異世界漫遊記 〜異世界に来たので仲間と楽しく、美味しく世界を旅します〜

カイ

文字の大きさ
上 下
39 / 196
第1章 出会い〜旅の始まり

従魔登録をしよう!

しおりを挟む

「……ルーシェさんは何か知っているんですか?」

俺は思わず聞いてしまった。

周りを見ていないからわからないが、皆にはユーリの詳しい種族とかは何も言ってなかったから多分びっくりしてるだろう。

ルーシェさんは俺とスコットさん達の『態度の温度差』で、なんとなく察したようだ。

「ゴメン、あまりにもびっくりしてしまって取り乱してしまったよ。」

「いえ、大丈夫です。」

「この事はあとで2人だけで話す?」

「いえ、どうせなら2人にも説明してやってください。」

「分かった。じゃあ2人にも話すとしようか。2人も覚悟は良いかい?」

ルーシェさんがそう言って2人を見る。

俺もチラッと確認したが、どうやら2人はまだ聞く覚悟は決めかねているようだった。

「まだ聞く覚悟がないなら後で話そう。とりあえずシエルくんに聞きたいが、もうこの子と従魔契約はしているのかい?」

「はい。この子は俺の魔力を与えて卵から孵しましたから、俺以外とは契約できません。」

「……なるほどね、君が選ばれたわけか。この事は誰にも言わないんだよ?もちろん、僕も言わない。知られると大変なことになるかもしれないからね。」

「はい、それはリッキーさんたちにもかなり念を押されました。」

俺の返事を聞くとルーシェさんは頷き、真剣な顔で俺を見る。

「じゃあ、まずは従魔登録をしようか。ギルドカードには一応記録させるけど、秘匿事項として載せることになる。だから通常のスキャンでは情報を読み取ることは不可能なんだ。それとすまないが、登録をしたとしてもその子はできるなら街中では自由にさせないほうが良い。私みたいに長生きの者や神聖法国の上層部なんかはすぐに気づいてしまうからね。」

「わかりました。じゃあとりあえず登録をお願いします。」

「わかったよ。じゃあその子もこっちへ。」

ルーシェさんは改めてギルドカードを透明な板に置いて、またステータス画面みたいな部分を操作をする。

「そういえばその子の名前は?」

「ユーリっていいます。」

「ユーリ、だね?じゃあその名前で登録するね!」

そう言うと何やらまた操作しだした。

「それじゃあ最後にユーリちゃんの手をここに置いて?」

ユーリが透明な板の上の指定されたところに手を置くと、一瞬光ってすぐに消えた。

「はい、これでユーリちゃんの従魔登録は完了したよ。ユーリちゃんの魔力も登録してあるし、何かあったらすぐにギルドに来てね。きちんと秘匿されるようにしておいたから普通の受付では情報が出ないけど、他の街に行った時にはその支部のギルマスの持っている魔道具なら確認できるからね。」

「そうなんですね、どうもありがとうございました!」

従魔登録が終わると、改めてルーシェさんが2人を見て「聞く覚悟はできたかい?」と聞いた。

結局2人は覚悟できたということで話を聞くことになった。

「さて聞く準備ができたようだから話すとしようか。あ、その前に……。」

ルーシェさんがまた鍵のついている棚に行き、手のひらに乗るくらいの大きさの丸い魔道具を持ってきた。

「これは盗聴防止の魔道具でね。重要な話をする時には必ず使っているんだ。うちの職員から重要な情報を漏らす訳にはいかないしね。」

そう言って魔道具に魔力を流した。

すると一瞬で魔道具を中心にこの部屋中に何かが広がったような……そんな感覚がした。

「さてと……これで準備ができたね。まずは何から話そうかな。ん~、まず言えることは、ユーリちゃんが誕生した事でようやくこの世界は荒れている状況から徐々に安定していくようになるってことかな。」

「……それはユーリの生まれに関してのことから言っていますか?」

「そうだね、それもあるけど、元々この『神竜種』っていうのは神の代理でこの世界にいる竜なんだ。その竜がいることで世界の安定が保たれると言われている。だからあまり途切れずに常にこの世界にいる存在なんだけど、実は先代の神竜がお亡くなりになってからこの200年ほど降誕されてない。何故かは分からないが、今回こうやって降誕されたということは多分託せるに値する者がこの世界になかなか誕生しなかったんだろうと思う。」

そんな事を言われて俺達は顔を見合わせてしまった。

なぜなら俺が異世界人であることを2人は知っているからだ。

なるほど、そう考えてみれば神様としてもこれ以上間隔を空けるわけにいかなくて、言い方は悪いが、あまりにも卵を託せる相手がこの世界に現れないから、たまたま見かけた地球のどこかで託せる相手を見繕ったってわけだ。

そのせいで俺が今、ここにいるというね。

確か山田の話では『向こうに行った彼が不便などしないようにといろいろ配慮した』との事だが、それはまぁ確かに危険がないようにだとか、便利な機能付きの鞄をよこしたりだとか色々してくれたと思う。

それに関しては、ホント色々助かった。

だけどね、俺としてはそのまま日本にいたかった。

日本で友人や家族と楽しく過ごせるほうがよほど良かったんだけど、さすがにもうそれは無理だと諦めたよ。

日本に通じる鞄があるじゃないかと思うかもしれないが、この鞄、実は追尾機能付きなので俺自身は鞄の中に入って日本に行くっていうことはできない。

かといって山田の話では、山田自身も対の鞄に入ってこっちに来るのは絶対に駄目だと『自称神様』に言われたって言っていたのでこちらへは来れない。

だから俺と山田はもう二度と実際に会って一緒に酒を飲んだり遊びに行ったりとかはできないのだ。

そこまで考えて、ふと気づいた。

……おや?もしかして……そう考えると俺の家族は対の鞄からこちらへ来れるんじゃないか?

えっ、どうなんだろう!?

それならこっちで家族皆と暮らせるなんてこともできるのか!?
しおりを挟む
感想 22

あなたにおすすめの小説

充実した人生の送り方 ~妹よ、俺は今異世界に居ます~

中畑 道
ファンタジー
「充実した人生を送ってください。私が創造した剣と魔法の世界で」 唯一の肉親だった妹の葬儀を終えた帰り道、不慮の事故で命を落とした世良登希雄は異世界の創造神に召喚される。弟子である第一女神の願いを叶えるために。 人類未開の地、魔獣の大森林最奥地で異世界の常識や習慣、魔法やスキル、身の守り方や戦い方を学んだトキオ セラは、女神から遣わされた御供のコタローと街へ向かう。 目的は一つ。充実した人生を送ること。

転生して何故か聖女なった私は、婚約破棄されたうえに、聖女を解任される。「え?」 婚約者様。勝手に聖女を解任して大丈夫? 後は知りませんよ

幸之丞
ファンタジー
 聖女のお仕事は、精霊のみなさまに助けてもらって国を守る結界を展開することです。 この世界に転生した聖女のエリーゼは、公爵家の子息と婚約しています。  精霊から愛されているエリーゼは、聖女としての能力も高く、国と結界を維持する組織にとって重要な立場にいます。    しかし、ある夜。エリーゼは、婚約破棄されます。 しかも婚約者様が、勝手に聖女の任を解いてしまうのです。 聖女の任を解かれたエリーゼは「ラッキー」と喜ぶのですが…… この国『ガイスト王国』は、どの様なことになるのでしょう。 ――――――――――――――――  この物語を見つけていただきありがとうございます。 少しでも楽しんでいただければ、嬉しいです。

異世界に行ったら才能に満ち溢れていました

みずうし
ファンタジー
銀行に勤めるそこそこ頭はイイところ以外に取り柄のない23歳青山 零 は突如、自称神からの死亡宣言を受けた。そして気がついたら異世界。 異世界ではまるで別人のような体になった零だが、その体には類い稀なる才能が隠されていて....

王太子に転生したけど、国王になりたくないので全力で抗ってみた

こばやん2号
ファンタジー
 とある財閥の当主だった神宮寺貞光(じんぐうじさだみつ)は、急病によりこの世を去ってしまう。  気が付くと、ある国の王太子として前世の記憶を持ったまま生まれ変わってしまうのだが、前世で自由な人生に憧れを抱いていた彼は、王太子になりたくないということでいろいろと画策を開始する。  しかし、圧倒的な才能によって周囲の人からは「次期国王はこの人しかない」と思われてしまい、ますますスローライフから遠のいてしまう。  そんな彼の自由を手に入れるための戦いが今始まる……。  ※この作品はアルファポリス・小説家になろう・カクヨムで同時投稿されています。

辺境地で冷笑され蔑まれ続けた少女は、実は土地の守護者たる聖女でした。~彼女に冷遇を向けた街人たちは、彼女が追放された後破滅を辿る~

銀灰
ファンタジー
陸の孤島、辺境の地にて、人々から魔女と噂される、薄汚れた少女があった。 少女レイラに対する冷遇の様は酷く、街中などを歩けば陰口ばかりではなく、石を投げられることさえあった。理由無き冷遇である。 ボロ小屋に住み、いつも変らぬ質素な生活を営み続けるレイラだったが、ある日彼女は、住処であるそのボロ小屋までも、開発という名目の理不尽で奪われることになる。 陸の孤島――レイラがどこにも行けぬことを知っていた街人たちは彼女にただ冷笑を向けたが、レイラはその後、誰にも知られずその地を去ることになる。 その結果――?

初めての異世界転生

藤井 サトル
ファンタジー
その日、幸村 大地(ゆきむら だいち)は女神に選ばれた。 女神とのやり取りの末、大地は女神の手によって異世界へと転生する。その身には女神にいくつもの能力を授かって。 まさにファンタジーの世界へ来た大地は聖女を始めにいろんな人に出会い、出会い金を稼いだり、稼いだ金が直ぐに消えたり、路上で寝たり、チート能力を振るったりと、たぶん楽しく世界を謳歌する。 このお話は【転生者】大地と【聖女】リリア。そこに女神成分をひとつまみが合わさった異世界騒動物語である。

異世界転移~治癒師の日常

コリモ
ファンタジー
ある日看護師の真琴は仕事場からの帰り道、地面が陥没する事故に巻き込まれた。しかし、いつまでたっても衝撃が来ない。それどころか自分の下に草の感触が… こちらでは初投稿です。誤字脱字のご指摘ご感想お願いします なるだけ1日1話UP以上を目指していますが、用事がある時は間に合わないこともありますご了承ください(2017/12/18) すいません少し並びを変えております。(2017/12/25) カリエの過去編を削除して別なお話にしました(2018/01/15) エドとの話は「気が付いたら異世界領主〜ドラゴンが降り立つ平原を管理なんてムリだよ」にて掲載させてもらっています。(2018/08/19)

『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?

釈 余白(しやく)
ファンタジー
HOT 1位!ファンタジー 3位! ありがとうございます!  父親が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。  その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。  最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。 その他、多数投稿しています! https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394

処理中です...