異世界漫遊記 〜異世界に来たので仲間と楽しく、美味しく世界を旅します〜

カイ

文字の大きさ
上 下
38 / 196
第1章 出会い〜旅の始まり

スノーホワイトに入ろう!

しおりを挟む

「あっ!しまった、山田に姉さんの事を相談し忘れた!」

それが、翌朝起きた時にまず一番に思ったことだった。

しかも後でユーリが産まれるところを撮影した動画も送るって言ってたのにそれも忘れてしまっていた。

しまったなぁ……いろいろありすぎてすっかり忘れてしまったよ。

でもまぁ、今夜山田にまた電話して相談すれば良いか!

俺はまた山田と話す事ができるせいか、スコットさん達が朝食に誘ってきて食堂に行く間もずっとニコニコしていたらしい。

リッキーさんに「なんか良いことあったのか?ずっと笑顔だけど。」って言われるまで気づかなかったけどね。

食堂に着くと、もうすでにエミリーさん達は席についていた。

「遅くなってすみません!昨日ちょっと夜更かししてしまって…。」

「別にそんなに持ってないから気にしなくても大丈夫よ?私たちもさっき来たばかりだしね。」

「そうですよ~、まだ何食べるかも決めてませんしね。あ、今日のオススメは『オーク肉のスタミナ炒め定食』だそうですよ?」

そ…それは朝から重いなぁ。

俺はもっと軽めのを頼もう。

俺がそう思ってメニューを見ていたらスコットさんたち男性陣だけでなく、細めのリリーさんも今日のおすすめを頼むらしい。朝からよく入るね?

とりあえずみんなが注文を終えると俺はまず隣の席のリッキーさんに気になったことを聞いてみた。

「リッキーさん、この食堂ってキッチンを借りることは可能ですかね?」

「ん?なんか作るのか?」

「ええ、昨日ちょっと手に入った物がありまして…実は異世界の食材が手に入ったんです。」

最後の方は小声で伝えた。

するとリッキーさんは目を見開いて驚いてしまった。

そりゃあ異世界の食べ物が手に入ったなんてなったら驚くよね!

「えっ、それってどうやって!?っていうか、何を作るのさ!?」

俺が『落ち着け』とジェスチャーをすると、リッキーさんはハッとして周りを見渡し、声のトーンを下げてくれた。

「昨日の夜、新しい鞄の機能が追加されまして。向こうの仲間から荷物を受け取れるようになったんですよ。」

「…まじかぁ。とんでもない機能だな!?」

それを聞いていた他のメンバーも一様に驚く。

中でもリリーさんは知識欲もあるからか興味津々だった。

「シエルくん、それ作ったら後で私たちにもくれるのかしら?」

「はい、出来上がったら皆で食べますか!あ、お米ってどこで買えますかね?」

「米なら冒険者ギルドに行った後に買い物するから、その時に買えば良いよ。俺が案内するからさ!」

リッキーさんがウインクをして、そう約束をしてくれた。

ありがたや、ありがたや!

やっぱりカレーにはライスでしょ!

そう、実はこの世界、お米が普通にあるのだ。

この世界に来てすぐに食生活が馴染めたのも、やっぱりお米があったからだと思う。

日本人ならお米は大事だよね!

そんな話をしていると女将さんが出来上がった料理を持ってきた。

すると早速リッキーさんが女将さんにキッチンの件を聞いてくれた。

女将さんの返事は「お昼前の2時間か、お昼後の3時間なら野菜とかの下ごしらえをしているから貸してあげられるよ」とのことだったので、お昼後に借りる約束をした。

- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

その後、俺たち3人は昨日話していた通り冒険者ギルドへ来て、いつも通りにルーシェさんに会いに部屋へ向かった。

中に入るとこれまたいつも通りにソファーに座り、今日は珍しく書類仕事のないルーシェさんがすぐにソファーに座った。

「今日はどうしたの?解体の代金はまだまだ時間かかるよ?」

「いや、今日来たのはその話じゃない。実はシエルのスノーホワイトに加入する手続きと従魔の登録をしたいんだ。」

スコットさんがそう切り出すと首を少し傾げたルーシェさん。

「その程度なら僕が関わらなくても、下の受付でもできるんじゃない?」

「まぁチーム加入の件だけなら下でも済むんだが、従魔のほうが下で出すと大騒ぎになって収拾がつかなくなりそうでな。その点お前なら秘密厳守で誰にも話さないでくれるから安心だ。」

そう言われて、なんだか嬉しそうに微笑むルーシェさん。

自分の胸を叩いて「大丈夫、秘密は守るよ!」と請け負ってくれた。

「分かったよ!今、その2つの登録をする道具を出すね。この部屋にあるのはちょっと特殊で、秘匿したい情報は通常のスキャンでは出てこないように設定できるんだよ。便利でしょ?」

ルーシェさんはそう言って俺に向かってウインクをすると、壁にある鍵のついた棚の中から平べったい箱を取り出してテーブルに置いた。

中を開けると下の受付にもある板に似た品を出した。

違うのは下の受付ではグレーの薄っぺらい板なのに対し、この板は透明だった。

でもどちらも中央に魔法陣が書いてあるのは一緒だ。書いてある内容の違いは俺じゃわからないけど。

「じゃあ、まずはチーム登録からいこうか。シエルくん、カード貸して?」

俺は言われた通りにギルドカードを渡す。

ルーシェさんはそれを受け取ると透明な板の上に置く。

するとルーシェさんの目の前にステータスボードみたいなものが浮かんだ。

「え~っと…チームの部分を変えるだけだからここをこうしてっと。よし、これでスノーホワイトのメンバーに正式になったよ。おめでとう!」

ルーシェさんは笑顔でそう言ってくれた。

俺も嬉しかったので「ありがとうございます!」と笑顔で言った。

「…さて、これでチーム登録は済んだよ。あとは従魔登録なんだけど、肝心な従魔はどこにいるの?」

ルーシェさんは不思議そうな顔でそう聞いてくる。

それはそうだよな、今ここにはいないんだもん。

俺は鞄を開けると中にいるユーリに「出てきて良いよ!」と声を掛ける。

ユーリは一声「キュ~!」と鳴くと外に出てきて、俺の膝の上に座った。

するとそれを見たルーシェさんは目がこぼれ落ちるのではと思うくらい目を見開き、口を開く。

「そ、その子……もしや小さいけどドラゴン!?それもその色だと『神竜種』ではないですか!?」

……えっ、ルーシェさん、もしかして何か知ってるの?
しおりを挟む
感想 22

あなたにおすすめの小説

充実した人生の送り方 ~妹よ、俺は今異世界に居ます~

中畑 道
ファンタジー
「充実した人生を送ってください。私が創造した剣と魔法の世界で」 唯一の肉親だった妹の葬儀を終えた帰り道、不慮の事故で命を落とした世良登希雄は異世界の創造神に召喚される。弟子である第一女神の願いを叶えるために。 人類未開の地、魔獣の大森林最奥地で異世界の常識や習慣、魔法やスキル、身の守り方や戦い方を学んだトキオ セラは、女神から遣わされた御供のコタローと街へ向かう。 目的は一つ。充実した人生を送ること。

転生して何故か聖女なった私は、婚約破棄されたうえに、聖女を解任される。「え?」 婚約者様。勝手に聖女を解任して大丈夫? 後は知りませんよ

幸之丞
ファンタジー
 聖女のお仕事は、精霊のみなさまに助けてもらって国を守る結界を展開することです。 この世界に転生した聖女のエリーゼは、公爵家の子息と婚約しています。  精霊から愛されているエリーゼは、聖女としての能力も高く、国と結界を維持する組織にとって重要な立場にいます。    しかし、ある夜。エリーゼは、婚約破棄されます。 しかも婚約者様が、勝手に聖女の任を解いてしまうのです。 聖女の任を解かれたエリーゼは「ラッキー」と喜ぶのですが…… この国『ガイスト王国』は、どの様なことになるのでしょう。 ――――――――――――――――  この物語を見つけていただきありがとうございます。 少しでも楽しんでいただければ、嬉しいです。

異世界に行ったら才能に満ち溢れていました

みずうし
ファンタジー
銀行に勤めるそこそこ頭はイイところ以外に取り柄のない23歳青山 零 は突如、自称神からの死亡宣言を受けた。そして気がついたら異世界。 異世界ではまるで別人のような体になった零だが、その体には類い稀なる才能が隠されていて....

辺境地で冷笑され蔑まれ続けた少女は、実は土地の守護者たる聖女でした。~彼女に冷遇を向けた街人たちは、彼女が追放された後破滅を辿る~

銀灰
ファンタジー
陸の孤島、辺境の地にて、人々から魔女と噂される、薄汚れた少女があった。 少女レイラに対する冷遇の様は酷く、街中などを歩けば陰口ばかりではなく、石を投げられることさえあった。理由無き冷遇である。 ボロ小屋に住み、いつも変らぬ質素な生活を営み続けるレイラだったが、ある日彼女は、住処であるそのボロ小屋までも、開発という名目の理不尽で奪われることになる。 陸の孤島――レイラがどこにも行けぬことを知っていた街人たちは彼女にただ冷笑を向けたが、レイラはその後、誰にも知られずその地を去ることになる。 その結果――?

初めての異世界転生

藤井 サトル
ファンタジー
その日、幸村 大地(ゆきむら だいち)は女神に選ばれた。 女神とのやり取りの末、大地は女神の手によって異世界へと転生する。その身には女神にいくつもの能力を授かって。 まさにファンタジーの世界へ来た大地は聖女を始めにいろんな人に出会い、出会い金を稼いだり、稼いだ金が直ぐに消えたり、路上で寝たり、チート能力を振るったりと、たぶん楽しく世界を謳歌する。 このお話は【転生者】大地と【聖女】リリア。そこに女神成分をひとつまみが合わさった異世界騒動物語である。

ヴァイオリン辺境伯の優雅で怠惰なスローライフ〜悪役令息として追放された魔境でヴァイオリン練習し

西園寺わかば🌱
ファンタジー
「お前を追放する——!」 乙女のゲーム世界に転生したオーウェン。成績優秀で伯爵貴族だった彼は、ヒロインの行動を咎めまったせいで、悪者にされ、辺境へ追放されてしまう。 隣は魔物の森と恐れられ、冒険者が多い土地——リオンシュタットに飛ばされてしまった彼だが、戦いを労うために、冒険者や、騎士などを森に集め、ヴァイオリンのコンサートをする事にした。 「もうその発想がぶっ飛んでるんですが——!というか、いつの間に、コンサート会場なんて作ったのですか!?」 規格外な彼に戸惑ったのは彼らだけではなく、森に住む住民達も同じようで……。 「なんだ、この音色!透き通ってて美味え!」「ほんとほんと!」 ◯カクヨム様にて、週間総合ランキングにランクインしました。 ◯この話はフィクションです。 ◯未成年飲酒する場面がありますが、未成年飲酒を容認・推奨するものでは、ありません。

異世界転移~治癒師の日常

コリモ
ファンタジー
ある日看護師の真琴は仕事場からの帰り道、地面が陥没する事故に巻き込まれた。しかし、いつまでたっても衝撃が来ない。それどころか自分の下に草の感触が… こちらでは初投稿です。誤字脱字のご指摘ご感想お願いします なるだけ1日1話UP以上を目指していますが、用事がある時は間に合わないこともありますご了承ください(2017/12/18) すいません少し並びを変えております。(2017/12/25) カリエの過去編を削除して別なお話にしました(2018/01/15) エドとの話は「気が付いたら異世界領主〜ドラゴンが降り立つ平原を管理なんてムリだよ」にて掲載させてもらっています。(2018/08/19)

『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?

釈 余白(しやく)
ファンタジー
HOT 1位!ファンタジー 3位! ありがとうございます!  父親が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。  その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。  最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。 その他、多数投稿しています! https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394

処理中です...