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10 酒場

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酒場へとやってくる。

「ぎゃははは! 親子連れが酒飲みに来やがったぜ!」

「レストランにでも行ってろ!」

入るなり、近くの席で酒を飲んでいた三人の若い男たちからヤジが飛んできた。

まあ、刃物が飛んでこないだけ平和だな。

「聞きたいのだが、Cランク以上の冒険者はいるか?」

せっかくなのでヤジを飛ばしてきた男たちに聞くと、

「あ? 俺たちがそうだが」

「なんだ? 依頼か、オッサン?」

男たちはあからさまに嫌そうに俺と話す。

こいつら冒険者だったか。ちょうどいい。

「いや、俺も冒険者だから依頼はしない」

俺が答えると、男たちはポカンと口を開け、

「ギャハハ! オッサンが!? 冒険者!?」

バカにしたように笑い出した。

「ランクはいくつだよ?」

「Fだ。なりたてだ」

答えると、また笑い出した。

「Fが適正だったのかよ! マナ・クォーツで測ってそれか!?」

「そりゃ才能ないぜ! やめた方がいいわ!」

「獲物はなんだよ? 草刈り鎌か!?」

言われて、俺は右腕の紋章を男たちに見せた。

「精霊剣だ。今は使えないがな」

答えたら、男たちが笑いながらひっくり返った。

「俺たちを笑い死にさせる気か!?」

「精霊剣使いがFランクな訳ねえだろうが! 魔法使いよりレアジョブだぞ!」

「カッコつけるために自分で彫ったのかそれ!? 一つでも契約が難しいのに四つって!」

たしかに精霊に剣の腕を認められないといけないので契約は難しいが……レアジョブってなんだ? 全く意味がわからん。

「前は五つあったが一つ減った」

答えたら、また男たちは大笑いする。

「芸人の才能あるぜオッサン! で? 俺たちに冒険者の指南でも頼みたいのか?」

「いや、Cランクというなら話が早い。俺がEランクに上がるための推薦状を書いてくれないか?」

「あ?」

男たちの目の色が変わった。

「金を積むんなら書いてやらんでもねえぞ?」

「金はない。Eランクになった後で、何か珍しい素材が手に入れば譲るくらいのことはできるが、どうだ?」

言うと、男の一人は持っている酒のジョッキを勢いよく置いた。

「舐めてんじゃねえぞオッサン」

「金がねえなら俺らに殴られてくれねえか? 百発殴られて耐えられたら推薦してやらなくもないぜ?」

「ギャハハ! そりゃいいな! もしくは一生稼ぎの半分を俺らに献上しろよ!」

男たちからなかなか魅力的な条件が出てきた。

「避けてもいいなら百回殴ってもかまわんぞ」

「ほぉ? 言ったな?」

「それでいいなら、だがな」

「ちょうどケンカがしたかったんだよ。表へ出ろ」

俺たちは表に出た。
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