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鶴井こう

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11 ぬるすぎる戦い

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「せめて《フェイズエッジ》を試してから入ったらどうですか――あーもう! 聞かないんだから!」

 背後で忠告をあきらめたミーティアがため息をついている。


チュートリアル用ダンジョン『大精霊メトルの古代遺跡』
ボス:リザードゴーレム


 対峙した相手にはHPバーとともにそう表示されていた。

 頭の高さが二メートルを超える巨体である。体長は横に長く尻尾も巨大――尻尾まで含めたら十五メートルほどだろうか。

 ――グアアアアアッ!

 リザードゴーレムが口を開くと、空洞から風が反響しているような咆哮が広場に響く。

「ではお手並み拝見といこうか」

 俺は駆け出し、鉄の剣の一撃を入れた。

 リザードゴーレムは意に介さず、左前足を上げ、俺に向けて振り下ろした。

 ……体重を乗せた踏みつけ攻撃なのだろうが、これ、ダメージはどれくらいなのだろうか。

 食らってみるか。

 俺はあえて立ち止まって、前足の攻撃を受けた。

「うおお!?」

 踏み潰され、やや後ろに転がって、HPが四分の一ほど一気に削れた。

「馬鹿! 余裕そうにして!」

「なにぼーっと突っ立ってるんですか!」

 広場の外からアリアとミーティアのツッコミが入る。安全地帯から言いたい放題だった。

「まあそういうこともあろう。たしかにレベル3では不安だなこれ」

「だから言ったのに!」

 再び近づこうとしたところで、リザードゴーレムが素早く後ろを向くようにして尻尾をスイングさせる。

 襲い来るしなる尻尾を……今度は盾で受けてみる。

「ふむ、なるほど」

 踏みとどまって、少しよろける。ダメージは大幅に減ったが、ノーダメージというわけではない。HPはわずかに削れた。

 かまわずに前進する。リザードゴーレムは前足を上げ、接近してきた敵の迎撃に入る。

 下ろされた前足に合わせて、

「《フェイズエッジ》!」

 跳ぶように転がって攻撃を避けながら、通常攻撃より幾分か強力な一撃を相手に加える。

 緊急回避的をしつつ相手へ攻撃を与えるスキル――それが《フェイズエッジ》である。今初めて使ってみたが、使い勝手がいい技だった。スキルでの回避中は一瞬だけだが無敵時間があるらしく、クールタイムも短くすぐに使えるようになる。MPを消費するようだが、これも抑えられている。

 回避や盾による防御で敵の攻撃をさばき、剣の手数によってダメージを与える――シールドソードの立ち回りは、おおよそそのような具合だ。そのため《フェイズエッジ》のように回避と攻撃を同時に兼ねている取り回しのいいスキルが最初のスキルとして習得できるようになっている。

 戦闘に慣れている俺にとって、動きを読みながら攻撃するのは造作もない。

 尻尾のスイングは、姿勢を低くしていればかわせる。前足は、兆候がわかりやすく攻撃モーションに入ってからでも回避は可能。

「ぬるい」

 HPポーションを飲む必要さえなかった。

 俺はリザードゴーレムの足元に張り付きながら《フェイズエッジ》で攻撃をかわしつつ攻撃をし、普通に避けては反撃し、半身体をずらしては反撃し、

「こんなものでは物足りん!」

 足元を周回するように回避しながら常に攻撃することを繰り返した。

 表示されているリザードゴーレムのHPがゼロになり、リザードゴーレムは倒れ伏した。砂埃が上がって、リザードゴーレムを形成していた石のつぶてがバラバラになって散乱する。


レベルが上がりました。

メインスキル《旋風刃》を習得しました。


 ……まだ俺は本気を出せていない。さすがにチュートリアルでそれを求めるのも無理というものか。

 ただまあ、リアルでの実戦よりは楽しめた。


 フェルヴェッタ LV.5
 スキルポイント:25
 体力:5
 精神力:4
 スタミナ:10
 攻撃:8
 物理防御:3
 魔法防御:3
 敏捷:3

メインスキル
《フェイズエッジ》
《旋風刃》
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