君を助けるための石

秋風 爽籟

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12話 府中市の神社

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鈴が倒れて3日目 16時半



愛からは、特に鈴が悩んでることは聞き出せなかった…

でも…たとえ鈴が悩んでいたとしても、俺が原因なら言えないよな…



―――鈴…どうして目を覚まさないんだ

―――やっぱり伊邪那岐神の言う通り、石が原因なのか…



倦怠感が半端ないな…

でも、せめてもう一か所は神社に行きたい…



次の神社を探そう。

次は…一昨年の4月か…

ゴールデンウイークに行った場所だ。

広島県府中市の新しく出来た道の駅に行ったり…

国の登録文化財に指定された明治5年創業の元料亭旅館を見に行ったりして…

近くに大きな石燈籠を見つけた鈴が行こうって言ったんだ…



尊は、写真の上に石を置いた。

そして、目を開けると…

そこは、石燈籠の前だった。



石燈籠は、江戸時代後期に建てられたもので高さ約9メートル笠石は約4メートルで日本一の石燈篭と言われている。

ここは金毘羅宮で主神は、大物主神おおものぬしのかみだそうだ。

本殿は小さい…

他にも、稲荷神社があった。

とりあえず…参拝して…

道路反対側の府中焼きの店の前には人がいるが…

こっそりと見えないように石を置いてみた。



しかし…石は光らない…



一応、稲荷神社の方にも置いてみよう。



でも、石には何の変化もなかった…



ここも、ダメか…



鈴と、府中焼きを食べたくて道路反対側の店に行ったな…

美味しかった…

鈴とは、何をするのも楽しい。

何処かに行くのも…ご飯を食べに行くのも…

たまに服を買いに行くのに付き合わされると、優柔不断の鈴にイライラしてしまうこともあるけど…それだって楽しいんだ…

これからも、ずっとそんな楽しい日々が当たり前に続くと思っていた。



なのに、なんでなんだ…



―――とりあえず、戻ろう。



尊は、鈴の病室に戻った。

鈴に変化はない。



鈴の顔を見ていると…

ノックの音がして、医師が入ってきた。



「ご主人、色々と検査をしたのですが…原因が分からないんです。特に悪い所はみつからない。ただ、脳波を調べたら眠っている状態としか…今は言えません」



「なんで目を覚まさないんでしょうか…本人の意思ということも考えられますか?」



「それは、何とも言えませんが…過去にはそういう症例もあります」



「そうですか…分かりました。よろしくお願いします」



やはり、何かあるのか…

それとも石のせいなのか…



尊は、すごい倦怠感で…



眠りそうになるのを我慢した。



もう17時か…

今日は6か所の神社に行けた。

今日は、とりあえず帰ろう。



鈴、ごめんな…

もっと沢山の神社に行って石を返したいけど…

身体の限界があるようだ…

早く、鈴を戻してやりたいのに…



本当にごめん…

今日は帰って休むよ。



鈴、おやすみ…
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