8 / 10
8話 唯
しおりを挟む
唯は、中学2年生だった。
中学2年生の中では、一番古くからここの施設にいる。
唯の、お母さんは…唯が小学生低学年の頃…
まだ赤ちゃんだった唯の弟を連れて…無理心中をして亡くなった…
その後…
父が家で自〇しているのを、兄と一緒に見つけた…
その衝撃は、計れ知れない…
それで、兄と一緒に施設に来た。
施設に来た頃は、喋らない子だったそうだ。
兄は、私が入る前に退園して就職していた。
唯は、そんな過去があるとは思えないくらい…
しっかりしている子だった。
でも、時々ヌケていて…
それが、また面白くて…可愛い子。
学校での態度もいい優等生で…
困らせることがない子だった。
唯は、長期休暇になると…
祖父母の所に帰省した。
いつも、しっかりしている唯だったけど…
祖父母に会えた時の顔は、童心にかえったように
可愛い笑顔になる。
唯は、中3になって生徒会長に立候補した。
その時は、私の所に…
立候補する理由の文章を一緒に考えてと
来てくれたから、一緒に考えた。
文章を考えるのは苦手だと叫びながらも頑張って考えた。
でも、結果は男子に負けてしまったけど…
唯は、いつも頑張っていた。
施設では、参観日に職員が行く。
職員が教室に入った途端に…
その子によって態度が違うのだけど…
唯は、ニヤニヤして
すごく嬉しそうな顔をしてくれる。
それが、すごく可愛かった…
唯は、受験でどの高校を志望校にしようか…
すごく迷った。
施設では、就職に向けて役に立つ学科がある高校を勧める。
最初、唯は看護学科がある高校にしようかと言っていたけど…
唯が最後に決めたのは…
公立校の普通科だった。
今は、将来のことが考えられない…
高校で考えて…出来れば大学に行きたいと…
施設から公立高校の普通科に行くのは珍しい…
それでも、唯は優等生だったから認められた。
唯は、公立高校に、みごと合格した。
その学校は、合格するとすぐ課題が出された。
施設の図書室には、専門書はあまりない…
施設の本は、すべて寄付された物ばかりだ…
どうしても児童書が多い。
自由に、国がやっている図書館にも行けない。
私は、大学の時にレポートを書くために
図書館に通っていたから…利用できる。
課題に合わせて、本を検索して…
唯に確認を取って、本を借りにいった。
唯は、期待通り…
課題の小論文を書き上げた…
唯は、高校に通うために、より近い高校生のホームに移った。
土日になると…
たまに運動指導で、施設に来る。
「高校どう?楽しい?」
「勉強は大変だけど、楽しいよ。テニス部に入った」
そう、教えてくれた。
唯は、他の子が好きな人の話をしていても
全然、話に乗っていかない子だった。
誰かに聞かれても…
「好きな人はいない」
唯は、そういう子だったけど…
友達と喧嘩をしたことも無いし…
嫌なことを言われたら、しっかり言い返す子だった。
唯が、中学で作成した木の時計を捨てておいてって言って来たけど、すごく良い時計だったし動いていたから…
私が、ちょうだいって言って貰って帰った。
その時計は、うちでまだ動いている。
私は、その時計を見る度に、唯を思い出す…
唯は今年度、高校卒業のはずだ。
でも、辞めてしまった私の所に話は流れて来ない。
唯の兄は、就職した所を辞めて…
祖父母の所に戻っていたけど
新しい就職先を見つけて頑張っていた。
妹が大学に行きたいなら、自分は応援したいと言っていたそうだ。
どうか、あんな苦しい想いをした兄妹に
幸せが訪れますように…
中学2年生の中では、一番古くからここの施設にいる。
唯の、お母さんは…唯が小学生低学年の頃…
まだ赤ちゃんだった唯の弟を連れて…無理心中をして亡くなった…
その後…
父が家で自〇しているのを、兄と一緒に見つけた…
その衝撃は、計れ知れない…
それで、兄と一緒に施設に来た。
施設に来た頃は、喋らない子だったそうだ。
兄は、私が入る前に退園して就職していた。
唯は、そんな過去があるとは思えないくらい…
しっかりしている子だった。
でも、時々ヌケていて…
それが、また面白くて…可愛い子。
学校での態度もいい優等生で…
困らせることがない子だった。
唯は、長期休暇になると…
祖父母の所に帰省した。
いつも、しっかりしている唯だったけど…
祖父母に会えた時の顔は、童心にかえったように
可愛い笑顔になる。
唯は、中3になって生徒会長に立候補した。
その時は、私の所に…
立候補する理由の文章を一緒に考えてと
来てくれたから、一緒に考えた。
文章を考えるのは苦手だと叫びながらも頑張って考えた。
でも、結果は男子に負けてしまったけど…
唯は、いつも頑張っていた。
施設では、参観日に職員が行く。
職員が教室に入った途端に…
その子によって態度が違うのだけど…
唯は、ニヤニヤして
すごく嬉しそうな顔をしてくれる。
それが、すごく可愛かった…
唯は、受験でどの高校を志望校にしようか…
すごく迷った。
施設では、就職に向けて役に立つ学科がある高校を勧める。
最初、唯は看護学科がある高校にしようかと言っていたけど…
唯が最後に決めたのは…
公立校の普通科だった。
今は、将来のことが考えられない…
高校で考えて…出来れば大学に行きたいと…
施設から公立高校の普通科に行くのは珍しい…
それでも、唯は優等生だったから認められた。
唯は、公立高校に、みごと合格した。
その学校は、合格するとすぐ課題が出された。
施設の図書室には、専門書はあまりない…
施設の本は、すべて寄付された物ばかりだ…
どうしても児童書が多い。
自由に、国がやっている図書館にも行けない。
私は、大学の時にレポートを書くために
図書館に通っていたから…利用できる。
課題に合わせて、本を検索して…
唯に確認を取って、本を借りにいった。
唯は、期待通り…
課題の小論文を書き上げた…
唯は、高校に通うために、より近い高校生のホームに移った。
土日になると…
たまに運動指導で、施設に来る。
「高校どう?楽しい?」
「勉強は大変だけど、楽しいよ。テニス部に入った」
そう、教えてくれた。
唯は、他の子が好きな人の話をしていても
全然、話に乗っていかない子だった。
誰かに聞かれても…
「好きな人はいない」
唯は、そういう子だったけど…
友達と喧嘩をしたことも無いし…
嫌なことを言われたら、しっかり言い返す子だった。
唯が、中学で作成した木の時計を捨てておいてって言って来たけど、すごく良い時計だったし動いていたから…
私が、ちょうだいって言って貰って帰った。
その時計は、うちでまだ動いている。
私は、その時計を見る度に、唯を思い出す…
唯は今年度、高校卒業のはずだ。
でも、辞めてしまった私の所に話は流れて来ない。
唯の兄は、就職した所を辞めて…
祖父母の所に戻っていたけど
新しい就職先を見つけて頑張っていた。
妹が大学に行きたいなら、自分は応援したいと言っていたそうだ。
どうか、あんな苦しい想いをした兄妹に
幸せが訪れますように…
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
私は心を捨てました 〜「お前なんかどうでもいい」と言ったあなた、どうして今更なのですか?〜
月橋りら
恋愛
私に婚約の打診をしてきたのは、ルイス・フォン・ラグリー侯爵子息。
だが、彼には幼い頃から大切に想う少女がいたーー。
「お前なんかどうでもいい」 そうあなたが言ったから。
私は心を捨てたのに。
あなたはいきなり許しを乞うてきた。
そして優しくしてくるようになった。
ーー私が想いを捨てた後で。
どうして今更なのですかーー。
*この小説はカクヨム様、エブリスタ様でも連載しております。
一年で死ぬなら
朝山みどり
恋愛
一族のお食事会の主な話題はクレアをばかにする事と同じ年のいとこを褒めることだった。
理不尽と思いながらもクレアはじっと下を向いていた。
そんなある日、体の不調が続いたクレアは医者に行った。
そこでクレアは心臓が弱っていて、余命一年とわかった。
一年、我慢しても一年。好きにしても一年。吹っ切れたクレアは・・・・・
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる