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第1章 出会い〜旅の始まり
神聖魔法と神聖法国について
しおりを挟むついでに神聖魔法のことについても聞いてみた。
どうやら神聖魔法は神の力を借りて魔法を行使するものらしく、それゆえに神と契約する必要があるらしい
だから普通の魔法より威力が高いので、水魔法の回復魔法では治せないほどの怪我や病気、毒、光魔法では治せないほどの呪いなんかも治せるし、法皇なんかだと寿命で亡くなったわけじゃない死者も生き返らせることができるとの噂だそうな。
まあ、それはあくまで噂であって、実際に生き返らせてもらったって話は聞いたことがないそうだ。
ともかくそんなすごい力を持っている国なのに他の国からは距離を置かれているのには理由がある。
それは神聖法国は他国にその国の教会があるにも関わらずたびたび『うちの国の教会を置かせろ』と無理矢理迫ったり、国境では隣り合っている国と小競り合い程度の戦争があって相手側の領土を少しづつ奪ったりしているそうだ。
その上、中位から下の神官や聖女はまるで人形のように感情が欠落しているそうで、上からの命令で淡々と仕事はこなすが口は一切開かないので、そこから『洗脳している』との噂がたったらしい。
実際、リッキーさんの友人が神聖法国に連れて行かれる前と神官になってからでは明らかに違っていて、友人として会ってもあまり口を利かず、口を開けば『神聖法国は素晴らしい国だ』ということしか言わなかったそうで会話が噛み合わなかったらしい。
「…そんな国なんですね。特に近隣の国に戦争をふっかけては領土を拡大しようとするなんて、そんな国には俺、行きたくないですよ。」
「そりゃそうだよな、普通の神経していたらそんな危ない所に行きたいとは思わないさ。だから俺たちは絶対にシエルが神聖魔法を使えるってことは漏らさないし、お前も迂闊に話さないんだぞ?それとあの国には近づかないようにな。『鑑定』のスキル持っているやつがいるらしく、調べられればすぐバレて2度と外には出してもらえないだろうからな。」
「えっ!それって不味くないですか!?『鑑定』で色々見られてしまうなら異世界人であることもバレてしまうってことですよね?」
「あぁ、だからこそ外に出られないだろうってことさ。異世界人なんてそれこそおとぎ話的な存在だから、色々聞くために洗脳はされなくても国の奥深くに閉じ込められて2度と出られないのは間違いないな。」
「そんな国には捕まりたくな~いっ!!」
俺がリッキーさんとスコットさんにそう言われて叫ぶと、4人は軽く笑いながら頷いていた。
「とりあえずまだ街まで距離があるし、戻りながら戦い方なんかを教えてやるよ!シエルの場合は攻撃方法は何がいいかな?」
「聞いたスキルだと魔法特化みたいだけど、近接戦闘もこなせるようになっておかないと危険よね?」
「魔法はエミリーとリリーが使い方なんかを教えるとして、近接戦闘は俺とリッキーが教えるか。」
「そうだな!じゃあ近接戦闘の武器は何にする?とりあえずはショートソードにする?」
リッキーさんがそう言いながら魔物を入れていた鞄からスコットさんが持っている剣よりだいぶ細身の剣を2つと自分の予備の服を一式取り出した。
「さすがにその服装だと目立つし動きづらそうだから俺の予備の服をやるよ!まぁ大きかったら捲って着てくれな!」
そうリッキーさんがウインクをして予備の服を俺に渡し、着替えてくるように言った。
着替えて戻ってきたら剣を1つ俺に渡し、もう1つを自分が持って構える。
早速教えてくれるらしい。
全く剣は使い方がわからないので初歩として握り方や振り方などから教えてもらい、ある程度慣れてきたらリッキーさんと模擬戦をすることになった。
何回か模擬戦をしていると辺りは暗くなり始めたのでちょうど開けた場所だったのもあり、そこで今日は野営することになった。
「シエルって剣握った事もなかったんだろ?最初はなんかおぼつかなかったもんな。でもこんな少しの時間で魔物と戦えるほどまで扱えるようになるなんて、ものすごく飲み込み早いな!」
リッキーさんにそう褒められると頭をくしゃくしゃと撫でられた。
中身は子供じゃないから、なんかすごく照れてしまう。
その後野営の準備をし、夕飯は何かを押し固めた固形物の食べ物とお水を分けてもらい、簡単に済ませた。
「シエルはまだ戦ったことないから今夜の見張りはしなくていいぞ。それに疲れているだろうしな。しっかり寝て、体を休めてくれ。見張りの順番は俺、エミリー、リッキー、リリーの順だから、みんなもそれぞれ休んでくれ。」
そうスコットさんから言われてその場は解散になり、俺は男性陣のテントへとリッキーさんに連れて行かれた。
俺はリッキーさんと一緒に横になって鞄を枕にすると、よほど疲れていたのかすぐに睡魔が来て意識がとんでしまった。
翌朝になりスコットさんに起こされると、今朝も昨夜同様の食事で軽く済ませ、テントなどを片付けてから移動を始めた。
それから移動しながらエミリーさんに魔法の発動の仕方を聞いて練習をし、なんとか初期魔法は一通り使えるようになった。
「シエルくんってやっぱり飲み込み早すぎない?そんな1つ発動できるようになったらすぐに他もできるようになるって普通じゃありえないわよ?そこも異世界人だからなのかしら…」
「そうなんですかね?別にステータスにはそんな事なんにも書いてなかったんですが。」
「まぁ何にせよ、次に魔物と出会ったら戦ってみる?だいぶ街に近づいてきたから魔物も弱いのしか出てこなくなったしね。」
「なんかあったら私たちがサポートしますので大丈夫ですよ!」
そうエミリーさんとリリーさんに言われて、次に魔物に遭遇したら俺が戦うことになった。
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