異世界漫遊記 〜異世界に来たので仲間と楽しく、美味しく世界を旅します〜

カイ

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第2章 エルフの隠れ里〜

魔法を教わろう! 1

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あれから長老の家に戻り、お風呂に入ったらそれぞれの部屋へと戻った。

ちなみにセバスは俺の部屋がツインの部屋だったので(皆もツインで、男性陣と女性陣で別れている)、もう一つのベッドを使ってもらうことになった。

俺はベッドにユーリと入り、しっかりと抱きしめた。

ユーリは嬉しそうに俺の服に顔をスリスリしていたが、今日はよほど疲れたのかいつの間にか寝てしまったようだ。

俺はそんなユーリを撫でながら、いつの間にか眠りの世界へと旅立った。

朝になってご飯を食べに食堂へ向かい、またもや俺の鞄からサンドウィッチとスープを出して、サラダを作った。

朝はやっぱり軽めが良いよね……と思ったのは俺とラーシェさんだけだったようだ。

他の皆は物足りなそうだったので、俺が作った唐揚げを出してあげた。

するとスコットさん達だけじゃなく、なんとラーシェさんも1つ取ったようだ。

「このお肉は柔らかくて不思議な味がしますなぁ。年を取るとあまり朝は軽めが良いものでしたが、少しならば食べられそうですのぉ。」

そう言いながらもう一つ、と手を伸ばすラーシェさん。

皆は『我先に!』と食べているので、ルーシェさんも美味しいと思っているんだろう。

それから朝食が終わるとそれぞれ習いに分かれることになり、ユーリは少し寂しそうだったがセバスについていく。

俺は別れ際にユーリをぎゅっと抱きしめてやり、「お互いに頑張ろう。できるだけ早くそっちに行けるようにするからな。」と言って送り出してやった。

俺以外のメンバーがどうしたのかと尋ねてきたので昨日のセバスとのやり取りを話して聞かせる。

それを聞いてリッキーさんは俺と同じく「早く迎えに行ってやろうぜ!」と俺の肩を叩きながらそう言ってくれた。俺も頑張らなきゃね!

それから俺たちとルーシェさんはラーシェさんに連れられて家の裏手へとやってきた。

そこは森の手前が広場みたいになっているので、ある程度魔法を使っても大丈夫そうだ。

「おじいちゃん、スコットを除くリリー達3人には強力な魔法を、シエルくんには強力な魔法の他に時空間魔法の転移系を教えてやってほしいんだ。特に転移系は大事だから、しっかりシエルくんに教えてやってね!僕はまずリリー達3人に教えるから。」

「分かった、分かった!とりあえずわしはシエルくんを教えればよいのだな?じゃあシエルくん、こっちへ来るのじゃ。」

そう言ってラーシェさんと森の近くの方へ歩いていく。

皆とかなりの距離を取るとラーシェさんは振り返った。

「さて、ここまで離れれば大丈夫じゃろ。さすがにあやつが教えるとなるとかなり強力な魔法じゃろうからのぉ。……ではまずシエルくん、君の時空間魔法のレベルを知りたいのじゃが……ステータスを開いてみてはもらえんか?」

俺はそう言われたのでかなり久しぶりにステータスを開いてみた。

『ステータス』

【名前】シエル
【種族】ハイヒューマン(異世界人)
【年齢】14歳
【職業】冒険者、料理人
【レベル】20
【体力】5500
【魔力】10500
【攻撃力】5500
【防御力】5500
【素早さ】5000
【運】7777
【スキル】
     鑑定…レベル4
     火魔法…レベル3
     水魔法…レベル3
     土魔法…レベル5
     風魔法…レベル4
     光魔法…レベル3
     闇魔法…レベル1
     神聖魔法…レベル2
     時空間魔法…レベル4
     剣術…レベル4  
     短剣術…レベル2

【固有スキル】
     インターネット
     異次元ポケット
     神魔獣使役術
     経験値倍化

【称号】

     異世界から来た異邦人
     神に選ばれし者
     コック長

……。
……なんか、職業増えてる。
料理人になった覚えないんだけど?

しかも称号に「コック長」なんてあるんだけど……もしや皆に指示を出してあれこれやってもらっていたからか?

とりあえずそこは見なかったことにして、数値とスキルのレベルを見る。

相変わらず数値はすごいな……。

あ…魔法のレベル、いくつか上がっている!

時空間魔法は使った覚えなかったけど、そういえば鞄の新しい機能が時空間魔法を利用しているって聞いたなぁ。それのせいかな?

とりあえずラーシェさんに時空間魔法のレベルを告げる。

「ほう、もうレベル4なんですな?それならば発動はできそうな感じですな。まずは『物を移動する』魔法から始めますかな。」

そう言ってラーシェさんは俺を見る。

「ではまずシエルくんの魔法の使い方を聞きたいのじゃが、君の場合はもしかすると無詠唱で使ってはおらんかね?」

「……考えてみればそうですね。」

「そうだと思ったよ。通常は略式でも詠唱はするのじゃが、君は異世界人だから詠唱を覚えるよりも先に『頭の中で想像する』事のほうが容易だったのじゃろう。まあ詠唱をする意味としては『しっかりと自分がやりたいことを想像することかできるようになる』為なので、そもそも想像力が高い君の場合は詠唱が必要なさそうじゃ。だから君の場合は『これから自分が行いたい事』をしっかりと想像することが重要なんじゃよ。」

そうラーシェさんから言われて、俺は納得した。

確かに今まで俺が魔法を使う時はしっかりとイメージを固めてから使っていたように記憶している。

そしてしっかりとイメージが出来ている場合は予定している規模の魔法より強力なものになるようだ。

なるほど、それも今のラーシェさんの言葉で証明されたようなものだ。

「じゃあ『物を移動する』魔法なら、『移動する物』を『移動する場所』に瞬間移動させるイメージが必要、というわけですね?」

「そうじゃ。一度教えただけじゃが、原理をしっかりと理解できておるようじゃな。では早速、試してもらおうかのぉ。最初はこれじゃ。」

そう言って取り出したのはオレンジのような果物だった。

それを俺の手のひらに乗せるとラーシェさんは移動を始めた。

「これを少し離れた場所にいるわしの手の上に移動させてみてもらえるかの?わしが移動場所に着いたら開始じゃ。」

俺との距離は大体10mほど離れると歩くのをやめ、俺の方を振り返った。

それを合図に俺はラーシェさんの手のひらを想像し、その上にオレンジを乗せるイメージをしっかりとすると「ラーシェさんの手の上」と言ってみる。

すると俺の手にあったオレンジが消えた。

その瞬間にラーシェさんから「成功じゃな!」と声をかけられる。

しばらく同じようなことをどんどん距離を伸ばして試していく。

するとちゃんと想像ができている時は成功し、少しでも集中力を欠くと失敗するようだ。

やはりこれには相当な集中力が必要なんだということがわかる。

これが移動する『物』が人だった場合、失敗したなんて言ってられないからな。

その為、まずはこの魔法を安定させることが大事だと思い、しっかりと練習を熟した。

そしてお昼を挟み、何とか今日の夕方には「外にいる俺が、オレンジを家の中のキッチンのテーブルの上に移動させる事」に100%成功できるようになったのだった。
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