『第四世界』

ナカムラ

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小話 青竜と白竜 R18 白竜視点

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それは、突然だった。
俺は、白銀のと、灰色のと一緒に、城塞都市の中の兵士たちが訓練をしてる所を、バレないようにこっそり覗き見をしていて。


いや、なんでバレないようにかっていうと、俺たち竜が近くにいると人間はともかく、獣人が怯えるというか、緊張させてしまうというか、とにかくよくなくて。
でも、白銀のが、猫獣人がいるから見たい、って言って。
灰色のもなぜか異様に猫獣人に反応して。
とりあえず、練兵場に行くのは無理だから、上からこっそり見ればいいんじゃない?って。




練兵場の見える建物の屋上に、雛三匹。
ちんまりと、身を隠して。
ちょっと、なにやってるんだろう、って、思わなくもないんだけど。



「かわいい!かわいい!すっごくかわいい!」

「うんうん!!!!!」

「ぴこぴこ!」

「うんうん!!!!!」

「ツヤツヤ!」

「うんうん!!!!!」

「しなやか!」

「うんうん!!!!!」

「フサフサ!」

「うんうん!!!!!」





いや、灰色の、さっきから、うん、しか言ってない。
ふたりとも、双子だから?好みが、似るのかな??


確かに、猫獣人の耳はせわしなくぴこぴこしているし、毛並みはツヤツヤだし、音を立てずにしなやかに訓練していて、体内の魔力を肉体強化に使って、人間よりも素早い身のこなしをしていて。
すごいとは、思うけれど。
かわいい、は、よくわからない。
フサフサ?
また、毛の話に戻ったんだろうか。
そんなに惹かれるのかな、毛。
やっぱりよく、わからない。




そういえば、白銀のは黒い制服を着てるから、灰色のとおそろいで、ちょっとだけ、寂しい?
白い制服も、かっこいいと、思うんだけど。
また着てくれないかな、白のほう。
まあ、俺と青いのしか着てないっていうのも、いいけど。



練兵場を見下ろして、ぽけっと、そんなことを考えていたら。



上空に、青い竜が現れて。













ちょっとこい










俺は、パクッと咥えられて。
あっという間にどこかに連れていかれた。






ちなみに、練兵場で訓練してた猫獣人は突然の青い竜にびっくりして泡を吹いてひっくり返ってしまったらしい。
やっぱり獣人に竜は、怖いみたい?
しかも竜体。
ええと、ごめんね?
















城塞都市の南側に、海があって。
そこに、小さな島がいくつかあって。
青いのは、俺を咥えたまま、その島のひとつまで一気に飛んで。




ちょっともぐるぞ




え、っと思った瞬間に、ドボンと。
海につっこんで。
ザバっと体を持ち上げられて、たどり着いたのが洞窟の中だった。





もう、全身びしょびしょで。
白い制服のあちこちから海水がしたたってて。
洞窟の中の、ちまっとした岩場に、乗せられたんだけど。
狭くて、青いのも人化しないと乗れなくて。
青いのが人化して岩場に乗ってきたんだけど。
なぜか制服を着てなくて。
まあ、濡れるから、着ないほうが正解なのかな?
いや、海に潜るって、言われたけど。
もうちょっと時間をくれたら、制服を亜空間にしまうとか、できたんだけど。





って、
思ったのは一瞬で。
すぐにその洞窟が、ある一色になってるのに気づいて。
そっちに目が、奪われる。



青い。
めちゃくちゃ、青い。
洞窟の中が全体的に、青い。
外の太陽の光が海中を明るい青色にしてて、洞窟の中の、海が青く光ってる。
洞窟の天井は真っ暗なんだけど、下の海が青く光ってるから、辺りはじゅうぶん、明るくて。
服を着てない青いのの、首とか、部分的に残ってる鱗も青いから、俺の見るもの全部が、とにかく青い。




「好きなものを訊いたら、青だと答えただろう」




青いのが、岩場でちょっと俺にのしかかるみたいになって、そう言った。



そういえば、ちょっと前に、そんな会話をした気がする。
訊かれて、確かに俺は、青だと答えた。
正確には、青いの、って答えたんだけど。



「違ったか?」



青いのが、俺の上に、のしかかって。
そう訊いてくるから。
俺は、のろのろと、のしかかるみたいになってる青いのの近くに、身を寄せて。
青いのの喉元のにある、むき出しの青い鱗を。






そっと、舐めてみた。










俺が俺の意思でできたのは、そこまで。




























青い洞窟の中に、俺の叫び散らかした声が、響き渡ってる。
なんとかしたいんだけど、俺にはもう、どうにもできない。
俺のことをコントロールできるのは、青いのだけになったから。



人化した俺のうしろの穴に出入りする青いのの突起が、エグい。
その、入れるときは、スムーズに入るんだけど、出すときが、無数にカエシがついてて。
俺の中を、無数のカエシがこすって出ていく。
もう、わけがわからないくらい、気持ちがよくて。
俺はさっきから、痙攣しっぱなし。


もう何度も、中に魔素をそそぎ込まれてて。
中が、熱い。
口からも、時々魔素をそそがれて。
声を出せないぶん、気持ちいいのが逃せなくなって、余計に気持ちよくなって、苦しくなる。
青いのが、なにか言うんだけど、
俺はちゃんと、拾えなくて。



「なに、なに、なにっ!?」
「生まれてくるのが遅い」
「え、は?なん、やああああ!!!!!」



なんの話、って。
もう、それどころじゃない。



ちなみに制服は濡れたまま亜空間にしまった。
塔の洗濯担当の人に、なんとかしてもらおう。
まだ海水だけで。
他のもので汚してはないし。




ぐちゅん、と。
ひときわ深く、貫かれて。


バチっ、と。
洞窟の中に、雷撃が走って。




一瞬で俺は気絶した。






俺は雷竜だから、興奮すると放電してしまう。
竜以外だと、刺激が強すぎて感電しちゃうけど、
青いのは水竜だから、大丈夫みたい?












ええと、水は雷を通したり、通さなかったりするんだっけ??
海面に雷が落ちても、海の魚は感電しないってやつ。
表面だけを電気が流れて、海の中は大丈夫だけど、濡れた砂浜は電気を通す?
なんでだっけ。
駄目だ。
赤いのが理屈を説明してくれたんだけど。
ちゃんと理解できてない。


他にも、黒いのは土竜だから、雷を通してくれるときと、通してくれないときがあるとか。
赤いのは火竜だから、雷は、、火が大きくなるだけ?むしろドカンといきそうな感じがする。
灰色のは闇竜だから、雷と仲良くできるかな?
白銀のは光竜なの?晶竜なの?ちょっとよくわからないけど、たぶん、雷でよりキラキラするのかな?



あと、パワーバランスと相性が大事なんだとか。
水と火で、喧嘩すると、よりパワーの強いほうが、勝つらしい。
たくさんの水で火が消えて、
たくさんの火で水が蒸発する。
でも、協力すれば、水と火でお湯ができる。


雷と土は、その辺の石は雷を通してくれないけど、金属は通してくれたりするから、喧嘩するとよくないけど、仲良くするといろいろできる感じ?


水と雷と氷だと、
ええと、雷雨って、あれ、
水がたくさん集まって、雲になって、上にいくやつと、冷えて氷になって下に落ちるやつで、氷の粒がぶつかり合って、ゴロゴロして、ピカピカっと光って、
たまに、ズドン、と雷が落ちるらしい。
仲良しだよねって解釈で合ってるよね?



ちなみに水と氷だけだと、
たくさんの水で氷が溶けるし、
たくさんの氷で水がそのうち氷になっちゃうから、
喧嘩するとちょっと怖い感じ?



あと、光と闇は、大きすぎて、干渉できないって。
光の中で火をつけても、そもそも光ってるから意味がないし、
闇の中で火をつけても、闇はどこまでも深いから、ほとんど照らさないんだって。
光があるから闇があって、
闇があるから光があるらしい。
干渉し合うのはお互いだけなんだって。
おもしろいね。



いろいろ赤いのに教えてもらってるんだけど。
ややこしくて。
なかなか覚えきれないし、よくわからない。
たまに頭がごっちゃになる。
よく、白銀のもぐるぐるになるって言ってて。
わかる。
あったかいと上に上がって冷たいと下にいくとか、なんで??ってなるんだけど、
でも、白銀のはなんとなくのイメージで、


「あったかいとふわふわで、つめたいとガチガチで、あついとしゅん!」


そんなふうに捉えられるらしくて。
しかも合ってるっぽいからすごい。
灰色のは、俺たちと同じ雛なのに、飲み込みが早くてスラスラ理解してる。
それもすごい。



もうちょっと、俺たちが成長したなら。
そのへんのことは感覚として理解できる日が来るみたい。
でも一応、頭で覚えておくと、その感覚をつかむのが早くなるらしくて。
お勉強は、大事らしい。





俺と青いのは、体の相性はとてもいいと思う。
ちょっと嬉しい。
それだけわかればいいか。
こういうこと言うと、灰色のには、怒られるんだけど。


世界って不思議であふれてるよね。


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