魔王の下僕は今日も悩みが尽きない

SEKISUI

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 下僕にだって休日はある
 休みの日はゆっくり過ごしたいので部屋に居ることが多いオレですが、最近やたらと魔王様が来て面倒く……落ち着かないので、今日は久々に町に出ようと思います
 
 町で買い物して美味しい物食べてとウキウキと思いをはせながら準備していました
 魔王様のことなんて今日は綺麗サッパリ、欠片も思い出さずに羽根を伸ばすぞ、と意気込んだその日の朝が懐かしい
 オレはどうして魔王様と隣り合わせで馬車に乗っているのだろう
 正解はぁぁ拉致されたからです………スン
 玄関開けたら魔王様、みたいな感じで馬車にポイっと入れられた、今現在
 魔王様とオレはピッタリ体をくっついて、1ミリの隙間もなく座っております
 少し横に移動したら魔王様も付いてくる
 そして又少し隙間を開けたら、埋めてくる
 何で?
 壁と魔王様に挟まれて狭い
 少し離れて貰えると嬉しいのだが、小心者のオレは打首にされるのが怖いので黙ってます
 でもね……毎日顔合わせているんですよ、休みの日位離れてても良くないですか?
 上司の存在を気にしない日があってもいいと思うんですよ
 あっ?そうか!そうなのか!今日は仕事だったのかもしれない、休みの日だと思ってたけど日にちを間違えたかな?
 「あの……今日オレ休みですよね?」
 「そうだな」
 ですよね~
 「何故魔王様がこちらに?」
 「俺の馬車なのだから俺が乗ってて何が悪い」
 悪いのは乗せられたオレかな?
 「いえ……滅相もない。ただ降ろして頂けると有り難いのですが」
 「はぁ?降りるだと」
 不機嫌なオーラが魔王様から漏れ出す
 でもオレ悪くないよね?
 「ぁ……え……っと、ゆっくり歩いて買い物したいな~なんて、思いまして」
 「そうか」

 魔王様は素直にオレを馬車から降ろしてくれた
 「魔王様まで降りなくてもよいのでは」
 何故居る………
 「バカが、お前みたいな弱っちい奴が1人でいたら攫われ売られて終わりだ。仕方がないから一緒にいてやる。手を出せ」
 差出された手をじっと見つめたまま動かないオレに焦れたのか手を取られた
 指と指を絡ませられて離してくれそうもない
 いわゆる恋人繋ぎだ
 振っても離れません
 「迷子防止だ」
 オレこの町で育ったのでなりませんけど
 まだまだ若いので認知症にも早いです
 魔王様よりもより若いので若年性アルツハイマー病にも掛かってませんから

 魔王様はご機嫌です
 オレは帰りたいです


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