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第3章 スノービーク〜
えっ、誰???
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それから俺達は少し雑談した後、泊まる部屋へと案内してもらうことになった。
その間に俺たちの泊まる部屋の準備をしてもらうようだ。
しばらくしてメイドさんが準備ができたと告げに来たので、俺たちは席を立つ。
「じゃあまた夕食の時に。その時には弟の家族も一緒に食事することになるから、彼らのことはその時に紹介するよ。……君たちの本当のことは内緒で、ユーリくんは『弟』、セバスさんは『護衛』で構わないかね?」
「ええ、それで構いませんとも。シエル様とユーリ様のことは私がお守りするつもりですので、『護衛』というのは本当のことですし。」
ユーリ達を紹介した後、すぐに人化したセバス。
やはりその姿のほうがしっくりくるそうだ。
ユーリもとても眠そうだったので、寝る前に人化してもらった。
この部屋を出る時には夢の中にいることだろう。
「母さん、無理をするなよ?世間的にはまだ若いとはいえ、40歳だろ?」
「まだ若いって……40歳っていうのは若くないわよ?」
「そうだぞ、母さんはお前を15歳で産んだんだ。貴族の結婚っていうのは早婚が通常だからな。お前は男だから良いが、もし今のお前の歳で女だったらとっくにどこかの貴族に嫁入りして子供を産んで育てている頃だぞ?」
「……。」
両親の話にリッキーは黙ってしまった。
多分リッキーは、日本での出産年齢のことが頭にあるから「全然平気だ」と思ったのだろう。
たがここではお父さんが言ったように、女性は15歳には婚約者がいると結婚するんだろう。
これからはそういう「日本との違い」でリッキーも、覚醒したら姉さん達も、ギャップを感じるようになるんだろうな。
「ところであなた達の結婚はまだなの?」
「……何のことだよ?」
「とぼけないで、あなたとリリーさんの話よ。リリーさんももういい年齢よ?早く結婚してあげなくちゃ可哀想よ?」
「……はぁ。まぁ、そのうちにな。」
リッキーはため息をついて母親からの話を終わらせる。
……。
……その話、聞いてないよ?
どういう事?
俺がそんな事を考えながらリッキーを見ると、目で「後でな」と言われた気がする。
とりあえず俺たちはメイドさんに案内されて部屋に向かう。
リッキーは自分の部屋に向かうだけなんだが……同じ方向ということは、近くの部屋になっているのかもしれないな。
しばらく歩くと目的地に到着したようだ。
案の定、リッキーの部屋の隣が俺たちの部屋だった。
俺達は3人一緒の部屋で良かったよ。
中に入るとベッドが2つ並んている。
どうやら俺とユーリは同じベッドを使うと思われたらしい。
まぁ、使うけどな!
寝ているユーリをベッドに寝かし、俺とセバスが部屋でくつろいでいるとノックする音がして、リッキーの声で「中に入るぞ」と問いかけがあった。
「別に勝手に入って良いよ、お前なら。」
「いや、一応そこは聞いてからじゃないとな。」
中に入ってきたリッキーがそう言う。
「ところでさっきの話、聞いてないんだけど?どういう事?妹のようなものだってリリーさんの前で言っていたのに本人も否定しなかったよね?」
「あいつは親の決めた婚約者なんだよ、一応な。小さい頃から一緒に遊んだりしていたのもあって、お互いにそんな感情なんか無いんだが……まさか転生してもあいつと結婚することになるなんて、考えてもいなかったよ。」
「……そりゃあ、すごい偶然だねぇ。姉さん相手だと苦労すると思うけど、頑張れ!一度は結婚生活を送れたんだから、この世でも上手くやれるさ!」
俺はリッキーの話を聞いて、そう言ってサムズアップをする。
そうだよ、『あの姉さん』と一度は添い遂げたんだ、ここでも上手くいくさ、多分。
「……あれ?じゃあもしかしてだけど、スコットさん達も……?」
「あっちはどうだろうな?よくはわからないが……まぁ記憶が戻ったらくっつくだろうな、あの2人すごく仲睦まじかったから。」
そっか、そういうこともあるんだね。
どうなるんだろうなぁ、兄さんたち。
そんな事思っていると、廊下をバタバタ走っていく音がした。
……なんだろう???
その音がしたとき、リッキーがうんざりしたような顔をした。
「あの音になんか聞き覚えがあるのか?」
「……ああ、ここにいた時はしょっちゅうな。」
そう言って肩をすくめた。
するとドア越しに隣の部屋の前から大きな声がした。
「おいっ、リッキー!帰ってきたんなら俺たちに真っ先に挨拶に来るのが筋だろう!なんで挨拶にもこねぇんだ?あぁ!?」
「そうだぞ!次期領主になる俺たちに頭下げに来るのが先なんじゃねぇのか!?なんで現領主の親父に顔出して、俺たちのところに来ねぇんだ!」
俺はそれを聞いて目を丸くする。
言っていることがめちゃくちゃだ。
普通は今の領主であるリッキーのお父さんのところに顔出せばそれで済む。
なぜならその息子であるリッキーが、普通なら次期領主だからだ。
それに現領主のお父さんはリッキーが領主になることを諦めていない。
つまり、どう考えても彼らが言うことはおかしいのだ。
彼らの中では、リッキーは次期領主にならないことが決定しているのだ。
「……なんか、聞かなくても分かるような気がするが、あえて聞こう。誰だ、あいつら?」
俺が目の据わった顔でリッキーに聞くと、リッキーは苦笑いして肩を竦める。
「あれらが俺の従兄弟たちだよ。……そう、俺がこの街を出たくなり、そして戻ってきたくなくなるように仕向けた張本人たちだ。」
……はぁ~、やっぱりかぁ~……。
その間に俺たちの泊まる部屋の準備をしてもらうようだ。
しばらくしてメイドさんが準備ができたと告げに来たので、俺たちは席を立つ。
「じゃあまた夕食の時に。その時には弟の家族も一緒に食事することになるから、彼らのことはその時に紹介するよ。……君たちの本当のことは内緒で、ユーリくんは『弟』、セバスさんは『護衛』で構わないかね?」
「ええ、それで構いませんとも。シエル様とユーリ様のことは私がお守りするつもりですので、『護衛』というのは本当のことですし。」
ユーリ達を紹介した後、すぐに人化したセバス。
やはりその姿のほうがしっくりくるそうだ。
ユーリもとても眠そうだったので、寝る前に人化してもらった。
この部屋を出る時には夢の中にいることだろう。
「母さん、無理をするなよ?世間的にはまだ若いとはいえ、40歳だろ?」
「まだ若いって……40歳っていうのは若くないわよ?」
「そうだぞ、母さんはお前を15歳で産んだんだ。貴族の結婚っていうのは早婚が通常だからな。お前は男だから良いが、もし今のお前の歳で女だったらとっくにどこかの貴族に嫁入りして子供を産んで育てている頃だぞ?」
「……。」
両親の話にリッキーは黙ってしまった。
多分リッキーは、日本での出産年齢のことが頭にあるから「全然平気だ」と思ったのだろう。
たがここではお父さんが言ったように、女性は15歳には婚約者がいると結婚するんだろう。
これからはそういう「日本との違い」でリッキーも、覚醒したら姉さん達も、ギャップを感じるようになるんだろうな。
「ところであなた達の結婚はまだなの?」
「……何のことだよ?」
「とぼけないで、あなたとリリーさんの話よ。リリーさんももういい年齢よ?早く結婚してあげなくちゃ可哀想よ?」
「……はぁ。まぁ、そのうちにな。」
リッキーはため息をついて母親からの話を終わらせる。
……。
……その話、聞いてないよ?
どういう事?
俺がそんな事を考えながらリッキーを見ると、目で「後でな」と言われた気がする。
とりあえず俺たちはメイドさんに案内されて部屋に向かう。
リッキーは自分の部屋に向かうだけなんだが……同じ方向ということは、近くの部屋になっているのかもしれないな。
しばらく歩くと目的地に到着したようだ。
案の定、リッキーの部屋の隣が俺たちの部屋だった。
俺達は3人一緒の部屋で良かったよ。
中に入るとベッドが2つ並んている。
どうやら俺とユーリは同じベッドを使うと思われたらしい。
まぁ、使うけどな!
寝ているユーリをベッドに寝かし、俺とセバスが部屋でくつろいでいるとノックする音がして、リッキーの声で「中に入るぞ」と問いかけがあった。
「別に勝手に入って良いよ、お前なら。」
「いや、一応そこは聞いてからじゃないとな。」
中に入ってきたリッキーがそう言う。
「ところでさっきの話、聞いてないんだけど?どういう事?妹のようなものだってリリーさんの前で言っていたのに本人も否定しなかったよね?」
「あいつは親の決めた婚約者なんだよ、一応な。小さい頃から一緒に遊んだりしていたのもあって、お互いにそんな感情なんか無いんだが……まさか転生してもあいつと結婚することになるなんて、考えてもいなかったよ。」
「……そりゃあ、すごい偶然だねぇ。姉さん相手だと苦労すると思うけど、頑張れ!一度は結婚生活を送れたんだから、この世でも上手くやれるさ!」
俺はリッキーの話を聞いて、そう言ってサムズアップをする。
そうだよ、『あの姉さん』と一度は添い遂げたんだ、ここでも上手くいくさ、多分。
「……あれ?じゃあもしかしてだけど、スコットさん達も……?」
「あっちはどうだろうな?よくはわからないが……まぁ記憶が戻ったらくっつくだろうな、あの2人すごく仲睦まじかったから。」
そっか、そういうこともあるんだね。
どうなるんだろうなぁ、兄さんたち。
そんな事思っていると、廊下をバタバタ走っていく音がした。
……なんだろう???
その音がしたとき、リッキーがうんざりしたような顔をした。
「あの音になんか聞き覚えがあるのか?」
「……ああ、ここにいた時はしょっちゅうな。」
そう言って肩をすくめた。
するとドア越しに隣の部屋の前から大きな声がした。
「おいっ、リッキー!帰ってきたんなら俺たちに真っ先に挨拶に来るのが筋だろう!なんで挨拶にもこねぇんだ?あぁ!?」
「そうだぞ!次期領主になる俺たちに頭下げに来るのが先なんじゃねぇのか!?なんで現領主の親父に顔出して、俺たちのところに来ねぇんだ!」
俺はそれを聞いて目を丸くする。
言っていることがめちゃくちゃだ。
普通は今の領主であるリッキーのお父さんのところに顔出せばそれで済む。
なぜならその息子であるリッキーが、普通なら次期領主だからだ。
それに現領主のお父さんはリッキーが領主になることを諦めていない。
つまり、どう考えても彼らが言うことはおかしいのだ。
彼らの中では、リッキーは次期領主にならないことが決定しているのだ。
「……なんか、聞かなくても分かるような気がするが、あえて聞こう。誰だ、あいつら?」
俺が目の据わった顔でリッキーに聞くと、リッキーは苦笑いして肩を竦める。
「あれらが俺の従兄弟たちだよ。……そう、俺がこの街を出たくなり、そして戻ってきたくなくなるように仕向けた張本人たちだ。」
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