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小話 一度終わった世界 氷竜と風竜 R20※モブ姦注意 風竜視点
しおりを挟む俺が初めて孕んだ卵は壊されて、魔素に還った。
俺たち竜の血肉を口にすれば不老不死になれると信じた、人間たちの手によって。
まだ俺は、生まれて百年ちょっとしか経っていなかったし、人間を信頼していたし。
まさか、彼らがそんなことを考えていたなんて、気づきもしないで。
間抜けにも俺は、人間の用意した宮殿の一室で眠っていて。
氷のも、離れた所に、人間たちと共に、請われて魔獣討伐に出ていて。
そばにいなくて。
卵だって、まだ産む時期じゃなかったから。
うとうとと、眠たくなって。
卵を孕んでるからだと思っていたけれど。
それは、人間が飲んだなら致死量の眠り薬を、なんの疑いもなく飲んでいたからで。
違和感に目を覚まして。
手足を太い鎖と金属製の器具で拘束されて、大きく開かされて固定された両足の間、器具で拡げられたうしろの穴に、医術師が腕を入れて、俺から卵を取り出して。
あまりのことに呆然として。
なにもできなくて。
まだ、取り出しては駄目だったのに。
丸く、朧げに形づくられてはいたけれど、まだ、殻さえなくて。
豪奢な着物を着たその国の皇帝が、卵を手に取って。
なんのためらいもなくそれを呑み込んで。
そばに控えていた医術師が、穴に、なにか、おそらく強力な媚薬をこれでもかと、入れて。
俺の、開いた穴に、皇帝が手に持った張り型をつっこんできて。
張り型は、象牙でできていて。
側面に、竜の模様が彫られていて。
ゴツゴツしていて。
それで容赦なく腹側を突かれて、たまらず魔素を、吐き出して。
一度張り型を抜いた皇帝が、俺の魔素を舐めとって、
医術師が、再び穴に媚薬を入れて。
皇帝が再び穴に張り型をつっこんで。
俺たち竜は、食べたり飲んだり、摂取したものを、分解しきってしまうから、そんなに効果はないけれど。
人間でいうところの致死量レベルの媚薬を、短時間に何度も入れられて、体が反応して。
俺は鎖で四肢を固定されながら、張り型を皇帝につっこまれて。
開いた腹の奥をぶち抜かれて、壁を痙攣させながら魔素を吐き散らかして。
笑った皇帝が、俺に口づけようとして、目を閉じて顔をそむけた俺の顔をつかんで、
しかたなく目元に触れるだけの口づけを落として。
わたしのものだ、風竜、と。
そう言って。
口づけを拒んだことを咎めるように、腹の奥にはめ込んだ張り型を激しく動かして。
また俺の中から張り型を抜いて、俺が噴き上げた魔素を舐めて。
やっぱり医術師が媚薬を入れて、また皇帝が俺の中に張り型をつっこんで。
俺は、なんとか、早く卵を吐き出せ、と。
皇帝の格好をしている男に、伝えたかったのだけど。
無理で。
その男のことは、その男の父親の、そのまた父親の代から知っていて。
人間たちも、まだそれほど数が増えていない頃で。
けれど、あちこちで小競り合いがおきていたから、
なるべく世界が安定するように、気に入ったその国に、長く滞在をしていて。
その男が、たくさんいた兄弟の中から、皇帝になったのを、俺はとても微笑ましく思っていて。
これから、より発展していくだろうその国を、そばで見守れるのを、楽しみにしていたのに。
これで、わたしも竜だ、
不老不死になった、と。
腹の奥を突かれながら、そんな言葉を拾って。
やめろ、ちがう、と。
伝える代わりに奥の壁を痙攣させて、張り型を締め上げて、壊れたように魔素を吐き散らかして。
喜んだ男が、張り型で腹の奥を押し上げながら、俺のを口に含んで、まだ吐き出されてる魔素を啜って。
延々と、それをくりかえされて。
どのくらいの時間か経っただろうか。
とうとう、その男の体に異変が現れて。
呑み込んだ卵ごと、内部から肉体が崩壊しだして。
慌てた医術師が部屋から逃げ出そうとして、
その体勢のまま凍りついて。
部屋のすべてが凍って。
熱い体から吐き出した息も白く凍るような中。
皇帝の格好をしたその男が、風竜、と。
俺から啜った魔素を口の端からこぼしながら、最後に呟いて。
俺に口づけようとして。
唇が触れる寸前、そのまま肉体ごと崩壊して、消えて。
パキキ、パキキ、、っと。
聞こえてきたその音に、言えた言葉が、
たまご、ごめん。
それだけだった。
氷のは、俺を連れて北に飛んで。
その大陸に、魔素を巡らせて、氷と火山の大陸にした。
人間を遠ざけて。
それでも怒りがおさまらなかったのか、制御のできない魔素が世界を部分的に氷でおおってしまって。
だいぶ、被害が出て。
そこに、始まりと終わりの竜が、やって来て。
雌の竜たちで。
俺と氷のが、処分されるのかな、と。
覚悟をしていたのだけど。
処分されたのは、人間たちのほうで。
大陸まるっと、ひとつぶん。
終わりにして、新しく始めたから、あとをお願い、と。
その力を使いはたした始まりと終わりの竜たちが、魔素に還って。
それから、数百年。
また、くりかえされようとしているそれに、
ため息が出る。
長く生きて、魔力の扱いも、それなりになって。
その力で、風に、音を拾わせて。
あちこちの音を聴いて。
注意すべき国を、いくつか調べてきた。
上を見上げれば、満天の星と、美しいオーロラ。
露天温泉の湯が、熱くて気持ちいい。
ほうっと、息を吐いたところで、すとととと、と。
聞こえてくる軽い足音に、ちょっと遠い目になってしまう。
気のせいだ。
目とか、鼻とか、口とか、腹に釦のつもりか、金貨をくっつけた二頭身の雪だるまが走ってるとか。
、、、ゴージャスだな。
金貨の価値とか、ちゃんとわかってるんだろうか。
わかってなさそうだったよな。
その後ろを、オリーブの塩漬けやらさくらんぼのシロップ漬けやら、やたらうまそうなのをくっつけたフルーツ雪だるま?これも二頭身のが追いかけて走ってるとか。
たまにこけて露天温泉にドボンとつっこんで、
慌てて引き上げてやって、
でもとけてないとか。
いや、若干顔のパーツの配置がおかしくなってて、そっと直してやって。
何事もなかったかのようにまた走っていくとか。
なんなんだ。
夜の運動会をする小動物か。
他にもいろいろなバージョンのが、いて。
ちょっともろもろつっこみたくなる事象が発生しているのだけど。
気にしたら負けな気がするから、気にしない。
そもそも、幽霊船の骸骨アイスドールの、淡く光ってるアレの、髪についてるやつ。
よく、黒いのが許したなと、思うけど。
氷の城中の灯りや、テーマパークのイルミネーションを一手に担っていて。
とてもイキイキとしているのだけど。
アレ、氷のが魔素に還っても、動くぞ、と。
ちょっと目が遠くを見てしまう。
そもそも、骨が内側から光ってるし、髪の毛とか、光ってて、サラサラ?
手から光のかたまり出すし。
飛ばすし。
どうなってるんだろう。
まあ、いいか。
こてん、と。
後ろで椅子になってる氷のに、頭をもたれかけさせて。
「あちこち、腐りはじめてて。放っておけば、今度は世界のすべてが終わるのかも?」
人間の繁栄と宗教は、切り離せないもので。
そしてそれは、いつの間にか腐敗する。
水面下で増えるし、
この世界の上位種の竜でさえ囚われるほどの、呪いを生み出すし。
なんというか、彼らは、搦手がうまい。
まあ、ひっかかる俺とか、黒いのとかも、馬鹿なんだろうけど。
始まりと終わりの竜は、滅多に孵化しない。
それが、孵化したということは。
呪いが生み出された世界の浄化のために、あのクリスタルドラゴンが投入されたのだと、思う。
クリスタルドラゴンから生み出された結晶はすべて浄化の波動が出るようだし。
あちこちにばらまくほうがいいのだけれど、
黒竜が嫉妬の嵐で不可能だろう。
ちょっとちょっかいをかけてみて、反応を窺ったのだけど。
無理。
あのクリスタルドラゴンから出た結晶とか、世界にばらまきでもしたら。
アレは世界を破壊してでも回収して回る。
もう、いるだけで世界の浄化になるからいいのかな?
クリスタルドラゴンがキュンキュンしてれば徐々に世界が浄化されてよくなるみたいだし。
ただし始まりと終わりの竜だから、取り扱いには注意がいる。
人間の世界では、闇を恐れるようだけど。
世界が闇につつまれて終わるんじゃない。
ホントに終わるときは光って終わる。
光で終わらせて闇が残る。
まあ、終わらせる必要のあるときに終わらせるんだろう。
すべては世界の意思による。
白銀のになにかあれば、あの黒いのが暴走してなにがしかの被害が出るんだろうけれど。
あの黒いのになにかあった場合、その比じゃない。
世界が終わる。
青いのに、黒いのを守れと伝えたら、
ちょっと遠い目になってた。
まあ、困ったら、赤いのにあらかた焼いてもらえばいいんじゃないか?
赤いのなら、力技でなんとかしそうだし。
それまでの繊細な匙加減のいるあれやこれやは、青いのじゃないと難しそうだけど。
何事もなく平穏無事に黒いのが魔素に還れば、白銀のも魔素に還るだろうから、
そうなればまた、必要なときに次の光と闇のが孵化する。
延々と続く。
いつか世界が終わるまで。
まあその頃には、自分たちはとっくに魔素に還っているだろうけど。
「いや、だから、なんで勃たせるんだよ」
「触っただろう。喉元の鱗に」
「触ってないし!」
「赤いのが言ってただろう。産卵後は魔素をだいぶ放出して不足気味だから、たくさん補うのがいいって。発情しやすいし、感度も上がるはずだと。だからやたらと俺の喉元の鱗に触るんだな」
「ち、、違うし!発情してないし!感度上がってないし!ひゃあんっ!!!!!」
後ろから喉元の鱗に触れられて、声が出る。
くるりと体の向きを変えられて、
そこをパクリと口に入れられて、喉をのけ反らせて、
さらに舐められやすくしてしまう。
駄目だ。
スイッチ、入ったァ、、、
なんなんだ。
その、産後はホルモンバランスが崩れます、みたいな。
人間とか、獣人なら、ガルガル期なんじゃ?
竜だと、逆とか。
発情期?
どうなってるんだ。
まあ、竜の卵が孵化するのは数百年後とかだから、基本子育てしないし、
とにかくたくさんの魔素を入れないと、卵、できないし。
もらった魔素と、自分のと。
とにかく詰めて、つくったし。
だからなのかな?産卵したあと、さかるって。
はあ。
ここ、外だし。
俺たちの他に、人は、、
雪だるま走ってるけど。
もう気にしなくてもいいか?
転ぶなよ?
気をつけて走れよ?
俺は氷のと向かい合って。
腹の下の割れ目から飛び出たものを、氷のの腹筋にこすりつけながら、
自分で尻を広げて、氷ののをあてがって。
口づけをしながら、ゆっくりと、腰を下ろして。
氷のの首に両腕を回して抱きついて。
足を、かかえてもらって。
湯の中で、つながり合って。
湯が、跳ねて。
幸せの中。
何度か魔素を、まき散らかして。
それ以上に、下から呑み込んで。
俺はのぼせてひっくり返った。
始めた場所が、悪かった。
でも、気持ちよかった。
部分的に竜化させるのは、ホントにブッ飛ぶからやめてほしいんだけど。
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