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50 優勝宣言
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料亭で食事をする。
「今回は賞品の質も前回と比べて上がっているらしい。精霊エアリアルというのが副賞に入っているためだろう。参加者も去年より多くなる見通しだ」
耳聡く噂を拾ってきたらしい魔王が言った。
「つまり? 何が言いたい?」
「つまり、参加者の絶対数が多くなるにつれ、上澄みの質も前回より上がることが予想される。それにより貴様の生存確率も下がるということよ」
「俺は優勝するつもりでいる。参加者のレベルが多少上がったところで問題はない」
「ふん、素でそういうことを宣うところが、いけすかん」
「お前もさっき《剣帝》を自分より弱いと宣っていただろう。もう忘れたのか?」
「我が参加できていれば優勝は完全に我だったのだ。当然よ」
「それはおめでとう。まあ、俺が参加している時点でその夢は泡沫に消えるわけだがな。俺が闘っている間、薬草採りにでも励んでいたらどうだ?」
「それはいいな。差し入れに毒草でも山ほど摘んできて食わせてやろうか」
「できるものならな」
「ほう? 言ったな?」
「子どものいたずらと摘み出されて終わりだろうがな」
「なんだ?」
「やるか?」
睨み合いになっていると、突然酒瓶が飛んできて、俺は咄嗟に避けた。
酒瓶は壁に当たって、破片が飛び散り、中身がぶちまけられる。
「む?」
酒瓶が投げられた方向。そこには、ガラの悪い男たちが十人ばかり立って、俺たちを囲んでいる。
「おい、オッサンよぉ。なんか聞き捨てならねえこと聞いたぜ」
チンピラの一人が言った。
「トーナメント優勝するとかよお、言ってやがんのか?」
「出るからにはな」
「ここじゃそれを聞いたらどうなるかわかってるんだろうな?」
「なるほど、こうして事前に潰しておこうというトーナメント参加者が現れるわけか。これも一つの予選といったところかな」
「てめえ、名は?」
「トントン。Eランク冒険者のトントンだ」
「…………」
「どうした?」
「ぎゃはははっ! Eランクだと!? そんな奴がこのトーナメントで生き残れると思ってんのか!」
チンピラたちは一斉に笑い出す。
「ああ。思っている」
「てめえなんて、ここにいるジョー・グレモン盗賊団の足元にも及ばねえ!」
「本選では一対一だ。お前らが一斉にかかってくることはなかろう。だから、そうやって群れているのは意味がないのではないか?」
俺の言葉に、血相を変えるチンピラたち。
「あ?」「上等だ。表へ出ろ!」
外へと促される。魔王はそれを食事をしながら気だるそうに見て、
「ふん、ようやるわ」
栄養補給が大事だと言わんばかりにまた食事に戻った。
「今回は賞品の質も前回と比べて上がっているらしい。精霊エアリアルというのが副賞に入っているためだろう。参加者も去年より多くなる見通しだ」
耳聡く噂を拾ってきたらしい魔王が言った。
「つまり? 何が言いたい?」
「つまり、参加者の絶対数が多くなるにつれ、上澄みの質も前回より上がることが予想される。それにより貴様の生存確率も下がるということよ」
「俺は優勝するつもりでいる。参加者のレベルが多少上がったところで問題はない」
「ふん、素でそういうことを宣うところが、いけすかん」
「お前もさっき《剣帝》を自分より弱いと宣っていただろう。もう忘れたのか?」
「我が参加できていれば優勝は完全に我だったのだ。当然よ」
「それはおめでとう。まあ、俺が参加している時点でその夢は泡沫に消えるわけだがな。俺が闘っている間、薬草採りにでも励んでいたらどうだ?」
「それはいいな。差し入れに毒草でも山ほど摘んできて食わせてやろうか」
「できるものならな」
「ほう? 言ったな?」
「子どものいたずらと摘み出されて終わりだろうがな」
「なんだ?」
「やるか?」
睨み合いになっていると、突然酒瓶が飛んできて、俺は咄嗟に避けた。
酒瓶は壁に当たって、破片が飛び散り、中身がぶちまけられる。
「む?」
酒瓶が投げられた方向。そこには、ガラの悪い男たちが十人ばかり立って、俺たちを囲んでいる。
「おい、オッサンよぉ。なんか聞き捨てならねえこと聞いたぜ」
チンピラの一人が言った。
「トーナメント優勝するとかよお、言ってやがんのか?」
「出るからにはな」
「ここじゃそれを聞いたらどうなるかわかってるんだろうな?」
「なるほど、こうして事前に潰しておこうというトーナメント参加者が現れるわけか。これも一つの予選といったところかな」
「てめえ、名は?」
「トントン。Eランク冒険者のトントンだ」
「…………」
「どうした?」
「ぎゃはははっ! Eランクだと!? そんな奴がこのトーナメントで生き残れると思ってんのか!」
チンピラたちは一斉に笑い出す。
「ああ。思っている」
「てめえなんて、ここにいるジョー・グレモン盗賊団の足元にも及ばねえ!」
「本選では一対一だ。お前らが一斉にかかってくることはなかろう。だから、そうやって群れているのは意味がないのではないか?」
俺の言葉に、血相を変えるチンピラたち。
「あ?」「上等だ。表へ出ろ!」
外へと促される。魔王はそれを食事をしながら気だるそうに見て、
「ふん、ようやるわ」
栄養補給が大事だと言わんばかりにまた食事に戻った。
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