90 / 128
第2章 エルフの隠れ里〜
夕飯を作ろう!
しおりを挟む俺たちはルーシェさんの転移魔法で元の場所へと戻ってきた。
「さて、これで君への転移魔法に関するテストは終了するよ。頑張ったね!短期間でここまで使えるようになるなんて、僕は思ってもみなかったよ。そこは『さすが異世界人』ってところなのかな?」
「本当に、ラーシェさんとルーシェさんには感謝しかないです。ありがとうございました!」
俺がルーシェさんにお礼を言うと、ルーシェさんは「いや、君の才能を埋もれさす訳にいかないから、気にしなくて良いよ!」と言って少し照れていた。
「ところでこの後、君はどうするの?まだ夕飯まで時間あるけど。」
「この後、俺は皆の夕飯作りに行きます。」
「なるほど、またシエルくんのご飯が食べられるんだね!?楽しみだなぁ~!!」
どうやらルーシェさんは俺の作る料理を楽しみにしてくれているようだ。
さて、今夜は魚にするって言っておいたから主菜は魚料理にしようと思うんだけど……他は何にしようかな?
俺はとりあえずルーシェさんと別れてキッチンへとやってきた。
鞄に手を入れてみると鮭の切身(骨取り済み)があった。
よし、久々に食べたいからちゃんちゃん焼きにしてみよう!
あ、その前にたぶん足りないからご飯を炊かなきゃね!
俺はまだご飯の入っている炊飯釜からご飯をラップを使って1食分毎に包んで鞄にしまい、空いた釜をきれいに洗ってからお米を研ぎ、また炊飯器のスイッチを押した。これでよし!
その後、鞄から鮭の切身とキャベツ、にんじん、玉ねぎ、もやし、しめじ、味噌、みりん、料理酒、バターを取り出し、アルミホイルと大きなフライパンを2つ、ボウル1つを出した。
まずはキャベツはざく切り、にんじんは短冊斬り、玉ねぎは縦に半分に切った後1cm程度にカットしていく。
しめじを割りほぐすのも忘れてはいけない。
具の準備ができたらボウルに味噌、みりん、料理酒を混ぜ合わせて合わせ調味料を作っておく。
すべての準備ができたらアルミホイルに軽くバターを塗り、その上にキャベツ、もやし、にんじん、玉ねぎ、しめじを順番に乗せていき、最後に鮭の切身を乗せ、その上から合わせ調味料をかけてからバターを一欠片乗せてアルミホイルをくるんで端をまとめれば完成だ!
これをフライパンに隙間ない程度に詰め込むと、蓋をして中火で蒸し焼きにしていく。
時々野菜や鮭に火が通っているか確認しつつ、他の料理を作っていこう!
次に作る材料を鞄から出していく。
取り出したのはキュウリ、ツナ缶、マヨネーズ、塩、ざる、スライサーだ。
ボウルは水魔法で綺麗に洗って再利用する。
まずはスライサーでキュウリをザルにスライスしていく。
全部スライスし終わったらそこに塩をかけて揉みこみ、ボウルにざるを乗せてしばらく放置する。
この時に塩は少なすぎると美味しくならないので注意だ。
10分ほど放置した後、それをザルの中でギュッギュッと絞る。
もう水分が出なくなったところでそのきゅうりをボウルに入れ、そこに油を切ったツナとマヨネーズを入れて混ぜ合わせる。
これで2品目も完成だ!
サラダを作り終わった後にちゃんちゃん焼きのアルミホイルを見るとこれも出来上がっていたので、2品ともすぐに鞄へ入れる。
3品目はスープにしようと思い、何にしようか考える。
主菜が和なのでやはりスープも和がよかろう。
と、なると……簡単に作れるのは具沢山の味噌汁だね!
鞄に手を突っ込むと、どんな野菜があるのか確認してみる。
なるほど、なるほど……野菜では使えそうなのはにんじん、玉ねぎ、大根があるようだ。
他にもこんにゃくと豆腐を出して……これだけ具だくさんなら食べ応えあるよね!
豆腐以外の具材を切って沸騰したお湯の入った鍋に入れたらアクを取りながら煮えるまで待ち、そこに顆粒昆布だしを入れて豆腐を入れて……一旦火を消して味噌を適量入れたら出来上がり!
これも冷めないように鍋ごとすぐに鞄に投入だ。
夕方から作り始めていたので、全部の料理が終わる頃にはもうすっかり日も暮れていた。
みんなも魔法の練習を終了し、食堂に集まっていたようだ。
「夕飯作り終わりましたけど、もう食べます?」
みんなに声を掛けると「お腹空いたよ~!」と、テーブルに突っ伏しているリッキーさんからそう言われた。みんなも頷いている!
ごめん、ごめん!お腹空いたよね!
俺はみんなに先ほど作ったアルミホイルに包まれたちゃんちゃん焼きを皿に乗せ、きゅうりのツナマヨサラダを器に盛って、具だくさん味噌汁とご飯を器によそって出してあげた。
俺は箸で食べるが、皆にはスプーンとフォーク、ナイフを出してあげた。
「これはどうやって食べるのじゃ?」
アルミホイルに包まれたちゃんちゃん焼きを指さしてラーシェさんから聞かれたので、「やってみせますので、見ててください。」と言い、俺が実際にやってみせることにした。
アルミホイルを開けると中からはバターのいい香りがした。
鮭をほぐして野菜や合わせ調味料と混ぜ合わせると、皆に向かって「こうやって混ぜて食べるんです。」と説明する。
皆も同じようにアルミホイルを開けると、歓声が上がった。
「うわぁ~、バターと味噌のいい匂いがする!美味しそうねぇ!」
「そっか、このかかっている味噌を具と混ぜ合わせれば良いんだな?」
エミリーさんとリッキーさんがそう言ってすぐに具を混ぜ合わせたようだ。
スコットさんとリリーさんはとりあえず混ぜずに、鮭を味噌につけてパクリと食べていた。
エルフの2人を見ると、2人はまず匂いを堪能しているようだ。
先に食べた4人は口々に美味いと良い、ご飯をかき込むように食べていた。
エルフの2人も皆の行動を見て、混ぜずに一口食べ、それからみんな混ぜて食べたようだ。
「どうです、美味しいですか?」
俺は笑顔でみんなに聞く。
「ああ、この味噌が鮭や野菜に絡まるとめちゃくちゃ美味いな!」
「味噌だけじゃなく、このバターも味にいい変化をあたえているようですよ?」
「そうだな、混ぜないで食べてみるとそれがよく分かる気がする。混ぜるとまた味が変化するからな。」
「それだけじゃないわ、この銀色の紙に残っている汁もスプーンですくってご飯にかけると、これもすごく美味しいわ!」
そんな4人の感想を聞いて、ラーシェさんとルーシェさんは「なるほど、試してみようか!」と言って、残った汁をご飯にかけている。
リッキーさんとスコットさんはもうご飯とちゃんちゃん焼きを食べ終わったようで、ちょっと物足りなそうな顔をしていたのでおかわりをあげた。
「まだまだこのホイル焼きはあるので、おかわり欲しい人は言ってくださいね!」
そう言うと、みんな嬉しそうに頷いた。
女性陣はサラダの方も気になったようで、そちらを食べ始めている。
「ちょっと、この野菜もただの野菜じゃなくてとても不思議な味がするわ!」
「それに野菜だけじゃなくて何かの魚?が入っているみたいですよ?」
そう言われて皆も食べ始めたようだ。
「確かに変わった味がするな!この白いソースが味の元か?」
「はい、マヨネーズっていいまして、野菜につけて食べても美味しいですよ!」
「なるほど、これは確かに美味いだろうな。とてもコクがあって美味い!」
具だくさん味噌汁も美味しいっていって喜んで食べていた。
良かった、みんな喜んでくれて。
作ったかいがあるというもんだよ!
451
お気に入りに追加
1,364
あなたにおすすめの小説
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。
スキルが農業と豊穣だったので追放されました~辺境伯令嬢はおひとり様を満喫しています~
白雪の雫
ファンタジー
「アールマティ、当主の名において穀潰しのお前を追放する!」
マッスル王国のストロング辺境伯家は【軍神】【武神】【戦神】【剣聖】【剣豪】といった戦闘に関するスキルを神より授かるからなのか、代々優れた軍人・武人を輩出してきた家柄だ。
そんな家に産まれたからなのか、ストロング家の者は【力こそ正義】と言わんばかりに見事なまでに脳筋思考の持ち主だった。
だが、この世には例外というものがある。
ストロング家の次女であるアールマティだ。
実はアールマティ、日本人として生きていた前世の記憶を持っているのだが、その事を話せば病院に送られてしまうという恐怖があるからなのか誰にも打ち明けていない。
そんなアールマティが授かったスキルは【農業】と【豊穣】
戦いに役に立たないスキルという事で、アールマティは父からストロング家追放を宣告されたのだ。
「仰せのままに」
父の言葉に頭を下げた後、屋敷を出て行こうとしているアールマティを母と兄弟姉妹、そして家令と使用人達までもが嘲笑いながら罵っている。
「食糧と食料って人間の生命活動に置いて一番大事なことなのに・・・」
脳筋に何を言っても無駄だと子供の頃から悟っていたアールマティは他国へと亡命する。
アールマティが森の奥でおひとり様を満喫している頃
ストロング領は大飢饉となっていた。
農業系のゲームをやっていた時に思い付いた話です。
主人公のスキルはゲームがベースになっているので、作物が実るのに時間を要しないし、追放された後は現代的な暮らしをしているという実にご都合主義です。
短い話という理由で色々深く考えた話ではないからツッコミどころ満載です。
クラス転移から逃げ出したイジメられっ子、女神に頼まれ渋々異世界転移するが職業[逃亡者]が無能だと処刑される
こたろう文庫
ファンタジー
日頃からいじめにあっていた影宮 灰人は授業中に突如現れた転移陣によってクラスごと転移されそうになるが、咄嗟の機転により転移を一人だけ回避することに成功する。しかし女神の説得?により結局異世界転移するが、転移先の国王から職業[逃亡者]が無能という理由にて処刑されることになる
初執筆作品になりますので日本語などおかしい部分があるかと思いますが、温かい目で読んで頂き、少しでも面白いと思って頂ければ幸いです。
なろう・カクヨム・アルファポリスにて公開しています
こちらの作品も宜しければお願いします
[イラついた俺は強奪スキルで神からスキルを奪うことにしました。神の力で学園最強に・・・]
システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。
大国 鹿児
ファンタジー
輪廻転生のシステムのバグで輪廻の輪から外れちゃった!
でも神様から便利なチートグッズ(笑)の詰め合わせをもらって、
他の星に転生しました!特に使命も無いなら自由気ままに生きてみよう!
主人公はチート無双するのか!? それともハーレムか!?
はたまた、壮大なファンタジーが始まるのか!?
いえ、実は単なる趣味全開の主人公です。
色々な秘密がだんだん明らかになりますので、ゆっくりとお楽しみください。
*** 作品について ***
この作品は、真面目なチート物ではありません。
コメディーやギャグ要素やネタの多い作品となっております
重厚な世界観や派手な戦闘描写、ざまあ展開などをお求めの方は、
この作品をスルーして下さい。
*カクヨム様,小説家になろう様でも、別PNで先行して投稿しております。
転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。
襲
ファンタジー
〈あらすじ〉
信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。
目が覚めると、そこは異世界!?
あぁ、よくあるやつか。
食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに……
面倒ごとは御免なんだが。
魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。
誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。
やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。
聖女として召還されたのにフェンリルをテイムしたら追放されましたー腹いせに快適すぎる森に引きこもって我慢していた事色々好き放題してやります!
ふぃえま
ファンタジー
「勝手に呼び出して無茶振りしたくせに自分達に都合の悪い聖獣がでたら責任追及とか狡すぎません?
せめて裏で良いから謝罪の一言くらいあるはずですよね?」
不況の中、なんとか内定をもぎ取った会社にやっと慣れたと思ったら異世界召還されて勝手に聖女にされました、佐藤です。いや、元佐藤か。
実は今日、なんか国を守る聖獣を召還せよって言われたからやったらフェンリルが出ました。
あんまりこういうの詳しくないけど確か超強いやつですよね?
なのに周りの反応は正反対!
なんかめっちゃ裏切り者とか怒鳴られてロープグルグル巻きにされました。
勝手にこっちに連れて来たりただでさえ難しい聖獣召喚にケチつけたり……なんかもうこの人たち助けなくてもバチ当たりませんよね?
魔力無しだと追放されたので、今後一切かかわりたくありません。魔力回復薬が欲しい?知りませんけど
富士とまと
ファンタジー
一緒に異世界に召喚された従妹は魔力が高く、私は魔力がゼロだそうだ。
「私は聖女になるかも、姉さんバイバイ」とイケメンを侍らせた従妹に手を振られ、私は王都を追放された。
魔力はないけれど、霊感は日本にいたころから強かったんだよね。そのおかげで「英霊」だとか「精霊」だとかに盲愛されています。
――いや、あの、精霊の指輪とかいらないんですけど、は、外れない?!
――ってか、イケメン幽霊が号泣って、私が悪いの?
私を追放した王都の人たちが困っている?従妹が大変な目にあってる?魔力ゼロを低級民と馬鹿にしてきた人たちが助けを求めているようですが……。
今更、魔力ゼロの人間にしか作れない特級魔力回復薬が欲しいとか言われてもね、こちらはあなたたちから何も欲しいわけじゃないのですけど。
重複投稿ですが、改稿してます
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる