ナナ

楪 ぷぷ。

文字の大きさ
上 下
45 / 54
5章

peaceful days

しおりを挟む
平穏な日々。



朝起きて会社に行き、仕事をして湊都と共に帰宅して。



窓辺で街を見ながらお酒を飲む。



眠たくなったらベッドに潜って。



前よりは頻度は少なくなったけどセックスもする。



幸せな日々。



きっと安定したものほど人間が幸福を感じるのだろう。



それに飽きてきたら刺激を求める。



その刺激を担うのが私たちの役目だった。



刺激だらけの毎日を過ごしてきた私からしたら安定のほうが幸福を、魅力を感じるのはいわば自然の摂理。



心の中に広がる底知れぬ温かい幸せ。



噛み締めるようにして毎日を過ごしていた。



でも安定があればそれと同時にその崩壊も存在する。










「いってらっしゃい。」



「何かあったらすぐに連絡しろ、いいな?」



「うん。わかってるよ。」



「いい子だ。じゃあ、行ってくる。」



「うん。いってらっしゃい。」



湊都が仕事の関係で出張することになった。



湊都が近くにいないとなると私は会社に出勤できない。



組長さんに言われたことを守り、私が湊都のそばに居続けるためにはそれが1番安全策であり、不本意ながらそれが正解の道だからだ。



本来であれば会社にも行きたいし、通常通り勤務したい。



だけど私の中での湊都の存在を考えるとやはり無理なのが現状。



だから湊都が帰ってくるまでは仕事も休み。



他の社員さんに迷惑をかけてしまうが仕方がない。



湊都が出張することになって2つの約束をした。



1つ、何かあったらすぐに連絡をすること。



この何かあったら、というのは何か事件に巻き込まれたり、巻き込まれそうになったりということ。



湊都がこの街から離れるということは遅かれ早かれ裏の情報網を伝うと必ず他者に知られる。



だからこそ気をつけて行動しなければならない。



2つ、外出は極力控えること。



情報網の伝達を加味すると湊都がこの街から去ってから・・・つまり今日から・・・約3日から5日間は外出しても事件にあう可能性は少ないらしい。



けど、それ以上経過すると情報が錯綜し、私を狙う輩が現れるだろう、とのことだった。



今回の湊都の出張は1週間。



可能性は低いと思うがなるべく外出は控えること。



この2つを守っていれば100%とは言いきれないが私の安全はある程度確保される、と言われた。



湊都に、そして天崎組の人達に迷惑かけたくない。



勿論、湊都との約束を破るつもりはさらさらないが私も自分が思っている以上に自分の行動に気をつけなければならない。



自分で決めた、ヤクザの、湊都の隣にいる覚悟。



やり遂げなくちゃ・・・。
しおりを挟む
1 / 4

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

【完結】お飾りではなかった王妃の実力

恋愛 / 完結 24h.ポイント:1,824pt お気に入り:6,902

王妃となったアンゼリカ

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:132,061pt お気に入り:8,520

【連載版】婚約破棄ならお早めに

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:84,305pt お気に入り:3,299

死にたがりの悪役令嬢

恋愛 / 完結 24h.ポイント:14pt お気に入り:118

所詮、愛を教えられない女ですから

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:175,058pt お気に入り:3,611

皇帝陛下のお妃勤め

恋愛 / 完結 24h.ポイント:28pt お気に入り:866

処理中です...