上 下
61 / 69
後編 あの人と会ってから

【61話】助けられなかった…

しおりを挟む
私は、A子の部屋でA子を見つけた…

それは…明らかに自●だった…

まだ温かかったA子を抱いて動かそうとした…

でも私だけの力では、どうしようもない…

私は、ホームの上司にすぐ電話をした。



「A子ちゃんが自分で………」

「え!?すぐ行きます」

それから上司が2人来てくれた…

「救急車呼んだんで…どこですか?」

「部屋です」

2人でA子を床に寝かせて…人工呼吸を始めた…

私は、呆然として…何も出来なかった…

どうか…夢であって欲しい…と願った。

2人が交代で人工呼吸をするけど…

回復しない…

上司の1人が…遺書らしき物を見つけた。



救急車が来るまで、ずっと人工呼吸をした。

救急車が来て…

「最初に発見したのはどちらですか?」

と聞かれたから…

「私です」と答えた。

「第一発見者なんで、一緒に来て下さい」

そう言われ…副園長と一緒に救急車に乗った。



病院に着くまでの間、A子には救急隊の人が人工呼吸をしていた。



病院に着いて、事情を話す。

それから、しばらくして…

医師から呼ばれ…

「手を尽くしましたが…ご臨終です」

と言われた…

私はひたすら「ごめんね…」を繰り返し言うしかなかった。



児相には連絡をしていたので、児相の担当の人が来られた。

お母さんに連絡をしてるけど…繋がらないと…

警察の人も来て…簡単な事情聴取が始まった。

その日の様子…

他の子の状況…色々聞かれた。

17人を1人で見ていたと話すと…

「1人で17人ですか?」と驚いて

「日曜日だからですかね」と言われたので

「そんな感じです」としか答えられなかった。



それから、「詳しくは警察署で聞かせて下さい」

と言われ…母への連絡等は児相の人に任せて…

警察署に行くことにした。

副園長は、車を取りに行ってから行くと…

そこから…私は歩いて警察署に向かった。



歩きながら…涙が止まらない…

分かっていても、どうしようもなかったことを悔いた…

もし…過去に戻れるとしたら…

絶対にA子を助けたいと思っていたのに…

時間が変わったら、他の子が見つけたり

大騒ぎになるかもしれないと…変えることを恐れてしまった。

結局…私にはどうすることも出来なかった…



私は、やり切れず…

あの人に電話をしていた。

あったことを話し…今から警察署に行くと伝えた。



警察署に着いて…事情聴取を受けた。

警察は、施設でも捜査をしたようだが…

他殺の可能性も探っているようだったから

色々聞かれて…

最後に供述調書を書いて…

今度は、児相に向かった。



そこには数人の人がいて

そこでも色々聞かれた…

A子の遺体は、警察署に運ばれたが…

母とはまだ連絡が取れていないと…



私は、そこから副園長に送って貰って

駐車場に行った。

23時過ぎていた…

泊りは、代わりの人が入ってくれていたので

今日は、もう帰っていいと言われた…

明日、日勤で入るようにと…



それから、家に帰った。

あの人と二男が待っていてくれて…

「お腹すいてるんじゃない?」

と言われて…

そういえば、夜ごはん食べてなかったと気付いた。



あの人がインスタントラーメンを作ってくれた。

こんな状況でも、お腹は空くんだ…

と悲しくなった。



後悔しかなかった…

A子は、慕ってくれていたのに…

どうして…もっと話を聞いてあげられなかったのか…

どうして…あの時に声を掛けられなかったのか…

どうして…助けられなかったのか…



あの人は、「私のせいじゃないよ…」

と言ってくれたけど…

私のせいとしか考えられなかった…



私は、ほとんど眠れず…

翌日、施設に向かった…
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

夫の不貞現場を目撃してしまいました

秋月乃衣
恋愛
伯爵夫人ミレーユは、夫との間に子供が授からないまま、閨を共にしなくなって一年。 何故か夫から閨を拒否されてしまっているが、理由が分からない。 そんな時に夜会中の庭園で、夫と未亡人のマデリーンが、情事に耽っている場面を目撃してしまう。 なろう様でも掲載しております。

愛されていないのですね、ではさようなら。

杉本凪咲
恋愛
夫から告げられた冷徹な言葉。 「お前へ愛は存在しない。さっさと消えろ」 私はその言葉を受け入れると夫の元を去り……

挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました

結城芙由奈 
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】 今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。 「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」 そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。 そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。 けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。 その真意を知った時、私は―。 ※暫く鬱展開が続きます ※他サイトでも投稿中

公爵様、契約通り、跡継ぎを身籠りました!-もう契約は満了ですわよ・・・ね?ちょっと待って、どうして契約が終わらないんでしょうかぁぁ?!-

猫まんじゅう
恋愛
 そう、没落寸前の実家を助けて頂く代わりに、跡継ぎを産む事を条件にした契約結婚だったのです。  無事跡継ぎを妊娠したフィリス。夫であるバルモント公爵との契約達成は出産までの約9か月となった。  筈だったのです······が? ◆◇◆  「この結婚は契約結婚だ。貴女の実家の財の工面はする。代わりに、貴女には私の跡継ぎを産んでもらおう」  拝啓、公爵様。財政に悩んでいた私の家を助ける代わりに、跡継ぎを産むという一時的な契約結婚でございましたよね・・・?ええ、跡継ぎは産みました。なぜ、まだ契約が完了しないんでしょうか?  「ちょ、ちょ、ちょっと待ってくださいませええ!この契約!あと・・・、一体あと、何人子供を産めば契約が満了になるのですッ!!?」  溺愛と、悪阻(ツワリ)ルートは二人がお互いに想いを通じ合わせても終わらない? ◆◇◆ 安心保障のR15設定。 描写の直接的な表現はありませんが、”匂わせ”も気になる吐き悪阻体質の方はご注意ください。 ゆるゆる設定のコメディ要素あり。 つわりに付随する嘔吐表現などが多く含まれます。 ※妊娠に関する内容を含みます。 【2023/07/15/9:00〜07/17/15:00, HOTランキング1位ありがとうございます!】 こちらは小説家になろうでも完結掲載しております(詳細はあとがきにて、)

お飾り王妃の死後~王の後悔~

ましゅぺちーの
恋愛
ウィルベルト王国の王レオンと王妃フランチェスカは白い結婚である。 王が愛するのは愛妾であるフレイアただ一人。 ウィルベルト王国では周知の事実だった。 しかしある日王妃フランチェスカが自ら命を絶ってしまう。 最後に王宛てに残された手紙を読み王は後悔に苛まれる。 小説家になろう様にも投稿しています。

御機嫌ようそしてさようなら  ~王太子妃の選んだ最悪の結末

Hinaki
恋愛
令嬢の名はエリザベス。 生まれた瞬間より両親達が創る公爵邸と言う名の箱庭の中で生きていた。 全てがその箱庭の中でなされ、そして彼女は箱庭より外へは出される事はなかった。 ただ一つ月に一度彼女を訪ねる5歳年上の少年を除いては……。 時は流れエリザベスが15歳の乙女へと成長し未来の王太子妃として半年後の結婚を控えたある日に彼女を包み込んでいた世界は崩壊していく。 ゆるふわ設定の短編です。 完結済みなので予約投稿しています。

【完】あの、……どなたでしょうか?

桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー  爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」 見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は……… 「あの、……どなたのことでしょうか?」 まさかの意味不明発言!! 今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!! 結末やいかに!! ******************* 執筆終了済みです。

処理中です...