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ジュウナナ
しおりを挟む想いを熱く、暑く、熱く語るエルネスト
ヘルメスは聞けば聞くほど自分の醜聞に顔を青褪めさす
エルネストの話しだと結婚を約束して2人の思いは閨を共にしたと話したところで声が一端途切れた
「なのに君は朝いなくなっていた」
先程までの弾んだ声が低く暗い声に変わる
「何故だ。私のことが嫌いになったのか?」
乙女心を持ったエルネストはいなくなった
瞳に暗い影がさし冷たい声音がヘルメスに問いかける
豹変ぶりに呆けたヘルメスでも分かる。危険だと
どうにかせねばと頭をフル回転させる
このままでは自分の人生が危ない
「……は、恥ず、かし……かったのです。そ、そそそれに、身分差もあり……俺では、釣り合わないです」
考えた末に出た言葉は在り来たりのなものだった
だが身分は貴族社会生きる自分達には切っても切り離せないものだ
ヘルメスの言葉に気分を良くしたエルネストの瞳に甘い眼差しが戻る
「そうか。君は慎み深いな。安心しなさい私は公爵家の次男なので跡継ぎではない。私自身で伯爵位を持っているので苦労をさせはしないよ」
子爵家のヘルメスは伯爵家に嫁げば出世です
でも男の嫁にはなりたくない
「断る」と言えればいいのだが命大事、社会的にも抹殺されるのも困る
頑張れ俺と自分を鼓舞するヘルメス
「貴方のように優れた方に俺みたいな平凡で何処にでもいるような者は似合いません」
ちょっと自分で言ってて悲しくなる
「少しお馬鹿な位が私には丁度良い」
何かイラッとする
「顔もスタイルも平凡ですし………」
何故自分で自分を貶めなければならないのだ
地味に自分の言葉に傷付く
「私は君に一目惚れしたのだ。悲しいことを言わないでくれ」
銀の長い睫毛が震え悲しげにエメラルド瞳を伏せるエルネストを美しいとヘルメスは思ってしまう
男だが美形だ
抱かれたいとか全然思わないけど、美しい者は男女関係なく見惚れてしまうのだなと関心する
でも男の嫁になるのが嫌なのは変わりない
大体男の嫁だと最大の問題がある
「俺は男です。子を産めません。跡継ぎがいりますよね」
よし!これで断れる
「兄には3人の子供がいる。1人養子に貰えば問題ないので気に病む必要はない。私の事ばかり気遣う君は聖女のようだ。何て美しい心の持ち主なのだろう。ヘルメス愛しているよ」
今自分で自分の首をギュッとしたのを悟った
どんどん逃げ道を塞がれて行く
何故あの夜俺は了承したのだ…………嘆くヘルメス
ヘルメスは別に了承はしていない
あの夜は何度も言うがヘルメスはへべれけに酔っぱらっていた
眠気で頭がガクガクして頷いた感じになっただけだ
母から人が話している時は相手を真っ直ぐ見て聞きなさいと躾られていたヘルメスは酔っぱらってても律儀に守っていた
エルネストが独りよがりな言葉を発する度にヘルメスは眠気と戦い頭を上昇下降を繰り返していたのだ
上昇した時目が合えば聞いてなかったのを誤魔化す為に愛想笑い
真相はこんなものだ
でもヘルメスは知らない
エルネストも嘘は言っていない
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