異世界漫遊記 〜異世界に来たので仲間と楽しく、美味しく世界を旅します〜

カイ

文字の大きさ
上 下
31 / 196
第1章 出会い〜旅の始まり

ギルドへ行こう!

しおりを挟む

門を潜って街の中に入ると、まだ依頼のために街を離れてから数日しか経っていないのになんだか『久しぶりに帰ってきた故郷』にいる気分がした。

それだけ今回の依頼はいろんな出来事があったもんなぁ~。

特に俺にとっては異世界に来てから慣れない『命のやり取り』をしなければならず、その上『初依頼』だったから緊張や気の張り方は半端なかったしね。

街に入った俺達は、まず最初に街の警備隊に捕縛した4人を連れて行った。

「すまないが、こいつらを頼む。冒険者とはいっても盗賊まがいな奴らだ。森の中で俺たちを殺すつもりで襲ってきたんだ。」

スコットさんがそう言って4人を警備隊に突き出す。

もちろん4人は否定の言葉を叫んでいたが、洞窟で彼らと行動を別にした彼が過去のことも含めて、彼らが行った悪事を次々と口にする。

どうやらその中のいくつかは警備隊の方でも把握していたらしく、犯人が見つかって良かったと言っていた。

もちろんそんな事をすれば彼もただでは済まないことは分かっていたらしく、大人しく警備隊に従ってついて行った。

洞窟での会話を聞いた時点で彼は、あのグループとは本気で縁を切りたかったんだろうなぁ。

彼にはきちんと罪を償ったあと、また暁の星のメンバーとして活動して欲しいと思う。

それから残った俺達はみんなで冒険者ギルドに向かう。

ギルドに到着したらそれぞれチームごとに別れ、受付で依頼の報告をする。

彼らはそこで依頼の報告だけでなくチームをまた元に戻すということも伝えて登録し直してもらっているようだ。

俺たちの方は受付に来て依頼の報告をするとすぐにギルドマスターの部屋に行くよう言われ、いつものように移動する。

ギルドマスターの部屋に到着するとスコットさんがノックして、これまたいつものように中に入ってソファーに座る。

机で書類仕事をしていたルーシェさんは、意外と早めにソファーの方にやってきた。

「今回の依頼、無事に達成できたようだね!」

そうにこやかにルーシェさんが俺たちを見回して言う。

それに対してスコットさんは疲れた顔でルーシェさんに答えた。

「今回のオークの巣なんだが、一応くまなく中を探して殲滅してきたからしばらくはオーク被害は出ないと思う。だが巣には上位種が4体とキングが1体いたんだ。それはつまり、結構前からオーク達は巣を作って繁殖していたということだ。これを踏まえてこれからはしっかりと定期的にオークやゴブリンの討伐をしないと駄目だと思うぞ。あと今回討伐したオークに関しては素材なんかは全て引き取ってもらって構わない。」

それを聞いたルーシェさんは軽く驚き、聞いてきた。

「えっ、上位種だけじゃなくてキングもいたの!?それってかなりの巣の大きさじゃなかった!?」

「ああ、かなりの数がいた。」

「どのくらい?」

「アリの巣みたいな洞窟に゙巣を作っていたんだが…その洞窟の中に70体はいて、巣の周辺の広場でも30~40体はいたし、さらにそこから遠いところでも俺たちだけで20体は倒したんだが、その少し遠い場所でオークの討伐をしていた暁の星は20体以上は倒しているだろう。」

するとルーシェさんは唸った。

「う~ん、そんなに大規模な巣だったとは思わなかったなぁ…。でも殲滅できてよかったよ。その調子だともう少し遅かったら街の方にまで大量にオークが押し寄せていたかもしれないしね。今回はスノーホワイトと暁の星のおかげで危機は取り除けたよ。ありがとう!」

ルーシェさんはそう言って机まで行き、大きめの袋で中身がパンパンになっている革袋を取り出して戻ってきた。

「これはとりあえず今回の依頼に対しての報酬だよ。まさかキングがいたとは思ってなかったから、それに関してはまた後でね。そうそう、下に行ったらオークの買取を出して行ってね!」

そう言ってその革袋をスコットさんに手渡す。

かなり大きな革袋なので、結構入ってそうだなぁ?

それから俺達は階段を降りて買取の受付へ向かう。

受付でこの前対応してくれたおじさんに声を掛けると無言で外を指差す。

俺達はとりあえず指示通りに外にある解体場へと向かう。

前回同様、入口の真ん前でおじさんは待っていた。

「ほら、中に入りな!ギルマスからおめぇさん達がオークの殲滅に行ってるってぇのは聞いていたから、解体要員を…増やして待ち構えていたぜぇ!」

「それは助かる。かなりの数だから、鮮度が落ちる前に解体を終えてもらいたかったからな!」

俺たちは中に入ると指定されたところに次々とオークを出していく。

「…っ!?おいおい、まだあるってぇのか!?」

それは俺が40体ほど出した時に声をかけられた。

「ああ、まだまだだな。ギルドは大量に持ち込まれても大丈夫なように時間停止の大容量マジックバッグが複数あるだろ?そこに入れて保管しつつ解体すればいいんじゃないか?」

「そりゃ~、確かにあるさ!だがな、限度ってもんがあるんだよ!一体どんだけでけぇ巣だったんだよ!?」

おじさんがそう言うとスコットさんはにやりと笑い、肩を組んでこっそりと言った。

「ざっと…俺たちのグループだけで130体はあるんじゃないか?」

するとそれを聞いたおじさんはものすごく驚いてしまった。

「マジかっ!?そんなデカかったとは…」

「そう思うだろう?なんせ上位種4体、キングが1体いたからな。」

「な~るほどねぇ…キングがいたのか……って!キングだとぉ~!?あの滅多に現れることのない!?」

「ああ、そうなんだよ。キングが出てな。もちろん殲滅ってことは倒してきているぞ。上位種も含めて全て買い取りで頼むな。」

「おいおい…マジかぁ…」

おじさんは片頬をピクピクさせながら呟いている。

そりゃあそうだよねぇ~、ものすごい数のオークな上に、通常オークより数倍大きなキングや上位種もとなればそれは大変だよね!
しおりを挟む
感想 22

あなたにおすすめの小説

異世界召喚?やっと社畜から抜け出せる!

アルテミス
ファンタジー
第13回ファンタジー大賞に応募しました。応援してもらえると嬉しいです。 ->最終選考まで残ったようですが、奨励賞止まりだったようです。応援ありがとうございました! ーーーー ヤンキーが勇者として召喚された。 社畜歴十五年のベテラン社畜の俺は、世界に巻き込まれてしまう。 巻き込まれたので女神様の加護はないし、チートもらった訳でもない。幸い召喚の担当をした公爵様が俺の生活の面倒を見てくれるらしいけどね。 そんな俺が異世界で女神様と崇められている”下級神”より上位の"創造神"から加護を与えられる話。 ほのぼのライフを目指してます。 設定も決めずに書き始めたのでブレブレです。気楽〜に読んでください。 6/20-22HOT1位、ファンタジー1位頂きました。有難うございます。

知識スキルで異世界らいふ

チョッキリ
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

勇者パーティを追放された聖女ですが、やっと解放されてむしろ感謝します。なのにパーティの人たちが続々と私に助けを求めてくる件。

八木愛里
ファンタジー
聖女のロザリーは戦闘中でも回復魔法が使用できるが、勇者が見目麗しいソニアを新しい聖女として迎え入れた。ソニアからの入れ知恵で、勇者パーティから『役立たず』と侮辱されて、ついに追放されてしまう。 パーティの人間関係に疲れたロザリーは、ソロ冒険者になることを決意。 攻撃魔法の魔道具を求めて魔道具屋に行ったら、店主から才能を認められる。 ロザリーの実力を知らず愚かにも追放した勇者一行は、これまで攻略できたはずの中級のダンジョンでさえ失敗を繰り返し、仲間割れし破滅へ向かっていく。 一方ロザリーは上級の魔物討伐に成功したり、大魔法使いさまと協力して王女を襲ってきた魔獣を倒したり、国の英雄と呼ばれる存在になっていく。 これは真の実力者であるロザリーが、ソロ冒険者としての地位を確立していきながら、残念ながら追いかけてきた魔法使いや女剣士を「虫が良すぎるわ!」と追っ払い、入り浸っている魔道具屋の店主が実は憧れの大魔法使いさまだが、どうしても本人が気づかない話。 ※11話以降から勇者パーティの没落シーンがあります。 ※40話に鬱展開あり。苦手な方は読み飛ばし推奨します。 ※表紙はAIイラストを使用。

『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる

農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」 そんな言葉から始まった異世界召喚。 呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!? そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう! このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。 勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定 私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。 ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。 他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。 なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。

社畜から卒業したんだから異世界を自由に謳歌します

湯崎noa
ファンタジー
ブラック企業に入社して10年が経つ〈宮島〉は、当たり前の様な連続徹夜に心身ともに疲労していた。  そんな時に中高の同級生と再開し、その同級生への相談を行ったところ会社を辞める決意をした。  しかし!! その日の帰り道に全身の力が抜け、線路に倒れ込んでしまった。  そのまま呆気なく宮島の命は尽きてしまう。  この死亡は神様の手違いによるものだった!?  神様からの全力の謝罪を受けて、特殊スキル〈コピー〉を授かり第二の人生を送る事になる。  せっかくブラック企業を卒業して、異世界転生するのだから全力で謳歌してやろうじゃないか!! ※カクヨム、小説家になろう、ノベルバでも連載中

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした

高鉢 健太
ファンタジー
 ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。  ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。  もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。  とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!

【番外編】貴族令嬢に生まれたからには念願のだらだらニート生活したい。

譚音アルン
ファンタジー
『貴族令嬢に生まれたからには念願のだらだらニート生活したい。』の番外編です。 本編にくっつけるとスクロールが大変そうなので別にしました。

処理中です...