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しおりを挟むお買い物です。
王都の王城のすみっこにある塔に来てから、何日目だったっけ?
あいかわらず日付を数えるのは苦手なんだけど。
うっかり寝過ごしてなければ三日目とか、四日目とか、そのくらい?
あれ?五日目だっけ??六日目???
、、、十日くらい、過ぎたっけ?
部屋に障壁を張ってゴロゴロして過ごしたりすると、うっかり数日過ぎることもあるよね。
超贅沢。
それで、そろそろお買い物に出かけようか、って黒いのに誘われて。
王都は広くて、お店まで距離があるし、たくさん人もいるから、馬車と、案内役を王城の人にお願いすることにして。
ちりん、のあのベルで黒いのが召使いさんを呼んで、
お買い物に行きたいです、って伝えたら、馬車と案内の人を手配してくれて。
塔の近くに馬車を用意してくれたんだけど、
馬車の近くに、あの、ホットチョコレートみたいな茶色の髪の第二王子殿下と、フルーツをお皿に入れてくれた紅茶みたいな茶色の髪の側近さんがいて。
ちょっとびっくりした。
彼らがお店に案内してくれるらしい。
お仕事大丈夫なのかな?って思ったんだけど、これもお仕事なんだって。
気にせず楽しんでくださいってにこりと笑いかけられて、よろしくお願いしますって挨拶をした。
ちなみに馬車は三台で、そんなに派手な感じじゃないやつ。
先頭と後ろの馬車に、護衛の人と、側仕えの人が乗って、俺と黒いのと案内の第二王子殿下と側近さんがまんなかの馬車に乗ります。
王族とか、貴族の人が乗る馬車だから、ど派手なキラキラかと思ったんだけど。
ちょっとほっとした。
ちなみにど派手なキラキラのやつは祝賀パレードとか、そんなののときに乗るらしい。
派手に飾り立てて、国内外に国力を見せるのと、経済を回す?
ど派手なキラキラにも意味があるらしい。
今日はどちらかというとお忍び?そんな感じだから、
なるべく目立たないやつ?
服とかも、みんな貴族が普段使いに着るような服らしい。
普段使いっていっても、しっかりとした生地に、細かい刺繍とかしてあるんだけど。
この前中庭でお茶をしたときより気持ちぶわぶわびらびらが抑え気味?
あと、身につけてる宝石も、こぶりで控えめ?
ちなみに今日の俺と黒いのは気持ちふわふわひらひらが抑え気味の貴族風の服を着てる。
俺たちが泊まってる塔の部屋に、ワードローブ?
そんなのがあって、中に何着か服があって。
くりかえすんだけど、全部王様からの贈り物です。
一番シンプルなのを着ました。
そうだ。
赤いのと灰色のも、お買い物に行かないか誘おうとしたんだけど、すでにすませて、また別の場所に行く予定があるらしくて。
俺と黒いのが部屋でゴロゴロしてるときとかに行ってきたらしい。
あれ??
やっぱりゴロゴロして数日過ぎてたみたい?
バルコニー近くのガラス扉のそばのカウチソファーがお昼寝スポットにもってこいで。
黒いのがそこに座って、おいで?って誘ってくるから。
あらがえない。
寝ちゃう。
背中さすられるとか。
日にち忘れて寝ちゃう。
たぶんそれだと思います。
赤いのと灰色のがお勧めのお買い物スポットとか、お茶ができる休憩スポットを教えてくれて。
今日はそこに行ってみようと思います。
青いのと白いのは、声をかけたんだけど、お取り込み中みたいで、ノックをしたら少しして青いのが出てきてくれたんだけど、白いのが疲れて寝てるから出かけられなくて、黒いのと楽しんでこいって言われた。
、、、白いの大丈夫かな?
「では、まいりましょう。黒竜様と白銀竜様にご満足いただけるよう心してご案内いたします」
にこ、っとホットチョコレート色の髪の第二王子殿下に笑いかけられて。
おでかけが始まった。
香水を取り扱ってるお店と、
服を取り扱ってるお店に行きます。
なんだか、そのふたつのお店を赤いのと灰色のから特にお勧めされました。
香水とか、たくさんの種類があるらしいから、気に入るのがあったら買おうかな?
好みとかあるよね。
ちなみに王族の人とか、貴族の一部の人は、オーダーメイドでアクセサリーや服や香水を作ってもらったりするらしい。
注文してから届くまで何か月もかかるとか。
俺たちも、お店で気に入るものがなければ注文して、後日届けてくれるって言われたけど。
そんなにこだわりはないし、
そのうち城塞都市に戻るなら制服とかあるから、
あんまり必要性は感じないんだけど。
黒いのはなにか注文するのかな?
「無限にしまっておけるから、たくさんあっても困らないよ?」
黒いのに言われて、でも、お金とかかかるよね?って思って。
両手をお皿みたいにして、
じゃらっと、金貨を出して、
「これでたりる?」
ホットチョコレートみたいな茶色の髪の第二王子殿下が、
拝見いたします、って手袋をした手で金貨を一枚手に取って、
ちょっとびっくりして言った。
「こちらは、古い時代につくられた金貨ですね」
あれ?どうしよう。
今の時代だと、使えないのかな?
ちょっと心配になって第二王子殿下を見れば、
やっぱり口の端で微笑んで、
「今の時代の金貨より、大きく、重く、価値が高いものです。このような金貨を集めたがる貴族もいますし、こちらは本日、店などで使われるより、相応の金額で売却するか、あるいは手元に留めておくと、より価値が高まるかと」
そう言って、俺の手のひらに金貨を戻してくれた。
どうしよう。
巣穴の洞窟から、古いお金を持ち出しちゃってるみたい?
うっわー。
お店でそれでお買い物するとか、ちょっと、店員さん困るやつ?
こちらが現在使われている金貨です、って。
紅茶みたいな茶色の髪の側近さんが見本を見せてくれて、
確かに、ちょっとこぶり?
そうか、と俺はひらめいた。
手のひらの金貨を亜空間にしまって、別のやつを出す。
「こっち?」
じゃらっと出てきたのは、俺が城塞都市の城主様からもらった金貨。
というか、城主様っていうより、この国から?
塔にいるだけで、お仕事になって、もらえるやつ?
お給料??
俸給???
黒いのとか、青いのとか、赤いのは、お城から頼まれたいろんなお仕事を臨時でやったりとかして、いろいろもらうみたいだけど、
俺はまだ雛だから、特に臨時のお仕事とかは、してないんだけど。
きほんきゅう?
そんなのは、もらってて。
あ。
丸い手のひらサイズの障壁に光を閉じ込めたやつを城塞都市の灯りにどうぞ、って渡したら、じゃららっとたくさんもらったから、臨時収入?
あまり金貨の大きさとか表面の形とか気にしてなかったけど、これなら今の時代のお金だよね?
「はい。そちらは問題なく使用していただけるかと」
第二王子殿下がにこ、っと笑って答えてくれた。
「竜の方々は、亜空間収納術が使えて、とても便利なのですね。どのくらい、収納できるのですか?」
話のついでに第二王子殿下に訊かれて、
ちょっと答えに困った。
よいしょ、っと金貨をしまって、
手を浄化して。
お金を触ったら手を洗いましょう、って。
どこで聞いたんだっけ。
一応金貨はぴかぴかなんだけど。
まあいいか。
ええと、それで、
どのくらい、とか?
なんて言えばいいんだろ。
いっぱい?
たくさん?
無限に?
俺は世界のすべてをしまえるんだけど。
それ、なんて言えばいいんだろ。
まあ、まだ雛だから、もう少しかかるんだけど。
俺が、卵を孕んで、産み落として、それくらいの頃かな?
最低でも百年くらいはかかりそう?
ていうか、卵を孕むとか。
ちょっと自分の思考に赤くなる。
「考えたこともない。俺は生まれて数百年、さほど気にせずしまっている。この先数百年も変わらず気にせず放り込むだろう」
俺がうまく答えられなくてうなってたら、黒いのが代わりに答えてくれた。
助かった。
竜って、結構感覚で物事を捉えてるから、人間みたいにきちんと単位とか、把握するのが苦手で。
黒いのの答えにさらに興味を引かれたのか、もう少しお訊きしてもよろしいでしょうか、って第二王子殿下が質問してくる。
「生き物などを、しまうことはできるのでしょうか?また、しまったものは、最後には、どうなりますか?」
生き物は、普通、しまえないけど。
俺はしまえるし、しまったあとは生き物じゃなくなるんだけど。
しまったものの、最後??
竜が魔素に還ったあとのこと?
特にどうにもならないんだけど。
しまわれっぱなし?
放り込んだその空間につなぐことができるのは、放り込んだ竜だけだし。
ああでも、ほとんどの竜が放り込める空間は、時間の流れが違う空間で、食べ物なんかをしまうと、結構長持ちするんだけど、完全に時が止まった空間には、たぶん俺しかつなげられなくて。
だから、俺以外の竜がしまったなら、めちゃめちゃゆっくり腐るというか、風化するというか、消えてなくなる??
でも俺が完全に時が止まった空間にしまっちゃえば、永遠にそのまま?
まあでも、そのままでも、誰もアクセスできないんだから、存在しないのと同じ?
あれ?誰もいない森で木が倒れて、でも音を誰も聞いてなかったら、そこに木があったのかなかったのか問題???
え?哲学???
第二王子殿下、哲学の話してる???
えええー、、、
あ。しまわれっぱなしの、他の竜のやつ、魔力の残滓を頼りにたどって空間にむりやりアクセスしたら、いけるかな?いけるかも?
なんだろう。
身内の遺品整理して隠し財産とか、デジタル遺品を調べる遺族の気持ちってこんな感じなのかな?
いや、それも俺くらいしかできなさそうではあるけれど。
、、、。
デジタル遺品?
「通常、生き物はしまえない。しまったものは、ゆっくりと朽ちていく。ただ、例外はある。しまえないものでも、世界がしまえというなら、竜がしまう」
うわ。黒いの、説明上手。
第二王子殿下も、わかったかな?
あれ??
第二王子殿下も、隣の側近さんも、顔色が悪いような?
体調不良?おでかけ中止して、王城に戻ったほうがいい??
「お答えいただき、ありがとうございました」
第二王子殿下がそう言って、ちょっと表情は硬いんだけど、かすかに笑ってくれて。
質問タイムは終わりになった。
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