封印されていたおじさん、500年後の世界で無双する

鶴井こう

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6 俺と魔王の戦争

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魔王はただの剣では殺せない。魔力のこもった武器や魔法で、魔力を削って消滅させる必要がある。これはほかの魔族も同様だ。

ちなみに彼らが侵略のためにばら撒いた魔獣は、普通の剣でもダメージを与えられる。
魔獣はよいのだが、魔族を倒すとなるとかなり骨が折れるのだ。

魔王の魔力を削るには精霊王の剣が最適だ。
あれはこの世にあるものを、物質であろうが非物質であろうが切ることができる。それでも、全盛期の魔王には力不足ではあったが、今の魔王であれば通じるだろう。

精霊王に会って剣の契約を再び交わさねばならない。

魔界と呼ばれる地域と人間の生活圏の境目は【最果ての地グッドフェロウ】と呼ばれている。精霊王はその森の中にいた。目指すなら【最果ての地グッドフェロウ】だ。そこで精霊王に事情を話し、再契約をお願いする。

そのためには、旅費の捻出が必要である。

「さて、ではメシを食うにも生活をするにも金がいる。稼ぐ手段を見つけねばならん。そうだろう魔王よ?」

俺ははらへりでしょんぼり座っている魔王に言った。
魔王は顔を上げた。

「働いてこい」

「てめえも働くんだよ!」

「このようないたいけな少女に『働け』とは鬼畜もいいところ。『養いたい』の間違いではないか?」

「そう思って、誰でもなれる職業を探した。さっき人に聞いてな」

「我の言葉は無視か。養われたいと言うておるのだが」

「餓死させてやろうかいっそのことよ」

「まあ待て。わかった。助け合うという約束だ。どっちかがどっちかに寄りかかるようなことがあってはならないと我は思う」

「そういうことだ」

「で、その金稼ぎの手段とは?」

「冒険者という職業だ。魔獣の巣で魔獣を殺したり生活に使える素材とかをいただいてくるのが仕事らしい」

「ようは強盗か。犯罪者ではないか」

「お前にとってはそうなんだろう。魔獣はお前らのペットのようなものだしな。だがそれで民は安心して暮らせるし、金稼ぎの手段としては優秀だ。なにせ俺は戦闘しか能がない。そういう仕事はうってつけだ」

「我は戦闘以外も万能ぞ」

「そんなことは聞いていないし興味もない。一度ギルドで登録してしまえば、別の町の冒険者組合でも同じようなことが出来るようになる。魔獣を狩りながら旅の資金を稼げるようになるというわけだ」

俺たちは冒険者ギルドへとやってくる。まずはここで登録をしなければならない。

外に張ってある『冒険者募集!』と書かれた案内に目を通した。

「この案内を見ろ。年齢によっては薬草採集のみとか山菜採りのみとからしいが、子どもでもなれるようだ。十歳からなれる。人から聞いた話のとおりだ。女児のお前でも可能だぞ」

「我に薬草とか山菜とかを摘んでこいとでも言うつもりか? 魔王である我に」

「摘んでこいと言っている。さっさとゆくぞ」

「おい! 貴様!」

俺は嫌がる魔王の首根っこを掴んで冒険者ギルドの中へ入った。
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