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第一章 出会い〜旅の始まり

ブル狩りをしよう!

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みんな、スコットさんを見ている。

あまりに俺達が何もしないからか、ちらほら見ていたブルももうこちらを見ている個体がいなくなった、その瞬間に合図が出された。

俺はその瞬間、近場にいるブルを躊躇なく首をはねて瞬殺し、それをかわきりに次々と首をはねていく。

この刀を使用すると、まるで豆腐を切っているかのようにあまり手応えなく切れていく。

一気に10頭ほど倒した後に周りを見ると、みんなも同じく数頭ずつ倒していた。

他のブル達はこの戦いを見て自分だけでも逃げようと思っているのか、同じ方向に逃げるのではなく散り散りに逃げていった。

俺達はブルの反撃に遭わないことを確認してから、自分たちの成果を各々のマジックバッグに入れていく。

俺も鞄の中にブルをしまっていく。

首を切ったからか意外と血抜きがされていたようだ。

「この後はギルドに行くか?さすがにブルはうちらで解体するには大きすぎる。」

「でも全部解体してもらうには時間が足りなくないか?」

「まぁ、それは解体人数にもよるが、明日出発するまでにできる数だけ置いていこう。じゃあちょっと早かったがもう戻るか。」

スコットさんのその言葉で皆は西門に向かった。

門のところでは門番さんに「かなり早かったけど何かあったのか?」と言われたが、スコットさんが代表して「いや、目当てのものが手に入ったから帰ってきただけだよ。」と答えてくれた。

それを聞いた門番さんは頷いて俺たちを中に通してくれた。

中に入ると真っ先にギルドへ向かう。

まだ早い時間なのもあり、ギルド内には冒険者が結構いた。

俺達は解体受付に向かい、解体をしてもらうためにまたもや裏にある倉庫へと向かう。

倉庫前に行くとドアは開け放たれていたので、そこから中に声を掛けると何時ものおじさんがこちらへ来た。

「おう、今日はどうした?また何か持ってきたのか?」

「ああ、実はさっき西門から出た牧草地でブラックブルを狩ってきたから解体してもらいたくてな。明日、俺たちはこの街を出発する予定だから、それまでにできる数だけ置いていきたいんだが、どのくらいできそうだ?」

それを聞いておじさんはびっくりした顔をした。

「明日出発だってぇ!?えらい近々な出発だなぁ!とりあえず今日は持ち込みの依頼が少ねぇからほぼ総出で解体できるからかなりの数を受けられるぞ。どのくらいあるんだ?ここに出してみろや。」

おじさんはそう言って解体場の一角を指さす。

それから俺達は自分の鞄からブラックブルを次々出していく。

俺は自分のも合わせて出していったブルを数えていたが、合計で40頭だった。

それを見ていたおじさんはさすがにその数は無理だと、30頭だけ引き取って、残りは俺の収納にしまうことに。

それからおじさんに「肉は買取に出さず、全てこちらに戻してもらいたい」事を伝えた。

「これ全部をかぁ!?少しぐれぇこっちにも回してくんねぇかな?こんなにあるんだしよぉ?」

「あ、ならまだ解体していない10頭を時間停止のマジックバッグに入れて、後から解体するのではだめですか?」

「ああ、そういやぁそういう事もできらぁな!よし、じゃあそれで手を打とうじゃねぇか!おう、オメェら、気合い入れてこれを解体するぞ!!」

「「「「「おうっ!!」」」」」

おじさんがそう言うと、いつの間にかそばにいた解体職人の人たちが声を揃えて気合を入れた返事をした。

それからは凄かった!

みんなで手分けして5台ある解体台の上に1頭ずつ乗せていき、1頭につき2人で解体を始めたのだ。

ものすごく慣れた手つきで素早く解体を進めていく解体職人たち。

あまりにも見事な解体に見入っていると、あっという間に最初の2頭が解体されてきた。なんて早いんだ!

「おらよ!最初の2頭が出来上がったぞ?大体の部位で切り分けてあるからな。解体料金は買取料金と相殺しきれなかったら請求するが、30頭分の肉以外の部位は買い取るから、多分うちが支払うことになると思うがな!まぁ、明日来た時に分からぁな!」

おじさんはガハハと笑いながらスコットさんの背中をバンバンと叩いている。……い、痛そうだな。

俺がブルの肉を鞄にしまったら、俺達はギルドをあとにする。

ギルドを出るととりあえず屋台広場へ向かった。

朝ごはんにはちょっと遅いかなと思われる時間なので、広場のテーブルには簡単に座れた。

「さて、思った以上に早く予定が終わってしまったが、この後何をしようか?」

スコットさんにそう言われてみんなで考える。

う~ん……買い物ももうある程度買ったからなぁ……?

俺はぼんやりと屋台の方を見ていたが、ふと思い出した。
そうだ、パンの在庫がない!

「もしだったらパンを買いに行ってもいいですか?俺は米があれば全然いいんですが、皆さんはパンも食べますよね?」

「そうだな、確かにパンも食べたい時もあるよな。それに、次に行くのはエルフの隠れ里だし、こうやって売っているとは限らないからな。シエルの鞄に在庫をたっぷり増やしておいたほうがいい気がするんだが、みんなはどう思う?」

リッキーさんがみんなに向かってそう言うと、みんな頷いて「買いに行こう!」と口々に言う。

みんなもパンが必要だということで、リッキーさんの案内で美味しいパン屋さんに向かった。
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