異世界漫遊記 〜異世界に来たので仲間と楽しく、美味しく世界を旅します〜

カイ

文字の大きさ
上 下
40 / 196
第1章 出会い〜旅の始まり

ユーリのことについて話を聞こう

しおりを挟む

とりあえず俺はしばらく自分の思考にどっぷり浸かってしまっていて周りが見えていなかったが、どうやらスコットさん達はユーリがとんでもなくこの世界にとって重要なドラゴンなんだということが分かってかなり動揺していたようだ。

とりあえず俺達がまた聞く姿勢に戻るまでルーシェさんは待っていてくれたが、あまりにも時間がかかりそうなので結局話し始めることにしたようだ。

「さて、ここまで話すとわかるとは思うが、ユーリちゃんは特別な存在でこの世に1体しかいないドラゴンなんだよ。それも神の代理だから神託も受け取ることができるしね。本来そんなドラゴンが従魔になるっていうこと自体がおかしいはずなんだけど、実はこの神竜、親が卵を産むわけではなく、神の力によって創り出された卵から産まれるんだよ。卵を神が選んだ人物に託し、その人物の魔力によって育てられるから必ずその人物の相棒になるんだ。」

「ルーシェさん、その事を言い切るってことは、何か根拠でも?」

俺はそこが気になって聞いてみたが、その答えはちょっと意外だった。

「ああ、僕は先代の神竜から直接話を聞いたからね。自分の死期が近いのを知っていたんだと思う。自分が亡くなった後にそういう過程で後継者が産まれるから見つけたら色々教えてやって欲しいって頼まれたんだよ。」

皆が驚いているとさらに驚くべき話をされた。

「皆知ってるかはわからないけど、図書館にもあるドラゴンの生態について書いてある本に『人間と共存していた神の代理となるドラゴン』っていうのがあるんだけど、このユーリちゃんのような神竜のことなんだ。それで、それを害そうとしたのが今でいう神聖法国なんだよ。当時の神竜は成竜だったから害されることはなかったけれど、今のユーリちゃんはまだ産まれたばかりの赤ちゃん。この意味、わかるかな?」

「……もしかしてユーリの存在を神聖法国に知られてしまうとかなりまずいってことですよね?」

「ああ、そうなんだ。もしかすると洗脳が成功して、この世界が狂ってしまう可能性もありうるからね。」

ルーシェさんにそんな事を言われるとかなり信憑性があって怖いな。

俺は思わずユーリをギュッと抱きしめてしまったが、ルーシェさんの話を本人(本竜?)は気にしていないのか、「キュッキュ~!」と鳴いてご機嫌だった。

俺が2人の顔を見ると、それぞれ頷いてくれた。

多分一緒に守ろうとか秘密は絶対に守るとかそういうことなんだと思う。

「ありがとう、2人共。そしてユーリ、お前にはしばらく不自由をさせるが我慢してくれな。」

「キュッ!」

これから行動に不自由をさせることになるユーリに話しかけると鳴きながら頷いてくれた。とても賢い子だなぁ。

「さてシエルくん、先代の神竜からの伝言でもあるんだが、ドラゴンたちの住む山に行って子育てをしたければ案内するよ?実はその山なんだけど、裾野の森には僕達エルフが住んでいて勝手に登ろうとする者を排除しているんだよ。だから登るにはエルフの里の長老に許可をもらう必要があるんだ。もし他のドラゴン達に会ってみたければ僕に声をかけてね?連れて行ってあげるからさ!」

そう言ってルーシェさんは俺に向かってウインクをした。

そっか、そういえばあの本にも『全てのドラゴン達は人間から離れてどこか人が来れないような場所へと去っていってしまった』ってあったもんな。

そんな簡単には行けるわけないよな。

「わかりました、いつかはユーリを他のドラゴン達に会わせてあげたいと思っているので、その時はよろしくお願いします!」

「ああ、その時は任せてくれ。」

そのあと俺たちはルーシェさんのドラゴンの話やエルフの里の話なんかを色々聞かせてもらった。

どうやらドラゴン達はその山以外にも住んでいる種があるらしい。

その山の中でも種類によって住処が違い、火属性のレッドドラゴンは火口の中、水属性のブルードラゴンは湖の中や海の中、風属性のグリーンドラゴンは自由気ままに空を飛び、土属性のドラゴンは森の中や山頂付近に、いるらしい。

だからその山以外でも会うことができる可能性があるのはブルードラゴンとグリーンドラゴンなんだって。

グリーンドラゴンはホント行動が読めないくらい自由な性格の竜らしく、世界のあちこちで目撃されているのは皆その種なんだそうな。

ドラゴンたちは知能がとても高いから人語も理解し話せるけれども、それぞれの属性竜の長達は人化もできるそうだ。

それを聞いて俺はニヤニヤが止まらない。

そっかぁ、なるほどぉ~……っていうことは、いつかはユーリも人になれるのかな!?

そして俺はふと、そんな情報をリリーさんが知ってしまったらどうなってしまうだろうか?と考えた。

……まずいな、テンションがやばいことにしかならない気がしてきた。

ふと、リッキーさんの方を見た。

するとリッキーさんもちょうどこちらを向き、お互いに真剣な顔で目線を合わせて頷き合う。

この情報はリリーさんにはしばらくの間ほ内緒にしなければならないと!

とにかく、ユーリが言葉を話せるようになるだけじゃなく、人化もできるようになるかもしれないと考えると、今からすっごく楽しみだなぁっ!

そしてエルフの里に関してはまだまだ話せないことがいっぱいあるせいでドラゴンほど詳しくは話してくれなかったが、意外なことが分かった。

俺の想像ではエルフの里っていうのは木の幹を多少加工した樹状ハウスとかの自然と調和しているイメージだったんだけど、実際はそうではなくて森の中の開けた場所に結界の張られた村があって、村の中はいたって普通の家屋が並んで建っているらしい。

その結界は周囲1キロほどに渡って張られ、入り込んだ人や魔物の方向感覚を狂わせてテリトリーからいつの間にか出ていってしまう、そんな結界だそうだ。

もちろん村に住んでいる人なんかは平気だけどね。

「もしエルフの里に行くことになったら、シエルくんには魔法の才能があるようですし長老にお願いしていろいろな魔法を習うと良いですよ。私からもお願いしておきますからね。」

「はい、それはとても楽しみですね!」

するとずっと黙って話を聞いていたリッキーさんが急に手を上げた。

「はい、リッキーくん。」

「1つ質問です!その長老に魔法を習えるのはシエルだけですか?」

「いえ、他のメンバーの事も頼むことは可能だと思いますよ?」

「じゃあじゃあ、俺やエミリー、リリーも少しでいいので習いたいでっす!」

そうリッキーさんがお願いすると、ルーシェさんは「一応、一緒に頼んでみますね。」とにこやかな笑顔とともに言ってくれた。

エルフの里に行ったら4人で仲良く学べると良いな!
しおりを挟む
感想 22

あなたにおすすめの小説

異世界召喚?やっと社畜から抜け出せる!

アルテミス
ファンタジー
第13回ファンタジー大賞に応募しました。応援してもらえると嬉しいです。 ->最終選考まで残ったようですが、奨励賞止まりだったようです。応援ありがとうございました! ーーーー ヤンキーが勇者として召喚された。 社畜歴十五年のベテラン社畜の俺は、世界に巻き込まれてしまう。 巻き込まれたので女神様の加護はないし、チートもらった訳でもない。幸い召喚の担当をした公爵様が俺の生活の面倒を見てくれるらしいけどね。 そんな俺が異世界で女神様と崇められている”下級神”より上位の"創造神"から加護を与えられる話。 ほのぼのライフを目指してます。 設定も決めずに書き始めたのでブレブレです。気楽〜に読んでください。 6/20-22HOT1位、ファンタジー1位頂きました。有難うございます。

知識スキルで異世界らいふ

チョッキリ
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

勇者パーティを追放された聖女ですが、やっと解放されてむしろ感謝します。なのにパーティの人たちが続々と私に助けを求めてくる件。

八木愛里
ファンタジー
聖女のロザリーは戦闘中でも回復魔法が使用できるが、勇者が見目麗しいソニアを新しい聖女として迎え入れた。ソニアからの入れ知恵で、勇者パーティから『役立たず』と侮辱されて、ついに追放されてしまう。 パーティの人間関係に疲れたロザリーは、ソロ冒険者になることを決意。 攻撃魔法の魔道具を求めて魔道具屋に行ったら、店主から才能を認められる。 ロザリーの実力を知らず愚かにも追放した勇者一行は、これまで攻略できたはずの中級のダンジョンでさえ失敗を繰り返し、仲間割れし破滅へ向かっていく。 一方ロザリーは上級の魔物討伐に成功したり、大魔法使いさまと協力して王女を襲ってきた魔獣を倒したり、国の英雄と呼ばれる存在になっていく。 これは真の実力者であるロザリーが、ソロ冒険者としての地位を確立していきながら、残念ながら追いかけてきた魔法使いや女剣士を「虫が良すぎるわ!」と追っ払い、入り浸っている魔道具屋の店主が実は憧れの大魔法使いさまだが、どうしても本人が気づかない話。 ※11話以降から勇者パーティの没落シーンがあります。 ※40話に鬱展開あり。苦手な方は読み飛ばし推奨します。 ※表紙はAIイラストを使用。

『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる

農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」 そんな言葉から始まった異世界召喚。 呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!? そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう! このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。 勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定 私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。 ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。 他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。 なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。

社畜から卒業したんだから異世界を自由に謳歌します

湯崎noa
ファンタジー
ブラック企業に入社して10年が経つ〈宮島〉は、当たり前の様な連続徹夜に心身ともに疲労していた。  そんな時に中高の同級生と再開し、その同級生への相談を行ったところ会社を辞める決意をした。  しかし!! その日の帰り道に全身の力が抜け、線路に倒れ込んでしまった。  そのまま呆気なく宮島の命は尽きてしまう。  この死亡は神様の手違いによるものだった!?  神様からの全力の謝罪を受けて、特殊スキル〈コピー〉を授かり第二の人生を送る事になる。  せっかくブラック企業を卒業して、異世界転生するのだから全力で謳歌してやろうじゃないか!! ※カクヨム、小説家になろう、ノベルバでも連載中

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした

高鉢 健太
ファンタジー
 ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。  ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。  もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。  とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!

【番外編】貴族令嬢に生まれたからには念願のだらだらニート生活したい。

譚音アルン
ファンタジー
『貴族令嬢に生まれたからには念願のだらだらニート生活したい。』の番外編です。 本編にくっつけるとスクロールが大変そうなので別にしました。

処理中です...