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第1章 出会い〜旅の始まり
街へ行こう!
しおりを挟む翌朝起きてすぐにスマホを見てみると山田から連絡があった。
『何わけのわからないこと言ってんだよ!ホント、どこにいるんだ!』と入っていたので、ちょうど呼びに来たスコットさんとリッキーさんに部屋に入ってもらった。
「ちょっとすみませんが、お2人と一緒に写真撮らせてください。」
そう短く断って、俺を挟んで並んでもらい、素早く自撮りを試した。
「何だ、その魔道具は!?っていうか、今、何をしたんだ!?」
スコットさんがかなり驚いた感じで問いかけてきたが、リッキーさんは何をされたのかよく分からなかったようだ。
「これは俺の元いた世界の機械です。どうも俺がこっちに来たことによってこれも魔導具化したようで。で、何をしたかというと、写真っていうものを撮ったんですよ。」
「…しゃしん?それは何だ?」
「写真っていうのは、こうやって物や人なんかを綺麗にそのまま残せるものです。」
俺はスマホで撮った写真を見せた。
すると2人は目を見開いて画面を見つめている。
その間に俺はサクッと山田に画像を送る。
『これ、今いる世界で俺を救ってくれた人たち。真ん中は前と変わっているけど、俺ね。』というメッセージ付きで。
そうこうしている間に2人はショックから立ち直り、今のは見なかったことにすると伝えてきた。
…刺激、強かったかな?
その後、食堂で5人揃って朝食をとり、食後からは前日に話していたようにエミリーさんは宿に残り、俺とリッキーさん、リリーさんは図書館に向かい、スコットさんは武器屋に向かった。
街の中は昨日初めて街に入った時と違い活気に満ち溢れていた。
昨日は人がまばらだった道も、今はいろんな人種が歩いている。
俺はこっそりスマホを取り出し、道歩く人たちを撮っておいた。
あとで山田に送るためだ。
多分あれだけでは信用してもらえないだろうからな。
図書館に着くと入り口で冒険者カードを渡す。
これ1枚と料金だけでいろんなところに入れるようだ。
中に入るとそこは天井が高くて円形の広い場所で、その高い天井までびっしり本が棚に収まっている。
「ドラゴンに関しての記述や異世界人についての記述はこっちの棚にあるわよ。」
小さい声でリリーさんが教えてくれた。
リリーさんが先頭になり俺たちが続いてその場所に向かうと、そこは他の本よりさらに古めかしい感じの本ばかりが並んでいる棚だった。
「えっとねぇ…これとこれにドラゴンのことが、こっちに異世界人のことが載っているわよ。」
そう言って数冊の本を手渡してきた。
俺は近場にある机に座り、その本を読んでみた。
まずは自分のことからと思い、異世界人についての本を読んでみた。
どうやら異世界人にはいくつかの種類があるらしい。
1つは俺と同じように『偶然に異次元の歪みの穴に落ちて渡ってくる者』。
もう1つは『こちらの世界の者に召喚されて連れてこられる者』。
他にもあるらしいが、稀な異世界人の中でもよくあるパターンがこの2つらしい。
1つ目でこちらに来た場合はまず問題はないが、2つ目は問題がある。
2つ目の場合は異世界から召喚するということで、こちら側の召喚する術者に相当負担がかかるらしい。
莫大な魔力を必要とするため、多数で召喚術を行使しなければならない。
下手をすると呼べないにも関わらずその術者たちが死んでしまうことがあるそうだ。
実は、召喚術を使ったにも関わらず実際に召喚できる確率はとても低い。
そんな低確率な危険な術でもいまだにやっている国がある。
そう、例のあの国、神聖法国だ。
あの国は一体何を目指しているのか?
やはり世界統一か?
とりあえず異世界人のスキルについても書いてあって、『異次元ポケット』のことも書いてあった。
『異次元ポケット』とはその名の通り異次元と繋がる口らしい。
過去に来た人達はそのスキルを使って生活を便利にしていたそうだ。
ちなみに使い方については載ってなかった。
次にドラゴンについて書いてある本を読んでみた。
どうやらドラゴンはリリーさんが言っていたように巣の中で卵を足の間で温めるかのように座りながら自分の魔力を卵に受け渡すそうな。
その間、母親は一切動かず、飲まず食わずで孵化するまでそのままでいるらしい。
だからドラゴンの孵化は鳥類などと違って卵を産んでからの日数が短い。
ドラゴンの種類にもよるそうだが、1週間~2週間ほどらしい。
そういえばもうこの卵を預かってから1週間は経っている。
もういつ孵化してもおかしくないわけだ。
あと、ドラゴンは鳥とは違って1番最初に見たものを親と思うことはない。
自分に魔力を注いでくれた者を親と思うらしい。
まぁ、実際は親がつきっきりで魔力を注いでいるわけだから当たり前か。
だからこの卵から孵化する子も俺を親だと思うんだろうなぁ。楽しみ♪
あと、これも書いてあったがワイバーンは見た目が少し似ていて、劣化竜として『竜』とはついているがドラゴンの一種ではないらしい。
どこが違うのかというと知能の違いらしく、簡単に言うとワイバーンは人と会話ができず、ドラゴンは人と会話ができるそうだ。
それらのことは大昔にドラゴンと共存していた人が書いた書物に載っていた。
昔はそのドラゴンのことを世界では『神の代理』として崇めていたらしいが、ある時、今でいう神聖法国の前身の国がそのドラゴンを思いのままに操ろうと何かしたらしい。
だが人ごときが何かしたからといって操れるような存在じゃないのがドラゴンだ。
そのせいでそのドラゴンを含めた全てのドラゴンたちは人間から離れてどこか人が来れないような場所へと去っていってしまったそうな。
こう考えると、例の国はとことん悪いことばかり考えている国だなと思えてしょうがない。
改めて彼の国には捕まらないように気をつけねばと心に刻んだ。
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