異世界漫遊記 〜異世界に来たので仲間と楽しく、美味しく世界を旅します〜

カイ

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第1章 出会い〜旅の始まり

ギルドへ行こう!

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門を潜って街の中に入ると、まだ依頼のために街を離れてから数日しか経っていないのになんだか『久しぶりに帰ってきた故郷』にいる気分がした。

それだけ今回の依頼はいろんな出来事があったもんなぁ~。

特に俺にとっては異世界に来てから慣れない『命のやり取り』をしなければならず、その上『初依頼』だったから緊張や気の張り方は半端なかったしね。

街に入った俺達は、まず最初に街の警備隊に捕縛した4人を連れて行った。

「すまないが、こいつらを頼む。冒険者とはいっても盗賊まがいな奴らだ。森の中で俺たちを殺すつもりで襲ってきたんだ。」

スコットさんがそう言って4人を警備隊に突き出す。

もちろん4人は否定の言葉を叫んでいたが、洞窟で彼らと行動を別にした彼が過去のことも含めて、彼らが行った悪事を次々と口にする。

どうやらその中のいくつかは警備隊の方でも把握していたらしく、犯人が見つかって良かったと言っていた。

もちろんそんな事をすれば彼もただでは済まないことは分かっていたらしく、大人しく警備隊に従ってついて行った。

洞窟での会話を聞いた時点で彼は、あのグループとは本気で縁を切りたかったんだろうなぁ。

彼にはきちんと罪を償ったあと、また暁の星のメンバーとして活動して欲しいと思う。

それから残った俺達はみんなで冒険者ギルドに向かう。

ギルドに到着したらそれぞれチームごとに別れ、受付で依頼の報告をする。

彼らはそこで依頼の報告だけでなくチームをまた元に戻すということも伝えて登録し直してもらっているようだ。

俺たちの方は受付に来て依頼の報告をするとすぐにギルドマスターの部屋に行くよう言われ、いつものように移動する。

ギルドマスターの部屋に到着するとスコットさんがノックして、これまたいつものように中に入ってソファーに座る。

机で書類仕事をしていたルーシェさんは、意外と早めにソファーの方にやってきた。

「今回の依頼、無事に達成できたようだね!」

そうにこやかにルーシェさんが俺たちを見回して言う。

それに対してスコットさんは疲れた顔でルーシェさんに答えた。

「今回のオークの巣なんだが、一応くまなく中を探して殲滅してきたからしばらくはオーク被害は出ないと思う。だが巣には上位種が4体とキングが1体いたんだ。それはつまり、結構前からオーク達は巣を作って繁殖していたということだ。これを踏まえてこれからはしっかりと定期的にオークやゴブリンの討伐をしないと駄目だと思うぞ。あと今回討伐したオークに関しては素材なんかは全て引き取ってもらって構わない。」

それを聞いたルーシェさんは軽く驚き、聞いてきた。

「えっ、上位種だけじゃなくてキングもいたの!?それってかなりの巣の大きさじゃなかった!?」

「ああ、かなりの数がいた。」

「どのくらい?」

「アリの巣みたいな洞窟に゙巣を作っていたんだが…その洞窟の中に70体はいて、巣の周辺の広場でも30~40体はいたし、さらにそこから遠いところでも俺たちだけで20体は倒したんだが、その少し遠い場所でオークの討伐をしていた暁の星は20体以上は倒しているだろう。」

するとルーシェさんは唸った。

「う~ん、そんなに大規模な巣だったとは思わなかったなぁ…。でも殲滅できてよかったよ。その調子だともう少し遅かったら街の方にまで大量にオークが押し寄せていたかもしれないしね。今回はスノーホワイトと暁の星のおかげで危機は取り除けたよ。ありがとう!」

ルーシェさんはそう言って机まで行き、大きめの袋で中身がパンパンになっている革袋を取り出して戻ってきた。

「これはとりあえず今回の依頼に対しての報酬だよ。まさかキングがいたとは思ってなかったから、それに関してはまた後でね。そうそう、下に行ったらオークの買取を出して行ってね!」

そう言ってその革袋をスコットさんに手渡す。

かなり大きな革袋なので、結構入ってそうだなぁ?

それから俺達は階段を降りて買取の受付へ向かう。

受付でこの前対応してくれたおじさんに声を掛けると無言で外を指差す。

俺達はとりあえず指示通りに外にある解体場へと向かう。

前回同様、入口の真ん前でおじさんは待っていた。

「ほら、中に入りな!ギルマスからおめぇさん達がオークの殲滅に行ってるってぇのは聞いていたから、解体要員を…増やして待ち構えていたぜぇ!」

「それは助かる。かなりの数だから、鮮度が落ちる前に解体を終えてもらいたかったからな!」

俺たちは中に入ると指定されたところに次々とオークを出していく。

「…っ!?おいおい、まだあるってぇのか!?」

それは俺が40体ほど出した時に声をかけられた。

「ああ、まだまだだな。ギルドは大量に持ち込まれても大丈夫なように時間停止の大容量マジックバッグが複数あるだろ?そこに入れて保管しつつ解体すればいいんじゃないか?」

「そりゃ~、確かにあるさ!だがな、限度ってもんがあるんだよ!一体どんだけでけぇ巣だったんだよ!?」

おじさんがそう言うとスコットさんはにやりと笑い、肩を組んでこっそりと言った。

「ざっと…俺たちのグループだけで130体はあるんじゃないか?」

するとそれを聞いたおじさんはものすごく驚いてしまった。

「マジかっ!?そんなデカかったとは…」

「そう思うだろう?なんせ上位種4体、キングが1体いたからな。」

「な~るほどねぇ…キングがいたのか……って!キングだとぉ~!?あの滅多に現れることのない!?」

「ああ、そうなんだよ。キングが出てな。もちろん殲滅ってことは倒してきているぞ。上位種も含めて全て買い取りで頼むな。」

「おいおい…マジかぁ…」

おじさんは片頬をピクピクさせながら呟いている。

そりゃあそうだよねぇ~、ものすごい数のオークな上に、通常オークより数倍大きなキングや上位種もとなればそれは大変だよね!
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