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ちょっと寄り道(クルーヒルズから見た婚約者)

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 父上から王子の側近候補として参加させられたお茶会
 王子の婚約者選びの場でもあった
 勿論私も含めてまだ婚約者が決まっていない者達のお見合いの場でもある
 参加資格は伯爵家以上の者だ
 周りを観ても外観が似たようの者ばかりで、王子や公爵家の嫡男の私の周わりに自身を美しく魅せる為に物理的に眩しい装飾、笑顔を浮かべながら草食獣の振りして肉食獣のおのれを隠して舌舐めずりをして近よって来る者達ばかりだ
 つまらない……………
 挨拶だけして帰ろうと逡巡した時、見付けた
 面白い生き物がケーキやチョコを頬張っている
 あの場所だけ異質だった
 皆が婚約者を探したり媚びを売ることに勤しんでいる殺伐とした空間に、水色の小動物は居た
 小動物の周りだけ癒やされてほのぼのした空間を作り出していた
 幸せそうに口にマカロンやチョコを入れる姿は餌付けしたくなる
 近くの者は構いたくてうずうずしているのが見えた
 私も構いたい、手がワキワキする
 見ていたら私の視線に小動物は気付いたようだ
 視線が合ったのに関わらず目を反らされた
 大概の者は私と目が合えば頬を赤らめ、熱を帯た瞳で見つめて来る者ばかりだというのに
 顔を引き攣らせ怯えを感じた
 構い倒して可愛がり(いじめ)たくなる
 ますます持って私の存在を水色の小動物に刻みたくなった
 今にも水色の小動物に手を出そうとした者を牽制すれば、隣の王子も水色の小動物に気付いたようだ
 目元が緩んで小動物から視線がはずせなくなっている
 ややこしく(王子が婚約者を決める)なる前に下見と行こう
 
 
✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿
 
 
 水色の小動物はライルと・エンジストンと名乗った
 エンジストン伯爵家の次男なので王子に嫁ぐのに問題はない
 私を見て怖の感情を見せるとは実に感慨深い
 声をかければ私をさり気なく遠ざけようとする、とぼけるとは興味深い
 それが無理なら仮病を使うとは小賢しく苛めたくなる
 表情はコロコロ変わり忙しい、頬を摘まみたくなったが初対面なので今は止めておこう
 それに小動物らしく危機管理能力は高く、どうにかして私から逃れようと模索している
 残念ながら私は逃げれば追いたくなる質だ
 対峙する度胸もある
 面白い生き物だ
 王子にやるには惜しい
 この小動物と一緒にいれば楽しくなりそうだ
 ならば私の隣に彼を伴えば一番近くで見れる
 
 
 
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