異世界漫遊記 〜異世界に来たので仲間と楽しく、美味しく世界を旅します〜

カイ

文字の大きさ
上 下
20 / 196
第1章 出会い〜旅の始まり

森へ行こう!

しおりを挟む

何事もなく、森と街道の境目まで到着した。

ここまでで大体20分くらい。

ルーシェさんが街から30分くらいの場所でもオークが見つかったって言っていたから、ここから約10分ほど行ったところなのだろう。

思ったよりも意外と街に近い。

これでは巣の殲滅作戦が依頼されるわけだ。

俺はまだ戦い慣れてないから気をつけなければスコットさんたちの足を引っ張ってしまう。

気を引き締めていこう。

俺が1人気合を入れているとスコットさんたちに声をかけられる。

「そんなに気を張らなくても大丈夫だ。俺たちがついている。」

「そうよ~、私たちスノーホワイトがついているんだから安心しなさいな。」

「シエルは俺と一緒に行動な!戦いながらいろいろ指導してやるよ。」

「そうですよ、怪我をしたらすぐに私のところに来てください。かなりの重症でもすぐに癒せますから。」

スコットさん達は俺を安心させるように口々に言う。

なんて心強いんだろう。

俺はそう思い、ニッコリと笑う。

「はい!なるべく足手まといにならないように頑張ります!」

それを聞いてスコットさんが俺の頭をグシャって撫でた。

「よし!皆、これから森に入る。気を引き締めて行くぞ!」

「「「「おうっ!(はいっ!)」」」」

それからみんな固まって森の中を進む。

スコットさんはルーシェさんに多数のオークが出た場所を記された地図をもらっていたようで、時々その地図を取り出しながら確認している。

俺には全然わからないけど、所々枝のところにいろいろな色のリボンが結んであるのに気づいた。

多分あれが道に迷わないようにする為の目印なんだろう。

それから地図を見ながら進むこと30分。

ここまでにもオークが10体ほど出たが、スコットさん達と俺によって瞬殺されている。

こうやって戦ってみると、やっぱり俺も強くなっているのが分かる。

最初の頃の街に着くまでの戦闘と今の俺の戦闘では明らかに動きや剣速に違いがある。

ステータスの違いでこんなに違うのかと驚いたほどだ。

でも剣ばかり使ってないで魔法も使ってスキルを上げないと偏ってしまうな。

そんなことを思いながら森の中を探索していると、リッキーさんがみんなに声をかけてきた。

「右前方の方から魔物ではなく人が近づいてきているようだ。少し警戒していてくれ。」

そう言われて俺はきょとんとしたが、その後リッキーさんに「たとえ人が近づいてきていても気を抜くなよ?味方だと思わせ油断させてから切りつけてくることもあるからな。」と言われてちょっとショックを受けた。

どうやらそんなことはよくある話だと言う。

この世界はやっぱり日本より物騒なんだなぁ。

それからしばらく歩いているとリッキーさんの言葉通り、右前方から冒険者らしき人達が来た。

「すまないがちょっと聞きたい。君たちはギルマスから頼まれて街に近づくオークを狩っている集団か?」

スコットさんがそう言うと、相手側のリーダーらしき人が返事をした。

「あぁ、俺たちはギルマスから頼まれてオーク狩りをしているCランクの『暁の星』だ。よろしく。」

「こちらはギルマスからオークの巣を駆除するように依頼されたBランクの『スノーホワイト』だ。よろしくな。」

お互いに軽く自己紹介をするとちょうどお昼時ということもあってみんなで交代で見張りながら昼食を取ることになった。

俺たちは街で買い込んできた屋台飯をそれぞれのマジックバッグから取り出した。

それを見て暁の星のメンバーたちは羨ましそうにしている。

自分たちは栄養がたっぷりだがまずい固形の保存食と水を取り出していたからだ。

…少しくらいなら分けてもいいかな?

俺がそう思った時、リッキーさんが耳打ちしてきた。

『分けようと思ってるんだろ?でも相手は人数がうちより多い。シエルはそんなに買い込んできていたのか?』

俺は頷くと同じく耳打ちして『はい、屋台の人に申し訳ないほどあちこちで買い込んできました。だから大丈夫ですよ!』と言うと、リッキーさんが呆れた顔をした。

そして『しょうがないなぁ~。』と呟くと暁の星のメンバーに向かって声をかけた。

「うちらは街の屋台でいっぱい買い込んできたから、少し分けてやるよ。でもそのかわり好き嫌いは無しだぞ?」

すると暁の星のリーダーは嬉しそうな顔をして頷いた。

「良いのか?悪いな!俺達もマジックバッグを持ってはいるんだが、時間停止機能はついてなくてな。でも考えてみると、こういう時には便利だよな…やっぱり今回の報酬でちょっと買えるか見てみるかな?」

「それは良いと思うぞ?俺たちも通常は狩った魔物を入れるのに使っているんだが、今回は何日かかるかわからないから食料も買い込んできたんだ。」

「なるほど、やっぱり容量は多少小さくても食料用に買ってみるか。」

そんな事を言って暁の星のリーダーは頷いている。

「一応好みもあるかと思うのでいろいろ出してみました。欲しいのをどうぞ!」

俺は屋台で買い込んできたものをレジャーシートみたいなものに置く。

実はこのレジャーシート、リッキーさんとリリーさんと一緒に街を散策していた時に見つけたんだ。

日本のみたいにビニールのような素材に似ていて、透明で薄い。

素材はなんだろう?と思って鑑定すると、なんと弾力性のあるスライムをハンマーで叩いて伸ばした物らしい!

こっちの世界は魔物から採れる素材で色々な物を作っているんだなぁ…と思ったよ。

暁の星のメンバーが皆それぞれ好きなものを取り、ようやく全員で食事をとった。

食後にはリーダー同士で情報の交換をして、オークの巣がどの辺りになりそうか検討している。

その間、残った俺たちは固まって座っているが、何故か俺が真ん中で守られているかの様な布陣?だ。

何故なのかってリッキーさんに聞くと、なんとなく?と返された。

どうやら何かの勘が働いてるらしい。

…なんか、フラグが立ったんじゃないだろうな?
しおりを挟む
感想 22

あなたにおすすめの小説

異世界召喚?やっと社畜から抜け出せる!

アルテミス
ファンタジー
第13回ファンタジー大賞に応募しました。応援してもらえると嬉しいです。 ->最終選考まで残ったようですが、奨励賞止まりだったようです。応援ありがとうございました! ーーーー ヤンキーが勇者として召喚された。 社畜歴十五年のベテラン社畜の俺は、世界に巻き込まれてしまう。 巻き込まれたので女神様の加護はないし、チートもらった訳でもない。幸い召喚の担当をした公爵様が俺の生活の面倒を見てくれるらしいけどね。 そんな俺が異世界で女神様と崇められている”下級神”より上位の"創造神"から加護を与えられる話。 ほのぼのライフを目指してます。 設定も決めずに書き始めたのでブレブレです。気楽〜に読んでください。 6/20-22HOT1位、ファンタジー1位頂きました。有難うございます。

知識スキルで異世界らいふ

チョッキリ
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

勇者パーティを追放された聖女ですが、やっと解放されてむしろ感謝します。なのにパーティの人たちが続々と私に助けを求めてくる件。

八木愛里
ファンタジー
聖女のロザリーは戦闘中でも回復魔法が使用できるが、勇者が見目麗しいソニアを新しい聖女として迎え入れた。ソニアからの入れ知恵で、勇者パーティから『役立たず』と侮辱されて、ついに追放されてしまう。 パーティの人間関係に疲れたロザリーは、ソロ冒険者になることを決意。 攻撃魔法の魔道具を求めて魔道具屋に行ったら、店主から才能を認められる。 ロザリーの実力を知らず愚かにも追放した勇者一行は、これまで攻略できたはずの中級のダンジョンでさえ失敗を繰り返し、仲間割れし破滅へ向かっていく。 一方ロザリーは上級の魔物討伐に成功したり、大魔法使いさまと協力して王女を襲ってきた魔獣を倒したり、国の英雄と呼ばれる存在になっていく。 これは真の実力者であるロザリーが、ソロ冒険者としての地位を確立していきながら、残念ながら追いかけてきた魔法使いや女剣士を「虫が良すぎるわ!」と追っ払い、入り浸っている魔道具屋の店主が実は憧れの大魔法使いさまだが、どうしても本人が気づかない話。 ※11話以降から勇者パーティの没落シーンがあります。 ※40話に鬱展開あり。苦手な方は読み飛ばし推奨します。 ※表紙はAIイラストを使用。

【完結】魔術師なのはヒミツで薬師になりました

すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
 ティモシーは、魔術師の少年だった。人には知られてはいけないヒミツを隠し、薬師(くすし)の国と名高いエクランド国で薬師になる試験を受けるも、それは年に一度の王宮専属薬師になる試験だった。本当は普通の試験でよかったのだが、見事に合格を果たす。見た目が美少女のティモシーは、トラブルに合うもまだ平穏な方だった。魔術師の組織の影がちらつき、彼は次第に大きな運命に飲み込まれていく……。

『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる

農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」 そんな言葉から始まった異世界召喚。 呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!? そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう! このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。 勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定 私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。 ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。 他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。 なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。

社畜から卒業したんだから異世界を自由に謳歌します

湯崎noa
ファンタジー
ブラック企業に入社して10年が経つ〈宮島〉は、当たり前の様な連続徹夜に心身ともに疲労していた。  そんな時に中高の同級生と再開し、その同級生への相談を行ったところ会社を辞める決意をした。  しかし!! その日の帰り道に全身の力が抜け、線路に倒れ込んでしまった。  そのまま呆気なく宮島の命は尽きてしまう。  この死亡は神様の手違いによるものだった!?  神様からの全力の謝罪を受けて、特殊スキル〈コピー〉を授かり第二の人生を送る事になる。  せっかくブラック企業を卒業して、異世界転生するのだから全力で謳歌してやろうじゃないか!! ※カクヨム、小説家になろう、ノベルバでも連載中

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした

高鉢 健太
ファンタジー
 ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。  ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。  もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。  とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!

処理中です...