異世界漫遊記 〜異世界に来たので仲間と楽しく、美味しく世界を旅します〜

カイ

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第1章 出会い〜旅の始まり

ローランの街へようこそ!

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街の中はまるで世界史で教わった中世ヨーロッパの街並みのようだった。

建物はだいたいレンガ造りの建物で、高いものになってくると3階建てのものもある。

道はちゃんと舗装されていて歩道と車道が分けられており、車道は馬車が余裕ですれ違えるほど広くなっている。

この道はもしかして街のメインストリートだろうか?

街灯も等間隔に歩道と車道の境に点在していて、それぞれの間には馬車が停められるようなスペースも所々あるようだ。

よく見るとそこはちょうどお店の前だったりするので、馬車で来た買い物客がそこに停められるようになっているのかもしれない。

ちょうど夕刻時なのでチラホラと街灯に明かりが灯り始めている。

中に入ってしばらく俺は物珍しさにキョロキョロしていたが、俺たちも急いで冒険者ギルドへ向かわなければならないことを思い出した。

「そろそろいいか?冒険者ギルドへ向かわないとすぐに暗くなっちまうぞ?」

スコットさんが俺に聞いてきたので頷き返す。

それから俺たちはこの大きな通りの左側の歩道を真っすぐ進み、その道沿いにあるとても大きな扉が入口になっている建物の前に来た。

そしてスコットさんを先頭にみんながぞろぞろと中に入り、俺は最後に入った。

中に入ると人はほとんどおらず、中は閑散としている。

皆で空いている受付の1つに行くと、スコットさんはそこにいた女性に声をかけた。

「スノーホワイトだ。依頼達成の確認を頼む。」

「了解しました。では皆さんのギルドカードを提出してください。」

皆はギルドカードを受付の人に渡し、受付の人はそれを何らかの魔道具である板の上に翳した。

「確かに皆さん、グレートウルフの討伐達成しておりますね。依頼達成の手続きをいたします。」

「よろしく頼む。あ、それとこいつの冒険者登録もしたいんだが、それも頼めるか?」

「了解しました。書類などを持ってまいります。」

受付の人はまずギルドカードを板の上に置いて操作し、依頼達成の手続きをしたようだ。

その後カウンターの下から書類を取り出し、俺の前に来た。

「こちらに記入をお願いできますか?」

俺はとりあえず書類を見ると、そこには名前や年齢、得意なものなどを書く簡単な内容が書いてあった。

(さて俺は文字を書けるのだろうか…)

そんな不安を感じながら日本語で内容を書いたが、不思議なことに日本語が知らない文字へと勝手に変換されてしまった。

(なんだコレ!?えっ、文字が変換された!?これ、俺の目の錯覚?)

そう驚きながら後ろにいたスコットさんの方を見るとやっぱり同じくた顔をしていた。

さすがに今聞くわけにもいかず、何事もなかったかのように書類を返した。

「…名前はシエルさんで、年齢は14歳ですね。特技は特になし…ですか。失礼ですが戦闘経験はありますか?」

「…あぁ、そこら辺は大丈夫だ。俺たちは依頼の森の中でシエルに出会ったんだが、その時はほとんど戦えなかったが街に戻る間に鍛えてきたからある程度は戦えるようになったぞ。特技という特技は今のところないが、初期の攻撃魔法と初期の回復魔法、ショートソードは扱える。あ、そういえばこいつは聖魔獣使役術を使えるんだったな!それが特技といえば特技か!まだテイムの仕方もわからないようだが、そのうち魔獣をテイムしてくるかもしれないからその時は登録よろしくな!」

俺の代わりにスコットさんが受け答えをしてくれた。

まだ知り合ったばかりだが、スノーホワイトのメンバーはみんな良い人で、特にスコットさんはとても面倒見がいいのがよくわかる。

この世界に来て一番最初に知り合ったのがこの人達で良かったとつくづく思う。

「なるほど、そうなんですね~。シエルさん、従魔については増えたらその都度登録しに来てくださいね。登録せずにそのままでいると、万が一誰かに連れ去られたりしても本当に自分の従魔か証明できませんから。登録してあれば必ず誰の従魔かわかるようになりますので、そこだけはしっかりしてくださいね。じゃあこれを一応特技の欄にこちらで記入しておきますので、それでギルドカードを作ります。しばらく時間がかかりますので、他になにか用事ありますか?あ、そういえば依頼にあったグレートウルフの素材とか買い取りあるようなら今のうちに行ってくると良いと思いますよ?」

「ああ、そういえばそうだな。じゃあ買い取りの受付に行ってくるから、こいつのギルドカードができたら声かけてくれ。」

「はい、わかりました。」

俺たちはまた別な受付に行き、スコットさんが受付の人に声をかける。

「すまないが買い取りの受付を頼む。依頼で討伐した物だけじゃなく、行き帰りで討伐した魔物もいっぱいあるからどこに出せば良い?」

すると受付にいたスキンヘッドの40~50代の筋肉ムキムキなおじさんが返事をした。

「なんだ、スコットか!久しぶりだな!そういえばギルマスに聞いたが例の森にグレートウルフの討伐に行ったんだってな?それらの素材かい?」

「いや、それだけじゃなくて行き帰りにも結構な数の魔物が出てな。大型の物ばかりだし、ここじゃ出すのは無理だ。」

「そうなのか?じゃあ先に行ってるから、あそこの扉から裏に回ってくれや。」

「わかった、そうさせてもらう。」

それから俺達はカウンターの端の壁にある扉から外に出て裏に回った。

「おい、こっちだ!」

そこは大きな倉庫になっていて、さっき受付にいた人が大きな扉を横にずらして開けていた。

倉庫の中に入ると中は体育館並みに広い場所だった。

その中には解体用なのかとても大きな机がいくつもあり、そのいくつかは別な人が解体をしている真っ最中だった。

置き場所に指定された広い床にスノーホワイトのメンバーがそれぞれのマジックバッグから討伐した魔物を次々と出した。
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