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第2章 エルフの隠れ里〜
4属性竜の長たち
しおりを挟むユーリとそんな会話をしていると、グリーさんが近づいてきた。
「ユーリ様、シエルさんに『あれ』を見せてやってはどうです~?このところ頑張ってたやないですか~。」
そう言われたユーリは俺の顔を見てから首を横に振る。
『まだまだ確実にはできるようになれてないから、まだ見せられないよ。何とか頑張って、ここを離れる時までには完璧にできるようになるつもりだよ。』
「そうなんですか~。まぁ、頑張ってぇな。ユーリ様がここを出発したら、僕もまた自由に世界を飛び回りに行きますから、出会ったらその時はよろしゅう頼みます~。」
『分かったよ、もし君の力を借りたくなったら「繋がり」を利用してお願いをするから、その時はよろしくね。』
「はいなぁ~!」
どうやら『繋がり』の強化の他に、何かを特訓中らしい。もしかして人化かな!?
そっか、まだ完璧じゃないとしてもできるようになったんだ!
披露してくれるのが楽しみだよ!
『ねぇ、ママ。もしかして……向こうで何かあった?僕とママの繋がりから、昨夜激しい感情みたいなものが送られてきたんだけど。』
どうやらユーリには4属性竜の長たちとの『繋がり』だけではなく、俺とも繋がりがあるようだ。
そっか、ユーリには話しても良いかな……。
「実は昨夜、山田とテレビ電話で話している時にリッキーが部屋にやってきてね。どうせなら紹介しようと顔を合わせたら急に苦しみだして。どうやらリッキーは山田の生まれ変わりらしい。」
『……そっかぁ、神様が言っていた「その時」って、昨日の夜だったんだね。』
どうやらユーリは昨夜起こった出来事の内容を事前に知っていたみたいだ。
だけど、いつそれが起こるのかまでは知らなかったみたいだね。
「そういえばユーリ、お前かなり体が大きくなっていたな!さっき久々に元の姿を見たら、すごく大きくなっていて驚いたよ!」
俺がそう言って頭を撫でると、はにかんだ。
フフッ、すごく可愛いなぁ!
俺たちの仲がすごく良さそうなのを見ていた4属性竜の長達も、微笑ましいものを見るような目で見ている。
「それにしてもユーリ様がここにいるのはあと少しの間だと思うと、寂しくなりますな。」
「そうよねぇ……いっそのこと、ついていこうかしら?」
「レッカは無理だよ。火口の中に住んでいるくらいなんだからさ。」
「何よっ、そういうアクアも水の中じゃないとダメじゃない!」
「僕は別に構わないよ、水の中じゃなくても。だって魚じゃないからエラ呼吸なわけじゃないし。大きな体だから水の中が楽なだけで、こうやって人型ならどこでも大丈夫だし!」
「なんですってぇ!?私だって人型ならある程度大丈夫よ!今だって寒さには耐えてるんだから!」
「おいおいお前たち、そんなこと言ったって、ユーリ様が連れて行かないって言ったらそれまでなんだからな?落ち着けよ?」
どうやらユーリと離れるのが嫌な火と水の長はだんだんエスカレートしていってたが、土の長が間に入って宥めるとやっと落ち着いたようだ。
それにしても風の長はそれを見てニヤニヤしているあたり、ちょっと……ねぇ?
まぁ……ユーリに対する忠誠心はありそうだから、性格に関しては何も言うことはないだろう。
『……ママは夜にはあの家に帰らなきゃなんだよね?』
「そうだな、それがここに来るための約束だったから、もし守れないようならここに来るのを禁止されてしまうだろうな。」
『わかった……帰る時はわがまま言わない!だからそれまで一緒に遊ぼう?』
そう言って俺を見上げるユーリの目には薄っすら涙があるような気がする。
俺はユーリをぎゅっと抱きしめてやり、今日は何をしたいのか聞いてみた。
すると答えたのはユーリではなく、レッカさんだった。
「ちょっと聞きますけど、シエルさんはこの場にいる4属性のレベルはどれくらいですの?」
「えっとですね……火がレベル3、水がレベル3、土がレベル5、風がレベル4ですね。それがどうかしましたか?」
俺がそう答えると、レベルが高かったアースさんとグリーさんは喜び、レッカさんとアクアさんは少し残念がった。
「火魔法なんて戦闘に適していますのに、なんで低いのかしら……?」
「そうだよね、水もよく使うはずなのに、なんで低いんだろう?」
2人は不思議そうに首を傾げている。
「多分ですが、森とかの可燃物のある場所で戦うことが多かったので、火魔法はあまり使うことができなかったからだと思います。水魔法は案外使っているんですが、戦闘ではほとんど使ってないから上がりづらかったのかもですね。」
「なるほど、確かに森とかばかりで戦っていれば必然と風魔法を使うことが多いものね。でも、じゃあ土魔法はなんでレベルが高いのかしら?」
「それはこういう事ばかりしていたからだと思います。」
俺は実際にやってみせたほうが早かろうと、まずは調理台を作り、その上に陶器でできた箸や皿を置く。
それらは土で作った調理台や箸、皿をさらに魔力を注いで固めていき、石や陶器ほどまでに固めた上に魔力コーティングを施した品だ。
それを作る過程まで見ているので、まさかの土魔法の使用方法に開いた口が塞がらない4属性竜の長達とセバス。
まぁこんな使い方をする奴なんて、あまりいないだろうしね。
「こんな感じでよく土魔法を使っていたんですよ。」
「……そりゃあ土魔法のレベルが高いわけだわ。それだけたっぷりの魔力を使っていれば練度も高まるし、レベルも上がるもの。」
頷きながらそう言ったレッカさん。
アクアさんも納得したようだ。
アースさんはなんだか嬉しそう。
グリーさんなんて、なんでか腹を抱えて爆笑している。
……笑う要素あったっけ???
「土魔法のレベルが高いのに納得したからって、火と水のレベルが低いのには納得できないわね。よし、私とアクアで鍛えましょうよ!」
「そうだね!」
えっ、鍛えるの?2人が?
ユーリとの遊びはどうするの?
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