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1巻
1-2
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「おじゃまするよ」
クリムレット卿が言うと、本の山の間から、メガネをかけた金髪エルフ少女が顔を出した。
「やっほー、クリムレット卿。お嬢もいるの……その子誰?」
辺境伯相手にめっちゃ不届きな言い方だった。ていうか、エルフが工房で働いているのか。すごいところだな。
「彼女はエルフ族のサフィちゃん」
「サフィ『ちゃん』!?」
クリムレット卿の耳を疑う紹介。
エルフといえば誇り高い種族で有名で、ちゃんとかあだ名とか付けようものならガチギレされるって噂話を聞いていたのだが……違うのか。
と思ったけど、辺境伯であるクリムレット卿にそのまま大声で返しちゃう俺もけっこう不届きだった。
「そうだよー」
エルフの美少女が気の抜けた感じで肯定した。
「あの、いいんですか、ちゃん付けで」
「何か問題ある?」
噂ってあてにならないな。
「で、誰?」
「本日新しくクリムレット辺境伯の臣下になりました、ロッド・アーヴェリスです」
見慣れないエルフの人に、なんだかかしこまってしまうが、彼女が近づいてきたら身長は俺の胸くらいしかなかった。
メガネをくいと上げて背筋を伸ばすサフィちゃんさん。
「よろー」
軽いな。誇り高いエルフのイメージ壊れちゃう。
「ロッドくんは、とりあえず彼女の下についてもらうよ」
「……ふーん」
近づいて、物珍しそうに俺の顔を見るサフィさん。美形の少女が至近距離で俺を見るので、なんだか緊張してしまう。
「クリムレット卿が目を付けたのならよほどの腕なんだろうけど」
「いや、そんなことないですね」
「いいよ。わかった。預かるよ。けど、まずは実力を見たいね」
サフィさんは気の抜けた表情を崩さなかったが、その語調は少し引き締まっていた。
「クリムレット卿が連れてきた人物にしては、魔力は凡庸に感じるんだよね。どんなポーションを作るのか見てみたい」
「なるほど。たしかにそれは気になるね」
実力をテストしたいというのだろう。俺はうなずいた。
命令には従う。文句は言わない。それで罵倒されることになってもめげない。
今までやってきたことだ。
……すぐ戦力外通告をくらって追い出されるかもしれない。それはちょっとめげるかもしれないけど、まあ、そのときはそのときだ。
「わかりました。少しお時間をもらいます」
「素材はこの工房にあるものを使って」
「了解です」
俺は薬草やすり鉢や触媒用の魔法石や試験管や坩堝など、ポーションに必要な道具や素材を用意していく。
薬術工房としての設備は整っている。製作に問題はない。
「がんばれー」
サフィさんはそれを見ながら応援している。
メリアは、俺の近くに来て食い入るように見ていた。
俺はいつもポーションを製作するときと同じように、集中。魔法石に魔力を通し――
「!」
一気に製作に移る。
設備が整っているからやりやすい。隊での生産で鍛えた手際は、健在。薬草から抽出した成分やほかの成分を適度に温めた坩堝で合成していく。
「ほう? どうだい、サフィちゃん?」
「これは……やっぱり、集中力が上がるのに比例して、魔力が底上げされていく!? ちょっと待って、人間でこれだけの潜在魔力って……!?」
なんかクリムレット卿もサフィさんも驚いているようだが、よく聞こえない。
集中するとそうなるのだ。音が、次第になくなっていく。だんだん周囲も見えなくなっていく。ポーション作りに、俺の全神経を集中させる。
…………
やがて治癒ポーションが完成した。
「とりあえず、五本」
俺はビンに詰めたポーションを三人の前に並べる。一本は、品質測定用のサンプルとして取っておく。
「ラベルあります?」
「…………」
サフィさんは、なんだか呆気に取られている。
「えっと、最低限のレベルは満たしてますかね……?」
「言うまでもないね。ぼくだってポーションや魔法道具の専門家だ。見ただけで、だいたいの品質はわかる」
ということは、ひとまずは追い出されないということか?
「クリムレット卿」
「うん?」
「面白いね、この子」
「ふふん、そうだろう」
なんだかよくわからないけど、二人は笑い合っている。
「わたしが見つけたんですよ!」
メリアは自慢げに胸を張っている。河原で見つけたかわいい石くらいのニュアンスかな?
「えっと、面白くなっているところ申し訳ないですが」
俺は誤解されないように三人に告げた。
「普段作っていた通りに作ったので、品質は低いかと」
特に気合も入れず、隊にいたころと同じように作った。
「今まで、俺なりに作り方を工夫したり、なるべく質のいい魔力を流そうとしたりしたんですが……どんなにがんばっても、低品質のものしか作れないんです。だから、これも同じかと」
実際に実力を見てもらったほうが早い。俺は隊舎から持ってきた鑑定器を出すと、品質測定用に作ったポーションを鑑定器の器に垂らした。
「この通りです」
鑑定器に連結していた十個の魔法石が反応したが、十個中三個しか光らない。
「十段階中の三段階は『低品質』。低級の治癒ポーションです。俺には才能がなくて、いくらがんばって改良しても三個しか光りません」
「…………」
クリムレット卿は俺が持ってきた鑑定器を見つめる。
「それは、おかしなことだね。見せてみて」
それから、クリムレット卿は鑑定器を持ち上げて、至近距離で連結している魔法石を凝視する。
ルーペを出して、さらに見る。
「これ、壊れてるね」
クリムレット卿は一人納得してルーペから目を離した。
「十個中、七個に微細だがヒビが入っている。これじゃあ光らないよ」
ルーペを渡されてよく見てみると、たしかにかなりわかりにくい部分だが、七個の魔法石にヒビが入っているのを見つけた。
「気づかなかったです……」
じゃあ俺はいつも三段階が限界の鑑定器でポーションを測定していたのか?
「ちゃんとしたやつで測りなおそう」
クリムレット卿は腰に付けていた収納の魔法石を発動させると、魔法陣の中から測定器を取り出す。
台座の木材の材質や魔法石を連結する金属の装飾から、職人が丹精こめて作ったものだとわかる。
「これは私が普段使っている鑑定器だ。今度はこちらで試してみるよ」
「いや、鑑定器が壊れていたのはわかりましたが、だからといって俺のポーションが高品質である証拠にはならない。鑑定しても無駄だと思いますよ」
「そんなのはやってみないとわからないだろう」
言いながら、クリムレット卿は有無を言わさず測定器に俺のポーションを一滴垂らした。
瞬間、魔法石が薄青色の澄んだ光を発した。
連結された魔法石から放たれたまばゆい光。魔法石は十個すべて光っていた。
十段階中十段階――『最上級品質』。
「そりゃそうだよね」
サフィさんはそれを見て微笑した。
「わたしが最初に目を付けたんですよ!」
メリアが胸を張っている。
品質のいいポーションはあらゆる傷を治癒し、致命傷をふさぎ、欠損した部分でさえ再生させる。
命があればいくらでも戦線復帰が可能なので、不死身の兵団も作れる。最上級品質となれば市場でも高値で取引される高級品だ。
「誰が低品質なんて言い出したんだい? 鑑定器が壊れていたことに誰も気づかなかったのはなぜだい?」
「…………」
「隊を追い出されたというなら、君の才能を妬んだ誰かが、君をはめたんじゃないか?」
一瞬同僚のシンのことを思い浮かべる。いや、でも、まさか、そんなはずはないと思いなおす。
「これが本来の実力だということだろう。君は自分の実力をちゃんと認識するべきだね」
そういう認識になるのか。にわかには信じられん。
「ということで、サフィちゃんには先輩として、ロッドくんにいろいろ教えてほしい」
クリムレット卿は改めて言った。
「彼には、日に五十本、治癒ポーションを生産してもらおうと思っている。それ以外の業務は任せるよ」
「え……?」
俺は耳を疑った。治癒ポーションを一日に五十本生産すると言ったのだろうか?
「ちょっと待って! こんな品質のポーションを日に五十!?」
サフィさんが驚いて言った。
「なんだい?」
「クリムレット卿だって知っているでしょ? ポーションは品質がよくなればよくなるほど、魔力を使うし、生産が難しくなる。低品質ならまだしも、こんな高品質なものを五十本なんて生産できるわけないじゃん!」
「まあ、できるところまででいいんだよ。あくまで目標ってことで」
「それなら、まあ、日々の生産量を見て調整すればいいのか……」
聞き間違いだろうか。いや、たぶん聞き間違いだ。
――日に五十本なんて、少なすぎる。それくらいの量なら午前中で終わってしまう。
五百本の間違いだろう。五百本なら、調子のいいときに睡眠時間を削ればギリギリ仕上げられる量だ。隊にいたころも、忙しいときはそれくらい作っていたし、いつもは日に二百から三百がノルマだった。
「たしかに、徹夜しないと間に合わないかもしれないです。五百本でいいんですよね」
「へえっ!?」
変な声を出すサフィさんを横目に俺は再びポーション作りの準備をする。時間がない。すぐに続きに取り掛かろう。
試しなので五本にしたが、がんばれば一度に十本は作れる。
「明日の朝までには終わらせてみせます! 追加があれば言ってください!」
仕事初日だ。気合を入れよう!
「いや五十! 五十でいいから!」
はりきって腕まくりをしたらサフィさんに止められた。
「やる気があるのはいいけど、生産は明日からでいいよ」
俺の肩を気さくにポンポン叩くクリムレット卿。それから笑顔で、魔法石を一つ渡してくれた。
「これは?」
「臣下の証ってところだね」
魔法石に魔力を込めると、クリムレット家の紋章が中空に現れる。二本のレイピアと丸い形で短剣に絡みついた樹木の枝葉が入ったデザインだ。
「今、君の魔力をその魔法石に記録した。もうほかの者には発動できなくなったので、これはそのまま、君の身分の証になる。そしてこれを受け取ったからには、君は私の臣下だ。いいね?」
「……はい」
「うちは年功序列じゃなく実力で評価する方針でね。領邦の発展に貢献すれば功績が上がって、臣下としての地位も褒賞も上がる」
「なるほど」
俺には縁がないかもしれないが、ちゃんとがんばりを評価してくれるらしい。
「つまり、君も功績次第で自分の工房を持てるってことだ」
「工房? 俺専用の薬術工房が?」
「そういうことだ」
魔法使いにとって、自分の工房を持つことはあこがれだ。だが、たいていは金銭の問題が付いて回る。
貴族でもなんでもない平民以下の俺なんかでも、そんな夢が持てるなんて。いや、実現できる気がしないけど……
でも妄想するだけならタダだ。俺専用の工房……ポーションの研究がはかどりそうだ。
「君には期待しているんだよ」
クリムレット卿は、そう言って笑った。俺は一瞬言葉を失った。
そんなのは、口ではなんとでも言える。でも、何も期待していないと面と向かって吐き捨てられるよりは、少しは気が楽だった。
「自分の工房を持つまでは、うちの館の隊舎で寝泊まりね」
「いや、ちょっと待って」
とサフィさん。
「ぼくが預かっていいんでしょ? だったら、ここで寝泊まりさせるよ。面白そうだから」
サフィさんが提案し、クリムレット卿も、
「わかったよ。じゃ、よろしく」
二つ返事でうなずいた。
「……へっ?」
この工房で寝泊まりだと?
第二章 いい仕事は調査から始まる……はず
次の日。
朝が来て、俺はソファから起き上がった。
「…………」
工房内は、壁と化した本棚に囲まれている。
エルフにしか理解できないような難解なすごい魔法書だと思ったら、普通に薬学の本とか魔法道具の作り方の本とか一般に出回っている魔法書とかで安心した。
むしろ最高だ。俺だって読める資料がたくさんあるのだ。
「すう……すう……」
そして奥のベッドで、金髪エルフの少女が寝息を立てていた。
メガネを取っているサフィさんも非常に可憐で、つい頬っぺたをぷにぷにしたくなってくる。
しかしいかん。やめるんだ俺。先輩にそれはさすがに怒られる。
葛藤していると、サフィさんは目を開けた。
「おはよー、ロッドくん」
「おはようございます、サフィさん」
「朝ごはん作ってー」
開口一番それ?
「はあ、いいですが」
「このへんね、木の実とかいっぱい取れるの」
「取ってきます」
「ちがうちがう!」
すぐに工房を出ていこうとした俺をサフィさんは止めた。
「今から取ってこいって意味じゃなくて」
サフィさんは収納の魔法石から食材を取り出した。木の実のほか、野菜や肉やパンや果物が工房のテーブルに並べられる。
「材料はあるから、これで朝食作ってよ」
「いいんですか?」
やさしい……騎士団だったら間違いなく素材を取りに行かされている。
「ふふふ、君の実力、再び見せてもらうよ」
いや、料理で?
「わ、わかりました」
隊舎にいたときは食堂が閉まる時間まで働いていたから、自炊はそれなりにしてきている。といっても、時間がなかったから凝った料理よりはスピード料理のほうが得意だ。
俺は蒸したじゃがいもと葉ものでサラダを作り、果物を切って皿に盛った。
簡単なマッシュポテトと、トマトやレタスを使ったサラダの盛り合せだ。柑橘類とハーブを使って、塩分控えめで酸味のあるドレッシングも作った。デザートはただ果物を切っただけだ。
エルフは薄味のほうが好みだと聞いたことがあるから、素材の味を活かしたものにした。パンはいるかどうか聞いたが、いらないと言われたので戻した。
テーブルに並べられていく料理を見て、サフィさんはうなずいた。
「おおーやるね!」
「どうも」
どうやら気に入ってくれたらしい。サラダも果物もむしゃむしゃ食べてくれた。
「この果物がいいね」
「切っただけですけどね」
「サラダに合わせて、口当たりの爽やかなものを選んだでしょ?」
「……ええ、まあ」
よく見てるな。
「チョイスがいい。肉を使わなかったのもいいね」
「もしかして自分の好みに合うものを選んで作れるかどうか見てました?」
「どうかな? ただ、味も含めて花丸をあげよう」
「ありがとうございます」
気に入ってもらえてよかったが……もしかしてここに住みこみさせるって、家事をやれって意味だったのか?
「じゃ、朝ごはんが終わったら仕事するよー」
「了解です」
いよいよ仕事である。
朝ごはんを食べ終わると、サフィさんは白衣を羽織って、メモを見た。
「クリムレット卿から今日やってほしいことのメモをもらってるから一緒にやっていこー」
「はい。よろしくお願いします」
「まず、ノルマの治癒ポーションを五十。たぶん最初はきついと思うから、休み休みやっていって」
「わかりました。午前中には終わらせます」
「ゆっくりでいいって! 無理しないでいいよ」
無理、ではないんだけど。
俺がすぐに治癒ポーションを規定量作ると、椅子に座っていたサフィさんは脱力していた。
「嘘でしょ……? マジで一人で五十作ったよ。しかもまだお昼前だよ」
ケースに五十本、品質確認のためのサンプルが一本。一本の不備もなく完成する。でも五十本がノルマでいいのかな? やっぱり少なすぎないか?
「あとは、どんな指令が?」
「え? あ、うん……」
サフィさんは放心しながら、メモを確認する。
「ではクリムレット卿から最後の指令」
もう最後なの?
「『フーリァンを自由に見て回ってほしい』とのこと」
「……それは仕事に入るんですか?」
「臣下にしたやつには恒例の指示なんだよね。『そのあとはサフィちゃんに任せる』とも書いてある。仕事と思わずに、里を自由に見て回ってきなよ。あ、王都と違って気軽に行けるエッチなお店はないからね」
「はあ、まあ行きませんけど」
なんか、そんなんで仕事をやったことにしていいのかって感じだけど……サフィさんも行けと言っているから研修の一環なのかもしれない。
俺は後片付けをして、外出の準備をする。
「では行ってきます」
「いってら」
それから、サフィさんの工房を出た。
辺境伯領は、いくつかの村で構成されており、人口五千人ほどにもなる。一番規模が大きい村が、ここフーリァンである。
周囲には広大な自然と畑が広がっている。人が住んでいる場所より畑のほうが大きい。緑がいっぱいで、空気がとてもおいしい。遠くにはおどろおどろしい山脈もある。
「いいところだなあ。活気はあるし、それでいておだやかで」
「そうでしょう」
独り言を言ったら、返事があった。
隣には、メリアが護衛も付けずにいる。青い髪が日の光に透けているさまはとても優美だけど、顔はとっても得意げなので、やはり大人の気品みたいなのは足りていない。
「あの、メリア様、なんでいるんです?」
「敬語は不要です!」
叱られた。なんか申し訳ないけど、そう言われたら仕方ない。
「なんでいるの? メリア」
「あなたはわたしの臣下なんですから、わたしがそばにいてもなんら不自然ではないでしょう」
答えになってないような。あと俺は君のお父さんの臣下になったんだけど。
「こう見えて俺、仕事中なんだよ」
「手伝ってさしあげます!」
うーん、村の中を俺とぶらぶらしていていいのかって思うけど、でも領主の娘さんだから無下に断ることもできないな。
「今からフーリァンを歩いて回るんだけど」
「行きましょう」
メリアは俺の手を引いて、先に歩き始める。わかりました。これは断ってもついてこられるやつだと悟ったよ。
メリアと手をつなぎながら村の中を見て回った。
村の周囲は簡易な柵で囲まれていて、村の中心にはクリムレット卿が住む居館がある。
王都と違うのは、なんといっても緑の多さと、自然と共存しているように感じられること。
そしてエルフやドワーフ、獣人を見かけるのもそうだし、彼らが近くに一緒にいても争いが起こっていないこともだ。
クリムレット卿が言うと、本の山の間から、メガネをかけた金髪エルフ少女が顔を出した。
「やっほー、クリムレット卿。お嬢もいるの……その子誰?」
辺境伯相手にめっちゃ不届きな言い方だった。ていうか、エルフが工房で働いているのか。すごいところだな。
「彼女はエルフ族のサフィちゃん」
「サフィ『ちゃん』!?」
クリムレット卿の耳を疑う紹介。
エルフといえば誇り高い種族で有名で、ちゃんとかあだ名とか付けようものならガチギレされるって噂話を聞いていたのだが……違うのか。
と思ったけど、辺境伯であるクリムレット卿にそのまま大声で返しちゃう俺もけっこう不届きだった。
「そうだよー」
エルフの美少女が気の抜けた感じで肯定した。
「あの、いいんですか、ちゃん付けで」
「何か問題ある?」
噂ってあてにならないな。
「で、誰?」
「本日新しくクリムレット辺境伯の臣下になりました、ロッド・アーヴェリスです」
見慣れないエルフの人に、なんだかかしこまってしまうが、彼女が近づいてきたら身長は俺の胸くらいしかなかった。
メガネをくいと上げて背筋を伸ばすサフィちゃんさん。
「よろー」
軽いな。誇り高いエルフのイメージ壊れちゃう。
「ロッドくんは、とりあえず彼女の下についてもらうよ」
「……ふーん」
近づいて、物珍しそうに俺の顔を見るサフィさん。美形の少女が至近距離で俺を見るので、なんだか緊張してしまう。
「クリムレット卿が目を付けたのならよほどの腕なんだろうけど」
「いや、そんなことないですね」
「いいよ。わかった。預かるよ。けど、まずは実力を見たいね」
サフィさんは気の抜けた表情を崩さなかったが、その語調は少し引き締まっていた。
「クリムレット卿が連れてきた人物にしては、魔力は凡庸に感じるんだよね。どんなポーションを作るのか見てみたい」
「なるほど。たしかにそれは気になるね」
実力をテストしたいというのだろう。俺はうなずいた。
命令には従う。文句は言わない。それで罵倒されることになってもめげない。
今までやってきたことだ。
……すぐ戦力外通告をくらって追い出されるかもしれない。それはちょっとめげるかもしれないけど、まあ、そのときはそのときだ。
「わかりました。少しお時間をもらいます」
「素材はこの工房にあるものを使って」
「了解です」
俺は薬草やすり鉢や触媒用の魔法石や試験管や坩堝など、ポーションに必要な道具や素材を用意していく。
薬術工房としての設備は整っている。製作に問題はない。
「がんばれー」
サフィさんはそれを見ながら応援している。
メリアは、俺の近くに来て食い入るように見ていた。
俺はいつもポーションを製作するときと同じように、集中。魔法石に魔力を通し――
「!」
一気に製作に移る。
設備が整っているからやりやすい。隊での生産で鍛えた手際は、健在。薬草から抽出した成分やほかの成分を適度に温めた坩堝で合成していく。
「ほう? どうだい、サフィちゃん?」
「これは……やっぱり、集中力が上がるのに比例して、魔力が底上げされていく!? ちょっと待って、人間でこれだけの潜在魔力って……!?」
なんかクリムレット卿もサフィさんも驚いているようだが、よく聞こえない。
集中するとそうなるのだ。音が、次第になくなっていく。だんだん周囲も見えなくなっていく。ポーション作りに、俺の全神経を集中させる。
…………
やがて治癒ポーションが完成した。
「とりあえず、五本」
俺はビンに詰めたポーションを三人の前に並べる。一本は、品質測定用のサンプルとして取っておく。
「ラベルあります?」
「…………」
サフィさんは、なんだか呆気に取られている。
「えっと、最低限のレベルは満たしてますかね……?」
「言うまでもないね。ぼくだってポーションや魔法道具の専門家だ。見ただけで、だいたいの品質はわかる」
ということは、ひとまずは追い出されないということか?
「クリムレット卿」
「うん?」
「面白いね、この子」
「ふふん、そうだろう」
なんだかよくわからないけど、二人は笑い合っている。
「わたしが見つけたんですよ!」
メリアは自慢げに胸を張っている。河原で見つけたかわいい石くらいのニュアンスかな?
「えっと、面白くなっているところ申し訳ないですが」
俺は誤解されないように三人に告げた。
「普段作っていた通りに作ったので、品質は低いかと」
特に気合も入れず、隊にいたころと同じように作った。
「今まで、俺なりに作り方を工夫したり、なるべく質のいい魔力を流そうとしたりしたんですが……どんなにがんばっても、低品質のものしか作れないんです。だから、これも同じかと」
実際に実力を見てもらったほうが早い。俺は隊舎から持ってきた鑑定器を出すと、品質測定用に作ったポーションを鑑定器の器に垂らした。
「この通りです」
鑑定器に連結していた十個の魔法石が反応したが、十個中三個しか光らない。
「十段階中の三段階は『低品質』。低級の治癒ポーションです。俺には才能がなくて、いくらがんばって改良しても三個しか光りません」
「…………」
クリムレット卿は俺が持ってきた鑑定器を見つめる。
「それは、おかしなことだね。見せてみて」
それから、クリムレット卿は鑑定器を持ち上げて、至近距離で連結している魔法石を凝視する。
ルーペを出して、さらに見る。
「これ、壊れてるね」
クリムレット卿は一人納得してルーペから目を離した。
「十個中、七個に微細だがヒビが入っている。これじゃあ光らないよ」
ルーペを渡されてよく見てみると、たしかにかなりわかりにくい部分だが、七個の魔法石にヒビが入っているのを見つけた。
「気づかなかったです……」
じゃあ俺はいつも三段階が限界の鑑定器でポーションを測定していたのか?
「ちゃんとしたやつで測りなおそう」
クリムレット卿は腰に付けていた収納の魔法石を発動させると、魔法陣の中から測定器を取り出す。
台座の木材の材質や魔法石を連結する金属の装飾から、職人が丹精こめて作ったものだとわかる。
「これは私が普段使っている鑑定器だ。今度はこちらで試してみるよ」
「いや、鑑定器が壊れていたのはわかりましたが、だからといって俺のポーションが高品質である証拠にはならない。鑑定しても無駄だと思いますよ」
「そんなのはやってみないとわからないだろう」
言いながら、クリムレット卿は有無を言わさず測定器に俺のポーションを一滴垂らした。
瞬間、魔法石が薄青色の澄んだ光を発した。
連結された魔法石から放たれたまばゆい光。魔法石は十個すべて光っていた。
十段階中十段階――『最上級品質』。
「そりゃそうだよね」
サフィさんはそれを見て微笑した。
「わたしが最初に目を付けたんですよ!」
メリアが胸を張っている。
品質のいいポーションはあらゆる傷を治癒し、致命傷をふさぎ、欠損した部分でさえ再生させる。
命があればいくらでも戦線復帰が可能なので、不死身の兵団も作れる。最上級品質となれば市場でも高値で取引される高級品だ。
「誰が低品質なんて言い出したんだい? 鑑定器が壊れていたことに誰も気づかなかったのはなぜだい?」
「…………」
「隊を追い出されたというなら、君の才能を妬んだ誰かが、君をはめたんじゃないか?」
一瞬同僚のシンのことを思い浮かべる。いや、でも、まさか、そんなはずはないと思いなおす。
「これが本来の実力だということだろう。君は自分の実力をちゃんと認識するべきだね」
そういう認識になるのか。にわかには信じられん。
「ということで、サフィちゃんには先輩として、ロッドくんにいろいろ教えてほしい」
クリムレット卿は改めて言った。
「彼には、日に五十本、治癒ポーションを生産してもらおうと思っている。それ以外の業務は任せるよ」
「え……?」
俺は耳を疑った。治癒ポーションを一日に五十本生産すると言ったのだろうか?
「ちょっと待って! こんな品質のポーションを日に五十!?」
サフィさんが驚いて言った。
「なんだい?」
「クリムレット卿だって知っているでしょ? ポーションは品質がよくなればよくなるほど、魔力を使うし、生産が難しくなる。低品質ならまだしも、こんな高品質なものを五十本なんて生産できるわけないじゃん!」
「まあ、できるところまででいいんだよ。あくまで目標ってことで」
「それなら、まあ、日々の生産量を見て調整すればいいのか……」
聞き間違いだろうか。いや、たぶん聞き間違いだ。
――日に五十本なんて、少なすぎる。それくらいの量なら午前中で終わってしまう。
五百本の間違いだろう。五百本なら、調子のいいときに睡眠時間を削ればギリギリ仕上げられる量だ。隊にいたころも、忙しいときはそれくらい作っていたし、いつもは日に二百から三百がノルマだった。
「たしかに、徹夜しないと間に合わないかもしれないです。五百本でいいんですよね」
「へえっ!?」
変な声を出すサフィさんを横目に俺は再びポーション作りの準備をする。時間がない。すぐに続きに取り掛かろう。
試しなので五本にしたが、がんばれば一度に十本は作れる。
「明日の朝までには終わらせてみせます! 追加があれば言ってください!」
仕事初日だ。気合を入れよう!
「いや五十! 五十でいいから!」
はりきって腕まくりをしたらサフィさんに止められた。
「やる気があるのはいいけど、生産は明日からでいいよ」
俺の肩を気さくにポンポン叩くクリムレット卿。それから笑顔で、魔法石を一つ渡してくれた。
「これは?」
「臣下の証ってところだね」
魔法石に魔力を込めると、クリムレット家の紋章が中空に現れる。二本のレイピアと丸い形で短剣に絡みついた樹木の枝葉が入ったデザインだ。
「今、君の魔力をその魔法石に記録した。もうほかの者には発動できなくなったので、これはそのまま、君の身分の証になる。そしてこれを受け取ったからには、君は私の臣下だ。いいね?」
「……はい」
「うちは年功序列じゃなく実力で評価する方針でね。領邦の発展に貢献すれば功績が上がって、臣下としての地位も褒賞も上がる」
「なるほど」
俺には縁がないかもしれないが、ちゃんとがんばりを評価してくれるらしい。
「つまり、君も功績次第で自分の工房を持てるってことだ」
「工房? 俺専用の薬術工房が?」
「そういうことだ」
魔法使いにとって、自分の工房を持つことはあこがれだ。だが、たいていは金銭の問題が付いて回る。
貴族でもなんでもない平民以下の俺なんかでも、そんな夢が持てるなんて。いや、実現できる気がしないけど……
でも妄想するだけならタダだ。俺専用の工房……ポーションの研究がはかどりそうだ。
「君には期待しているんだよ」
クリムレット卿は、そう言って笑った。俺は一瞬言葉を失った。
そんなのは、口ではなんとでも言える。でも、何も期待していないと面と向かって吐き捨てられるよりは、少しは気が楽だった。
「自分の工房を持つまでは、うちの館の隊舎で寝泊まりね」
「いや、ちょっと待って」
とサフィさん。
「ぼくが預かっていいんでしょ? だったら、ここで寝泊まりさせるよ。面白そうだから」
サフィさんが提案し、クリムレット卿も、
「わかったよ。じゃ、よろしく」
二つ返事でうなずいた。
「……へっ?」
この工房で寝泊まりだと?
第二章 いい仕事は調査から始まる……はず
次の日。
朝が来て、俺はソファから起き上がった。
「…………」
工房内は、壁と化した本棚に囲まれている。
エルフにしか理解できないような難解なすごい魔法書だと思ったら、普通に薬学の本とか魔法道具の作り方の本とか一般に出回っている魔法書とかで安心した。
むしろ最高だ。俺だって読める資料がたくさんあるのだ。
「すう……すう……」
そして奥のベッドで、金髪エルフの少女が寝息を立てていた。
メガネを取っているサフィさんも非常に可憐で、つい頬っぺたをぷにぷにしたくなってくる。
しかしいかん。やめるんだ俺。先輩にそれはさすがに怒られる。
葛藤していると、サフィさんは目を開けた。
「おはよー、ロッドくん」
「おはようございます、サフィさん」
「朝ごはん作ってー」
開口一番それ?
「はあ、いいですが」
「このへんね、木の実とかいっぱい取れるの」
「取ってきます」
「ちがうちがう!」
すぐに工房を出ていこうとした俺をサフィさんは止めた。
「今から取ってこいって意味じゃなくて」
サフィさんは収納の魔法石から食材を取り出した。木の実のほか、野菜や肉やパンや果物が工房のテーブルに並べられる。
「材料はあるから、これで朝食作ってよ」
「いいんですか?」
やさしい……騎士団だったら間違いなく素材を取りに行かされている。
「ふふふ、君の実力、再び見せてもらうよ」
いや、料理で?
「わ、わかりました」
隊舎にいたときは食堂が閉まる時間まで働いていたから、自炊はそれなりにしてきている。といっても、時間がなかったから凝った料理よりはスピード料理のほうが得意だ。
俺は蒸したじゃがいもと葉ものでサラダを作り、果物を切って皿に盛った。
簡単なマッシュポテトと、トマトやレタスを使ったサラダの盛り合せだ。柑橘類とハーブを使って、塩分控えめで酸味のあるドレッシングも作った。デザートはただ果物を切っただけだ。
エルフは薄味のほうが好みだと聞いたことがあるから、素材の味を活かしたものにした。パンはいるかどうか聞いたが、いらないと言われたので戻した。
テーブルに並べられていく料理を見て、サフィさんはうなずいた。
「おおーやるね!」
「どうも」
どうやら気に入ってくれたらしい。サラダも果物もむしゃむしゃ食べてくれた。
「この果物がいいね」
「切っただけですけどね」
「サラダに合わせて、口当たりの爽やかなものを選んだでしょ?」
「……ええ、まあ」
よく見てるな。
「チョイスがいい。肉を使わなかったのもいいね」
「もしかして自分の好みに合うものを選んで作れるかどうか見てました?」
「どうかな? ただ、味も含めて花丸をあげよう」
「ありがとうございます」
気に入ってもらえてよかったが……もしかしてここに住みこみさせるって、家事をやれって意味だったのか?
「じゃ、朝ごはんが終わったら仕事するよー」
「了解です」
いよいよ仕事である。
朝ごはんを食べ終わると、サフィさんは白衣を羽織って、メモを見た。
「クリムレット卿から今日やってほしいことのメモをもらってるから一緒にやっていこー」
「はい。よろしくお願いします」
「まず、ノルマの治癒ポーションを五十。たぶん最初はきついと思うから、休み休みやっていって」
「わかりました。午前中には終わらせます」
「ゆっくりでいいって! 無理しないでいいよ」
無理、ではないんだけど。
俺がすぐに治癒ポーションを規定量作ると、椅子に座っていたサフィさんは脱力していた。
「嘘でしょ……? マジで一人で五十作ったよ。しかもまだお昼前だよ」
ケースに五十本、品質確認のためのサンプルが一本。一本の不備もなく完成する。でも五十本がノルマでいいのかな? やっぱり少なすぎないか?
「あとは、どんな指令が?」
「え? あ、うん……」
サフィさんは放心しながら、メモを確認する。
「ではクリムレット卿から最後の指令」
もう最後なの?
「『フーリァンを自由に見て回ってほしい』とのこと」
「……それは仕事に入るんですか?」
「臣下にしたやつには恒例の指示なんだよね。『そのあとはサフィちゃんに任せる』とも書いてある。仕事と思わずに、里を自由に見て回ってきなよ。あ、王都と違って気軽に行けるエッチなお店はないからね」
「はあ、まあ行きませんけど」
なんか、そんなんで仕事をやったことにしていいのかって感じだけど……サフィさんも行けと言っているから研修の一環なのかもしれない。
俺は後片付けをして、外出の準備をする。
「では行ってきます」
「いってら」
それから、サフィさんの工房を出た。
辺境伯領は、いくつかの村で構成されており、人口五千人ほどにもなる。一番規模が大きい村が、ここフーリァンである。
周囲には広大な自然と畑が広がっている。人が住んでいる場所より畑のほうが大きい。緑がいっぱいで、空気がとてもおいしい。遠くにはおどろおどろしい山脈もある。
「いいところだなあ。活気はあるし、それでいておだやかで」
「そうでしょう」
独り言を言ったら、返事があった。
隣には、メリアが護衛も付けずにいる。青い髪が日の光に透けているさまはとても優美だけど、顔はとっても得意げなので、やはり大人の気品みたいなのは足りていない。
「あの、メリア様、なんでいるんです?」
「敬語は不要です!」
叱られた。なんか申し訳ないけど、そう言われたら仕方ない。
「なんでいるの? メリア」
「あなたはわたしの臣下なんですから、わたしがそばにいてもなんら不自然ではないでしょう」
答えになってないような。あと俺は君のお父さんの臣下になったんだけど。
「こう見えて俺、仕事中なんだよ」
「手伝ってさしあげます!」
うーん、村の中を俺とぶらぶらしていていいのかって思うけど、でも領主の娘さんだから無下に断ることもできないな。
「今からフーリァンを歩いて回るんだけど」
「行きましょう」
メリアは俺の手を引いて、先に歩き始める。わかりました。これは断ってもついてこられるやつだと悟ったよ。
メリアと手をつなぎながら村の中を見て回った。
村の周囲は簡易な柵で囲まれていて、村の中心にはクリムレット卿が住む居館がある。
王都と違うのは、なんといっても緑の多さと、自然と共存しているように感じられること。
そしてエルフやドワーフ、獣人を見かけるのもそうだし、彼らが近くに一緒にいても争いが起こっていないこともだ。
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