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第1章 出会い〜旅の始まり
出発前日 2
しおりを挟むしばらくするとみんなが頼んだ品が続々と運ばれてきた。
俺と同じメニューを頼んだのはエミリーさんとリリーさんの2人だけ。
残りの男性陣は全てブルステーキを頼んでいたよ!
確かにステーキも美味そうだ……!
とりあえずステーキは次に頼もうと思うが、まずは目の前のブルシチューだね!
美味しかったらこそっとユーリにも持って帰ってやろうかな?
俺はブルシチューをひと匙すくって口に入れる。
ん~~!!なんてコクがあって旨いんだ!
今までもオークや他の牛系の肉のシチューを食べてきたけど、これが一番美味しいよ!
ものすごく濃厚な味で、すぐにパンが欲しくなるなぁ。
絶対パンにのせるととっても美味しいと思うんだ!
一緒に煮込んである人参やじゃがいもも、とても味が染みていて美味しいよ。
俺がブルシチューを堪能している間に男性陣はブルステーキを食べ終わってしまったようだ。食べるの、めっちゃ早くない!?
結局俺はブルシチューとブルステーキの2品だけしか腹に入らなかったよ。
ステーキ、もう少し小さくしてもらえば良かったなぁ。
皆は俺と違って胃袋がでかいらしく、俺と同じ時間で4品も5品も食べている猛者もいたよ!
俺はユーリの為にブルシチューを新たに別容器を渡して頼み、ステーキは三分の一ほど先に取り分けて別皿に移して鞄に入れておいたから、部屋に帰ったらご飯と一緒に出してあげようっと。
どうやら皆は食後にお酒を飲むらしく、シチューを受け取ったら俺だけ先に部屋に戻った。
部屋に着くとソファーに座る前に鞄からユーリが飛び出てきた。
いつも思うけど、タイミングが良いよね~?
やっぱり顔、出してる?
とりあえずお腹空いているだろうから、ユーリにさっき食堂で貰ってきたシチューとステーキを出してやる。
テーブルの上に置いて、シチューは皿にご飯を盛った上にカレーみたいにかけて、ステーキは食べやすいように一口大に切り分けてあげたよ。
準備が完了すると、喜んだユーリがテーブルまで飛んでいった。
……なんか、既視感あるんだけど?
ユーリが美味しいって言いながら食べている間に、俺は山田から連絡来てないかのチェックをした。
どうやらまだ見てはいないらしく、既読がついていなかった。
そうなると途端に暇になる。
何してよっかなぁ~……。
……。
………。
…………。
ハッ!
あまりに暇なのと満腹なのもあって、つい寝てしまった!
今日も朝からブル狩りやギルドに行ったり、パン屋さんに行ったり、そしてまたギルドに行き、最後に酒屋さんに行ったりで、相当体を使ったからなぁ。
こうやって1日何したのか振り返るとめちゃくちゃ忙しかったんだね。
通りで疲れてるわけだ!
……お風呂入ってもう寝ようかな?
俺がそう思って準備をし始めた時、俺の部屋のドアをノックする音が聞こえた。
「……誰ですか?」
するとドアの外からはリッキーさんの声が聞こえた。
「俺だ、リッキーだ。みんなで酒を飲んでいたんだが、シエルがお風呂入ってなかったことに気がついて、俺だけ先に抜けてきたんだ。一緒に行くか?」
「はい、行きます!」
俺はそう返事をするとすぐにお風呂道具を持ち、夕飯を食べ終わったユーリには鞄に入っているように伝えて鞄に戻ってもらった。
それから俺達は揃ってお風呂に向かう。
風呂場は時間が遅いのもあり、誰もいなかった。
服を脱いで浴室に入り、いつものようにシャワーを浴びようと思ったが、ここでふと思い出した。
「そうだよ、俺、シャンプーやボディーソープ、体洗うタオル持っていた!」と。
急いで脱衣場に戻って鞄からその3点を取り出し、また浴室に戻った。
「どうした、シエル?なんか持ってきたようだけど、それ何だ?」
リッキーさんは不思議そうな顔でシャンプーとかを見ている。
「これは俺の国で使っていた頭を洗う石鹸?と体を洗う液体石鹸です。使ってみます?」
俺はお湯で濡らした髪にシャンプーをつけてからリッキーさんに渡した。
リッキーさんは不思議そうながら俺を真似て髪につけて洗っている。
「……なんか変な感じだな。色は黒いし、匂いはなんだか炭っぽい匂いするし。」
「ああ、これは頭皮がしっかり洗えるように炭配合のシャンプー……液体石鹸なんです。」
それからシャンプーをお湯で流し終わると髪はサラサラに。
驚いたリッキーさんが俺を見る。
そう、このシャンプーはリンスが入っているから、洗うと髪がサラサラになるんだよね!
こっちの石鹸で洗うのに慣れてしまったのもあって、俺も少し驚いていたりする。こんなに違うんだ!
「凄いな、これ!髪がサラサラだ!」
「そうなんですよ、これ、髪がサラサラになるものが入っているんですよね。乾かすともっとわかりますよ?」
「それは楽しみだな!」
それから2人で色々な話をしつつ湯船に浸かり、お風呂から上がった。
風呂上がりにドライヤーで髪を乾かすとものすごくサラサラになった。
これまたリッキーさんは驚いていたが、自分の髪を触りながら「これは明日、大変なことになるな……。」と呟いた。
ん?大変なことってなんだ???
それから2人で部屋まで戻る。
どうやら皆はまだ食堂で飲んでいるようで、部屋にはいないみたい。
みんな飲みすぎないようにね!
俺はそう思いつつ、リッキーさんと別れて部屋に入る。
部屋に入るとまたもやユーリが鞄から飛び出てきた。
そしていつもの定位置にくっつくと、俺はそのままベッドへと向かった。
鞄をソファーの上に置き、スマホだけ枕元に持ってきて、ベッドにユーリごと横になる。
一応スマホチェックをすると山田からは「じゃあ次の休みの時にまたお前の兄姉と会うから、その時に買って入れておくよ。」と返事が来ていた。
俺はなんとか睡魔に抗いながら山田にお礼の返事を書くと、そのままスマホを持ったまま深い眠りへと落ちてしまった。
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