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第1章 出会い〜旅の始まり
俺の兄姉
しおりを挟む兄さんから実家の蔵に『当時の先祖が実際に使用していた日本刀が眠っている』事を聞かされ、俺と姉さんの2人は驚いた。そんなの知らなかったよ!
蔵には危険物もあるから近づくなと父に言われていたけど、ホントだったんだな!
「……でも、それって悠馬に渡すものじゃないの?」
俺がそう言うと兄さんは首を横に振った。
悠馬っていうのは兄さんと惠美さんの子供で、年齢はちょうど今の俺と同い年だ。
兄たちは大学時代の同級生で、卒業したらすぐに結婚したんだよね。
「悠馬には武術のみの継承でいいと思う。下手に本物の日本刀なんて持っているのがばれてなんかあったら嫌だしな。」
そう、兄の話でわかる通り、俺たちの一族にはご先祖様から続く、『刀』の扱い方を男児は幼い頃から学ばされる。
もちろんそれは、俺も同じだ。
だけど魔物とはいえ『生き物』を相手に実際に戦うのは初めてだから、ものすごく勇気がいったけどね。
リッキーさんに色々教えてもらっているうちに当時の感も思い出してきたし、リッキーさんには感謝だね!
ともかく、多分だからゴーダさんに刀を譲ってもらえたんだと思う。
……そう考えると、ある意味ものすごい偶然の『御縁』だよなぁ。
「じゃあ、もしかしてだけど、兄さんと悠馬はこっちでも戦えるんじゃない?」
俺がそう兄さんに言うと、兄さんもその可能性に気づいたようだ。
「そうだな、お前が戦えるってことは、俺も戦える可能性があるってことだよな……?」
「じゃあさ、使えるかわからないけど、『ステータスオープン』って言ってみて!」
俺が言うと、2人は揃って『ステータスオープン』と言った。
……姉さんまで、何故言った?
「どう?画面出た?」
「なんか目の前に透明な板が出て、文字が書いてあるんだが……この数値が高いのか低いのかよくわからんな。」
「右に同じく!」
なるほど、確かに2人は基準値がわからないもんな!って、俺もわからないけど!
「じゃあ俺が鑑定して2人のステータスを見るけど、良い?」
俺は2人にそう断ってから鑑定をかける。まずは兄さんからだ。
『鑑定結果』
【名前】沖 悠騎
【種族】異世界人
【年齢】37歳
【職業】喫茶店の店主
【レベル】1
【体力】250
【魔力】50
【攻撃力】280
【防御力】200
【素早さ】190
【運】333
【スキル】剣術…レベル9
【固有スキル】
ボーイスカウト
剣の師範
【称号】
異世界から来た異邦人の兄
……な、なるほど、固有スキルって自分の過去の経験から作られるスキルなのかな?
兄さんは小さい時からボーイスカウトに通っていたし、うちの一族の中では直系なのもあって『師範』の地位にいるしね。
だから剣術のレベルも俺なんかよりも全然高いし!さすが師範!
さてさて、姉さんも何故かステータスを開いたみたいだし、鑑定してみるかな!
『鑑定結果』
【名前】沖 友梨佳
【種族】異世界人
【年齢】32歳
【職業】OL
【レベル】1
【体力】150
【魔力】300
【攻撃力】130
【防御力】100
【素早さ】220
【運】333
【スキル】
水魔法…レベル1
風魔法…レベル1
光魔法…レベル1
【固有スキル】
ガールスカウト
【称号】
異世界から来た異邦人の姉
姉さんはやっぱり女性だから、兄さんより全体的に数値が低いね。
でも兄さんと違って魔法が使えるんだね!
魔法のレベルはこれから上げれば良いんじゃないかな?
それに固有スキルのガールスカウトも、本人が過去に行っていたものだしね。
やっぱり固有スキルってそういうものなんだね。
「兄さんたちのステータスを見たけど、森の浅いところなら普通に狩りとかできると思うな。」
俺が2人にそう言うと、2人共なんかワクワクした顔をしだした。
「でも今は俺、仲間がいて、その人達と行動を共にしているんだよ。だからすぐには一緒に行動できないかも……?特に明日は皆とギルドに行ったりする約束をしているから、街の案内とかは無理かな。」
「なんだ、それは残念だな。お前の友人の山田君は明日も休みらしいから、この際うちに一泊してもらって、また明日俺たちをここに送ってもらって街を楽しもうと思っていたのにな。」
残念そうな顔をして兄さんがそう言うと、姉さんもがっかりした顔をした。
「で、でも!もしだったら買い物は兄さんたちと出かけても良いかもだし、明日聞いてみるよ!」
俺がそう言うと、それまでずっと黙っていたユーリが急に話し出した。
『ママ、まだ仲間に家族の紹介は早いよぉ。もう少しそこの2人がこの世界に慣れてからにしたらぁ?』
なるほど、そういう考えもあるか。
じゃあスノーホワイトと兄さん達の団体行動はちょっと無理か?
そうすればなかなか楽しそうだと思ったんだけどなぁ。
「良いよ、お前の仲間に無理やり会いたいわけじゃない。お前と出かけたいだけだからな。だからそこだけ聞いてみてくれないか?」
「うん、わかった!明日の朝、聞いてみるね!」
それから俺達はそれぞれの近況なんかを話していた。
まるでこの空間は異世界にいるとは思えなくて。
……なんかお盆や正月に実家に集まったような、そんな感じだな。
ふとそんな事を思って、俺はくすっと笑ってしまった。
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