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33 魔王、開放される
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男たちが孤児院を出て行った後、パースターはよろりと起き上がる。
「ああ、くそ、みんなの朝食が台無しじゃないか」
「あやつらは?」
魔王は片付けを手伝いながら、パースターに尋ねた。
「ああ、西部貧民街を根城にしている金貸しだよ。金など借りていないのに金を返せと言われていてね。タチの悪いタカリ屋さ。ああいう脅しに勝てず、金をせびられた人たちは悲惨だよ。死ぬまでずっとたかられ続けるんだから」
「記録があると言っていたな。借用書を書いた覚えは?」
「難しい言葉を知っているね。ないよ。私も、妻もね」
「ほう? なるほど、それは災難だな」
魔王はそれから、孤児院にいる子どもで、一番ビクビクしていた十歳ほどの少年ラッセルに近づく。
ラッセルの片付けを手伝いながら、いまだ蒼白になっている顔色を見やった。
「貴様か? 金を借りたのは」
そして魔王は耳打ちした。
ラッセルはびくりとして、目を丸くした。
「え……? どうして……」
「どうしてわかったかといわれれば、まあ態度を見ていればわかる。他の子供はわけもわからずビクついて夫婦らのことを心配そうに見ていたが、貴様だけは顔がわからないようにずっと後ろを向いていたな? その上で、一番怖がっていた。あとは我の勘だ」
「…………」
ラッセルは、目に大粒の涙を溜めて、小さい声で話した。
「お、お菓子を買いたくて、そしたら知らないお兄さんが貸してくれるって……」
「なにも知らずに借りたわけだな」
「次のお小遣いの時に返せばいいと思って……、でも、そしたら、一ヶ月経ったら、返さないといけないお金がたくさんになってて……」
「利子か。いくら借りた?」
「五百バードル」
「それがひと月で五百万か。暴利ではないか」
「紙も書かされて、父さんと母さんの名前も書いてって言われて……」
「借用書は証拠になる。承諾してしまった貴様の落ち度だ」
「僕は、どうしたらいいの……?」
「精霊にでも祈っているんだな」
にべもなく言って、魔王はラッセルから離れた。
子どもたちは皆細い。肉が食べられないのもあるし、生活がいつもぎりぎりであることが見受けられる。
お菓子の一つや二つくらい、食べたくもなろう。
片付けが終わって、魔王はあらためてパースター夫妻に別れを告げた。
「待って。せめてこれを着ていって」
パースター婦人は、お下がりらしい子供用のかわいらしいコートを魔王に着させる。
「いらん」
「いいから。気持ちよ」
「……ふん、まあ、もらってやらんでもない」
コートは少し古かったが、温かかった。
それから、パースターに向けて、声を潜めて言った。
「気づいておったのだろ。子どもの一人が騙されていたことを。しかし子どもを傷つけまいとして、なにも知らないフリをしている」
「ウルカちゃんは、賢いね」
「このへんの法律とかは知らんが、実際に金を借りたとはいえ、子どもに責任はない。行為としては不正だ。そうだな? 領主とかが守ってくれないのか?」
「やつら、憲兵に賄賂を払っている様子だったから、信用はできないよ」
「腐っておるな」
「まあ、ああいう悪い大人から子どもたちを守るのも親の役目さ。腕っぷしは強くないから、こうして虚勢を張って我慢することしかできないけれど」
「あこぎなやり方で金を揺するあやつらが悪いな。しかし、ああいった手合いは、思い通りにいかないと暴力で相手を従わせるものだ。さっきのようなことが、だんだんひどくなってくる。そうなったときはどうするのだ?」
「私が殴られて済むのならいいのさ」
「ふん、甘いな。甘すぎる」
「だろうね」
「だが正しい。暴力はより強い暴力によって滅びるものだ。それを期待してじっと殴られながら待つのは、一つの手であろうよ。報われんことの方が多いだろうがな」
「はは……まあ、それしかできないからね」
「ふん、弱い人間はこれだから困る」
魔王は、孤児院のドアを開けた。
寒さは感じない。着させられたコートのせいではない。
魔王は魔力に対しての防御耐性が高い。霊域グラシアル由来の魔力による雪と寒さは、それほど脅威ではなかった。
「せいぜい部屋の隅でガタガタ震えているがいい。弱者にはそれが似合いだ」
苦笑いしながら手を振る夫婦を尻目に、魔王は孤児院を後にする。
貧民街を歩く。
少し遠くには、西部の貴族たちの住む豪邸が軒を連ねている。
クインタイルに比べると、ずいぶん貧富の差が激しい。
整備されていないくたびれた薄暗い路地を進んでいた時、魔王は厚手のコートを着た三人の若い女に声をかけられた。
三人の若い女は膝をつく。
「ウルカ様、奴隷組、先ほど到着いたしました。人売り組は、門番と一悶着あり、到着が遅れております」
クインタイルから一足遅れてやってきた、仲間の元奴隷たちだった。
「雪の積もった道の上で膝をつくな。冷たかろう」
魔王は魔力を抑えた《獄炎》を焚き火代わりに使い、元奴隷組たちを温め、
「よくついてきてくれた」
ねぎらいの言葉をかける。
「魔法など、我々にはもったいありません」
「よい。堪えるであろう、ここの寒さは。聞けば霊域由来の寒さらしいからな。厚手のコートとマナ・クォーツでようやく寒さを凌げる程度らしい」
「ウルカ様も、よくご無事で」
「うむ。早速だが、用を頼む」
「何なりと」
「このへんで悪どい方法にて金貸しをしているファンコイル商会とかいう組織がある。その本部の場所を調べよ」
「おおせのままに」
「ずいぶん堂々と悪さをしている組織のようだ。調べが済むまで一日もかからんと踏んでいるから、ここでしばし待つ。すぐにやるのだ」
三人の女は頷いて、足早に散って行った。
「暴力は、より強い暴力によって滅びる」
降り積もる雪を眺めながら、魔王はもらったコートのぬくもりを感じる。
霊域の寒さには強い。しかし、やはりコートを着ていると温かいと思う。悪くない。おせっかいでも、お世話されるのは。
「そして、魔族にも情がある。……一宿一飯の恩を返すくらいのことは、させてもらおうか」
「ああ、くそ、みんなの朝食が台無しじゃないか」
「あやつらは?」
魔王は片付けを手伝いながら、パースターに尋ねた。
「ああ、西部貧民街を根城にしている金貸しだよ。金など借りていないのに金を返せと言われていてね。タチの悪いタカリ屋さ。ああいう脅しに勝てず、金をせびられた人たちは悲惨だよ。死ぬまでずっとたかられ続けるんだから」
「記録があると言っていたな。借用書を書いた覚えは?」
「難しい言葉を知っているね。ないよ。私も、妻もね」
「ほう? なるほど、それは災難だな」
魔王はそれから、孤児院にいる子どもで、一番ビクビクしていた十歳ほどの少年ラッセルに近づく。
ラッセルの片付けを手伝いながら、いまだ蒼白になっている顔色を見やった。
「貴様か? 金を借りたのは」
そして魔王は耳打ちした。
ラッセルはびくりとして、目を丸くした。
「え……? どうして……」
「どうしてわかったかといわれれば、まあ態度を見ていればわかる。他の子供はわけもわからずビクついて夫婦らのことを心配そうに見ていたが、貴様だけは顔がわからないようにずっと後ろを向いていたな? その上で、一番怖がっていた。あとは我の勘だ」
「…………」
ラッセルは、目に大粒の涙を溜めて、小さい声で話した。
「お、お菓子を買いたくて、そしたら知らないお兄さんが貸してくれるって……」
「なにも知らずに借りたわけだな」
「次のお小遣いの時に返せばいいと思って……、でも、そしたら、一ヶ月経ったら、返さないといけないお金がたくさんになってて……」
「利子か。いくら借りた?」
「五百バードル」
「それがひと月で五百万か。暴利ではないか」
「紙も書かされて、父さんと母さんの名前も書いてって言われて……」
「借用書は証拠になる。承諾してしまった貴様の落ち度だ」
「僕は、どうしたらいいの……?」
「精霊にでも祈っているんだな」
にべもなく言って、魔王はラッセルから離れた。
子どもたちは皆細い。肉が食べられないのもあるし、生活がいつもぎりぎりであることが見受けられる。
お菓子の一つや二つくらい、食べたくもなろう。
片付けが終わって、魔王はあらためてパースター夫妻に別れを告げた。
「待って。せめてこれを着ていって」
パースター婦人は、お下がりらしい子供用のかわいらしいコートを魔王に着させる。
「いらん」
「いいから。気持ちよ」
「……ふん、まあ、もらってやらんでもない」
コートは少し古かったが、温かかった。
それから、パースターに向けて、声を潜めて言った。
「気づいておったのだろ。子どもの一人が騙されていたことを。しかし子どもを傷つけまいとして、なにも知らないフリをしている」
「ウルカちゃんは、賢いね」
「このへんの法律とかは知らんが、実際に金を借りたとはいえ、子どもに責任はない。行為としては不正だ。そうだな? 領主とかが守ってくれないのか?」
「やつら、憲兵に賄賂を払っている様子だったから、信用はできないよ」
「腐っておるな」
「まあ、ああいう悪い大人から子どもたちを守るのも親の役目さ。腕っぷしは強くないから、こうして虚勢を張って我慢することしかできないけれど」
「あこぎなやり方で金を揺するあやつらが悪いな。しかし、ああいった手合いは、思い通りにいかないと暴力で相手を従わせるものだ。さっきのようなことが、だんだんひどくなってくる。そうなったときはどうするのだ?」
「私が殴られて済むのならいいのさ」
「ふん、甘いな。甘すぎる」
「だろうね」
「だが正しい。暴力はより強い暴力によって滅びるものだ。それを期待してじっと殴られながら待つのは、一つの手であろうよ。報われんことの方が多いだろうがな」
「はは……まあ、それしかできないからね」
「ふん、弱い人間はこれだから困る」
魔王は、孤児院のドアを開けた。
寒さは感じない。着させられたコートのせいではない。
魔王は魔力に対しての防御耐性が高い。霊域グラシアル由来の魔力による雪と寒さは、それほど脅威ではなかった。
「せいぜい部屋の隅でガタガタ震えているがいい。弱者にはそれが似合いだ」
苦笑いしながら手を振る夫婦を尻目に、魔王は孤児院を後にする。
貧民街を歩く。
少し遠くには、西部の貴族たちの住む豪邸が軒を連ねている。
クインタイルに比べると、ずいぶん貧富の差が激しい。
整備されていないくたびれた薄暗い路地を進んでいた時、魔王は厚手のコートを着た三人の若い女に声をかけられた。
三人の若い女は膝をつく。
「ウルカ様、奴隷組、先ほど到着いたしました。人売り組は、門番と一悶着あり、到着が遅れております」
クインタイルから一足遅れてやってきた、仲間の元奴隷たちだった。
「雪の積もった道の上で膝をつくな。冷たかろう」
魔王は魔力を抑えた《獄炎》を焚き火代わりに使い、元奴隷組たちを温め、
「よくついてきてくれた」
ねぎらいの言葉をかける。
「魔法など、我々にはもったいありません」
「よい。堪えるであろう、ここの寒さは。聞けば霊域由来の寒さらしいからな。厚手のコートとマナ・クォーツでようやく寒さを凌げる程度らしい」
「ウルカ様も、よくご無事で」
「うむ。早速だが、用を頼む」
「何なりと」
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「おおせのままに」
「ずいぶん堂々と悪さをしている組織のようだ。調べが済むまで一日もかからんと踏んでいるから、ここでしばし待つ。すぐにやるのだ」
三人の女は頷いて、足早に散って行った。
「暴力は、より強い暴力によって滅びる」
降り積もる雪を眺めながら、魔王はもらったコートのぬくもりを感じる。
霊域の寒さには強い。しかし、やはりコートを着ていると温かいと思う。悪くない。おせっかいでも、お世話されるのは。
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