異世界漫遊記 〜異世界に来たので仲間と楽しく、美味しく世界を旅します〜

カイ

文字の大きさ
上 下
54 / 196
第1章 出会い〜旅の始まり

閑話 山田の休日 3

しおりを挟む
「……じゃあ、これからどうする?しーちゃんの都合的には夜にならないとその鞄の中には入れないんでしょ?」

「そうだな、いつもだいたい話すのは夜だし。じゃあ、とりあえず紫惠琉の為に食材と調味料を買いますか!」

それから俺たちは、一緒にスーパーに買い物に行った。

どうせ紫惠琉の鞄は時間停止しているのだから何を入れても腐らないので、いろんな食材を買ってやることにした。

まずは紫惠琉との共用財布を取り出してみる。

先立つものがないと買えないからな!

財布の中身は前回見た時より2万ほど増えていた。

資金はまぁ潤沢な方なので、まんべんなくいろんな物をカートに入れた。

特にあちらでは購入できないような物を多めにする。

例えば卵や牛乳、豆腐、納豆は必須だろう。あ、海苔もいるかな?

他にもデザートの素になるものや中華系の調味料、鍋の素、醤油などの和食用調味料を一式、焼肉のたれやステーキのタレなんかの調味料も多めに買っておく。

やっぱり旅の途中で作るなら、手軽に味付けできるものもいるだろうからな!

そういえばあちらではどんな肉が手に入るんだろう?

でもまあ、ひき肉なんてものは作るの大変そうだから大量に入れておくか!

俺はすぐには返事が来ないのはわかっていたが、それでも一応メッセージを送っておいた。

とりあえず、こちらのお肉もある程度買って入れておくことにしよう。

すぐに使えるしな。

さて、レジに向かおうか!というところで紫惠琉から返信が来たようだ。

『部屋の中身はみんな鞄に入れてくれたみたいだな。無事に契約解除はできたか?あと、今は外出中だから通話はできない。肉はこっちでも手に入るが、やっぱりそっちのもある程度欲しいかな!』

そう返事が返ってきた。

なるほど、今は出かけているんだな。

友梨佳さんに紫惠琉からの返信を見せると「じゃあ夜まで一緒にいなきゃ。買い物終わったらどうする?」って聞かれた。

そうだなぁ……とりあえずどこかのカフェにでも入るか。

何か甘いものを食べたりしていれば、長いこと店にいても

「どこか美味しいデザートを出すカフェとか知ってます?」

すると少し考える素振りがあったが、すぐに笑顔で頷いた。

「じゃあ……連れていきたいところがあるわ!」

そう言うとスタスタと先を歩く友梨佳さん。

一体どこに行くんだろう?


とりあえずしばらくついていくと、カフェというより喫茶店って感じのレトロな店に着いた。

友梨佳さんは中に入るなり店員さんに声を掛ける。

「ねぇ、兄さん居る?」

えっ、お兄さんの店!?なんで!?

俺は突然の事に動揺した。

そりゃそうだろう、確かにどこかカフェに行こうとは言ったが、まさか紫惠琉の兄の店に連れてこられるとは思っていなかったのだから。

しばらくして店の奥から紫惠琉に似てはいるが、より男らしい精悍な顔をした男性が出てきた。

この人が長男なんだろう。

「兄さん、少し込み入った話があるから、店じゃなくて家の方で話せないかな?」

「ああ良いが……いったいどうした?知らない男を連れているってことは、こいつと結婚でもするのか?」

それを聞いて友梨佳さんはビックリしたようで、少し顔を赤らめつつお兄さんに言った。

「ち、違うわよっ!この人は紫惠琉の勤めていた会社の同僚なんだって!私も今日、初めて会ったの!」

「……?『勤めていた』っていうのは、一体どういうことだ?紫惠琉は今、何をしている?」

お兄さんはどうやらそこに気がついたようだ。

「だから、その事で話をしたいから家の方で……ってことなの!上がって良いかしら?」

「わかった、今ちょうど俺の妻もいるから一緒に話を聞いてもいいか?ホント、タイミングが良かったな。」

そう言いながら奥の方に歩いていくお兄さんについて行く。

すると、トイレと思わしき扉の横に『STAFF ONLY』と書かれた扉があり、そこからさらに奥へ。

そこからは渡り廊下みたいになっており、右は壁になっているが、左側には広い日本庭園みたいな庭がよく見えた。

……あれ?

もしかして、紫惠琉って良いところのお坊ちゃまだったのか?

そんな事を思いながら歩いていると、また扉が。

多分ここからが自宅なんだろう。

お兄さんはドアを開けて中に入り、すぐ左手側にある部屋へと入った。

そこからはさっき見えていた庭が見える。

たぶん応接間、ってところだろう。

「ちょっとソファーに座って待っていてくれないか?お茶とか持ってくるから。」

そう言ってお兄さんが部屋を出ていく。

お兄さんご帰って来る前に友梨佳さんに聞いてみた。

「……すごいお家ですね?」

すると友梨佳さんは肩をすくめて「古くて広いだけよ。」と言った。

「うちは昔、武士の家系だったらしいけど、今は普通にお店を経営しているの。ちなみにさっきの喫茶店は兄とお嫁さんの単なる趣味……ってところかしら?」

「……そうなんだ。でもお店からもあの庭が見えるなら、結構人気スポットなんじゃないか?」

俺はさっきの店内を思い出す。

店内は結構広かったが、ほとんどのテーブルは埋まっていた。

特に庭に面したカウンターにはお一人様とカップルで席が埋まっていた。

やっぱりこの庭は見応えあるからな。

俺はこういう店はあまり来たことないからよくわからないが、そんな俺でもやっぱり有名なんじゃないかと思うほどに店内には人が多かった。

「まぁ、料理とデザートが美味しいからね。紫惠琉もここでバイトして料理をしたりしていたのよ?」

なるほど、紫惠琉が料理できるのもバイトでしていたなら納得だ。

あいつの料理は美味いからな。

そんな話をしていると、ドアが開いてお兄さんが入ってきた。
しおりを挟む
感想 22

あなたにおすすめの小説

充実した人生の送り方 ~妹よ、俺は今異世界に居ます~

中畑 道
ファンタジー
「充実した人生を送ってください。私が創造した剣と魔法の世界で」 唯一の肉親だった妹の葬儀を終えた帰り道、不慮の事故で命を落とした世良登希雄は異世界の創造神に召喚される。弟子である第一女神の願いを叶えるために。 人類未開の地、魔獣の大森林最奥地で異世界の常識や習慣、魔法やスキル、身の守り方や戦い方を学んだトキオ セラは、女神から遣わされた御供のコタローと街へ向かう。 目的は一つ。充実した人生を送ること。

転生して何故か聖女なった私は、婚約破棄されたうえに、聖女を解任される。「え?」 婚約者様。勝手に聖女を解任して大丈夫? 後は知りませんよ

幸之丞
ファンタジー
 聖女のお仕事は、精霊のみなさまに助けてもらって国を守る結界を展開することです。 この世界に転生した聖女のエリーゼは、公爵家の子息と婚約しています。  精霊から愛されているエリーゼは、聖女としての能力も高く、国と結界を維持する組織にとって重要な立場にいます。    しかし、ある夜。エリーゼは、婚約破棄されます。 しかも婚約者様が、勝手に聖女の任を解いてしまうのです。 聖女の任を解かれたエリーゼは「ラッキー」と喜ぶのですが…… この国『ガイスト王国』は、どの様なことになるのでしょう。 ――――――――――――――――  この物語を見つけていただきありがとうございます。 少しでも楽しんでいただければ、嬉しいです。

異世界に行ったら才能に満ち溢れていました

みずうし
ファンタジー
銀行に勤めるそこそこ頭はイイところ以外に取り柄のない23歳青山 零 は突如、自称神からの死亡宣言を受けた。そして気がついたら異世界。 異世界ではまるで別人のような体になった零だが、その体には類い稀なる才能が隠されていて....

辺境地で冷笑され蔑まれ続けた少女は、実は土地の守護者たる聖女でした。~彼女に冷遇を向けた街人たちは、彼女が追放された後破滅を辿る~

銀灰
ファンタジー
陸の孤島、辺境の地にて、人々から魔女と噂される、薄汚れた少女があった。 少女レイラに対する冷遇の様は酷く、街中などを歩けば陰口ばかりではなく、石を投げられることさえあった。理由無き冷遇である。 ボロ小屋に住み、いつも変らぬ質素な生活を営み続けるレイラだったが、ある日彼女は、住処であるそのボロ小屋までも、開発という名目の理不尽で奪われることになる。 陸の孤島――レイラがどこにも行けぬことを知っていた街人たちは彼女にただ冷笑を向けたが、レイラはその後、誰にも知られずその地を去ることになる。 その結果――?

初めての異世界転生

藤井 サトル
ファンタジー
その日、幸村 大地(ゆきむら だいち)は女神に選ばれた。 女神とのやり取りの末、大地は女神の手によって異世界へと転生する。その身には女神にいくつもの能力を授かって。 まさにファンタジーの世界へ来た大地は聖女を始めにいろんな人に出会い、出会い金を稼いだり、稼いだ金が直ぐに消えたり、路上で寝たり、チート能力を振るったりと、たぶん楽しく世界を謳歌する。 このお話は【転生者】大地と【聖女】リリア。そこに女神成分をひとつまみが合わさった異世界騒動物語である。

異世界転移~治癒師の日常

コリモ
ファンタジー
ある日看護師の真琴は仕事場からの帰り道、地面が陥没する事故に巻き込まれた。しかし、いつまでたっても衝撃が来ない。それどころか自分の下に草の感触が… こちらでは初投稿です。誤字脱字のご指摘ご感想お願いします なるだけ1日1話UP以上を目指していますが、用事がある時は間に合わないこともありますご了承ください(2017/12/18) すいません少し並びを変えております。(2017/12/25) カリエの過去編を削除して別なお話にしました(2018/01/15) エドとの話は「気が付いたら異世界領主〜ドラゴンが降り立つ平原を管理なんてムリだよ」にて掲載させてもらっています。(2018/08/19)

『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?

釈 余白(しやく)
ファンタジー
HOT 1位!ファンタジー 3位! ありがとうございます!  父親が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。  その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。  最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。 その他、多数投稿しています! https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394

老女召喚〜聖女はまさかの80歳?!〜城を追い出されちゃったけど、何か若返ってるし、元気に異世界で生き抜きます!〜

二階堂吉乃
ファンタジー
 瘴気に脅かされる王国があった。それを祓うことが出来るのは異世界人の乙女だけ。王国の幹部は伝説の『聖女召喚』の儀を行う。だが現れたのは1人の老婆だった。「召喚は失敗だ!」聖女を娶るつもりだった王子は激怒した。そこら辺の平民だと思われた老女は金貨1枚を与えられると、城から追い出されてしまう。実はこの老婆こそが召喚された女性だった。  白石きよ子・80歳。寝ていた布団の中から異世界に連れてこられてしまった。始めは「ドッキリじゃないかしら」と疑っていた。頼れる知り合いも家族もいない。持病の関節痛と高血圧の薬もない。しかし生来の逞しさで異世界で生き抜いていく。  後日、召喚が成功していたと分かる。王や重臣たちは慌てて老女の行方を探し始めるが、一向に見つからない。それもそのはず、きよ子はどんどん若返っていた。行方不明の老聖女を探す副団長は、黒髪黒目の不思議な美女と出会うが…。  人の名前が何故か映画スターの名になっちゃう天然系若返り聖女の冒険。全14話+間話7話。

処理中です...