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この町が俺の故郷だったとは……どうりで見覚えがあったと思った。
五百年と経っていると、けっこう発展するものなのだな。
……登録証を書き終えて、今日から俺はトントンとなった。
次に大きめのマナ・クォーツが出てくる。
「これは?」
「能力――いわゆるステータスを測るためのマナ・クォーツです。戦闘力や魔力を測って、冒険者の適正ランクを決めます」
「ステー? ……ってなんだ?」
俺のいた時代にはなかった言葉だな。さっきのデータベースとかもそうだが。
ランクは……等級か何かだな。
「それぞれの能力の最高値はSSSといわれています。適正冒険者ランクはSまでです」
「よくわからないが、これに魔力を流せばその能力を測ってくれるんだな?」
「はい」
俺はさっそくマナ・クォーツに魔力を流してみる。
すると、登録証に記した名前と一緒に能力が中空に浮き出てきた。
トントン・トトントーン
年齢:35
基礎戦闘力:SSSSSS
体力:SS
精神力:SSSSSS
魔力:F
敏捷:SSSSS
適正冒険者ランク:S
「最高値はSSSなんじゃなかったのか?」
「え? 嘘……!?」
なんか、SSSSSSとかついてるんだが。目が滑るぞ。
「いや、ちょっとこれは……壊れてる可能性ありますね。こんな評価見たことないですし……」
「そうなのか」
「SSSSSとかいう表示もそうなんですが、基本的に精神力と魔力は同じような評価になるのです。ここまで乖離するのは、ちょっと異常です」
「ああ、それは納得だ」
魔王が魔力を著しく損なっているとしたら、精霊剣を召喚できない俺も同様、著しく魔力がなくなっている可能性が高い。
体力も同様、精霊王の剣が守ってくれたとはいえ、本調子じゃないのは自分でもわかる。
「では、次はウルカちゃんですね」
「うむ。ま、我は測るまでもなく最強であるがな」
魔王は自信満々にマナ・クォーツに手を当て、魔力を込めた。
ウルカ
年齢:127
基礎戦闘力:∞
体力:F
精神力:∞
魔力:F
敏捷:A
適正冒険者ランク:S
「おい、また変な表示が出たぞ」
なんだこれ。体力と魔力がFということはだいぶ弱っていることの証左でもあるが。
それとは別に変な記号が出ている。読み方がわからん。
「我はこれ強いのか? 弱いのか?」
魔王もこれには困り果てる。
受付のおねえさんも頭を抱える。
「む、『無限』って何??? どうしてステータスの計測だけこんな不具合を? ……うーん、メンテに出さないとだめですね、このマナ・クォーツ」
「そうしてくれ」
メンテってなんだ……? なにかの略か? 修理ってことか?
「もし旅をしておられるのでしたら、次に訪れた町でも、冒険者ギルドで再度測ってもらってください」
「わかった。スタートスをデータベースすればいいんだな」
「ちょっと違いますが概ねそんな感じです」
「……逆に聞きたいのだが、腹痛い時とかにこれを測ったら腹痛い時の数値になるのか?」
「詳しいことはわかりませんが……計測時の状況に左右されると思われますね。ただ、基礎戦闘力と精神力はどんな体調でも一定です」
「そうなのか」
けっこう変動するならそもそも測る意味はないかもしれん。
「よくわからんから初期ランクは最低のFからでいい」
「はい」
一目でわかる能力か……これは今後魔王には見せないほうがいいかもしれない。
魔王は不満げだ。
「我の方が強いはずなのにミミズがいっぱいついてないぞ。おかしい」
Sをミミズとして認識すな。
五百年と経っていると、けっこう発展するものなのだな。
……登録証を書き終えて、今日から俺はトントンとなった。
次に大きめのマナ・クォーツが出てくる。
「これは?」
「能力――いわゆるステータスを測るためのマナ・クォーツです。戦闘力や魔力を測って、冒険者の適正ランクを決めます」
「ステー? ……ってなんだ?」
俺のいた時代にはなかった言葉だな。さっきのデータベースとかもそうだが。
ランクは……等級か何かだな。
「それぞれの能力の最高値はSSSといわれています。適正冒険者ランクはSまでです」
「よくわからないが、これに魔力を流せばその能力を測ってくれるんだな?」
「はい」
俺はさっそくマナ・クォーツに魔力を流してみる。
すると、登録証に記した名前と一緒に能力が中空に浮き出てきた。
トントン・トトントーン
年齢:35
基礎戦闘力:SSSSSS
体力:SS
精神力:SSSSSS
魔力:F
敏捷:SSSSS
適正冒険者ランク:S
「最高値はSSSなんじゃなかったのか?」
「え? 嘘……!?」
なんか、SSSSSSとかついてるんだが。目が滑るぞ。
「いや、ちょっとこれは……壊れてる可能性ありますね。こんな評価見たことないですし……」
「そうなのか」
「SSSSSとかいう表示もそうなんですが、基本的に精神力と魔力は同じような評価になるのです。ここまで乖離するのは、ちょっと異常です」
「ああ、それは納得だ」
魔王が魔力を著しく損なっているとしたら、精霊剣を召喚できない俺も同様、著しく魔力がなくなっている可能性が高い。
体力も同様、精霊王の剣が守ってくれたとはいえ、本調子じゃないのは自分でもわかる。
「では、次はウルカちゃんですね」
「うむ。ま、我は測るまでもなく最強であるがな」
魔王は自信満々にマナ・クォーツに手を当て、魔力を込めた。
ウルカ
年齢:127
基礎戦闘力:∞
体力:F
精神力:∞
魔力:F
敏捷:A
適正冒険者ランク:S
「おい、また変な表示が出たぞ」
なんだこれ。体力と魔力がFということはだいぶ弱っていることの証左でもあるが。
それとは別に変な記号が出ている。読み方がわからん。
「我はこれ強いのか? 弱いのか?」
魔王もこれには困り果てる。
受付のおねえさんも頭を抱える。
「む、『無限』って何??? どうしてステータスの計測だけこんな不具合を? ……うーん、メンテに出さないとだめですね、このマナ・クォーツ」
「そうしてくれ」
メンテってなんだ……? なにかの略か? 修理ってことか?
「もし旅をしておられるのでしたら、次に訪れた町でも、冒険者ギルドで再度測ってもらってください」
「わかった。スタートスをデータベースすればいいんだな」
「ちょっと違いますが概ねそんな感じです」
「……逆に聞きたいのだが、腹痛い時とかにこれを測ったら腹痛い時の数値になるのか?」
「詳しいことはわかりませんが……計測時の状況に左右されると思われますね。ただ、基礎戦闘力と精神力はどんな体調でも一定です」
「そうなのか」
けっこう変動するならそもそも測る意味はないかもしれん。
「よくわからんから初期ランクは最低のFからでいい」
「はい」
一目でわかる能力か……これは今後魔王には見せないほうがいいかもしれない。
魔王は不満げだ。
「我の方が強いはずなのにミミズがいっぱいついてないぞ。おかしい」
Sをミミズとして認識すな。
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