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第1章 出会い〜旅の始まり
悪いことはするものじゃない
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街への道を、急に現れた暁の星の一部メンバーに塞がれた。
何となくこの後の展開がわかってはいるが、一応スコットさんが代表して聞く。
「暁の星のメンバーだな?一体俺たちに何のようだ?それに他のメンバーは?」
それを聞いてあちらの代表がニヤニヤしながら答えた。
「他のメンバーが今どこにいるのかは知らねぇよ。だが、お前たちにはここでくたばってもらうから知る必要はないだろうがな!」
その言葉が合図だったのか、全員で一気に襲いかかってきた。
……う~ん、セリフや行動がまるで三文芝居みたいだなぁ。
あちらはどうやら魔法が使える人がいないらしく、みんな武器を手にしている。
俺は何もできないだろうという判断なのか、俺以外のメンバーにそれぞれ1人づつ向かったようだ。
俺は後衛のエミリーさんとリリーさんが気になり、そちらを見る。
2人は魔法使いだから接近戦は苦手だと思ったのだが、どうやらそうでもなかったようだ。
エミリーさんは魔法で身体強化をしつつ短剣で戦っているし、リリーさんは持っているロッドを棍棒みたいに使っている。
……えっ、それってそういう風に使って大丈夫なの!?
俺は武器も構えずにみんなの戦闘を唖然と見てしまっていた。
そのうちにやはり向かってきた相手との力の差が歴然としていたスコットさんとリッキーさんが、戦っていた相手を早々に制圧し終わったようだ。
それを見て、エミリーさん達と戦っていた相手はどうやら分が悪いと判断したらしく、俺の方に向かってきた。
俺1人なら2人でかかれば何とかできるだろうと思ったのだろう。
2人は俺の前にきて剣を振りかざす。
俺も剣を構えて対応しようとしたのだが、もたついて反応に少し遅れてしまった。
その2人の後ろでみんなの叫び声が聞こえる。
2人の振り下ろした剣が俺の間近に迫ったのだが、やはりというか、見えない壁に阻まれて剣が弾き返された。
「なにぃ~!?」
「なんで剣が当たらない!?」
2人はとても驚いて一瞬動きを止めたが、その隙にリッキーさんが2人を制圧してくれた。
「ありがとうございます、リッキーさん!ホント、すごく強いですね!」
「いや、無事なら良いんだ。でもこの状況、まるで出会った時と同じだな?シエルがやられた!と思ったのに大丈夫だったなんて。」
「あ~…それについては後で話しますので、今は聞かないでください。それより、多分暁の星の他のメンバーが到着したんじゃないですかね?」
俺がそう言って振り返ると、ちょうど俺たちの方に走って来ている暁の星のメンバーがいた。
スコットさん達はそれを見て剣を構える。
俺は剣をしまってリッキーさんに伝えた。
「リッキーさん、彼らは敵対者じゃないですよ。」
「…なんでわかる?」
「俺の探査魔法ではどうやら魔物と敵対者、俺達にとって無害な人で色が違うみたいなんです。俺も最初は赤と青しか表示されなかったので気づきませんでしたが、洞窟で取り押さえている暁の星のメンバーが来た時にそれがわかりました。魔物は赤、敵対者は白、無害な人は青に光るんです。さっき戦った人達は白に光っていました。でも今から来る人達は青に光っています。」
「…なるほどなぁ、シエルはそう見えているのか。」
「はい、そうなんですよ。だから安全だと思います。」
そう俺がリッキーさんと話している間に暁の星の他のメンバーがこちらに到着したようだ。
こちらの状況を見て、暁の星のリーダーは申し訳無さそうな顔をして勢いよく頭を下げた。
「すまん、うちのメンバーが迷惑をかけた!」
「いや、それは大丈夫だったが…ちょっと管理不足だったんじゃないのか?」
スコットさんにそう言われて尚更申し訳無さそうにしている。
「今更言い訳にしか聞こえないだろうが、俺も昨日の夜にこいつから聞かされるまで気付けなかったんだ。それまでは言動にちょっと問題があっても犯罪には手を染めていないという認識だったんだが…こいつが言うには、実はメンバーとして活動していない時にそういう事をしていたらしいんだ。」
「はぁ~…つまり、お前たちは安全だと言いたいのか?」
「ああ、それだけは信じてくれ!俺たちは襲ったりしない!」
「だが、そいつは仲間だったんだろ?」
「そうだったようだが、そういうのが嫌でいつも止めていたらしい。元々俺たちは最初は2グループだったのが合同で依頼を受けるうちに意気投合して1つのグループになったんだが、街に帰ってギルドに報告に行った時に今回の事を考えて元の2つに戻すことにするよ。そしてこいつはそっちのメンバーからこっちに移籍させるつもりだ。」
暁の星のリーダーがそう言うと、制圧されている方のリーダーは焦った声で言った。
「リーダー、それだけは勘弁してくれ!俺たちだけじゃやっていけない!」
「いや、もう悪事を働いていることを知ってしまったからには無理だ。お前たちにはしっかりと罪を償ってもらう。そしてこいつは今回の事でお前達に愛想がついたそうで、こちらに来たいと言っていたから罪を償ったら暁の星に戻すつもりだ。」
そう宣告されると、制圧されたグループは一様にがっくりと項垂れてしまった。
それから俺達は取り押さえられた人達を縄で縛っていく。
絶対解けないことを確認し、刃物などを所持していないことも確認する。
持っているとそれで縄を切られて逃げられることもあるからな。
それが終わると皆で森を抜けて街へ向かう。
もうここまで来ると魔物の脅威はないから街へはすぐ着いた。
入口で身分証を見せて中へと入る。
中に入るとすごく気持ちが楽になった。
いや~、今回の依頼はめちゃくちゃいろんな事あって疲れたなぁ…。
何となくこの後の展開がわかってはいるが、一応スコットさんが代表して聞く。
「暁の星のメンバーだな?一体俺たちに何のようだ?それに他のメンバーは?」
それを聞いてあちらの代表がニヤニヤしながら答えた。
「他のメンバーが今どこにいるのかは知らねぇよ。だが、お前たちにはここでくたばってもらうから知る必要はないだろうがな!」
その言葉が合図だったのか、全員で一気に襲いかかってきた。
……う~ん、セリフや行動がまるで三文芝居みたいだなぁ。
あちらはどうやら魔法が使える人がいないらしく、みんな武器を手にしている。
俺は何もできないだろうという判断なのか、俺以外のメンバーにそれぞれ1人づつ向かったようだ。
俺は後衛のエミリーさんとリリーさんが気になり、そちらを見る。
2人は魔法使いだから接近戦は苦手だと思ったのだが、どうやらそうでもなかったようだ。
エミリーさんは魔法で身体強化をしつつ短剣で戦っているし、リリーさんは持っているロッドを棍棒みたいに使っている。
……えっ、それってそういう風に使って大丈夫なの!?
俺は武器も構えずにみんなの戦闘を唖然と見てしまっていた。
そのうちにやはり向かってきた相手との力の差が歴然としていたスコットさんとリッキーさんが、戦っていた相手を早々に制圧し終わったようだ。
それを見て、エミリーさん達と戦っていた相手はどうやら分が悪いと判断したらしく、俺の方に向かってきた。
俺1人なら2人でかかれば何とかできるだろうと思ったのだろう。
2人は俺の前にきて剣を振りかざす。
俺も剣を構えて対応しようとしたのだが、もたついて反応に少し遅れてしまった。
その2人の後ろでみんなの叫び声が聞こえる。
2人の振り下ろした剣が俺の間近に迫ったのだが、やはりというか、見えない壁に阻まれて剣が弾き返された。
「なにぃ~!?」
「なんで剣が当たらない!?」
2人はとても驚いて一瞬動きを止めたが、その隙にリッキーさんが2人を制圧してくれた。
「ありがとうございます、リッキーさん!ホント、すごく強いですね!」
「いや、無事なら良いんだ。でもこの状況、まるで出会った時と同じだな?シエルがやられた!と思ったのに大丈夫だったなんて。」
「あ~…それについては後で話しますので、今は聞かないでください。それより、多分暁の星の他のメンバーが到着したんじゃないですかね?」
俺がそう言って振り返ると、ちょうど俺たちの方に走って来ている暁の星のメンバーがいた。
スコットさん達はそれを見て剣を構える。
俺は剣をしまってリッキーさんに伝えた。
「リッキーさん、彼らは敵対者じゃないですよ。」
「…なんでわかる?」
「俺の探査魔法ではどうやら魔物と敵対者、俺達にとって無害な人で色が違うみたいなんです。俺も最初は赤と青しか表示されなかったので気づきませんでしたが、洞窟で取り押さえている暁の星のメンバーが来た時にそれがわかりました。魔物は赤、敵対者は白、無害な人は青に光るんです。さっき戦った人達は白に光っていました。でも今から来る人達は青に光っています。」
「…なるほどなぁ、シエルはそう見えているのか。」
「はい、そうなんですよ。だから安全だと思います。」
そう俺がリッキーさんと話している間に暁の星の他のメンバーがこちらに到着したようだ。
こちらの状況を見て、暁の星のリーダーは申し訳無さそうな顔をして勢いよく頭を下げた。
「すまん、うちのメンバーが迷惑をかけた!」
「いや、それは大丈夫だったが…ちょっと管理不足だったんじゃないのか?」
スコットさんにそう言われて尚更申し訳無さそうにしている。
「今更言い訳にしか聞こえないだろうが、俺も昨日の夜にこいつから聞かされるまで気付けなかったんだ。それまでは言動にちょっと問題があっても犯罪には手を染めていないという認識だったんだが…こいつが言うには、実はメンバーとして活動していない時にそういう事をしていたらしいんだ。」
「はぁ~…つまり、お前たちは安全だと言いたいのか?」
「ああ、それだけは信じてくれ!俺たちは襲ったりしない!」
「だが、そいつは仲間だったんだろ?」
「そうだったようだが、そういうのが嫌でいつも止めていたらしい。元々俺たちは最初は2グループだったのが合同で依頼を受けるうちに意気投合して1つのグループになったんだが、街に帰ってギルドに報告に行った時に今回の事を考えて元の2つに戻すことにするよ。そしてこいつはそっちのメンバーからこっちに移籍させるつもりだ。」
暁の星のリーダーがそう言うと、制圧されている方のリーダーは焦った声で言った。
「リーダー、それだけは勘弁してくれ!俺たちだけじゃやっていけない!」
「いや、もう悪事を働いていることを知ってしまったからには無理だ。お前たちにはしっかりと罪を償ってもらう。そしてこいつは今回の事でお前達に愛想がついたそうで、こちらに来たいと言っていたから罪を償ったら暁の星に戻すつもりだ。」
そう宣告されると、制圧されたグループは一様にがっくりと項垂れてしまった。
それから俺達は取り押さえられた人達を縄で縛っていく。
絶対解けないことを確認し、刃物などを所持していないことも確認する。
持っているとそれで縄を切られて逃げられることもあるからな。
それが終わると皆で森を抜けて街へ向かう。
もうここまで来ると魔物の脅威はないから街へはすぐ着いた。
入口で身分証を見せて中へと入る。
中に入るとすごく気持ちが楽になった。
いや~、今回の依頼はめちゃくちゃいろんな事あって疲れたなぁ…。
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