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しおりを挟むお触り禁止宣言から六日目
「ぇ?……………どうして?」
ギリギリ触れないが怪しい動きしかしないセドにモヤモヤしていた俺は、今日は自分からセドにお触りしてやろうと腕を伸ばしたんだ………なのに触れる直前でセドに避けられた
セドの対応に驚いて俺は呆然として伸ばした手をそままに一瞬固まった
「ローレンは触ってはだめだよ」
言葉とは裏腹に声は優しい
避けたくせに一瞬で距離を詰めて目と鼻の先の近さに来た
俺は近さに一歩退けば、その分詰めて来る
いつも通りのウザさだ
「何で触っては駄目なんだ?それと離れろ、息当たってるから」
「今は無理、触れ合えない分空気中に混じったローレンのエキスを体内に収めている最中なので」
普通に気持ち悪いんですけど
ゴミを見る目でセドを見たら爽やかな笑顔が返って来た
陽光を浴び、髪を風に靡かせるセドはキラキラして美しい
チッこれだから美形は困る
無駄にキレイで見惚れる
言動は限り無く変態なのに
「でも俺が触れても良くね?」
「ダメだよ。フフッだってロ………」
「いや、いい、聞かない、触るし」
あることに気づき急いでセドの言葉を遮った
よーく見たらセドの瞳の奥が暗黒色に濁ってる
駄目なやつだ
「狡いよね。ローレンだけ私に触れられるって、私は六日もローレンに触れるのを我慢してるのに」
その割には色々と奇行があったぞ
「違うなセド。俺はお前にだけは触れていいんだ。俺のモノは俺のモノ。お前のモノも俺のモノ。だから俺がサワサワのムニムニのベッタベッタに触っていいのだ」
胸を張ってドヤ顔でセドに言ってやったが語彙力のない俺ですが気にしません
擬音で例えたがセドならばわかるはず
その時から立場は逆転した
何故かお触り禁止令を出した俺がセドを追いかけるという、おかしな方向に向かっている
勿論セドは禁止令は守っている
ちっっかい位置にいるがセドは触れていない
だがしかし、どんなに近かろうと触ろうすると擦り抜けられるのだ
息づかいが聞こえるこの近距離で
俺から距離を詰めれば逃げてあっという間に姿が見えなくなることは全くなく、チラチラ後ろを振り返り俺の様子を伺いながら逃げる姿は完全に嘗められている
非常にムカツク
一矢報いたい
必死過ぎて俺はこの時セドが凄くご機嫌だったが欠片も気付いていなかった
周りから見たら俺がセドを求めてる構図で生暖かく見守られているのは気付いていた
脳みそ的にも、身体能力的にも、セドに勝てるはずないのに、既に俺はムキになっていて止め時が分からなくなっていた
指一本でも触れたら俺の勝だとすら思っていて、正直自分はアホだ
勝敗の意味が分からない
必要性は皆無だ
だが男はやらねばならない時がある
明日への英気を養う為に六日目の夜はぐっすり寝た
7日目
身体を動かす度に身体が痛い
油が切れた機械みたいに動きが鈍い
困った筋肉痛だ
今日は寝て過ごそうかな………
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