私はモブ嬢

愛莉

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思い出しました

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ふと目を覚ますとそこは私の部屋だった。
真っ白でフカフカのお布団は私のお気に入りだ。
焦げ茶色で木彫りの高い天井。
左側には大きな窓にアイボリーのカーテン。
淡いピンクのラグマット。
右側には天井と同じような焦げ茶色の横長テーブルに赤いソファが2つ、テーブルを挟んで対面式に置いてある。

ベットから体を起こした私は、白く大きめのドレッサーに近づいた。

………誰?


あ、いや、私はレイン・ラグナードっていうのは分かってるんだけどね。
ゲームの世界にそんな子いなかった。

何故ゲームの世界か分かったというと、溺れた時に過ぎった走馬灯だ。
走馬灯には家族との思い出や最近デビューし、何回か出席したお茶会だった。
そのお茶会で出会っていたのがゲームの攻略対象の第一王子エリック・エインズワース様と、婚約者であり悪役令嬢のレベッカ・ワグナー様だった。
2人はとても美しく尊すぎてじっと眺めていたい程麗しかった。
もっとお二人に近づきたかったな。と思った時、あれ?私、この2人知ってるんじゃね?って感じて、記憶を探ったら前世でやり込んだゲームだったことに気がついた。

なんてこったい。

だかしかし!!問題はここからだ。

まず、当の本人というか私は誰なんだね。
ゲームにレイン・ラグナードなんて令嬢は出てこなかった。
少々A「キャー!エインズワース様よ!!!!!」
でもなければ、
街の人「 キャッ!ごめんなさい!」
でもない。
つまり、セリフすらないキャラなしモブ子だ。

まぁ、でも考えてみればゲームの世界を生で見れるのは得かもしれない。
私がヒロインや攻略、悪役令嬢達に近づけることはないと思うが、遠目でもいい!!!!!3階席でも良いから眺めたいのだ!!

レイン・ラグナード 6歳
新たに夢が出来ました。

さてと、改めて鏡を見返して見る。

キャラメルブラウンの髪はフワフワで肩に着くか着かないかくらい。前髪はオン眉だ。
睫毛バッサリでくっきり二重。まん丸の茶色のお目目に小ぶりな鼻。ぷっくり唇は子供らしい。
ヒーローやヒロイン達にはかなり負けるけど、前世だったら上の下くらいだな。
うん。むしろ、贅沢だな。

1人で納得しながら鏡に相槌を打っていると控えめなノックが聞こえた。
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