちでいっぱいだった。
「……良かったな。」
ポツリと一言、リッキーが呟いた。
俺はコクンと頷く。
これだけでお互いに気持ちが通じるのは、なんか良いね。
俺達が会場に来てから暫くして、ウォールさんの挨拶があった。
「今日は記念すべき、君たちの解放の日となる。今日からしばらくの間は体を休めたりして体調を整えてくれ。……乾杯!」
周りではグラスを次々とカチン!と当てる音がする。
俺もリッキー達とグラスを当てた。
パーティーの間に避難民達から何度も声をかけられ、泣きながら「ありがとう!」と感謝されたりした。
俺も思わずもらい泣きしちゃったよ。
皆はとても空腹だったらしく、モリモリと夕飯のメニューを平らげていくので、無くなりそうなところから次の料理と交換して出していくからスタッフは大忙しだ。
頑張れ、メイドさん!
みんなのお腹が膨れてきた頃、ちょうど年越しの時刻に差し掛かったようだ。
ユーリはとっくにおねむで、セバスに抱っこされている。
いつもなら俺が抱っこするんだが、今夜はまだやることがある!
「さて、年越しの時刻となったようだ。みんなでベランダに出ようか。」
ウォールさんがフロアに響く声でそう言った。
それが合図となり、俺はベランダに向かう。
ベランダの隅でスタンバイすれば、OKだ!
皆がベランダに出たのを確認し、俺は魔法を使う。
「うわぁ~っ!!凄く綺麗!!」
そんな声が辺りから次々と上がる。
その間にも、夜空には大輪のカラフルな光の花火が打ち上がっている。
そう、今回の俺の役目は「花火のように光魔法を打ち上げる」事だよ!
以前からこれは出来ないのかと試行錯誤していたんた!
だって、みんなと遠くに離れてしまった時のために必要だと思ったんだよね。
リッキー達と魔法の花火を見ながら、季節は違うけど日本の風景を思い出す。
「……懐かしいなぁ。もう、見れないと思っていた。」
そう、スコットさんが呟く。
「そうね、こちらではもう見れなかったものね。」
スコットさんに寄り添いながら、エミリーさんが答える。
「日本では、今、同じく年越しだろうか。あいつら、年越しを楽しんでる頃だな。」
リッキーが当時のことを思い出しながらリリーさんに話しかける。
「そうね、今年の年越しは父さん、母さん、兄さん、義姉さん、悠馬、私の他にリッキーも参加していたものね。賑やかだったわよね。その時に初めて父さん達に紫惠琉のことを話したのよね。」
「ああ、ものすごく驚いていたし、行ってみたいって言ってたな。そして後日、こっちに送ったのも覚えてる。」
「そうよね、あれはいつのことだったかしら?もう、遠い過去で忘れちゃったわ。」
「まぁ、自然に任せようぜ?」
「それはそうね、あまりいじらないようにしないと、ね。」
それから2人は寄り添いながら黙って花火を見ていた。
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