異世界漫遊記 〜異世界に来たので仲間と楽しく、美味しく世界を旅します〜

カイ

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第1章 出会い〜旅の始まり

とりあえず宿に帰ろう!

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俺達は解体現場から受付カウンターまで戻ってきた。

そこでスコットさんが受付嬢に「さっき解体主任のおやっさんから3日後に支払いだと言われたんだが、それで大丈夫だろうか?」と聞くと、すぐに「大丈夫ですよ」と返事があったので、俺達はすぐにその足でいつもの宿屋に行くことにした。

今回はそんなに長くならないだろうと、宿はそのまま取ってある。
そうじゃないとこの時間にはもう埋まっていたりするしな。
宿に着くとカウンターに女将さんの姿が。

女将さんは俺たちに「無事に帰ってきて嬉しいよ!今夜の夕飯はうちの食堂で食べるんだろう?サービスするよ!」と言ってくれたのでありがたく利用させてもらうことにし、夕飯の時間までまだ時間があるので、とりあえず一旦自分達の部屋に戻った。


俺はやっと自分だけの時間が取れるようになりホッとしたが、それと同時にふと、ほったらかしのスマホのことを思いだし、気になって鞄から取り出した。

すると案の定SNSの着信メッセージが入っている。

早速見てみると山田からで、『無事に退職届を提出しておいた。お前の行方を聞かれたが、さすがに異世界ですとは言えなかったから実家に戻らなければならなくなったと言い訳しておいたぞ。』と入っていた。

む~……これはどうやら仲の良い姉に事情を説明して協力を頼まなければならないかな?
それに俺も家族の誰かには連絡したかったのもあるしなぁ…。
とりあえず寝る前に山田に相談しよう!

そんな事を考えていると『キュ~!』と声がした。
声のする方を見ると、鞄からユーリが顔を出してこちらを見ている。

「おいで、ユーリ!」
『キュ~ウッ!』

ユーリはそう鳴くと俺の膝まで飛んできて、胸に頭をスリスリしてくる。可愛いなぁ~♪

そんなユーリを抱きしめながら撫でているとドアをノックする音がした。
俺は素早くユーリに布団の中に隠れていてと指示し、ドアの外には「どなたですか?」と声を掛ける。
すると「スコットとリッキーだ。」と返答があり、2人には中に入ってもらった。


2人がドアを閉めるとユーリが布団から顔を出す。
それを見て2人は「あっ!!!」と言って慌てだした。

「しまった!ユーリの従魔登録をし忘れていた!」
「そうだな!うっかりしていたぞ!?」
「こうなったらしょうがない、明日の朝にまたギルドに行って、直接ギルマスにユーリを見せながら登録をお願いするか?」
「そうだな、大勢の冒険者の前だと大騒ぎになるだろうしな。」

そんな2人の会話で俺も登録し忘れたことを思い出す。
まぁ…鞄の中に入って大人しくしている分には大丈夫なんだろうけど、念の為の登録だもんね。

2人が落ち着いたところで俺の部屋に来たのは何か用があったのかと聞いてみる。
すると、どうやら俺に『スノーホワイトのメンバーに正式に入らないか?』という打診だったようだ。

俺はこの先どうするかは全然決めていなかったけど、皆と一緒の行動はとても楽しいので、とりあえずいつでも抜けることができるのを条件に加入することにした。
万が一にも俺の秘密が元で大騒ぎになりスコットさんたちに迷惑をかけるようなら、その時は脱退してソロ活動をしようと思う。

「じゃあそれも一緒に明日登録しに行こう。」
「メンバーになったら、これからはもっとシエルを周りから守ってやりやすくなるしな。」
「そうだな、俺たちがシエルの保護者になるわけだからな。」
「シエル、ユーリ、これからもよろしくな!」

そう言って2人は、うちの兄のように『年の離れた兄が可愛い弟を見るような目』をしながら俺の頭を撫でてくる。

……ホントは子供じゃないんだけどなぁ。

俺が拗ねた顔をしていると2人は「ぷっ!」と吹き出して笑いだした。
もうっ!俺で遊ばないで!

するとそんな2人と俺の間にユーリが入ってきて両手を広げてガードをする。
どうやら2人が俺をいじめているんじゃないかと思ったらしい。

「大丈夫だよ、ユーリ。2人は俺のことをからかっているだけだよ。」
『キュキュ~?』
「なんて言ってるかわからないけど、2人からはいじめられてないからね?」

俺がそう言うとなんとか納得してくれたらしく、2人に向かって広げられていた両手で俺の胸に抱きついてきた。
俺がユーリの頭をよしよしと撫でていると、リッキーさんが微笑ましそうに見ながら言ってきた。

「シエル、ユーリはお前のこと親だと思っているんだな。」
「……なんでそう思いましたか?」

なんだかユーリの心がわかるかのような口調が気になってしまった。
普通なら「お前にすごく懐いてるな」とか「お前はすごく好かれているな」と言ってくると思うんだけど、「親だと思っている」と言っていた。

確かに鑑定では「シエルを親だと思っている」と出てはいたが、その事は誰にも話していない。

俺はこの際だからリッキーさんに、俺が感じた疑問を聞いてみることにした。
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