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第一章 出会い〜旅の始まり
招かれざる来訪者
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しばらく辺りで人の歩き回る音などが響き渡っていたが、不意に止んだ。
「あ~れぇ~?もしかしてもう戦闘が終わって帰ったのかぁ~?」
「そうだな、ちょっと早いとは思うが、戦闘の跡は残っていてもオークの姿が無いってことはそういうことだろうさ。」
「なんだよぉ、上位個体にやられて瀕死のところを俺達がとどめを刺して金品を奪おうと思ったのに、もう帰ったのかぁ?」
「でもまぁ、リーダーに「他にもオークがいるかもしれないから二手に分かれて探そう」って言ってきたわけだし、何もなくても問題はないだろ?そのまま何食わぬ顔で合流すれば良いじゃないか。」
「まぁ、そうなんだがよぉ。せっかく良いもんが手に入りそうだったのに何も収穫がないのもなぁ。」
「…あまり欲張りすぎると良いことないぞ?」
「いや、だがなぁ…ん~、もしかするとまだ近くにいるかもしれないし、追いかけるか?」
「いや、ここに何体かの上位個体がいた形跡や大量の水があったりととんでもない戦闘の痕跡があるのに追いかけるのか?俺たちのほうが逆に返り討ちに合うと思うんだが……。」
「お前はいつも消極的だなぁ!さすがにBランクでもそこまで戦力差はないだろうさ!特に今は戦闘後だから消耗しているはずだしな。上手くすれば女、子供を捕らえて高値で奴隷商に売れるぞ?」
「いいなぁ、それ!やっぱり追いかけようぜ!」
「そうだな!行こう、行こう!!」
そんな声がして、探査魔法の光の動きを見ると5人の内4人がここから走って遠ざかっていったが、1人だけ残ったようだ。
その人はポツリと「彼奴等にはもう付き合いきれん。俺はリーダーのところに戻ろう…。」と呟いて、ゆっくりと歩いていく。
1人で暁の星のいるところに戻れるのだろうか?という疑問もあったが、ここからそこまで離れていないし、もうオークもそんなにいないはず。
それにこれくらい森の浅いところなら他には雑魚しかいないだろうから気にしなくても大丈夫だろう。
招かれざる来訪者がいなくなってからしばらくして、スコットさんが話し始めた。
「もう皆いなくなったか?」
「ああ、もう洞窟からもいなくなったようだ。シエルの方もどうだ?」
「そうですね、もう皆いなくなり、5人の内4人は街の方へ向かったようです。最後に立ち去った人は元のグループに合流すべく向かっているようですよ。あの人、ホントは探査魔法みたいなのを使えるんじゃないですかね?迷いなく向かっているようですし。」
「そうなのか?でもさっきはそんな素振り何にもなかったが?」
「それはあれだろ、スコット。あいつだけ俺達を襲うのはやめようって言っていたじゃないか。あえて居場所は言わなかったんだと思うぜ。」
「俺もそう思います。しきりに諦めさせようとしていましたし、彼らに見切りをつけたんでしょうね、俺たちに会話が聞こえているのを知って。」
そんな俺たちの会話を聞いてエミリーさんとリリーさんも顔を顰めさせている。
暁の星の一部が自分達や俺を捕まえて奴隷商に売り飛ばすなんて聞いたら気分悪いはずだ。
それでも多分だが、普通にオークと戦っていたメンバーはまともなんだと思う。
ここに来た人達が悪い人だったっていうだけで残りのメンバーも悪い人だとは限らないからな。
そこまで考えてふと、俺は気がついた。
「…もしかしてこういう展開になるって、リッキーさんたちは気づいていたんですか?早い段階だと、一緒に食事をした後あたりから?」
するとリッキーさん以外は緩く横に首を振る。
どうやら3人は早い段階では気づいていなかった様だ。
「俺達はこの洞窟に奴らが近づいているとわかった時点でこうなることは予想できたが、リッキーはもっと早い段階で気づいていただろうな。そうだろ、リッキー?」
「そうだな、俺はなんとなくだったがこうなるような気がしていた。そんな時に役立つ固有スキルを持っているからな。」
「それってもしかしてこの前言っていた『四六時中働いているスキル』ですか?」
「ああ、そのスキルだ。」
「…どんなスキルか聞いても?」
「う~ん、今なら他にいないから良いか。俺はな、簡単にいうと近くにいる奴の感情が分かるっていうスキルを持っているんだ。だからなんとなくしか読み取れないが、すぐに警戒態勢を取れる。」
俺はリッキーさんの秘密を聞いてびっくりした。
なるほど、それなら俺の感情なんかはすぐわかったはずだ。
もちろん、暁の星のメンバーの感情も。
その話のあと、これからどう行動するのかをみんなで話し合った。
とりあえず今日はもう夕暮れになっているはずなので街には戻らず洞窟で一夜を明かすこと、一夜を明かすのはこの壁の中にすることを決めた。
まあこの中なら安全だし、万が一魔物が出ても大丈夫なはず。
俺が寝てしまった後がどうなるのかわからないのが不安だけど。
そうみんなに言うと、「じゃあ試しにちょっと寝てみてくれ」と言われたが、みんなが見守る中ですぐに寝れるわけないよ!
でもとりあえず夕飯食べた後の見張りは俺が一番最初に寝て、それをみんなで様子見をするってことになった。
…壁が崩れないと良いなぁ。
「あ~れぇ~?もしかしてもう戦闘が終わって帰ったのかぁ~?」
「そうだな、ちょっと早いとは思うが、戦闘の跡は残っていてもオークの姿が無いってことはそういうことだろうさ。」
「なんだよぉ、上位個体にやられて瀕死のところを俺達がとどめを刺して金品を奪おうと思ったのに、もう帰ったのかぁ?」
「でもまぁ、リーダーに「他にもオークがいるかもしれないから二手に分かれて探そう」って言ってきたわけだし、何もなくても問題はないだろ?そのまま何食わぬ顔で合流すれば良いじゃないか。」
「まぁ、そうなんだがよぉ。せっかく良いもんが手に入りそうだったのに何も収穫がないのもなぁ。」
「…あまり欲張りすぎると良いことないぞ?」
「いや、だがなぁ…ん~、もしかするとまだ近くにいるかもしれないし、追いかけるか?」
「いや、ここに何体かの上位個体がいた形跡や大量の水があったりととんでもない戦闘の痕跡があるのに追いかけるのか?俺たちのほうが逆に返り討ちに合うと思うんだが……。」
「お前はいつも消極的だなぁ!さすがにBランクでもそこまで戦力差はないだろうさ!特に今は戦闘後だから消耗しているはずだしな。上手くすれば女、子供を捕らえて高値で奴隷商に売れるぞ?」
「いいなぁ、それ!やっぱり追いかけようぜ!」
「そうだな!行こう、行こう!!」
そんな声がして、探査魔法の光の動きを見ると5人の内4人がここから走って遠ざかっていったが、1人だけ残ったようだ。
その人はポツリと「彼奴等にはもう付き合いきれん。俺はリーダーのところに戻ろう…。」と呟いて、ゆっくりと歩いていく。
1人で暁の星のいるところに戻れるのだろうか?という疑問もあったが、ここからそこまで離れていないし、もうオークもそんなにいないはず。
それにこれくらい森の浅いところなら他には雑魚しかいないだろうから気にしなくても大丈夫だろう。
招かれざる来訪者がいなくなってからしばらくして、スコットさんが話し始めた。
「もう皆いなくなったか?」
「ああ、もう洞窟からもいなくなったようだ。シエルの方もどうだ?」
「そうですね、もう皆いなくなり、5人の内4人は街の方へ向かったようです。最後に立ち去った人は元のグループに合流すべく向かっているようですよ。あの人、ホントは探査魔法みたいなのを使えるんじゃないですかね?迷いなく向かっているようですし。」
「そうなのか?でもさっきはそんな素振り何にもなかったが?」
「それはあれだろ、スコット。あいつだけ俺達を襲うのはやめようって言っていたじゃないか。あえて居場所は言わなかったんだと思うぜ。」
「俺もそう思います。しきりに諦めさせようとしていましたし、彼らに見切りをつけたんでしょうね、俺たちに会話が聞こえているのを知って。」
そんな俺たちの会話を聞いてエミリーさんとリリーさんも顔を顰めさせている。
暁の星の一部が自分達や俺を捕まえて奴隷商に売り飛ばすなんて聞いたら気分悪いはずだ。
それでも多分だが、普通にオークと戦っていたメンバーはまともなんだと思う。
ここに来た人達が悪い人だったっていうだけで残りのメンバーも悪い人だとは限らないからな。
そこまで考えてふと、俺は気がついた。
「…もしかしてこういう展開になるって、リッキーさんたちは気づいていたんですか?早い段階だと、一緒に食事をした後あたりから?」
するとリッキーさん以外は緩く横に首を振る。
どうやら3人は早い段階では気づいていなかった様だ。
「俺達はこの洞窟に奴らが近づいているとわかった時点でこうなることは予想できたが、リッキーはもっと早い段階で気づいていただろうな。そうだろ、リッキー?」
「そうだな、俺はなんとなくだったがこうなるような気がしていた。そんな時に役立つ固有スキルを持っているからな。」
「それってもしかしてこの前言っていた『四六時中働いているスキル』ですか?」
「ああ、そのスキルだ。」
「…どんなスキルか聞いても?」
「う~ん、今なら他にいないから良いか。俺はな、簡単にいうと近くにいる奴の感情が分かるっていうスキルを持っているんだ。だからなんとなくしか読み取れないが、すぐに警戒態勢を取れる。」
俺はリッキーさんの秘密を聞いてびっくりした。
なるほど、それなら俺の感情なんかはすぐわかったはずだ。
もちろん、暁の星のメンバーの感情も。
その話のあと、これからどう行動するのかをみんなで話し合った。
とりあえず今日はもう夕暮れになっているはずなので街には戻らず洞窟で一夜を明かすこと、一夜を明かすのはこの壁の中にすることを決めた。
まあこの中なら安全だし、万が一魔物が出ても大丈夫なはず。
俺が寝てしまった後がどうなるのかわからないのが不安だけど。
そうみんなに言うと、「じゃあ試しにちょっと寝てみてくれ」と言われたが、みんなが見守る中ですぐに寝れるわけないよ!
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…壁が崩れないと良いなぁ。
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