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第2章 エルフの隠れ里〜
夕飯を作ろう!
しおりを挟む俺たちはルーシェさんの転移魔法で元の場所へと戻ってきた。
「さて、これで君への転移魔法に関するテストは終了するよ。頑張ったね!短期間でここまで使えるようになるなんて、僕は思ってもみなかったよ。そこは『さすが異世界人』ってところなのかな?」
「本当に、ラーシェさんとルーシェさんには感謝しかないです。ありがとうございました!」
俺がルーシェさんにお礼を言うと、ルーシェさんは「いや、君の才能を埋もれさす訳にいかないから、気にしなくて良いよ!」と言って少し照れていた。
「ところでこの後、君はどうするの?まだ夕飯まで時間あるけど。」
「この後、俺は皆の夕飯作りに行きます。」
「なるほど、またシエルくんのご飯が食べられるんだね!?楽しみだなぁ~!!」
どうやらルーシェさんは俺の作る料理を楽しみにしてくれているようだ。
さて、今夜は魚にするって言っておいたから主菜は魚料理にしようと思うんだけど……他は何にしようかな?
俺はとりあえずルーシェさんと別れてキッチンへとやってきた。
鞄に手を入れてみると鮭の切身(骨取り済み)があった。
よし、久々に食べたいからちゃんちゃん焼きにしてみよう!
あ、その前にたぶん足りないからご飯を炊かなきゃね!
俺はまだご飯の入っている炊飯釜からご飯をラップを使って1食分毎に包んで鞄にしまい、空いた釜をきれいに洗ってからお米を研ぎ、また炊飯器のスイッチを押した。これでよし!
その後、鞄から鮭の切身とキャベツ、にんじん、玉ねぎ、もやし、しめじ、味噌、みりん、料理酒、バターを取り出し、アルミホイルと大きなフライパンを2つ、ボウル1つを出した。
まずはキャベツはざく切り、にんじんは短冊斬り、玉ねぎは縦に半分に切った後1cm程度にカットしていく。
しめじを割りほぐすのも忘れてはいけない。
具の準備ができたらボウルに味噌、みりん、料理酒を混ぜ合わせて合わせ調味料を作っておく。
すべての準備ができたらアルミホイルに軽くバターを塗り、その上にキャベツ、もやし、にんじん、玉ねぎ、しめじを順番に乗せていき、最後に鮭の切身を乗せ、その上から合わせ調味料をかけてからバターを一欠片乗せてアルミホイルをくるんで端をまとめれば完成だ!
これをフライパンに隙間ない程度に詰め込むと、蓋をして中火で蒸し焼きにしていく。
時々野菜や鮭に火が通っているか確認しつつ、他の料理を作っていこう!
次に作る材料を鞄から出していく。
取り出したのはキュウリ、ツナ缶、マヨネーズ、塩、ざる、スライサーだ。
ボウルは水魔法で綺麗に洗って再利用する。
まずはスライサーでキュウリをザルにスライスしていく。
全部スライスし終わったらそこに塩をかけて揉みこみ、ボウルにざるを乗せてしばらく放置する。
この時に塩は少なすぎると美味しくならないので注意だ。
10分ほど放置した後、それをザルの中でギュッギュッと絞る。
もう水分が出なくなったところでそのきゅうりをボウルに入れ、そこに油を切ったツナとマヨネーズを入れて混ぜ合わせる。
これで2品目も完成だ!
サラダを作り終わった後にちゃんちゃん焼きのアルミホイルを見るとこれも出来上がっていたので、2品ともすぐに鞄へ入れる。
3品目はスープにしようと思い、何にしようか考える。
主菜が和なのでやはりスープも和がよかろう。
と、なると……簡単に作れるのは具沢山の味噌汁だね!
鞄に手を突っ込むと、どんな野菜があるのか確認してみる。
なるほど、なるほど……野菜では使えそうなのはにんじん、玉ねぎ、大根があるようだ。
他にもこんにゃくと豆腐を出して……これだけ具だくさんなら食べ応えあるよね!
豆腐以外の具材を切って沸騰したお湯の入った鍋に入れたらアクを取りながら煮えるまで待ち、そこに顆粒昆布だしを入れて豆腐を入れて……一旦火を消して味噌を適量入れたら出来上がり!
これも冷めないように鍋ごとすぐに鞄に投入だ。
夕方から作り始めていたので、全部の料理が終わる頃にはもうすっかり日も暮れていた。
みんなも魔法の練習を終了し、食堂に集まっていたようだ。
「夕飯作り終わりましたけど、もう食べます?」
みんなに声を掛けると「お腹空いたよ~!」と、テーブルに突っ伏しているリッキーさんからそう言われた。みんなも頷いている!
ごめん、ごめん!お腹空いたよね!
俺はみんなに先ほど作ったアルミホイルに包まれたちゃんちゃん焼きを皿に乗せ、きゅうりのツナマヨサラダを器に盛って、具だくさん味噌汁とご飯を器によそって出してあげた。
俺は箸で食べるが、皆にはスプーンとフォーク、ナイフを出してあげた。
「これはどうやって食べるのじゃ?」
アルミホイルに包まれたちゃんちゃん焼きを指さしてラーシェさんから聞かれたので、「やってみせますので、見ててください。」と言い、俺が実際にやってみせることにした。
アルミホイルを開けると中からはバターのいい香りがした。
鮭をほぐして野菜や合わせ調味料と混ぜ合わせると、皆に向かって「こうやって混ぜて食べるんです。」と説明する。
皆も同じようにアルミホイルを開けると、歓声が上がった。
「うわぁ~、バターと味噌のいい匂いがする!美味しそうねぇ!」
「そっか、このかかっている味噌を具と混ぜ合わせれば良いんだな?」
エミリーさんとリッキーさんがそう言ってすぐに具を混ぜ合わせたようだ。
スコットさんとリリーさんはとりあえず混ぜずに、鮭を味噌につけてパクリと食べていた。
エルフの2人を見ると、2人はまず匂いを堪能しているようだ。
先に食べた4人は口々に美味いと良い、ご飯をかき込むように食べていた。
エルフの2人も皆の行動を見て、混ぜずに一口食べ、それからみんな混ぜて食べたようだ。
「どうです、美味しいですか?」
俺は笑顔でみんなに聞く。
「ああ、この味噌が鮭や野菜に絡まるとめちゃくちゃ美味いな!」
「味噌だけじゃなく、このバターも味にいい変化をあたえているようですよ?」
「そうだな、混ぜないで食べてみるとそれがよく分かる気がする。混ぜるとまた味が変化するからな。」
「それだけじゃないわ、この銀色の紙に残っている汁もスプーンですくってご飯にかけると、これもすごく美味しいわ!」
そんな4人の感想を聞いて、ラーシェさんとルーシェさんは「なるほど、試してみようか!」と言って、残った汁をご飯にかけている。
リッキーさんとスコットさんはもうご飯とちゃんちゃん焼きを食べ終わったようで、ちょっと物足りなそうな顔をしていたのでおかわりをあげた。
「まだまだこのホイル焼きはあるので、おかわり欲しい人は言ってくださいね!」
そう言うと、みんな嬉しそうに頷いた。
女性陣はサラダの方も気になったようで、そちらを食べ始めている。
「ちょっと、この野菜もただの野菜じゃなくてとても不思議な味がするわ!」
「それに野菜だけじゃなくて何かの魚?が入っているみたいですよ?」
そう言われて皆も食べ始めたようだ。
「確かに変わった味がするな!この白いソースが味の元か?」
「はい、マヨネーズっていいまして、野菜につけて食べても美味しいですよ!」
「なるほど、これは確かに美味いだろうな。とてもコクがあって美味い!」
具だくさん味噌汁も美味しいっていって喜んで食べていた。
良かった、みんな喜んでくれて。
作ったかいがあるというもんだよ!
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