14 / 196
第1章 出会い〜旅の始まり
街へ行こう!
しおりを挟む翌朝起きてすぐにスマホを見てみると山田から連絡があった。
『何わけのわからないこと言ってんだよ!ホント、どこにいるんだ!』と入っていたので、ちょうど呼びに来たスコットさんとリッキーさんに部屋に入ってもらった。
「ちょっとすみませんが、お2人と一緒に写真撮らせてください。」
そう短く断って、俺を挟んで並んでもらい、素早く自撮りを試した。
「何だ、その魔道具は!?っていうか、今、何をしたんだ!?」
スコットさんがかなり驚いた感じで問いかけてきたが、リッキーさんは何をされたのかよく分からなかったようだ。
「これは俺の元いた世界の機械です。どうも俺がこっちに来たことによってこれも魔導具化したようで。で、何をしたかというと、写真っていうものを撮ったんですよ。」
「…しゃしん?それは何だ?」
「写真っていうのは、こうやって物や人なんかを綺麗にそのまま残せるものです。」
俺はスマホで撮った写真を見せた。
すると2人は目を見開いて画面を見つめている。
その間に俺はサクッと山田に画像を送る。
『これ、今いる世界で俺を救ってくれた人たち。真ん中は前と変わっているけど、俺ね。』というメッセージ付きで。
そうこうしている間に2人はショックから立ち直り、今のは見なかったことにすると伝えてきた。
…刺激、強かったかな?
その後、食堂で5人揃って朝食をとり、食後からは前日に話していたようにエミリーさんは宿に残り、俺とリッキーさん、リリーさんは図書館に向かい、スコットさんは武器屋に向かった。
街の中は昨日初めて街に入った時と違い活気に満ち溢れていた。
昨日は人がまばらだった道も、今はいろんな人種が歩いている。
俺はこっそりスマホを取り出し、道歩く人たちを撮っておいた。
あとで山田に送るためだ。
多分あれだけでは信用してもらえないだろうからな。
図書館に着くと入り口で冒険者カードを渡す。
これ1枚と料金だけでいろんなところに入れるようだ。
中に入るとそこは天井が高くて円形の広い場所で、その高い天井までびっしり本が棚に収まっている。
「ドラゴンに関しての記述や異世界人についての記述はこっちの棚にあるわよ。」
小さい声でリリーさんが教えてくれた。
リリーさんが先頭になり俺たちが続いてその場所に向かうと、そこは他の本よりさらに古めかしい感じの本ばかりが並んでいる棚だった。
「えっとねぇ…これとこれにドラゴンのことが、こっちに異世界人のことが載っているわよ。」
そう言って数冊の本を手渡してきた。
俺は近場にある机に座り、その本を読んでみた。
まずは自分のことからと思い、異世界人についての本を読んでみた。
どうやら異世界人にはいくつかの種類があるらしい。
1つは俺と同じように『偶然に異次元の歪みの穴に落ちて渡ってくる者』。
もう1つは『こちらの世界の者に召喚されて連れてこられる者』。
他にもあるらしいが、稀な異世界人の中でもよくあるパターンがこの2つらしい。
1つ目でこちらに来た場合はまず問題はないが、2つ目は問題がある。
2つ目の場合は異世界から召喚するということで、こちら側の召喚する術者に相当負担がかかるらしい。
莫大な魔力を必要とするため、多数で召喚術を行使しなければならない。
下手をすると呼べないにも関わらずその術者たちが死んでしまうことがあるそうだ。
実は、召喚術を使ったにも関わらず実際に召喚できる確率はとても低い。
そんな低確率な危険な術でもいまだにやっている国がある。
そう、例のあの国、神聖法国だ。
あの国は一体何を目指しているのか?
やはり世界統一か?
とりあえず異世界人のスキルについても書いてあって、『異次元ポケット』のことも書いてあった。
『異次元ポケット』とはその名の通り異次元と繋がる口らしい。
過去に来た人達はそのスキルを使って生活を便利にしていたそうだ。
ちなみに使い方については載ってなかった。
次にドラゴンについて書いてある本を読んでみた。
どうやらドラゴンはリリーさんが言っていたように巣の中で卵を足の間で温めるかのように座りながら自分の魔力を卵に受け渡すそうな。
その間、母親は一切動かず、飲まず食わずで孵化するまでそのままでいるらしい。
だからドラゴンの孵化は鳥類などと違って卵を産んでからの日数が短い。
ドラゴンの種類にもよるそうだが、1週間~2週間ほどらしい。
そういえばもうこの卵を預かってから1週間は経っている。
もういつ孵化してもおかしくないわけだ。
あと、ドラゴンは鳥とは違って1番最初に見たものを親と思うことはない。
自分に魔力を注いでくれた者を親と思うらしい。
まぁ、実際は親がつきっきりで魔力を注いでいるわけだから当たり前か。
だからこの卵から孵化する子も俺を親だと思うんだろうなぁ。楽しみ♪
あと、これも書いてあったがワイバーンは見た目が少し似ていて、劣化竜として『竜』とはついているがドラゴンの一種ではないらしい。
どこが違うのかというと知能の違いらしく、簡単に言うとワイバーンは人と会話ができず、ドラゴンは人と会話ができるそうだ。
それらのことは大昔にドラゴンと共存していた人が書いた書物に載っていた。
昔はそのドラゴンのことを世界では『神の代理』として崇めていたらしいが、ある時、今でいう神聖法国の前身の国がそのドラゴンを思いのままに操ろうと何かしたらしい。
だが人ごときが何かしたからといって操れるような存在じゃないのがドラゴンだ。
そのせいでそのドラゴンを含めた全てのドラゴンたちは人間から離れてどこか人が来れないような場所へと去っていってしまったそうな。
こう考えると、例の国はとことん悪いことばかり考えている国だなと思えてしょうがない。
改めて彼の国には捕まらないように気をつけねばと心に刻んだ。
771
お気に入りに追加
1,362
あなたにおすすめの小説

異世界召喚?やっと社畜から抜け出せる!
アルテミス
ファンタジー
第13回ファンタジー大賞に応募しました。応援してもらえると嬉しいです。
->最終選考まで残ったようですが、奨励賞止まりだったようです。応援ありがとうございました!
ーーーー
ヤンキーが勇者として召喚された。
社畜歴十五年のベテラン社畜の俺は、世界に巻き込まれてしまう。
巻き込まれたので女神様の加護はないし、チートもらった訳でもない。幸い召喚の担当をした公爵様が俺の生活の面倒を見てくれるらしいけどね。
そんな俺が異世界で女神様と崇められている”下級神”より上位の"創造神"から加護を与えられる話。
ほのぼのライフを目指してます。
設定も決めずに書き始めたのでブレブレです。気楽〜に読んでください。
6/20-22HOT1位、ファンタジー1位頂きました。有難うございます。


元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
勇者パーティを追放された聖女ですが、やっと解放されてむしろ感謝します。なのにパーティの人たちが続々と私に助けを求めてくる件。
八木愛里
ファンタジー
聖女のロザリーは戦闘中でも回復魔法が使用できるが、勇者が見目麗しいソニアを新しい聖女として迎え入れた。ソニアからの入れ知恵で、勇者パーティから『役立たず』と侮辱されて、ついに追放されてしまう。
パーティの人間関係に疲れたロザリーは、ソロ冒険者になることを決意。
攻撃魔法の魔道具を求めて魔道具屋に行ったら、店主から才能を認められる。
ロザリーの実力を知らず愚かにも追放した勇者一行は、これまで攻略できたはずの中級のダンジョンでさえ失敗を繰り返し、仲間割れし破滅へ向かっていく。
一方ロザリーは上級の魔物討伐に成功したり、大魔法使いさまと協力して王女を襲ってきた魔獣を倒したり、国の英雄と呼ばれる存在になっていく。
これは真の実力者であるロザリーが、ソロ冒険者としての地位を確立していきながら、残念ながら追いかけてきた魔法使いや女剣士を「虫が良すぎるわ!」と追っ払い、入り浸っている魔道具屋の店主が実は憧れの大魔法使いさまだが、どうしても本人が気づかない話。
※11話以降から勇者パーティの没落シーンがあります。
※40話に鬱展開あり。苦手な方は読み飛ばし推奨します。
※表紙はAIイラストを使用。
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。

社畜から卒業したんだから異世界を自由に謳歌します
湯崎noa
ファンタジー
ブラック企業に入社して10年が経つ〈宮島〉は、当たり前の様な連続徹夜に心身ともに疲労していた。
そんな時に中高の同級生と再開し、その同級生への相談を行ったところ会社を辞める決意をした。
しかし!! その日の帰り道に全身の力が抜け、線路に倒れ込んでしまった。
そのまま呆気なく宮島の命は尽きてしまう。
この死亡は神様の手違いによるものだった!?
神様からの全力の謝罪を受けて、特殊スキル〈コピー〉を授かり第二の人生を送る事になる。
せっかくブラック企業を卒業して、異世界転生するのだから全力で謳歌してやろうじゃないか!!
※カクヨム、小説家になろう、ノベルバでも連載中

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした
高鉢 健太
ファンタジー
ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。
ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。
もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。
とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!
【番外編】貴族令嬢に生まれたからには念願のだらだらニート生活したい。
譚音アルン
ファンタジー
『貴族令嬢に生まれたからには念願のだらだらニート生活したい。』の番外編です。
本編にくっつけるとスクロールが大変そうなので別にしました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる