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第3章 スノービーク〜
さあ、奴隷解放だ!
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翌日、リッキーと一緒にみんなの所へ行き、昨日話していたことを伝えると、皆もやはりローランの街に行きたいらしいので年明けに揃って行くことになった。
それから揃ってリッキーの家に戻る。
そして俺の部屋に集まった、
「じゃあ行ってくるね!」
俺は心配そうな顔をしている皆に向って、努めて明るい表情でそう言う。
それから俺1人で4属性竜の長達の場所へ転移した。
ちなみにセバスとユーリは先に4属性竜の長達に、今日決行することを伝えに行ったよ。
向こうへ着くともう話は通っていたようで、さっそく俺達3人を背に乗せてグリーさんは彼の国に向って飛んだ。
グリーさんは相当早く飛べるらしく、みるみる間に景色が変わっていく。
俺はそんな風圧に耐えきれないので、早々に結界を発動させてもらった。
それだけ早かったからか、1時間もしないうちに到着したよ!
「じゃあシエルさん、ユーリ様をよろしゅう頼みます~。私は行きますわ~。帰りは別に迎えに来んでも良いんでっしゃろ?」
俺たちを降ろしたグリーさんがそう聞いてくる。
セバスは「大丈夫ですよ、シエル様が転移魔法で移動してくれますから。」と言って、グリーさんを送り出した。
さて!
ここからが俺達の仕事だ!
「まずはどうするかなぁ……あ、そういえば奴隷の人達ってどこに住んでるの?」
「確か、遠くにあるあの巨大な平屋の建物に一つの巨大な部屋で雑魚寝みたいに寝ていると聞いたことがございます。ですが、私も人伝で聞いただけですので、実際にはみたことがありませんので違ったら申し訳ないです。」
なるほど、まるで野戦病院みたいな感じ、なのかな?
とりあえずあの建物まで転移でいこうか。
俺は2人に触り、建物の前に転移する。
建物の目の前に来ると、その巨大さがよくわかる。
まるで小学校の体育館を縦横2個ずつ並べたくらいの大きさだ。
とりあえず俺はその建物のドアを開けてみた。
「おはようございます……?」
すると中ではゴザのようなものの上にくっつき合って眠る人がたくさんいた。
えっ……掛ける物すら無いの?
この時期寒かろうに……。
俺はそう思いながらその人たちに近づく。
すると近くにいた子供が俺に気がついた。
「……お兄ちゃん、誰?」
その子は不信感あらわに俺を見る。
それに気づいた周りの大人達が俺達の周囲を一定の距離を開けて囲みだした。
それを見たセバスは少し警戒しているようで、いつでも戦えるように俺たちの前に立った。
俺はそんなセバスに「大丈夫だよ。」と声をかけると、先ほどの子供に近寄り、しゃがんだ。
「お兄ちゃんはここにいる人たちを元いた国に返しに来たんだよ。」
すると少女は少し警戒心を解いたが、さらに質問をしてきた。
「お兄ちゃん達は私達を捕まえた国の『神様』じゃないの?その髪色、とても神聖な色に見えるよ?」
「ああ……この髪色はね、元からこの色なんだ。でも神聖法国の『神』ではないよ?僕はクレイン国の冒険者の1人で、スノーホワイトっていうチームのメンバーなんだ。そしてこっちの小さい子は俺の弟だよ。後ろにいる男性は、僕たちの保護者だね。」
するとようやくその子はやっと納得したようで、周りの大人たちもホッとした表情をした。
やはりこの髪色は神聖な色に見えるよねぇ。……違うけど。
すると今度は大人たちが俺に質問を投げかけた。
「さっき君は俺たちを『元いた国に返す』って言ったが、どうやって返すつもりだ?ここは深い森があって強力な魔獣がたくさんいるんだ。君みたいな弱そうな子ではとてもじゃないが無理だと思う。」
「ああ、俺たちは獣人だが、捕まえられた時にこの力を封じる首輪をつけられたから、まったく力が使えないんだ。だからとてもじゃないが俺たちは役に立たない。」
そんな事を大人たちは口々に言う。
「大丈夫ですよ、俺は転移魔法が使えるんです。ほら、こんな風にね?」
俺はすぐ近くのところに転移してみせる。
すると近くで見ていた人達は一様に驚いたようだ。
「こりゃあ、すげぇや!君は何人まで一度に運べるんだい?」
「すぐに俺たちの国に帰れるのか!?」
いろいろ言ってくるが、落ち着いて欲しい!
「皆様、少し落ち着いてくださいませ。シエル様はとても魔力の多い方ですのでたくさんの人数を一度に運べますが、あなた達の国には行ったことがないので直接は連れていけません。ですので、一旦はクレイン国の3カ所ほどに分散して行ってもらいたいと思います。エルフの方は『エルフの隠れ里』で、獣人とドワーフの一部の方は『ローランの街』、人族とドワーフは『スノービークの街』へまずは転移してもらいます。この3か所には皆様の滞在許可は頂いておりますので、ご安心ください。では、奴隷から解放されて元の国に帰りたい方はこちらにお集まりください。」
セバスが大きな通る声でそう話すと、ざわついていたこの場がシーンと静まり返った。
「……本当に、元の国に帰れるのか?クレイン国のその街に住むことになるわけじゃなく?」
「はい。この3カ所ではみなさまの体力を回復された後、4属性竜の長の1人、風の属性竜の長「グリー」殿がその背に乗せて皆様の国へと運んでくれる手はずになっております。」
それを聞いて、誰かがポツリと漏らした。
「……4属性竜の長?おとぎ話の話ではなく?」
その声はどうやらエルフの若い女性のものだった。
その女性は実際には見たことがないのだろう。
「ええ。ここへもグリー殿に送ってもらったところです。シエル様は来たことがなかったですからね。」
「本当に、知り合いなのですね?」
その女性はとても疑り深く聞いてくる。
……しょうがない、あの人にも応援頼もうかな?
「ねぇセバス、ルーシェさんを連れてくるよ、転移要員は1人より2人のほうが早いでしょ?」
「そうですね、その方が早く済みますね。」
「じゃあちょっと行ってくるよ!」
俺はその場でルーシェさんの所へ転移する。
次の瞬間にはルーシェさんの部屋の中にいた。
そんな俺を見て驚いたルーシェさん。
俺は訳を話すと、ルーシェさんは一つ頷いて、何も言わずに一緒に来てくれた。
皆のもとへ戻ると、皆はとても驚いた顔で口を開けていた。
特に、先ほど疑いの目で見てきた女性はなおさらだ。
「やあ、君たちを運ぶ転移要員が1人から2人になったよ!僕はローランの街の冒険者ギルドマスターのルーシェという。君たちのことはこの子たちから聞いていて、領主にも報告済みの案件だ。安心して運んでもらうと良いよ!あ、ちなみに僕は一度に6人が限度だよ~。シエルくんはもっとたくさん運べそうだけどね。」
同じエルフのルーシェさんがそう言うと、そのエルフの女性は右手を左胸に当てて軽く頭を下げた。
その顔にはもう疑いの表情はなく、むしろ興奮したような顔をしている。
ふと、周りを見渡すと、エルフらしき人達は皆、彼女と同じ行動をしている。何故だろう???
エルフを代表して、そのエルフの女性が口を開いた。
「お初にお目にかかります。私達は神竜の森より続いている森の、王都の側にある地域に住んでいたエルフです。ルーシェ様のお話は父や母から寝物語のように聞かされてきました!まさかこんな場所で本物にお会いできるとは思いませんでした!」
……え?
ルーシェさんって、そんな「寝物語」になるようなことをした人なの?
俺はその話を聞いてバッと隣を見たが、その瞬間にルーシェさんも目をサッとそらした。
明らかに何かある感じなんだけど、本人が隠したがっているのは間違いないので、今は聞かなかったことにしてあげよう!後で聞くからね!
それからルーシェさんはコホンッ!と一つ咳払いをすると、エルフの皆に向って今後のことを話しだした。
「とりあえずエルフの皆は私の故郷の『エルフの隠れ里』へと一時避難をするからね。体力回復したら元の里へと戻すよ。避難する時の転移は私が担当する。人数も少ないから、3回ほどで良さそうだね。」
「他の人は俺が担当します!まだ一度にどのくらい連れていけるのか分からないので、無理せずに回数をこなすほうが良いですよね、ルーシェさん?」
最後の方はルーシェさんへのお伺いになったが、ルーシェさんはちゃんと聞いていたようで「そうだね、慣れてきたら人数増やすと良いよ。」とアドバイスをもらった。
「じゃあエルフはそのまま1か所で、獣人はみんなローランの街に行きます。残りの人はローランとスノービークに分かれてもらいますので、二手に分かれてもらえますか?」
とりあえずみんなに3つのグループに分かれてもらい、それから俺たちはさっそく転移を始める。
俺のこっちに帰ってくるイメージは建物の前にした。
先にルーシェさんが数人のエルフを連れて転移する。
その後に俺が続き、まずは10人ほど連れてスノービークの領主の館前に転移した。
「これから何回も転移して残った人を連れてきますから、ここで待っていてくださいね?」
そこからの俺は頑張った!
1度目は10人。
2度目は20人。
そこでまずはスノービーク行きの避難民は完了した。
3回目に残った40人を一度にローランへ運んだよ。
ローランでは先に転移し終わっていたルーシェさんに避難民を預けて、ユーリ達の元へ転移した。
いや~、頑張った!疲れも凄いよ!
空っぽになった奴隷のいた超巨大な小屋の前に転移すると、ユーリたちが何やら話しているのが見えた。
近づくとユーリがこっちに気づいた。
駆け寄ってくるユーリが俺まであと10メートルくらいまで来た時、それは起こった。
突然俺とユーリの間に、黒髪で浅黒い肌をした背の高い見知らぬ女性が現れた。
その女性は左腕が肘の先からなく、さらに肌が浅黒いと思ったものは皮膚がケロイド状になっているからのようだった。
その女性はものすごい顔で俺を睨みつけている。
その姿を見て、俺は悟った。
ああ、この人が例の『神聖法国の神』なんだ、と。
オーラがあまりにも禍々しくて、とてもじゃないが神になんて思えない。
「貴様が『あの魂』の持ち主か!忌々しい!貴様さえいなければ、私がこんな事にならずに済んだのにっ!!貴様さえいなければ!」
そう言ってその女性は俺に向って右手を振り下ろした。
俺は無意識に全力で結界を張った。
その直後、俺の真上に黒い稲妻が落ちてきた。
だが全力で張った結界のお陰で、俺は無傷だった。
「な……なんだとっ!?そんな馬鹿なっ!私は、神だぞ!?神なんだ!貴様とは違う!」
その女性はそう叫ぶと、さらに俺の頭上へと何度も何度も集中して同じ場所へと稲妻を落とす。
俺はその度に結界を重ね掛けして分厚くした。
しばらくして自身のことを『神』だという女性は魔力が尽きたのか、荒い息をつきながらヨロヨロとしている。
「何故だ……何故、神である私よりも貴様の方が力がある……?」
それは分からないけど……攻撃魔法より結界のほうが魔力使わないからじゃないですかね?と心の中で思いはしたが、あえて言わない。
その時、ずっと黙って結界を張って成り行きを見ていたユーリが叫んだ。
「創造神からの伝言だけど『君はやり過ぎた。暫くはこの世界から消えてもらう。』だってさ!」
それを聞いた彼女はギョッとしてユーリを振り向く。
その瞬間、あの魔物討伐の時と同じく、天からこの前よりもさらに巨大な光の柱がその女性に降り注いだ。
その光の柱に飲み込まれる直前、彼女は呟いた。
「わ……私は、自分の世界が欲しかっただけなのです。ごめんなさい……。」
その後、光の柱が消え去った後、その場にいた彼女の姿は跡形もなく……そう、その存在があった痕跡もなかった。
まるで、最初からそこには存在していなかったかのごとく、地面にも周りの建物にも被害がなかったのだ。
あれだけ彼女が俺に向って稲妻を落としていたにも関わらず、その痕跡すら元に戻っている。
俺は狐につままれたかのごとく、呆然と立ち尽くす。
そんな俺に向かって、ユーリが歩いてきた。
「ママ、あの人は天に帰っていったよ。暫くは存在は消されるけど、死にはしないからまた復活してくるんだって。邪神になっていたようだから、今はその魂の浄化にまわるみたい。」
そっか、浄化されてまた復活するんだね。
でも長い年月をかけて復活するんだろうから、俺はもう会うこともないだろうけどね!
とりあえず全てが終わった頃には、もう辺りも暗くなり始めていた。
エルフの方はルーシェさんに任せていたし、ローランも最終的にはルーシェさんに引き継ぎ、スノービークではリッキーやウォールさんに引き継いできているから、今頃は皆も落ち着いている頃だろう。
俺達もスノービークの街に帰ろう。
俺は2人の手を取ると、スノービークの俺の部屋に転移した。
それから揃ってリッキーの家に戻る。
そして俺の部屋に集まった、
「じゃあ行ってくるね!」
俺は心配そうな顔をしている皆に向って、努めて明るい表情でそう言う。
それから俺1人で4属性竜の長達の場所へ転移した。
ちなみにセバスとユーリは先に4属性竜の長達に、今日決行することを伝えに行ったよ。
向こうへ着くともう話は通っていたようで、さっそく俺達3人を背に乗せてグリーさんは彼の国に向って飛んだ。
グリーさんは相当早く飛べるらしく、みるみる間に景色が変わっていく。
俺はそんな風圧に耐えきれないので、早々に結界を発動させてもらった。
それだけ早かったからか、1時間もしないうちに到着したよ!
「じゃあシエルさん、ユーリ様をよろしゅう頼みます~。私は行きますわ~。帰りは別に迎えに来んでも良いんでっしゃろ?」
俺たちを降ろしたグリーさんがそう聞いてくる。
セバスは「大丈夫ですよ、シエル様が転移魔法で移動してくれますから。」と言って、グリーさんを送り出した。
さて!
ここからが俺達の仕事だ!
「まずはどうするかなぁ……あ、そういえば奴隷の人達ってどこに住んでるの?」
「確か、遠くにあるあの巨大な平屋の建物に一つの巨大な部屋で雑魚寝みたいに寝ていると聞いたことがございます。ですが、私も人伝で聞いただけですので、実際にはみたことがありませんので違ったら申し訳ないです。」
なるほど、まるで野戦病院みたいな感じ、なのかな?
とりあえずあの建物まで転移でいこうか。
俺は2人に触り、建物の前に転移する。
建物の目の前に来ると、その巨大さがよくわかる。
まるで小学校の体育館を縦横2個ずつ並べたくらいの大きさだ。
とりあえず俺はその建物のドアを開けてみた。
「おはようございます……?」
すると中ではゴザのようなものの上にくっつき合って眠る人がたくさんいた。
えっ……掛ける物すら無いの?
この時期寒かろうに……。
俺はそう思いながらその人たちに近づく。
すると近くにいた子供が俺に気がついた。
「……お兄ちゃん、誰?」
その子は不信感あらわに俺を見る。
それに気づいた周りの大人達が俺達の周囲を一定の距離を開けて囲みだした。
それを見たセバスは少し警戒しているようで、いつでも戦えるように俺たちの前に立った。
俺はそんなセバスに「大丈夫だよ。」と声をかけると、先ほどの子供に近寄り、しゃがんだ。
「お兄ちゃんはここにいる人たちを元いた国に返しに来たんだよ。」
すると少女は少し警戒心を解いたが、さらに質問をしてきた。
「お兄ちゃん達は私達を捕まえた国の『神様』じゃないの?その髪色、とても神聖な色に見えるよ?」
「ああ……この髪色はね、元からこの色なんだ。でも神聖法国の『神』ではないよ?僕はクレイン国の冒険者の1人で、スノーホワイトっていうチームのメンバーなんだ。そしてこっちの小さい子は俺の弟だよ。後ろにいる男性は、僕たちの保護者だね。」
するとようやくその子はやっと納得したようで、周りの大人たちもホッとした表情をした。
やはりこの髪色は神聖な色に見えるよねぇ。……違うけど。
すると今度は大人たちが俺に質問を投げかけた。
「さっき君は俺たちを『元いた国に返す』って言ったが、どうやって返すつもりだ?ここは深い森があって強力な魔獣がたくさんいるんだ。君みたいな弱そうな子ではとてもじゃないが無理だと思う。」
「ああ、俺たちは獣人だが、捕まえられた時にこの力を封じる首輪をつけられたから、まったく力が使えないんだ。だからとてもじゃないが俺たちは役に立たない。」
そんな事を大人たちは口々に言う。
「大丈夫ですよ、俺は転移魔法が使えるんです。ほら、こんな風にね?」
俺はすぐ近くのところに転移してみせる。
すると近くで見ていた人達は一様に驚いたようだ。
「こりゃあ、すげぇや!君は何人まで一度に運べるんだい?」
「すぐに俺たちの国に帰れるのか!?」
いろいろ言ってくるが、落ち着いて欲しい!
「皆様、少し落ち着いてくださいませ。シエル様はとても魔力の多い方ですのでたくさんの人数を一度に運べますが、あなた達の国には行ったことがないので直接は連れていけません。ですので、一旦はクレイン国の3カ所ほどに分散して行ってもらいたいと思います。エルフの方は『エルフの隠れ里』で、獣人とドワーフの一部の方は『ローランの街』、人族とドワーフは『スノービークの街』へまずは転移してもらいます。この3か所には皆様の滞在許可は頂いておりますので、ご安心ください。では、奴隷から解放されて元の国に帰りたい方はこちらにお集まりください。」
セバスが大きな通る声でそう話すと、ざわついていたこの場がシーンと静まり返った。
「……本当に、元の国に帰れるのか?クレイン国のその街に住むことになるわけじゃなく?」
「はい。この3カ所ではみなさまの体力を回復された後、4属性竜の長の1人、風の属性竜の長「グリー」殿がその背に乗せて皆様の国へと運んでくれる手はずになっております。」
それを聞いて、誰かがポツリと漏らした。
「……4属性竜の長?おとぎ話の話ではなく?」
その声はどうやらエルフの若い女性のものだった。
その女性は実際には見たことがないのだろう。
「ええ。ここへもグリー殿に送ってもらったところです。シエル様は来たことがなかったですからね。」
「本当に、知り合いなのですね?」
その女性はとても疑り深く聞いてくる。
……しょうがない、あの人にも応援頼もうかな?
「ねぇセバス、ルーシェさんを連れてくるよ、転移要員は1人より2人のほうが早いでしょ?」
「そうですね、その方が早く済みますね。」
「じゃあちょっと行ってくるよ!」
俺はその場でルーシェさんの所へ転移する。
次の瞬間にはルーシェさんの部屋の中にいた。
そんな俺を見て驚いたルーシェさん。
俺は訳を話すと、ルーシェさんは一つ頷いて、何も言わずに一緒に来てくれた。
皆のもとへ戻ると、皆はとても驚いた顔で口を開けていた。
特に、先ほど疑いの目で見てきた女性はなおさらだ。
「やあ、君たちを運ぶ転移要員が1人から2人になったよ!僕はローランの街の冒険者ギルドマスターのルーシェという。君たちのことはこの子たちから聞いていて、領主にも報告済みの案件だ。安心して運んでもらうと良いよ!あ、ちなみに僕は一度に6人が限度だよ~。シエルくんはもっとたくさん運べそうだけどね。」
同じエルフのルーシェさんがそう言うと、そのエルフの女性は右手を左胸に当てて軽く頭を下げた。
その顔にはもう疑いの表情はなく、むしろ興奮したような顔をしている。
ふと、周りを見渡すと、エルフらしき人達は皆、彼女と同じ行動をしている。何故だろう???
エルフを代表して、そのエルフの女性が口を開いた。
「お初にお目にかかります。私達は神竜の森より続いている森の、王都の側にある地域に住んでいたエルフです。ルーシェ様のお話は父や母から寝物語のように聞かされてきました!まさかこんな場所で本物にお会いできるとは思いませんでした!」
……え?
ルーシェさんって、そんな「寝物語」になるようなことをした人なの?
俺はその話を聞いてバッと隣を見たが、その瞬間にルーシェさんも目をサッとそらした。
明らかに何かある感じなんだけど、本人が隠したがっているのは間違いないので、今は聞かなかったことにしてあげよう!後で聞くからね!
それからルーシェさんはコホンッ!と一つ咳払いをすると、エルフの皆に向って今後のことを話しだした。
「とりあえずエルフの皆は私の故郷の『エルフの隠れ里』へと一時避難をするからね。体力回復したら元の里へと戻すよ。避難する時の転移は私が担当する。人数も少ないから、3回ほどで良さそうだね。」
「他の人は俺が担当します!まだ一度にどのくらい連れていけるのか分からないので、無理せずに回数をこなすほうが良いですよね、ルーシェさん?」
最後の方はルーシェさんへのお伺いになったが、ルーシェさんはちゃんと聞いていたようで「そうだね、慣れてきたら人数増やすと良いよ。」とアドバイスをもらった。
「じゃあエルフはそのまま1か所で、獣人はみんなローランの街に行きます。残りの人はローランとスノービークに分かれてもらいますので、二手に分かれてもらえますか?」
とりあえずみんなに3つのグループに分かれてもらい、それから俺たちはさっそく転移を始める。
俺のこっちに帰ってくるイメージは建物の前にした。
先にルーシェさんが数人のエルフを連れて転移する。
その後に俺が続き、まずは10人ほど連れてスノービークの領主の館前に転移した。
「これから何回も転移して残った人を連れてきますから、ここで待っていてくださいね?」
そこからの俺は頑張った!
1度目は10人。
2度目は20人。
そこでまずはスノービーク行きの避難民は完了した。
3回目に残った40人を一度にローランへ運んだよ。
ローランでは先に転移し終わっていたルーシェさんに避難民を預けて、ユーリ達の元へ転移した。
いや~、頑張った!疲れも凄いよ!
空っぽになった奴隷のいた超巨大な小屋の前に転移すると、ユーリたちが何やら話しているのが見えた。
近づくとユーリがこっちに気づいた。
駆け寄ってくるユーリが俺まであと10メートルくらいまで来た時、それは起こった。
突然俺とユーリの間に、黒髪で浅黒い肌をした背の高い見知らぬ女性が現れた。
その女性は左腕が肘の先からなく、さらに肌が浅黒いと思ったものは皮膚がケロイド状になっているからのようだった。
その女性はものすごい顔で俺を睨みつけている。
その姿を見て、俺は悟った。
ああ、この人が例の『神聖法国の神』なんだ、と。
オーラがあまりにも禍々しくて、とてもじゃないが神になんて思えない。
「貴様が『あの魂』の持ち主か!忌々しい!貴様さえいなければ、私がこんな事にならずに済んだのにっ!!貴様さえいなければ!」
そう言ってその女性は俺に向って右手を振り下ろした。
俺は無意識に全力で結界を張った。
その直後、俺の真上に黒い稲妻が落ちてきた。
だが全力で張った結界のお陰で、俺は無傷だった。
「な……なんだとっ!?そんな馬鹿なっ!私は、神だぞ!?神なんだ!貴様とは違う!」
その女性はそう叫ぶと、さらに俺の頭上へと何度も何度も集中して同じ場所へと稲妻を落とす。
俺はその度に結界を重ね掛けして分厚くした。
しばらくして自身のことを『神』だという女性は魔力が尽きたのか、荒い息をつきながらヨロヨロとしている。
「何故だ……何故、神である私よりも貴様の方が力がある……?」
それは分からないけど……攻撃魔法より結界のほうが魔力使わないからじゃないですかね?と心の中で思いはしたが、あえて言わない。
その時、ずっと黙って結界を張って成り行きを見ていたユーリが叫んだ。
「創造神からの伝言だけど『君はやり過ぎた。暫くはこの世界から消えてもらう。』だってさ!」
それを聞いた彼女はギョッとしてユーリを振り向く。
その瞬間、あの魔物討伐の時と同じく、天からこの前よりもさらに巨大な光の柱がその女性に降り注いだ。
その光の柱に飲み込まれる直前、彼女は呟いた。
「わ……私は、自分の世界が欲しかっただけなのです。ごめんなさい……。」
その後、光の柱が消え去った後、その場にいた彼女の姿は跡形もなく……そう、その存在があった痕跡もなかった。
まるで、最初からそこには存在していなかったかのごとく、地面にも周りの建物にも被害がなかったのだ。
あれだけ彼女が俺に向って稲妻を落としていたにも関わらず、その痕跡すら元に戻っている。
俺は狐につままれたかのごとく、呆然と立ち尽くす。
そんな俺に向かって、ユーリが歩いてきた。
「ママ、あの人は天に帰っていったよ。暫くは存在は消されるけど、死にはしないからまた復活してくるんだって。邪神になっていたようだから、今はその魂の浄化にまわるみたい。」
そっか、浄化されてまた復活するんだね。
でも長い年月をかけて復活するんだろうから、俺はもう会うこともないだろうけどね!
とりあえず全てが終わった頃には、もう辺りも暗くなり始めていた。
エルフの方はルーシェさんに任せていたし、ローランも最終的にはルーシェさんに引き継ぎ、スノービークではリッキーやウォールさんに引き継いできているから、今頃は皆も落ち着いている頃だろう。
俺達もスノービークの街に帰ろう。
俺は2人の手を取ると、スノービークの俺の部屋に転移した。
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こうして元おっさんとして第2の人生を歩む事になった彼は異世界小説でよくある展開、いわゆるテンプレな出来事に巻き込まれながらも、出逢いや別れ、時には仲間とゆる~い冒険の旅に出たり
授かった能力を使いつつも普通に生きていこうとする、おっさんの物語である。
◇ ◇ ◇
本作は主人公が異世界で「生活」していく事がメインのお話しなので、派手な出来事は起こりません。
序盤は1話あたりの文字数が少なめですが
全体的には1話2000文字前後でサクッと読める内容を目指してます。
【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~
石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。
ありがとうございます
主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。
転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。
ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。
『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。
ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする
「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。
転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする
初
ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。
リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。
これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。
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